「豪快! 両国夢想」第3話「在住と飯綱の珠」その9
蘭がこっちにやってくる。
足取りがふらふらしてる…。
「せ、先ぱ~い………どうしよう、在住くんが、あいつらに…」
え!?…在住が…誰に……もしかしてアメ連…?
「在住が………アメ連に連れてかれたの………!?」
私の質問に頷くと同時に蘭が膝をがっくりと折る。
その額からひとすじの血が…!
「蘭っ!! 蘭っ!! 冗談でしょ? ねっ?」
蘭を抱え起こすと手に濡れた感触があり、
見るとべっとりと血が付いている。
「蘭!! しっかりしてっ!!!」
「動かしちゃダメだ!」
うろたえる私の肩に誰かが手を置いた。
後ろに立っていたのはカーネルアメリカ様だった。
「あ………」
「凪くん、落ち着いて。大丈夫だ。
傷は浅い。とにかく腕の傷を止血しよう」
ハンカチを細く裂くと、
何本か結び合わせて蘭の上腕の付け根を縛っていく。
「これでよし。急いで医者に見せたほうがいいな。
在住くんはボクが追う。
君は彼女を病院に連れて行きたまえ」
「追うって、どこに行くっていうの!?」
そう言って食って掛かる私に、
「大丈夫だ。今ヴォスネンスキー鬼兵団が後を追ってる」
タチアナ皇女大佐が指揮する、
お金次第でなんでもすると言われてる傭兵団…。
「ヴォスネンスキー…なんであの子たちが在住を…
カーネル様…あなたはいったい…」
在住が狙われること自体理解できないのに、
京都や鎌倉、それにカーネルさままで
在住のことでやっきになってるのはどうしてなの!?
いったい今この両国でなにが起こってるの?
※イラストは月曜日に掲載します。
つづく




