4.舞踏会①
「…。」
「いつまで怒っているんだ。」
「…理由を知ってるくせに、わざわざ聞くのですか?」
馬車の中での父と娘の会話。
そう、それは数時間前のこと。私は念には念をとニーナに頼んだはずだったのに…
当日になり陛下から贈り物としてドレス一式が届いたのである。
しかも本来のティアラに合わせた色合いのドレス。
この舞踏会は「ラティ」の見た目で出席しようと思ったのに…。
誰かの思惑通りにいかないための準備が…台無しだ。
そして、渋々ながらも頂いたドレスを見に纏い
「ティアラ」のまま馬車に乗り込んだが
未だ怒りが収まらず絶賛父様に八つ当たり中だ。
ただし、私も何かあったら時のために、変装用メガネと解毒薬は太ももベルトのポシェットに忍ばせた(笑)
「今日はレオがエスコートするが、くれぐれもあいつの側を離れるな。興味本位の奴らは気にせず、陛下に挨拶すればあとは下がっていいからな。」
「もちろん、そのつもりです。陛下の思惑がなんであれ私はすぐに逃げますので。後は知りません。」
そんな殺伐とした会話をしている間に会場に到着し
待っていたレオ兄にエスコートされ初めての舞踏会へと踏み出した。