疲れてる時
私、アンジェリーナ・ハルトン伯爵。
最近、めちゃくちゃ忙しいの。
魔術師団を退勤したら、転移で領地のカントリーハウスへ。書類仕事してから独身寮へ帰宅。
魔術師団を午前休みにして、代官を伴って領地の有力者と顔繋ぎ。転移で出勤。
魔術師団の退勤後に魔道具作成、タウンハウスに設置。
魔術師団の退勤後にハイエンドル公爵家に行き、公爵閣下と公爵夫人と結婚式の相談。
休日にカントリーハウスの内装変更の指示。前伯爵とは趣味が合わなかった。外観も魔法使って白に変更。庭も気に入らないから魔法使って庭師と変更。城壁と門もお洒落に変えちゃった!
休日にクロード様とタウンハウスの内装や家具の相談。デートして、結婚式の相談。
夜会は全部は無理だから、公爵夫妻と合わせてる。
後ろを雛鳥が如くピヨピヨついてって、社交のお勉強です。さりげなく、相手の情報も貰えて頭が上がりません。
分身の魔術を開発したい。切実に。
ハイエンドル公爵閣下が手配してくれた執事長と侍女長と代官と文官がいなかったら泣いてた。
やっと、タウンハウスの人員の手配が終わった。
カントリーハウスとタウンハウスに魔石使用の転移陣を設置。書類仕事しに行くの面倒くさかったんだもん。今後は持ってきてもらう。
カントリーハウスとタウンハウスの補佐も決めた。仲良くやって欲しい。
自分の親戚が選べないのがツラいよね。派閥違うから。公爵家の分家筋から選んだけど、年上ばかりですわ。
カントリーハウスの護衛騎士団はちょっと人員不足気味。冒険者の知り合いに声かけして、騎士学校と魔術学院で募集中。増えるといいな〜
「ちょっと聞いてるの!?」
ああ、なんか見た事ある女性に絡まれてたんだった。
確か、魔術学院のクラスメイト。
ほとんど話したこともないはずなんだけど。
ペラペラずっと話してるから思考が飛んでたわ。
早く帰りたい。
「それにしても、貴方上手くやったわねぇ」
「上手くやった?」
「そうでしょ?公爵家の子息が婚約者なんて上手くやったじゃない」
こいつ、頭大丈夫か?
格下の伯爵家が公爵家の相手するって大変なんだぞ?
私が独立したから、大して相手しなくて済んだお父様でさえ、禿が進行してたからな?
「ええっと、上手くやったって言うのは貴方の事じゃないかしら?子爵家の三女で、魔術学院での成績は最下層、資格の取得もせず、就職先は皆無、お先真っ暗なところを親の紹介で騎士爵の婚約者を得て、平民落ちを回避。ほら!上手くやったのは貴方よね?」
なんか顔を真っ赤にしてるけど、私は事実を言っただけ。
「急いでるからこれで失礼するわね。私、忙しいのよ。あっ、今後は声をかけないでね?私、もう伯爵家当主なの。身分差やマナーは理解してる?失敗して婚約がなくなると困るのは貴方でしょ?お勉強頑張ってね」
返事は聞かずに、そそくさとその場を後にした。
抗議入れるのも面倒くさい小物だったな。
人を妬むなら、努力してからにして欲しいわ。
…疲れたわ。
今日は、クロード様の髪の毛撫でくり回そう。
あのふわふわを堪能しよう。そうしよう。
ナデナデワシャワシャ
「アンジーどうしたの?嬉しいけど!」
「いま癒されてるから動かないで」
じーっ
ウィリアム「クロードどうしたの?」
クロード 「ウィリアムの髪もふわふわしてる」
ウィリアム「???」