「豪快! 両国夢想」第3話「在住と飯綱の珠」その4
「まあ、そういうことならお願いするしかないね。
でも……さっき言ってた飯綱の珠って何なの…?」
「使用法、所在云々はよく分かってないですけど、
その珠があれば、狐たちを支配できるって言われてますね」
「………狐って、あの?」
(狐たちを支配して、何かいいことがあるのかな?)
ときょとんとしてると、
「狐というのは稲荷神のことで……って、あ、そうか、先ぱ~いは知らないのか」
「だから何を?」
「九尾の狐ですよ。大災厄をもたらす力があるんです。
古くは中国商王朝を滅ぼした妲己。
日本では平安時代末期、朝廷に災いをなした玉藻の前。
殺生石とか聞いたことあるでしょ?
で、鎌倉には合体するとその九尾の狐になる、
お狐さまがいるんですよ。
五尾と四尾と一尾のお狐さまが――」
「足したら十尾じゃん」
つっこむ私に、蘭がマジレスをつけてくる。
「本数が多いほど強力なんですっ! ”九”は忌み数ですし…。
とにかくそのお狐さまを支配するってことは、
日本だけじゃなく、世界のパワーバランスに関わることなんです。
ホントは先ぱ~いたちが京都か鎌倉結界内に
引っ越してくれるのが一番いいんだけど…」
「………」
なんだか私の知らないところで、いろんなことが動いてる。
しかも、この世界にかかわることにいつの間にか関わってる…。
蘭の話を聞いてると、
安全な場所に引っ越した方がいいのかなって思う。
でも………。
そんなことしたら、憧れのカーネル・アメリカ様にお会いできなくなっちゃうじゃない!
つづく