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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢、革命の最中に結婚しますが……?

作者: 青冬夏

※初めて悪役令嬢ものに筆を執りました。

一七七九年のあるときのこと。絶対王政に不満を募らせた臣民達が遂にその不満を爆発し、王室に刃向かおうとしていた時期に、ロココ様式で彩られた教会においてある婚約式が開かれていた。


その教会の周りには武器を持った民衆が集まっており、今にも教会の中に入って誰かを襲おうと殺気立っていた。


そんな中、十字架を背中にして話し出す教父の姿がおり、その教父の目の前にはフランク=アルル王子とサン=デ=マルル王女が立っていた。

「フランク=アルル王子。あなたは王女のことを愛しますか?」


と言われ、端麗な顔つきで白く透き通った肌を持つアルル王子は頷く。その反応を一瞥し、教父は視線をマルル王女に向ける。同じく端麗な顔つきで、小顔で足長とスタイルが良かったが、そばかすが細長の目の下にありマイナスな印象を教父に位置づけていた。


「サン=デ=マルル王女。あなたは王子のことを愛しますか?」

彼女は頷く。その反応を見た後、教父は横にあった小さな木製のテーブルに手を伸ばし、小さな箱を開ける。そこからキラキラと輝く指輪が現れ、それを二人の前に示す。


その指輪を見て、マルル王女は一昨日の出来事について脳裏に浮かべていた。



「お父様。何か用ですか?」


玉座の間に大股で入るマルル王女。遠く離れた王に聞こえるよう大声で言うと、王は「ああ」と頷いた。その間、マルル王女は横にいた側近たちに「下がって」と命令を下し、側近達を後ろに下がらせる。


ズカズカと大股で王に近づくと、王の前でマルル王女は跪く。

「顔を上げろ」

と言われ、マルル王女は顔を上げる。

「端的に述べる。君の婚約者が見つかった」


その瞬間、彼女の表情がパッと明るくなり、「本当ですか!?」と喜びの感情を上げる。

「ああ。隣国のシュパイン王国から使者とお前の婚約者が来てな。どうだ? 引き受けるか?」

「はい! 勿論です!」

と喜んで頷くと、王は「そうか。良かった」と言って横に立っていたもう一人のシャヌー王女──端麗な顔つきだが、か弱そうな体型をしている──に話しかける。その王女が王の命令通りに動き始めると、それを見たマルル王女が呟いた。


「……あの王女より先に結婚して良かったわ」

それが聞こえたのか、一瞬玉座の間の横にある扉を開ける動作を止める。小さく舌打ちを鳴らした後、シャヌーは扉を大きく開いた。そこに立っていたのは、フランク=アルル王子であった。


「どうぞ」

と言い、王女がアルル王子を玉座の間に招き入れる。白い衣装で身に包まれた彼は、まるでどこかの異世界から舞い降りたような人物をしていた。


アルル王子がマルル王女に近づき、紳士のように頭を下げる。その後、彼はマルル王女の掌を優しく持ち、その場に立たせた。

──私はこれで、一人ではなくなるわ……!!



時間が経過し、ある宮殿内の中にマルル王女とアルル王子がいた。

二人は教会での婚約式を終えると、警護に護られながら都市部から少し離れた宮殿に向かった。その宮殿は庭が広く、そして豪華絢爛に大きくそびえ立っていた。

しかし、柵の外には武器を持った民衆が二人を敵視しており、殺気だっていた。


「ようやく二人での生活が過ごせそうだね」

とアルル。広々としたエントランスをコツンコツンと足音を響かせながら歩いていたマルルが、後ろを振り返ってアルルを見た。

「うん!」マルルはアルルとの距離を縮め、上目遣いで彼を見る。「幸せな日々を送ろうね」


マルルがアルルに軽く口づけをした後、一人宮殿内の階段を上がろうとする。だが、後ろの方で鈍い音が突然あがり、マルルは階段を上がる動作をやめて振り返った。彼女の網膜に映し出された光景に、思わず目を疑った。


「──アルル!!」


そこには複数人の武器を持った人達が立ち並んでいた。

──襲撃者。


急いで階段を駆け下り、その場で倒れたアルルの側に駆け寄り、アルルの顔を彼女が触れる。その時に袖口が出血部分に当たり、血が滲んだ。


「しっかりして!! ねぇ!! 私との幸せな生活を……、きゃあ!!」

アルルを抱こうとする手が無理やり引き裂かれ、誰かによって冷たい床に尻餅がつく。マルルはパッと後ろを振り返る。そこには見知らぬ人が立っており、手には農具が持っていた。

「……助けて」

か細い声で誰かに助けを求めようとマルルは発するものの、目の前の人は「知るか」と唾を吐き捨てる。


「やばいやばい……、殺される!!」

その場から逃げ去ろうとするも、他の誰かがマルルの細長い腕を掴む。その際にマルルの腕に強い痣が出来た。


「助けてー!! 誰かー!!」

「……残念だな」

短刀を持っていたまた他の人にマルルは馬乗りにされ、そのまま短刀で胸を刺される。血が胸から流れ赤く染まるドレスを一瞥した彼女は、その場にバタンと倒れる。


「……このまま死んでやるものかっ……!!」

歯を食い縛りながら、倒れるアルルの側へ駆け寄る。しかし、襲撃者のうちの一人がマルルの身体を足で踏みつける。

「……うっ」

「もう終わりだな。……じゃあな」

と言い、腹の横を蹴ってその場を襲撃者たちが立ち去っていく。


宮殿内に残っているのはマルルとアルルのみで、マルルは残った力で何とかして身体を動かす。アルルの側に寄ろうとした瞬間、マルルはその場で力尽きた。


その一部始終を見ていた、ある王女がこう呟いた。

「──哀れな女ね」

髪をなびかせ、その場を立ち去った。

最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。




私からの願い事ではありますが、下の欄にある星をつけて下されば、私のモチベにもなります。よろしくお願いします。

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