「豪快! 両国夢想」第2話「美少女を救出せよ」その10
「はい、あ~~んして▽」
「ちょ、ちょ、ちょっと、
ボクは、そういう趣味ないんだからね…!」
あのあとウチのお店で働くことになった逸音が、
メイド服姿で接客してるんだけど、
さっそくおねえさまなお客さまに気に入られて、
オムレツを食べさせられそうになって真っ赤になってる。
髪が短いので
かなりボーイッシュな感じのする逸音は、
女装弟メイドの在住とは好対照で、
彼女目当てのお客さまが増えそうな感じ。
ふたりとも歳の割りには幼く見えるので、
ナチュラルに庇護欲をかきたてるらしい。
(これで、”みるくほ~る”に持ってかれたお客さんはぜったい取り返せるっ!)
ふたりの看板メイドさん体勢で繁盛の予感………。
「きゃ―――っ! 女同士だからって
触っていいトコと悪いトコがあるでしょっ!
だいたいここはそういうお店じゃないんだから―――!」
逸音の怒鳴り声といっしょに
ガラガラガッシャーンという音が響き渡る。
どうやら酔っ払ったお客さんにお尻を触られた逸音がキレたらしい。
あああ、お客さんがそそくさと帰ってく~~><
これじゃまた客足が………。
ああ、次の依頼がくるまでの間に
ちゃんと逸音を教育しなきゃ。
(どうか取らぬ狸の革算用になりませんようにっ)
そう祈りながら、私は浅草神社のほうへ向かって手を合わせた。
おわり
第3話につづく




