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アナタに会いたくて

作者: 三日坊主

思いついて書いた物語り。


アナタは愛した人がどのような姿で愛を感じれますか?


これは一人称で簡潔に書いております。



アナタに会いたくて…わたし、食事をすることを始めたの。

アナタに会いたくて…わたし、運動を始めたの。

アナタに会いたくて…わたし、窓の外を見ることにしたの。

アナタに会いたくて…わたし、窓を開けたのよ。


とても気持ちの良い風を感じたわ…

瞼を閉じて、1、2、3、しっかりと数えて瞼を開くの。

アナタの姿を感じるかしらなんて思って。



アナタは元気かしら?



窓の外に見える町並み、所々に存在を主張する色づいた木々。

なんて、キレイなのかしら…

でもアナタの姿は見えないの…



アナタは何処にいるのかしら?



手紙には旅行に行くと書いていたわ。

手紙なんてって思ったけれど、文字からアナタを感じるわ。

アナタの書く文字はとても特徴的で、その文字を見るだけで頬が緩んでしまうの。



最後に手紙が届いたのは何時だったかしら?



もう忘れてしまったわ…



アナタの声が聴こえないの。

アナタの声を思い出せないの。



あぁ、でも変ね。



アナタが呼ぶ声がするわ…



アナタの声は窓の外、部屋の外、家の外から聴こえるわ…



わたし、アナタに会いたいの。



アナタに会いたくて…わたし、通信機の電源を入れたわ。

アナタに会いたくて…わたし、沢山来ていたメッセージに目を通したの。



ふふっ。

手紙なんてもう古いのですって…友人からそう来ていたわ。



でもアナタからのメッセージはないみたい。




アナタに会いたくて…わたし、家の外に出てみたの。

門に着いているポストまで歩くのがやっとよ…

わたしの努力を褒めて欲しいものね。



あら?

ポストにも沢山届いているみたい。

色んな情報が…外の時間は絶えず動いているのね。



あら?

手紙が届いているわ…


どうしてかしら?

いつもなら、部屋まで運んでくれるのに。


宛名もない手紙だから、部屋まで届かなかったのかしら?

でも新しく感じるわ…。古びてもいないし、寄れてもいない。消印はないけれど。



読んでもいいかしら?

わたし宛ではないものを。

開けてもいいのかしら?



そうだわ!開けて、他の方だったら郵便屋さんにお伝えしましょう!



わかってる…そういう時は開けずに届けることを。

でも、この手紙には双葉のマークが描かれているの。


アナタからかしら?

夢を見ているのね、夢だと思いたいのね。




最後にきた手紙は何時だったかしら?



わたしが家の外に出たのはいつぶりかしら?



わたしが、わたしが、わたしが!

目を覚ましてからどのくらいの時間が経ったのかしら?





世界が大きく変動し、時代が変わり、生か死かを選ぶのではなく皆コールドスリープへと保管された。

人によって覚醒時間が決められており、わたしが目を覚ましたのは3XXX年。親しい友人も何人か一緒に目を覚ましていたけれど、そこにアナタは居なかった。

ただ目が覚めてから手紙だけが届いていたの。今なら電子機器が当たり前なのにね。

手紙の方が高価なのに、アナタからは手紙しか届かなかった。アナタはどこにいるの?いつ目が覚めたの?今何しているの?旅行からは無事に帰れたの?


わたしの心配はアナタに届いているのかしら?

届いているわけないじゃない…わたしから手紙を出したことが無いんだもの。宛先を書いてくれたらいいのに、アナタは何時も書いてくれないわ。


意を決してポストに入っていた宛名のない手紙を開いてみる。

ほら、やっぱりアナタからだわ…

目から何かが流れてる…涙?

久しぶりにアナタの文字を見たからかしら?


アナタは何を心配しているのよ。

姿が変わった?声が変わった?


バカね…わたしも同じくらい変わっちゃったわ!


コールドスリープのデメリットとして、動植物全て姿かたちが変わってしまうという誰も喜ばないものがあった。

もちろんわたしも友人も飼っていた猫も鳥もみんな変わってしまった。

初めは恐ろしかったけど、慣れるものね。人間…いいえ、生きるもの全て逞しいわ!


わたしがアナタの姿だけが声だけが好きだったと思っているのかしら?


本当にバカね!


高価な手紙を出すくらいなら、会いに来なさい!


わたしにはまだデメリットが残っていて、上手く動けないのよ!

わたしはアナタに会いたいの!!!



門の外にある木の木陰に隠れているのでしょう?



本当にばかね…



アナタに嫌われたのかもってわたしは心配していたのに。

ずっと私を見ていたなんて、そんな内容要らないわ!




門を開く



木陰まで歩けるかしら?



ねぇ、わたし今でもアナタが好きなわたしで居られているかしら?




「わたしが外に出ないと思わなかったの?」




「キミなら来てくれると思ったんだ。」



「手紙じゃなくて顔を見せて、姿を見せて、もっと声をきかせて。新しいアナタを感じさせてちょうだい。」



「キミの好きだった人間では無くなってしまったんだ。それでも。それでも…愛してくれるだろうか?」



「わたし、手紙でもなんでもずっと伝えたかったの。」




「アナタに会いたくて、ずっと会いたくて。伝えたくて。」

「わたし、今でもアナタを愛しているわ…」




お互いに姿形が変わってしまっていて、声すら誰だか分からないけど。あら?待って、声は覚えていないから丁度いいわ!新たにアナタを愛せるもの!



ねぇ知ってる?

わたし、どんな人よりも回復力が高かったのですって!



ふふっ!

世界が壊れるその時まで、わたしはアナタを愛しています。



わたしの笑っている顔を見たからかしら?歪んでしまったアナタの顔も微笑んでいるのがわかったわ…



世界に負けない「愛」で満たしましょう。

お互いに抱き寄せた身体はまえより冷えていたけれど、もう心は冷えないわ…。


世界にわたし達は勝ったのよ…

別に勝負はしてないけれど、それでも、手紙を送ってくれてありがとう。


そうわたしアナタの耳元に囁いた。





コールドスリープにより世界の人口は半分に減り、見た目は化け物と言わないばかりの生物が存在している。

それでも、相手を想う気持ちは世界の不条理にも負けない、そんな物語をここに伝えます。





誤字脱字報告是非、よろしくお願いします。

楽しんで頂いたら幸いです。

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