第二話
この国には立ち入り禁止とされている巨大な区域がある。通称『デス・カントリー』。略して『デスカン』と呼ばれている。
この世界にはそのデスカンに調査しに行く『デスカン調査団』という人々が居る。
天は暗く青空を見ることも出来ないデスカンにおいて彼らが掲げた目標は一つ
“蒼天を突け”
こんなことになるなら───
弘太はそう思いながら蒼を背負っていた…
僕たちは少し走ってから違和感に気づいた。
空気が気持ち悪い…
周りを見回してみると黄、紫、黒様々な色の毒ガスが漂っていた。
「弘太!息をしちゃダメ…だ…」
思わず叫んだ時、ガスを少し吸い倒れた。
そのまま僕に続いて星香も倒れた。
弘太たちは、それを見てすぐに緊急用折りたたみガスマスクを着用した。
「…!」
弘太と美玖は、見合ってコクリと頷くと二人を背負って歩き始めた。
(こんなことになるなら俺が初めから気づけばよかった…!!)
一歩を踏み出す度、疲労が溜まっていった。
その瞬間周りの高層ビルから人型の生物が近づいてきた。
「!?」
「おい、コイツら何か抱えてやがるぜ」
「そうだな。ガスでくたばってるみたいだぜ」
「もう呼吸して大丈夫そうね。」
美玖がマスクを取り外して言った。
「確かこいつら…やっぱりそうだ、指名手配になってる『触角生物』の『ショウ』と『キョウ』じゃねぇか!」
明が防護服の腕部に搭載されている、端末機器で“指名手配生物確認用欄”を見る。
「おいキョウ、あそこのガキ筋肉が美味そうだぜ?」
「俺はあっちの男だな…」
「おい、そういえばあそこの抱えられてたガキはどこいった?」
「!そうだ弘太、確かに蒼は!?」
「ショウ、上だ!!」
「は?」
そのまま僕の刀は上からショウの体を一直線に貫いた。
「みんな、大丈夫だったか!?」
「油断するな!まだ刺しただけじゃ死んでねぇぞ!」
「うん!」
弘太のおかげで背後から襲ってくるキョウに反応して、真っ二つに両断した。
「てめぇぇぇガキがぁ舐めやがって!!よくもキョウを!!」
核の心臓部を切断されたキョウの体は灰となって天に消えていった。
激昂したショウが飛びかかってきたが、縦に一刀両断して、核を切断した。
「危なかったな、蒼。」
「怪我はないか?回復道具なら持ってるぞ?」
「はいはい。ありがとね、大丈夫よ。先行きましょ。」
「な…なら良かった。」
復帰した蒼が星香を担ぎながらまた歩き始めた。
数分歩くと、煙で前も見えないような区域に到着した。
「よいしょ…星香もマスクをつけたし、これで大丈夫なはずだ。」
「そういやさっきのガスは睡眠効果しかなかったんだな。」
「うん。だから吸うのを覚悟で注意したんだ。」
「え、あの一瞬で判断したの!?…やっぱり成績過去一位、実技・筆記テスト満点ていうだけはあるわね。」
「そ…そんな事ないよ。美玖だって冷静な判断できるし凄いよ!」
「はいはい。そんな美玖の事が好きかい?」
「んなっ…!!」
顔が真っ赤になってしまった。
美玖は、緊張感のない…と思っていたがこの年齢なら当然なのだ。
これは、青春真っ只中の五人の冒険だ。
この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。
また、他の連載作品などもお願いします。