初めての夜会
流石に叙爵した上、婚約したので、全ての夜会の欠席はダメだった。子爵位じゃなくて伯爵位になっちゃったしね。
領地なし子爵位で、婚約してなければ、パートナーなしで仕事を理由に不参加に出来ただろうに。残念。
まあ、お金は既にそこそこ持ってるので、諦めてドレスやら装飾品やら新調して、経済を回しましょう。
クロード様とお揃いのデザインの装飾品も作ってプレゼント。なかなかお洒落にできたと思う。
何故、私が贈るか?
婿入りだからね、領地の関税を優遇したり、装飾品や魔道具贈ったり、色々頑張りました。
相手が格上の公爵家だから、支度金大変でした。
まあ、こちらは新興貴族だし、寄子になったし、酔っ払いの醜聞隠しもあるので、色々出費はしたが業務提携などでこちらにも利がある契約になったんではあるまいか。
そういえば、陛下から“元伯爵のタウンハウスいる?”って聞かれたけど、縁起悪そうだから売って褒賞金に上乗せ願った。
新築建てますよ。もう土地買ってたしね。聞くの遅いです。
それにさ、聞いたら、元伯爵は横領やら人身売買、密輸してたって!
領地の屋敷は、立地が悪かったのか悪事の拠点じゃなかったみたいだけど、領地で拠点にされてた倉庫は、速攻で更地にして貰った。
タウンハウスは、地下牢にミイラ化した死体が…!
なにがあった!そんなとこ住みたくないわ!
「アンジー!休み以外も会えて嬉しいよ!」
「ハイエンドル公爵家の夜会ですもの。クロード様とのお披露目もありますし、頑張りますわ」
そう、今日はハイエンドル公爵家での夜会だ。
初めての夜会が身内なのは心強い。
目立つのは嫌だけど。
ううぅ、緊張してきた。
化粧室に先に行っておこう。
「貴方!クロード様にどうやって取り入ったの!?」
「え?」
「私がクロード様に嫁ぐのよ!邪魔しないで!」
「は?」
このド派手な化粧と衣裳のご令嬢は誰…?
まだいたのか、お花畑令嬢さん…
とりあえず自己紹介してみるか
「お初にお目にかかります、アンジェリーナ・ハルトンと申します」
「うるさい!帰りなさい!」
えええぇ…ホント、クロード様が女性不信になるのもわかるわ。会話が成り立たない。
「エリー、やめろ!」
お?側近3号じゃないか。
私と令嬢の間に肉壁ができたわ。
ちなみに、第一王子の側近は、
ヘタレボーイなクロード・ハイエンドル公爵子息
見せかけ冷徹眼鏡のカルロス・ユルゲン公爵子息
ガッシリ体型脳筋疑惑なルーカス・アリスター侯爵子息
見た目軽薄中身ワンコのウィリアム・パースマル伯爵子息
以上、四名である。
「ハルトン伯爵、申し訳ない。コイツはエリザベス、俺の妹だ。あのクロードがプロポーズした夜会以降、何故かクロードに嫁入りするって言い出して困ってるんだ」
「お兄様、どいて!伯爵令嬢より、侯爵令嬢の私の方が相応しいわ!」
「お前にイイとこなんてないだろ!?」
論点が違う!脳筋疑惑じゃなくて脳筋だったか。
「ふぅ、アリスター卿代わりますわ。アリスター侯爵令嬢、クロード様は婿入りです。私、ハルトン伯爵に」
「はあ?!」
「ですから、クロード様はハルトン伯爵家に婿入りします」
「婿入り!?」
「ええ、私が伯爵位を賜わりましたので、婿入りです」
「貴方が伯爵ですって!?」
「ええ、先日叙爵しました」
うん、びっくりだよね。わかるわかる。
流石に、デビュタントしたての小娘が伯爵位を貰う異質さはわかったようだ。無言になった。
侯爵家の令嬢でも、伯爵家当主に喧嘩は売れないよね。所詮、令嬢だし。
「本日の夜会でも公爵家から発表されますので、ご確認ください。では、また後でお会いしましょう。失礼します」
その後は、滞りなく夜会を終えました。
やっぱり、公爵家への嫁入り希望だった令嬢達は、婿入りと聞いて大人しくなった。
ターゲットはクロード様の弟に移るだろうが、年齢差で脱落かな。ヨカッタ、ヨカッタ。
…高位貴族の令息の婚活事情って悲しいネ。
モテたのは爵位か。
アリスター家
父「ハルトン伯爵に絡むなんて…エリザベスは謹慎して再教育。ダメなら領地の親戚と結婚な」
兄「こいつと結婚とか可哀想」
母「厳しく教育したのに!友達も制限しなきゃダメだったの!?」
兄「いや、友達選びも社交だから。自業自得」
恋愛小説読み過ぎてヒロイン願望拗らせただけ。それ黒歴史になるやつな!