第七話
この国には立ち入り禁止とされている巨大な区域がある。通称『デス・カントリー』。略して『デスカン』と呼ばれている。
この世界にはそのデスカンに調査しに行く『デスカン調査団』という人々が居る。
天は暗く青空を見ることも出来ないデスカンにおいて彼らが掲げた目標は一つ
“蒼天を突け”
父さんの一人目の仲間、『霧木 双斬』を探して歩くこと数分、どこか遠くからドスドスという音が聞こえてきた。
まるで巨人が歩くかのようなその音に皆が耳を塞いだ。だがこのままではまずい。明らかに敵襲のゴング、それなのに両腕を塞ぐなんて意味が無い。
左耳を犠牲にして、左手で“あそこに隠れろ”というジェスチャーをした。そして隠れようとした瞬間、周りのビルなどの建物を壊しながら巨大な恐竜のような怪物が現れた。
その上に乗っているのは紫と桃色が混ざった髪の毛の女性。
「まさか…人間!?こんな所で何を…!?」
その女性は怪物をその場にとめるとこちらを見下ろした。
「誰だ貴様ら。ヒビキ様はどこだ。」
まさか…!!悪い予感は的中した。その女性は奥で倒れている内山ヒビキを見つけると、奇声をあげ、激怒した。
「貴様ら!!よくもヒビキ様を!!」
瞬間、父さんの脳天に穴が空いた。誰もが理解出来ずにその場に立ち止まった。
「父…さん…?」
血が吹き出して今にも死んでしまいそうな状況だった。ようやく体が動き、駆け寄ると父さんは話し出した。
「俺は今から死ぬ…脳に到達していなかったが、もう助からないのが理解できた。だから一つお前に教える…」
そういうと父さんは最後の力で言った。
「あの女は人間だが、超能力を有している。能力は恐らく透明化…女の口の中にピストルが入っている…舌でその銃を操作しているんだ…叫んだ時に開いた口の中の舌が少し凹んでいた…」
そういうと父さんは頭を触って最期の言葉を言った。
「仲間を大切にするんだぞ…蒼。」
そういうと父さんは息を引き取った。
「ふっ!馬鹿め!思い知ったか!」
「あなた…覚悟があったんですよね…?」
「…?覚悟?」
不可思議そうに女性はこちらを見つめた。
「あなたは父さんを殺す覚悟を持って撃った。そして父さんは自分が死んでもいいと言う覚悟を持って話した。」
「何が言いたい?」
「覚悟には犠牲が伴うんです。そう、殺した犠牲を。報いを。父さんの覚悟とあなたの覚悟、どちらが大きいか試してみますか?」
父さんの覚悟を僕は受け取った。だからその覚悟でこいつと戦う。これは覚悟の戦いなんだ。
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