特産品
本日は、ハルトン領の果樹園の視察である。
ガンガン魔法で開拓したので、今年から収穫が安定してきている。
各地に作ったのは、ピンクラモン、グリーンオラン、レッドベリー、フォレストラズベリー、スイートピーチ、ブルーグレープ、シャインアプルの果樹園だ。
領内に過疎化した農村や貧困な村はまだあるので、果樹園はもう少し増やす予定だ。
ハルトン領の特産品が果物になる日も近い。
誘致した商会関係者と協力して、加工や輸送計画も進めている。
ドライフルーツは冒険者や旅人の人気商品だし、ジャムは平民でも貴族でも嗜好品として需要がある。皮をフルーツティーに加工するのもいい。
ハイエンドル公爵領のダンジョンでガラス石が取れることがわかったので、安く融通して貰える交渉もしてある。
ジャム瓶だけじゃ勿体無いので、ハイエンドル公爵領近くの村のガラス職人に若者を指導させ、工房を拡大した。
その内、フルーツで香水を作って、香水瓶も売り出そう。
養蜂をしている村は、各地の果樹園の開花時期に蜂と共に出張して貰い、蜂蜜を作って貰うことになった。
出張先がどんどん増えているので、今は分蜂で群れを増やしてもらってる。
蜜蜂さん頑張って!
蜜蜂の天敵、魔蜂は、駆逐する勢いで退治してるからね。どんどん増えていいのよ。
領内の森は、騎士団と冒険者がすごい頑張って魔蜂を狩ってる。たぶん、巣はもうない。
森に巣を作る魔蜂は、一般的に体長60センチくらい。女王だけは90センチ。巣は、大木に10メートル程で作られる。おおよそ、50〜100匹の群れだ。
蜜蜂の巣は、魔蜂に見つかるとあっという間に持ってかれる。魔蜂にとっては、果実と変わらないのだろう。肉食の癖に、蜂蜜まで喰らう。グルメな魔物だ。
「閣下、こちらの村の加工工場は来月完成予定です」
同行しているロック商会の長、ジャン。
彼は元冒険者で、途中で商売に目覚めた変わり者だ。
他国の大商会に勤めていたのに、ハルトン領にきて独立した。一から商会を作りたかったらしい。
「今月収穫できた分は?」
「ほとんどはそのまま出荷し、傷物は村の女衆がジャムに致しました」
「瓶は?」
「足りております」
畑は私が手伝えるが、加工機材の調達や建築は流石に手伝えないな。仕方がない。
「何か問題は?」
「先日、流れの冒険者が果実の漬け込み酒について話していきまして、興味を持った者がいます」
街道整備を頑張ってから、各村への人の出入りが増えた。
村長にまで話がきたのなら、前向きに検討しよう。
「なるほど。ジャン、漬け込み酒なら村の食事処で出してみても良いと思わない?」
「各地の村で採れる果実の漬け込み酒を食事処で出すのですね」
「流石!話が早い。それぞれの果物に合うお酒を探す必要があると思うの」
「かしこまりました。ツテを当たってみます」
「お願いしますね。村長、お酒が揃ったら試飲会をしましょう。上手く行けば、他の村でも試してみます。良い情報をありがとう」
「勿体無いお言葉です。領主様のおかげで村に人が戻りました。出稼ぎに行かなくても暮らしていけます」
「それは良かった。でも、人の出入りが増えたことで危険もありますからね。先日も、領内に麻薬の売人が入り込んで捕まりました。何かあれば、巡回の警備隊にすぐ言ってください」
ハルトン領は、大きな街道沿いにある領都と3つの街、14の村がある。
いくつかの村は、特産品の加工工場が増えれば、町までは数年で発展しそうだ。
最近、移住希望者や、冒険者の定住希望者が増えている。
移住希望者は、近くの男爵領や子爵領からだ。あまり評判が良くないんだよね。領地経営下手みたい。
各村にもう少し人を増やしたいから、お金で解決できるなら有り難いとこだけど、間者の可能性もあるから微妙。一応、村人の親戚くらいは迎えてる。
隣にダンジョンのあるハイエンドル公爵領があるからか、冒険者の定住希望者も多い。
こちらは、騎士団や警備隊への就職なら魔法契約書を結ぶので、安心して歓迎している。
人が増えて、街道の定期巡回や森の魔物の間引き、村への警備隊の派遣も出来るようになった。
おかげで治安の改善が素晴らしい。
魔物被害も犯罪件数も減少した。
まあ、前伯爵が犯罪者だからね。比べられても嬉しくはない。
「アンジー、お迎えありがとう。視察は無事に終わった?」
「はい、6つの村へ行ってきました。帰ったら少し相談にのってくださいね」
「うん!それはお土産?」
「ええ。各村で作ったジャムです。明日の休憩にでも皆様で食べてみてください」




