「豪快! 両国夢想」第1話「相続人を探し出せ」その8
ところが、タチアナに肉薄した瞬間、
その男は何かにはじかれるように吹き飛ばされた。
普通の動体視力だと分からないぐらいの速さで、
一瞬だけ鬼化したタチアナの腕があの男を吹き飛ばしていたのだ。
残りの3人の教団信徒も、
戦闘のプロであるVS団のふたりとの力の差は圧倒的で、
既に廊下につっぷしている。
「そこをおどきなさい」
ひとり残ったダイブッダに命令するタチアナに、
「人の家に勝手に押し入った上にその態度、悪い業ですなぁ。仏罰がくだりますぞ」
と坊主としてはもっともな主張をする。
「ばーか、仏罰なんて、釈迦の教えにそんなものないじゃん。
貴様達負傷の弟子が、自分達の都合のいいように釈迦の言動を解釈してるだけだろ?
おまえのような似非坊主は、
業と悪縁にまみれて一生解脱なんか不可能だと思うね!」
かわいい見掛けとは裏腹なタチアナの挑発。
「ぐぬぬ、小娘。言わせておけば…」
その挑発にのせられたダイブッダの浅黒い肌が赤黒くなり、頭をかきむしり始める。
白い粉が…細かいフケが部屋に充満していく。
うわ~~!! こ、これって汚い上に危険なので国技場では使用禁止になってる
粉塵爆発を引き起こすダイブッダの必殺技じゃない…!
これはマズイと思った私は、物陰で服を脱ぎ捨てると、
スペクトラファイバーを織り込んだ特殊な繊維製の全身タイツに着替え、顔を隠すための仮面を付けた。
つづく