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「豪快! 両国夢想」第4話「在住奪還作戦」その2

「………」

そんなこと言われなくたって…。

「彼の言っていることは本当だ。

私は以前第二契約者として行動していたから知ってる。

彼らにとって神は人々を統合するための偶像に過ぎない。

自分達の権威を高めるための材料としか考えてない。

あの連中はこの世界の均衡を崩して

第二契約者の支配する世界、

いや、その裏は第一契約者が自分達だけでの一極支配を企んでる」

「…でも日本もアメ連も、政教分離の原則が……」

「建前はそう。

でも、世界の金融大手は、

第一契約者たちが作り上げたものだし、

マーケットそのものはほとんんど第一契約者たちが牛耳る銀行やファンド、

証券会社が仕切ってる」

「………」

言われてみれば確かにメガバンクや証券会社、

機関投資家やプライベートエキュイティは

中華系と日系以外のほとんどが

株主やオーナーが第一契約者のファミリーネームで締められているって

経済学部出身の高校の先生が授業の余談で話してたことがある。

「実際には、巨額の資金や大きな組織票を持つ

彼らの意向を無視することは不可能なの。

それでも分裂する前のアメリカは、厳格な分離型だった。

だけど分裂したあとは牧師たちが議会に席を占め、

日本やフィリピンのような植民地が増えた今、

第二正教の国教化は時間の問題なの。

日本人はもともと宗教に疎い上に、

こんな情報プアなとこにいたんじゃわかんないでしょうけど」

ふん、と鼻で笑いながら言った

タチアナのあとを継いだのはネバダだった。

「リベラルアメリカは、

第一、第二契約者の企みを阻止しようと動いてる。

だから、在住くんを無事に取り返し、

”飯綱の珠”を材料に弾正府と結び、

日本開放の足がかりにしたい。

だけどそれ以上に---僕は在住くんを助け出して、

君の喜ぶ顔がみたい――」

そう言って、じっと私を見つめるネバダは、

子供の頃から知ってるネバダだった。

どのみち、ネバダたちに頼らなければ

在住の居場所さえ分からない。

だったらネバダを信じてみよう。

それに私だって秘密にしてることあるし…。

「ごめん………。わかった、信じる。

私も私の秘密教えてあげる――」


つづく

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