叙爵式
あっと言う間に、叙爵式。
「アンジェリーナ・ロウウェルに【ハルトン伯爵】の爵位と領地を授けるものとする」
「はっ、有り難き幸せに存じます」
王宮の謁見の間。荘厳な造りの美しい広間は、玉座まで続く赤い絨毯が映える。
初めて入ったそこには、国内の貴族の各当主夫妻が集まっていた。
先に行われた襲爵式は伯爵家の末席で参加したが、今年は複数の貴族の当主が病になったようです。
第二王子派と王弟派になにがあったの!
第一王子殿下はあんな感じで、実はやり手の腹黒なの!?
ハイエンドル公爵閣下と目が合った。
微笑まれたけど、不穏です!
私、叙爵式で引き攣った顔してなかったかな。
不安だ。
全ての式典が終わり、ロウウェル家から離れた私は、ハルトン伯爵家の寄親となるハイエンドル公爵家と合流。
クロード様のエスコートで、挨拶回りを行った。
クロード様との婚約と婿入りを聞いた人は、あの公開プロポーズの夜会から沈黙していた私達の事情を察して、祝福してくださいました。
過激派令嬢達の親や兄弟の顔は優れなかったけど。
ロウウェル伯爵家も反撃した家はあるけど、ほとんどはハイエンドル公爵閣下が何かしたんだろう。
まあ、他派閥だし気にしない!
王都の騎士団や警備隊に家族がいる貴族が多いからか、他派閥でも魔道具開発の功績のウケが良かった。
ドラゴンスレイヤーはスルーされるけど。
何故だ?
一通り挨拶して、休憩の為に庭園へ。
「私も来年には、クロード・ハルトンになるんだね〜」
ホント、この人はブレないな。
なんか残念。
見た目は悪くないのに。
明るいブラウンのゆるい癖毛は、きっと触ったらふわふわだ。
少し垂れ目気味のアンバーの瞳は知性的で、照明が当たるとキラキラ輝いてとても綺麗。
スッとした鼻と薄い唇、少し高めの身長にゴツ過ぎない体格はバランスが良い。
あれ?この人かっこいいな。
「どうかした?」
「クロード様がかっこいい事に、いま気づきました」
私は普通に答えたのに、クロード様は吃驚した顔をして真っ赤になった。
最初はあんなに印象が微妙だったのに、この人を知っていく内に可愛いと感じるの。不思議。
「うーん、やっぱり、クロード様はかっこいいより可愛いですね。甘やかしたくなります」
クロード様は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、アンジーって呼んでも許してくれる?」
「あら、もちろんいいですよ。クロード様は甘え上手ですね」
「アンジーが優しいからだよ」
「優しい、ですか?」
「うん。私達は出会いから問題だらけだったけど、アンジーに私は怒られたことないもの」
確かに、怒ったことはないな。
頭の中で罵詈雑言ってのは、何回かあったけど。
「んー、優しくはないのでは?怒ることがなかっただけです」
「アンジーは機嫌が悪いと目を細めるんだけど、プラチナブロンドの髪色と、クリっとした美しいエメラルド色の瞳が相まって、気高い白猫みたいだ」
「それは、褒められてますの?」
「うん」
いや、褒められてるの?
猫派ってこと?
やっぱりこの人残念だわ。
何回目かのデート
アンジェリーナが、雪山にクロードを拉致。
「スノウキャット可愛い!」
やっぱり猫派か。
「スノウラビット可愛い!」
!!!
「スノウタイガーこわいいぃ」
サイズ?サイズなの?