表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは想定外です  作者: らんらんらん
12/81

事件のあらまし

 


「デートドラッグですか?」


 私は今、騎士団に呼び出されている。

 副師団長から極秘にと指示され、一人できた。

 おっさん騎士二人と密談だ。


「そう。まあ、そのデートドラッグは“結婚できる媚薬”として出回ってるんだけどね。メインターゲットが結婚狙いの令嬢とか考えたよね〜。男に飲ませて、記憶がない内に既成事実を作るってわけ」


「相手の男も夜会とか合コンでお酒飲んでるから、泥酔したのか、薬を盛られたのかハッキリせず、発覚が遅れたの」


 うわぁ、自衛って大切ですね。

 飲み物には気をつけよう。


「そのデートドラッグの販売元を探す協力ですか?」


「いや、デートドラッグの成分解析と、解毒薬を作って欲しいんだ」


「調べたらこの薬、ここ3年くらい出回ってたみたいなんだけど、不妊になる副作用が見つかったのさ。

 今回発覚したのは、騎士団に複数の被害者がいて、そいつら全員の男性不妊が発覚したからなんだよ。

 被害者達が、共通の友人の騎士に不妊の相談をして、結婚した経緯も“体の関係持ったから責任をとった”って似たような流れだったことから、もしかしてあいつら薬盛られた?って友人の騎士が訝しんで上司に報告をあげた。

 そこから少し捜査してみたら、“結婚できる媚薬”の噂があって、被害者を探したらでるわでるわ。嫁たちを問いつめたら薬盛ったこと吐いて、事件として極秘捜査中ってわけ」


「たぶん、貴族にも被害者いると思うんだ。貴族に子供の問題は付き物じゃん?男性不妊で離縁じゃ慰謝料払う側だし。跡取り交代してるとこもあるかも。この事件を発表したら、かなりの修羅場になると思うよ〜」



 えっそれはヤバ過ぎでは?

 薬盛られて、結婚迫られて、子供作れない身体にされて、慰謝料払うって…男性側が不憫過ぎる。

 跡取りが被害者だったら、嫁の実家は無事じゃすまないでしょ。

 下手したら殺人が起きるんじゃ…?



「あ、想像できた?コレ、かなりヤバい話でしょ?だから極秘なの。

 発表する前に解毒薬欲しいんだよね。女性の被害者がいるか、今のところわからないけど、そっちも不妊になる可能性高いし」


「早めに解決したいから、協力してくれないかな」


「解毒薬が欲しいってことは、治癒魔法や解毒魔法は被害者に効かなかったってことですよね?」


「うん。王宮医師に確認済み。

 王宮薬師にも、既存の薬じゃ効果ないの確認済み」



 私は頭を抱えた。

 王族のお抱え医師と薬師が確認済みって…



「うぅん、それはキツいですね」


「やっぱり?」


「極秘だと予算が組めないです。未知の毒ですし。

 事件のことを発表して、被害者に既存薬も魔法も効かないこと伝えて、解毒薬作りを国で取り組んだ方がいいですよ。販売元は捕まってるんですか?」


「売人は捕まえた。ただ、他国の裏組織が絡んでるみたい」


「それ、他国からの攻撃の可能性は?内乱後の侵略目的とか。長期的にみれば、国力を削ぐのに効果ありますし。

 あっ、他国の貴族にも同じ裏組織の被害者がいるなら、既に解毒薬あるかもしれませんよ」


「そうだよねー。でも、組織の下っ端の売人だけじゃ外交官も交渉が難しいみたいでねー」



 一旦、この話は持ち帰りさせてもらった。

 流石に私だけじゃ判断が難しい。



 押収した薬を一つ貰って、分析しながら私は溜め息を吐いた。なかなか危険な薬だったからだ。


 媚薬に使われてる部分は、カシムカズラという魔物の分泌液の成分だった。催淫効果のある分泌液をだして獲物を引き寄せるこの植物系魔物は、被害者が生き残っても正気を失ってしまうことで知られている。

 薬を2回以上使っていたら、被害者は依存症になっていたか、後遺症が出ていただろう。


 記憶を奪うのは、吸血星蠍の毒から抽出した成分だと思われる。抽出が甘ければ、身体の麻痺が出て発覚が早まっただろうか。


 不妊の原因と思われる成分は、この国では過去にない成分だ。他国の資料を集めないと。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ