10.終わり… からの始まり
バルコニーから会場に戻るとタイミング良く
レオ兄様が現れる
「手紙は読めたのか?」
ニコニコ笑顔の兄様
「最初からレオ兄様はお分かりだったのですか?」
「父上の態度を見てればね。
本当に嫌なことはたとえ陛下といえど、
父上は反対するはずなのに今回は特にしない。
…だったらあとは母上絡み。
母上もティアの気持ちは分かっていても、
せめてこういう場に連れ出したかったのかなって
…まぁ俺にはわからないけど、きっと親心ってやつだね。」
頷きながら告げる
「だったら、最初から直接言ってくれれば良かったのに…」
「それは無理だろう。
ティアの性格を分かっていれば言っても無駄だって
分かってるよ。実際ここまでの強制力がなければ、
ティアは来なかっただろう。」
「ゔっ、…た、確かに。」
「それにティアは今の立場を望んでるんだろう。」
「…うん。」
「2人ともそれは分かっているはずだよ。
ただ、ティアが侯爵令嬢である事も事実で、
これからの事も含めて今日の舞踏会に
参加されたんだろうね。」
「これからの事?」
「いずれ分かるよ。さぁそろそろ帰ろうか?」
話をしている間に
気づけば舞踏会も終盤に差し掛かっていた
私と兄様は先に帰る旨を父様に伝えて
迎えの馬車に乗り込んだ
「あっ、そう言えばあの令嬢方は大丈夫だったの?」
ふと思い出した事を聞いてみる
「もちろん、問題ないよ。1人1人お相手したから。」
満面の笑みで言う兄様
「…お目に召した方はいましたか?」
興味津々に聞いてみるも
「いや、いないね。興味ないから。」
「兄様は恋愛に興味ないのですか?
モテますよね!」
「そうだね。
でも、もう興味ないかな。」
「そうなんですか…。」
「うん。」
珍しく視線を逸らす兄様
兄様の切なげな表情を見て、
これ以上詮索してはいけないと思った
(恋愛ね…
私には分からない…
これまで結婚も考えてこなかったから…
…でも、
私にとっての最重要事項は決まってるから)
考え事をしているうちに屋敷に着き
初めての舞踏会はとりあえず無事に幕を閉じた
そう
すっかりティアラの中で
あの出来事は
忘れ去られていたのです(笑)