婚約終結
「よし、書類揃ったね。婚約おめでとう!婚約発表は、ロウウェル伯爵令嬢の叙爵式後かな?」
「はい、婿入りと同時発表できるので叙爵式後にします」
第一王子殿下が、何故かこの場を仕切ってる。
不思議だ。
今日は、王宮の応接室でハイエンドル公爵家とロウウェル伯爵家の話し合い。
公爵閣下は大臣だし、子息は殿下の側近だから、話し合いの場所が王宮でも問題はない。
でも、集まってみたら普通に第一王子殿下がいた。
部屋に入ってきた瞬間、二度見したよね。
お父様も慌ててたから、知らなかったのかな?
まあ、場所が王宮だから来るかなとは思ってたけど。
「そういえば、結婚式はいつにするんだい?」
なんで皆で私を見るかな?
あ、決定権は当主になる私か。
「これから王都にタウンハウスを準備するので、最短1年後ですね」
うん、それぐらいかかるな。
屋敷に私が作った最新の魔道具つけたいし、警備用の結界とか開発したい。
寮生活も楽しみだったけど、持ち家も楽しみだ!
「あ、叙爵するの、最初は子爵位って話だったと思うんだけど、公爵の領地の隣の伯爵位が空くからそこあげるね!ちょうど第二王子派で失脚するのがいるから」
え。それ聞いていいやつですか!?
殿下、めっちゃニコニコしてらっしゃいますね!?
「領地の代官や文官、屋敷の使用人は公爵家から融通できるよ。現在の文官や使用人は、派閥の関係もあるし、家の者が確認してから再雇用の形にしたらどうかな?」
あ、公爵閣下も笑ってらっしゃる。
コレ、タイミング合わせて潰したな。
まあ、失脚する程のことしてるのが悪い。
「ハイエンドル公爵閣下、ご配慮ありがとうございます。領地の方はまだ経験がないので、経験者を回して頂けるのは正直助かります」
「いやいや、義娘になるのだから頼っておくれ。クロードは少し優しすぎるから、君みたいなしっかりしたお嬢さんが伴侶になってくれて嬉しいよ。あ、問題の令嬢たちの対応は私がするからね。すぐ大人しくさせよう」
おおお!これぞ筆頭公爵って感じ!
この腹黒感!仕事できそう!
既にお義父様って呼びたくなるわ!
…うん、やっぱりクロード様には公爵家は無理だ。
きっと、弟君は腹黒なんだろうな。
「1年、1年後には結婚…嬉しい。あっそれまで休みの日はデートしてくれるのか?彼女のライフプランとかなり違ってしまったけどいいのだろうか。いや、10年は待ちたくない…」
クロード様は自分の世界に入ってるね。
ブツブツ呟いてるけど、聞こえてるよ。
皆に残念な目で見られてるよ。
「はぁ、クロード様!ちゃんとこれからデートしますよ!タウンハウスも結婚式も二人で色々決めましょうね!」
「えっ!はい!ありがとう!」
クロード様は驚いたあと、嬉しそうに笑った。
「ふふっ、クロード良かったな」
「息子がバ可愛い」
「胃が痛い…」
あ、お父様ごめん。
影が薄くて忘れてた。
初デート
アンジー「お待たせしました」
クロード「い、いや、待ってない」
アンジー「では、どこに行きましょうか」
クロード「え?」
ハッ!会うことが目的になってて考えてなかった…!
アンジー「行きたかったカフェがあるので、とりあえずそこに入りましょう」
この人に任せるのは辞めとこう。
デートの主導権が決まった瞬間である。