「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その28
「それよりも、萌、逸鬼、
敵は手広方面へ向かってる。
今の段階で可能性の高いルートは4つ。
手広から東に向かい長谷へ出るルート、
八雲神社前から市役所の裏へ出るルート、
梶原から化粧坂を通り八幡宮へ至るルート、
山崎から北鎌倉を抜け天園から太平山へ至るルートの4つ。
前の3つが
再防衛拠点が構築されている段葛と
八幡宮を抜かなければならないため、
第4のルートが可能性が最も確度が高い…」
「防衛拠点が築かれてる
鎌倉七口よりも、
過去に2度も突破されてる大平山から
西御門の弾正府を突かれる可能性は確かに高そうだけど…」
歯切れの悪さを残す逸鬼に、
華子が新たな情報を提供する。
「――事態はそれほど甘くないかも…。
ECMのせいで、無線の状態が良くないんだけど、
弾正府の通信を解析すると、
例の巨大飛行船と思われる物体が
すべての鎌倉七口に降下してるみたい」
「七口すべてに…
あの飛行船が…」
「じゃあ手広に向かってる部隊は
飛鳥本社を狙って…」
一瞬呆然とした萌だったが、
「こうなれば、
敵の司令部を叩くしかないのです。
一番兵員数の多い部隊の中枢を
狙うしか手はないのです」
と決然と言い放った。
一瞬薫子様の容態が脳裏をよぎるが、
そうすることで飛鳥本社に向かう軍団をたたくよりも
薫子様の助けになると萌は判断したのだった。
つづく