表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは想定外です  作者: らんらんらん
19/81

お夜食です

 


 襲撃があったから、今日の帰りは遅いだろうと夜食の差入れにきた。ドラゴン肉じゃないよ!


 今回は、グレートピーコックの肉で作ったチキンバーガーとフライドポテトだ。

 グレートピーコックは羽根が装飾品として人気の魔物。でも、肉が美味いんだ。体長3メートルもあるから食べれるところもたっぷり。

 春は求愛行動の為に纏まって見つかるから狙い目!



「お疲れ様です。夜食の差入れです」

「アンジー!ありがとう!」

「うわっバーガーだ!」

「うまそ〜おかわりある?」

「ふむ、頂こう」

「殿下にバーガー差入れするのは、ハルトン伯爵だけだと思う」


 ユルゲン卿、うるさい。

 スッとバーガーを引っ込めたら、慌てて謝罪してきた。

 ほら、食べたいんじゃないか。素直になりなさい。

 文句言うとアリスター卿に取られるよ?


「美味いな」

「タレがたまらん」

「お肉ぷりぷり〜」

「…美味しいです」

「アンジー、これなんのお肉〜?」


「グレートピーコックです」


 ピシッと動きが止まった。どうした、どうした?


「…美味いわけだな」

「サラッと高級肉使ってきますね」

「グレートピーコックって羽根が人気だけど、お肉は手に入らないって聞いたことある…」

「そうだぞ!討伐も解体も面倒くさいんだ。上手くやらないと肉に毒がまわって食えなくなる。だから、羽根だけとる奴が多い」

「へえ〜流石アンジー!」


 毒ブレスを吐く前に首を落として、毒袋に結界張って抜き取るだけなのにな。

 24時間以内に毒ブレス吐いた個体は、肉に毒が回ってる。毒持ちは眼の色が変わるから分かりやすいけど、毒が抜けるの待たなきゃいけない。そこが面倒くさい。

 私は、春に纏まってるところを討伐する。そして、眼の色が違う個体だけ逃がす。全滅させないから、翌年も同じ場所で討伐出来て最高!



「「ごちそうさま」」


 はい、お粗末さまです。食後の紅茶をいれましょう。


「ふぅ、アンジェリーナ嬢にも今わかってることを教えよう」


「はい。わかってると思いますが、奴等は盗賊ではありません」


「ええ、護衛があれだけついてる馬車をわざわざ狙う盗賊はいませんね」


「裏組織の下っ端でした。本人達は気づいてませんが、失敗するのを見越して、要らない連中を纏めて送ってきたようです。狙いが第一王子殿下という事も知りませんでしたし、有益な情報を持ってる者もいません。お手上げです」


「依頼主は上客だけど、狙いは第一王子。断れないから、時間稼ぎと逃げるのに邪魔になる奴らを始末って感じだな」


「連中の吐いた組織の場所は、既にもぬけの殻だったよ。魔力痕もなし。捨て駒用の場所だったんだろうね〜」


 このまま雲隠れしちゃいそうですね。

 依頼主は裏組織からも切られたっぽい。


「逃げるなら、依頼主売ってくれれば良かったのに」


「流石にそれは組織の矜持に反したのだろう」


「とりあえず、裏に噂を流して様子見ですね」



 きっと、裏組織に潜入してる人いるんだろうな。

 今回は別の組織だったっぽいけど。


 やっぱりやり手の腹黒か。清濁併せ呑む人物なのか。

 第二王子のことはよく知らないけど、第一王子殿下は王になっても仕えたい人物だな。





「アンジー、寮まで送るよ」

「ありがとうございます」


 第一王子の執務室のある王宮から、独身寮まではそこそこ遠い。お城の敷地はかなり広いので。

 でも、建物の外は転移可能なので、クロード様が送ると言ったのは、二人きりになりたい、ただの口実だ。


「ねえ、アンジー。私、今日頑張ったよね?」

「ええ、とても頑張りました」

「ご褒美が欲しいな」

「あら、何がいいですか?」

「抱きしめて、キスがしたい」


 あらあら。最近、抱き着いてくることが増えたと思ってたけど、ヘタレなりに頑張ってたのかしら。


「いいですよ」


 クロード様はいつもと違って、そっと抱きしめて啄むようなキスをした。不覚にも、キュンとした。


「アンジーは私に甘過ぎる」


 私の肩に額をのせて、グリグリしながら照れてるクロード様は、やっぱり可愛い。


「あと数ヶ月で結婚するんですから、一線越えなきゃいいんですよ」


 あら。首まで真っ赤だわ。可愛い。

 ぎゅーぎゅー抱き締めるのはいいのだけど、体熱すぎない?大丈夫?


「アンジーが小悪魔だった…」






第一王子「次は魚が食べたいな」

ルーカス「いいね!」

ウィリアム「こないだ漁港行ったって聞いたな」

カルロス「全く貴方たちは…」


((食べたいくせに素直じゃないなー))



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ