20.発見
全部の媚薬を試した後、一応ルーさんには仮眠を1時間ほど取ってもらった
「…見つからなかったですね。力になれずすみません。」
私は正直に告げるが
「そう簡単にはいきませんよね…。もちろん想定内です。1つ目、2つ目、5つ目が自分的には気になります。次は量を増やしてみるとかどうですか?」
ルーさんはむしろ絞れたから、もっと増量し試そうと言ってくる
「いや、それは駄目です。正直5つ目は特に危険です。…むしろ全部危険と言ってもある意味間違いではないのです。媚薬といえど侮らないでください‼︎」
私は脅しの如く言う
だって普通はそうでしょう
危険と分かっていて盛る薬師はいないでしょう
(現状今やっている私以外)
「…確かにそうだな。」
私の言葉に納得してか、落ち込むルーさん
私はここぞとばかりに
「むしろ気になったのは…どうして媚薬を盛られたんですか⁇ルーさんを見てると騎士だからこそほとんど無駄がない動きですし、そう簡単に怪しい物は摂取しないですよね。それに無理矢理飲まされたはないですよね。じゃあ、騎士隊内で出た飲み物ですか?でもそれなら簡単に犯人見つかりそうですよね。」
と聞いてみた
ルーさんは一瞬驚いた顔をしたが、いつもの表情になり、その時の出来事を話す。
「…と言う訳だから、ある意味盛られてはいない。嗅いだと言うだけだ。」
ため息をつくルーさん
(ん⁈口調が少し変わった)
でもそれより気になる話を聞いた
とても重要なこと
「…今の話本当ですか?」
「嘘をつく必要はないだろう。」
私は頭の知識をフル回転し
「だったら…多分分かりました。ルーさんの媚薬。」
「え⁈」
「考えが合っていれば、5つ目です。」
「⁈」
「5つ目の 「イレイトーラ」だけは気体化しても効能が落ちず、むしろ薬効が高まるんです。そして匂いが甘い強い香りになるんです!」
昔文献をちらっと読み、気になってこっそりやってニーナとルカさんに見つかり怒られた事を思い出す
「本当か…と言うことは、西部の…
「ただし、気体化する媚薬は基本的にこの国にはないですね。あるのはたしか…
「うちの国の西側に隣接するナルテリア国のはずよ!」
急に会話に加わった声の方を振り向くと、ルカさんが得意げな顔でこちらを見ていた。
そしてその横には御立腹と思われるレイ兄様もいた。
「ロザリス卿…
「レイ兄様…
「探しましたよ…殿下‼︎それにティアラ⁈」
御立腹の兄様は私と…ルーさんの事⁈を咄嗟に呼んでいた
「殿下?」
「ティアラ⁇」
お互いに顔を合わせ 困惑する私たち
そんな様子を笑いながら見守るルカさん
またその様子で自分の失態に気付いたレイ兄様
〜10分後〜
店の最奥にて
そこはラティも入ったことのない場所
椅子に座り向き合う4人
私の目の前に座るのはルーさんだった…人?
たださっきのルーさんとは髪型、瞳の色が違う方が今は目の前にいる
この方が第2王子
沈黙が流れるも…レイ兄様が意を決して話し出す
「えっと、こちらはルーク・アマリール殿下。私が仕えている方だ。」
「ティアラ嬢でいいのか…。騙していて悪かった、安易に王族である事は語れないため伏せさせてもらっていた。」
ルーさんは堂々と言うが「すまなかった。」と謝罪してくれた。
「そしてこっちが…
「兄様、自分から名乗らせて下さい。
私は、ティアラ・リラ・ロザリス。
ロザリス家の長女でレイ兄様の妹です。
…媚薬実験などしてしまい申し訳ございませんでした。」
深々と謝罪する私に、
「君がロザリス卿の…。
そうか、まぁお互い様だったんだ、気にするな。」
ルーク殿下は特に気にするな様子もなく
「むしろ媚薬が分かったから、この情報をもとにもう一度調べ直しだ。ルカ早急に頼めるか?」
淡々とルカさんに頼んでいる
「分かりましたけど…一応ワタシも色々あるのでここで堂々と依頼しないで下さいよ。」
ルカさんは困りながら告げる
「すまない。」
状況を察して謝罪する殿下
状況を把握してない私に
「ラティちゃんには言ってなかったけど、ワタシは情報家をしているの。殿下はそれでお得意様なのよ。」
ルカさんは殿下との関係を伝えてくる
「この前の解毒薬の件も今回の事件に絡んでいるはずだから、ラティちゃんにはお世話になりっぱなしね。」
笑いながら言うルカさんに対し
「どういうことか説明してくれるかなティアラ⁇」
笑顔で兄様は追及してくる
私は逃げられないと覚悟し媚薬作りの件を話す
「ティアラ、お前の薬師としての腕は一流だと私も思っている。ただ…薬師関連が絡むと一般常識が欠落するのは悪い癖だ。一歩間違えれば責任問題になってもおかしくなかったはずだ。」
頭を抱え込む兄様
「ごめんなさい。」
「もう危ないことはしないでくれ。」
悲しい顔の兄様
「…はい。危ないことはしません。」
少し落ち込んだ顔をする
そんな私を見てポンポン頭を軽く叩く兄様
その後ルカさんと兄様は少し話があるということで
とりあえず、私はルーク殿下と呼ばれる方と席を外し
媚薬作りをしていた部屋に戻った