21.気づき
部屋に戻ってきた私たちは
とりあえず
テーブルを挟み
向かい合うように座った
気まずい空気
さっきまで王子に媚薬を試させていたと思うと
私はなんて事をしていたんだろうって
思い出しながら
項垂れていると
急に声がかかる
「ラティさん。」
「…はい。」なんとか顔を上げる
目の前には綺麗な顔がある
ええ、そうですよね
やっと気づきましたよ
殿下は美男子でした
「これからはティアラと呼んでも良いか⁇」
ルーク殿下は遠慮なく話をしてくる
…御令嬢方がざわつくはずですよね
顔は兄様達で慣れてはいても
不意にくるストレートな言葉は
恋愛経験ない私でも
ドキドキしてしまう
ただ幸いな事に
それ以上の感情は
私にはない
私は1人で頷きながら
「はい。では…私は殿下と呼ばせていただきます。」
笑顔で対応するも
「呼び方は良いが、言葉遣いは今まで通りで頼む」
「はぁ。」
「問題か⁇」
「えっと、普通に話なんてできないですよ。知らなかったとはいえ…その…媚薬を。」
「いや、媚薬は私が頼んだ事だ。ロザリス卿も経緯を知ってるから、結果としてティアラを心配して怒ったんだろ。もっとも君を巻き込んだのは私だがな。王宮に帰った後が怖いよ、ははは。」
笑いながら、気にしている私を気遣って下さる殿下
「それに…本物同士で最初に出会った時の方が…君は、ティアラはすごかっただろう。」
「⁇」
「え⁈」
「何の話ですか?」
首を傾げるティアラを見て
「いや…そうだな。何でもない。」
殿下が楽しそうに微笑んでいる
ティアラが気になりその後も何度か尋ねるが
その日ルーク殿下は教えてくれず
ティアラは結局後になってから
ある意味この事件の本当の真相を聞く事になるのでした
次話で一応1章完結予定です。