「豪快! 両国夢想」第3話「在住と飯綱の珠」その2
悩む私におかまいなく、ずばっと近づいてきた黒い影は、
「あああ、液体と固体の中間のようなまろやかなこの感触、
これを至福と言わずして、何を至福といおうや…」
そう言いながら抱きついて、私の胸を揉みながら思い切り顔をスリスリする!
「うはっ……ら、蘭っ!? あんた京都に帰ったんじゃ…」
幼稚園から高校までいっしょの学校で、ずっとこんな調子で私の胸に執着していた阿部 蘭。
卒業と同時に家の修業があるからと京都に帰ったはずなのに…!?
「はにゃ~~ん。女体の神秘~~~▽」
「ああ、もうっ!!!」
私はうっとりと恍惚の表情を浮かべている蘭の服の襟首に手を掛けると、
引っぺがすようにして放り投げる。
肩で息をしながら、
「チチを揉むな~~!」
と絶叫すると私に蘭は、ささっと近づいてくると、
「いいじゃないですか、減るどころか増える可能性すらあるのに…」
としれっと言い放った…。
「もうこれ以上大きくならなくていいのっ! っていうか、
小さいころから毎日毎日っ……もしかしたら、あんたのせいで
大きくなったかもしれないんだからねっ!」
「やだなぁ、先ぱ~い。
先ぱ~いのママ見れば、どう考えたって遺伝ですよ~。
誰が見ても一目瞭然ですよ」
確かにママのチチはデカイけど……。
ぐうの音も出ずにいると、
「じゃあ、この仕事は成立っことでいいのかい?」
とツブラヤが聞いてくる。
「ダメですっ!」
と私が言うのと、
「はい、結構です」
と蘭が言うのはほぼ同時だった。
「クライアントがいいって言うから、あとはよろしくな」
ツブラヤは一方的にそう言うと、
出前用スタビライザー付きのカブに跨り、
錦糸町方面へと走り去っていった。
つづく
次回更新は1月の予定です。




