第三話
この国には立ち入り禁止とされている巨大な区域がある。通称『デス・カントリー』。略して『デスカン』と呼ばれている。
この世界にはそのデスカンに調査しに行く『デスカン調査団』という人々が居る。
天は暗く青空を見ることも出来ないデスカンにおいて彼らが掲げた目標は一つ
“蒼天を突け”
星香が起きて安心した一行は調査の為、また歩き出した。
三十分程歩くと、少し雰囲気の変わった場所についた。薄暗いが、他は変哲のない街並みだった。
「こんなとこデスカンマップに乗ってたっけ?」
弘太はそう言いながら歩いていた。自分も腕のマップを見てみると、こんな場所乗っていなかった。
未確認スポットかな?と思い歩いていた。すると、大通りに入った辺りで大きい何かを踏んだ。
下を見ると、他調査隊の死体が転がっていた。
「…っおぇ…!」
数人の大人の死体を前にして、嘔吐を繰り返した。今まで、人外を含め死体なんて見た事がなかった。人外であろうとも、死ねば灰になり血なんてもっての外だった。
「もう…無理だ…帰ろう」
自分が死ぬのが怖いというのも事実だったが、一番心が折れた理由は違う。仲間の死んだ姿を想像してしまった。もう、前に進めない…
そんな時弘太が話しかけてきた。
「俺って馬鹿な方だと思うんだけどよ、」
「…?」
「一つ分かることがあるぜ。」
僕の背中を叩いて弘太は言った。
「後ろを向いてりゃ、後ろに進むんだぜ。」
そうだった。僕たちはそんなこと覚悟して、ここに来たはずだった。
「…進もう、前に進むためにここに来たんだ。」
前を向いて歩き出した。
数分後、目の前に奇妙な生物が現れた。頭から大量の触手が生え、絶え間なく動いている。
「モンジャラ?」
「いやモジャンボだろ。」
明と弘太の発言をよそに触手生物はモゴモゴと口を開いた。
【ミタ…ト……ゾ…】
触手の隙間からギョロっとした目が覗いて、周りからは牙が現れた。
「あぁん?なんつったんだ?」
油断したように見せつつも、明が武器を持って、警戒しながら近づいた。
2m程まで近づいた瞬間、明の腕が吹き飛んだ。
触手生物は先程よりも饒舌な言葉で話した。
【見たことあるぞ…このガキ】
「明!!」
血まみれで倒れた明に全員が駆け寄る。触手生物はその間に腕を食べて、腹を満たしていた。
「お前が…さっきの調査隊を殺したのか…!?」
弘太の質問に、触手生物は触手をいじりながら答えた。
【…あぁ…あいつらか…寄生に失敗したから…殺しただけさ。】
「お前…寄生人か。どうりで私達の指名手配生物確認用欄にのっていないわけだ。」
【そんなの…どうでもいい…俺が気にしてるのはそこのガキだ…】
そう言うとパラサイトマンは弘太を指差して先程よりもすらすらと話し始めた。
【俺は一度見たガキの顔は覚えている。確か名前は…】
「考える必要はねぇよ!!黙って死ね!!」
パラサイトマンの触手を小刀で斬りながら弘太は進んで行った。弘太が顔の前に到達した瞬間、弘太は驚いた声を発したあとに倒れた。
パラサイトマンの不気味な笑みが暗闇の中に残った。
まるで暗黒そのもののように。
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