「豪快! 両国夢想」第4話「在住奪還作戦」その3
「わっ、凪っ、なんだ!? ちょっと待てっ!」
いきなりブラウスのボタンを外し始めた私に驚いたネバダが
どうしていいかわからず慌てふためく。
ネバダにはかまわず、
服を脱ぎ捨てると背中に折りたたんであった羽を広げ、
アイマスクを着ける。
「ば、バトルTOKYOU………っ!??」
「えへへ、びっくりした? これでおあいこね。
とにかく在住を助けるために私も闘う」
待ってるなんて性に合わないし、
自分がどうにもならないことでやきもきしてるより、
体動かしてるほうが精神衛生上もいいと思う。
「傾注! あと約300秒で目標ポイント旧るるぽーと。
総員装備の最終チェックを――」
ベテランらしい兵士が注意を促す。
そこに何か連絡が入り、
タチアナがしばらくやり取りしていたが、
通信を終えこちらを振り向いて話し出す。
「諸君! 偵察隊からの報告では、
潜伏先のクリークに面した建物は、
偽装した潜水艦用ドッグの可能性が高い。
出航されたら手が出せない。
その前に人質の身柄はなんとしても抑える。
今回は大きなヤマだ!
そのための手段は選ばない。各員の奮闘を期待するっ!」
話終わるのとほぼ同時にトラックがギュッと停止すると、
「総員降車! 急げ!」
命令一下、兵士たちが展開していく。
「我々も行くぞ」
そう言ったタチアナに続いてトラックを降りると、
目標の建物に向かって歩き出す。
すでにあちらこちらで銃声が響き渡っている。
「総員第一種戦闘態勢--!」
タチアナが叫ぶと、兵士たちの身体に変化が起こり、
盛り上がった筋肉で戦闘服がパンパンに膨らんでいく。
眉間や額の両サイドから角が隆起して、
今やヴォスネンスキー鬼兵団の兵士たちは、
文字通り鬼の戦闘集団と化していた。
「急げ、出航させるな!」
もはやサブマシンガンの弾丸など意にも介さず、
鬼兵たちは建物へとなだれ込んでいく。
建物に入ると、そこは潜水艦のドッグになっていて、
丁度水門が左右に開き、
シャッターがゆっくりと上がり始めたところだった。
「止まれっ!! それ以上動いたら、こいつの命はない!」
声のするほうを見ると、
潜水艦のセイルに艦長らしき人物が
在住のコメカミに拳銃を当てて叫んでいた。
つづく




