「豪快! 両国夢想」第4話「在住奪還作戦」その7
「ぎゃあっ! ちょっとママっ!
やめてよっ!! ていうか揉むなっ!」
怒って振り向くと、
「あらら、在住くんを誘拐されたお姉ちゃんにしては
威勢がいいんじゃない?」
とママがむっつりと言った。
「…うっ…」
やっぱり私の保護者としての責任を追及するつもりだ…。
「まあ、それについてはまた改めて話すとして、
今は火災を沈下する方が先決」
ママがそう言うのに合わせるように
海と川の方からドーンという爆発音が聞こえてきた。
「始まった始まった。
江戸川ゲットーは水浸しになっちゃうけど、
鎮火のためにはガマンしてもらわないとね」」
「でも地下のお店とかにいる人たちはどう…」
と言いかけて、
火災で何万人も犠牲者が出るよりはいいのかも…でも…と
逡巡した私は言葉を失った…。
「ああ、
地下鉄や地下街は治安維持を名目に閉鎖されてるし、
江戸時代から『伊勢屋、稲荷に犬の糞』っていうくらい
東京にはお稲荷さんが多いから、
弾正府からそれぞれのお稲荷さまの神使の狐を出してもらって
地下にいる人たちに避難してもらってる」
ああ、やっぱりママたちにはかなわない…。
「30時間ほど前にマハトマ共和国との同盟が締結されて、
超急ぎで出てきたんだけど、なんとか間に会ってよかった~」
「マハトマ共和国?」
「うん。これでデカン高原を押さえて
中東からマレー半島を結ぶラインが完成したから
旧SDF(自衛隊)もアメ連に対して反攻作戦開始を通達したの」
「世界ネットでもいっせいに流したから
不意打ちとか言われることはないですわ」
そう言ってママの後ろから現われたのは
西御門学園高等部の制服を着た女の子だった。
「あ、こちらは化野弾正忠音音ちゃん。
弾正府の№2で今回の在住くん奪回作戦の作戦参謀なの」
「えっ!?」
(この娘があの作戦を立案した参謀…?
どうみても高校生じゃない…)
「今、こんな子供がって思ったでしょ?
まあいいわ。そんなことより、飯綱の玉は?」
在住の様子を見てる衛生兵にそう聞くと、
「エコーでは見つかりません…」
という答えがあった。
つづく




