「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その9
「とにかく、
人より身体能力がかなり優れていることには
自覚があると思いますけど、
それは”オサキ”たちが
神経系に働きかけている結果なのです」
そう言われても、
霊感もない私には実態が見えないのでピンと来ない…。
複雑な顔をしてる私に瑞葉さまは、
「これを御覧なさい」
と言って1枚の銅鏡を差し出した。
覗いて見ると、
たくさんの小さな狐たちが私の周りを飛び交っている。
「わっ!?」
飛び退って、体をはたいて見るものの、
肉眼では見えないのでオサキたちが払えたかどうかさっぱりわからない。
もう一度鏡を覗き込んでみると、
先ほどと変わらないオサキたちが映っていた。
「霊的存在ですから、
物理的な力には影響を受けませんよ」
私の方に近づくと、
「あなたのお母様にもあなたの半分ぐらいのオサキたちが憑いています。
普通のオサキ憑きが10匹程度なので、相当な数です。
この子たちがあなたの神経系に働きかけて、
いろんなサポートをしているのですよ」
と言った。
「私、母から合気道を習ってたし、
自分でも運動神経や動体視力は
すごくいい方だと思ってたけど、
実はこの子たちのおかげたったの?」
「そう。
そしてあなたのおかあさまが細川の家に嫁入りしたことで、
在住さんという
更にあなたを超える資質をもった子が生まれたのです」
そう言って在住を鏡に映すと、
そこには大小様々な狐たちが
空中を浮遊するようにして在住を取り巻いている姿があった。
つづく
次回更新は9月1日になります。




