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4 おっさん、四天王を尋問する

 王様との謁見の後、おっさん達は拉致って来た四天王ブラキオスを尋問するため牢獄に向かう。


「魔族の言葉が判る人は用意できたのかい?」


 おっさんがイリシャに尋ねると、イリシャは微妙な表情でおっさんに答えた。


「ええ、一応魔族語が判る人は居たのですが、その人は勇者様の言葉、日本語までは判らないのです。ですから私が途中に入って勇者様に伝えないといけないのです」


「二重に通訳をしないといけないのか。ちょっと面倒なことになるね」


「申し訳ございません。今、日本語と魔族語の両方が判る人間を育成中なのですが、流石に一朝一夕で出来ることではないので、しばらく不自由をおかけすることになるかと思います」


「まあ、仕方ないね」


 そう言ったおっさんは、足を止めてそこでちょっと首を傾げる。


「なあ、今気がついたんだが王様は普通に日本語喋っていたね」


「王はあれでなかなか勉強熱心でして、前勇者を呼び寄せて日本語の練習をしていた様です」


「成程、結構気を使わせていたんだな」


 おっさんがそう言った時、廊下の反対側から小柄な男がこちらに近づいてきた。


「ああ、通訳が来た様です」


 イリシャがその男をこちらに手招きして呼び寄せる。


 男は軽く会釈するとおっさんに向かって話し出す。


「&※※※〆〆〆々€£〒……」


「彼の名はサルディ、よろしくお願いしますとのことです」


 イリシャが彼の言葉を通訳してくれた。


「こちらこそよろしくな。って言っても俺の言葉はわからないのか。ううむ、意外と面倒くさいな」


 おっさんは苦笑しながら頭をボリボリと掻いた。


 その時通路の奥から爆発音が響いた。


「騒がしいな、何があった?」


「わかりません、今確認してきます。しばしお待ちを」


 イリシャが駆けつけてきた衛兵に何があったか聞いている。


「大変です。捕まえたブラキオスが牢を破って逃げ出したそうです」


「なんだと!」


 おっさんとイリシャは慌てて牢屋の方に駆け出す。

 通路の奥でブラキオスと衛兵が戦っている様でそちらの方から何度も爆発音がしている。


「エルンファストがあれば簡単に取り押さえられるんだが、置いてくるんじゃなかったなあ」


「通路が狭すぎてエルンファストは入れないですよ」


「それもそうか」



 おっさんは姿勢を低くして猛然とダッシュする。


「見つけた」


 ブラキオスを見つけたおっさんは、その勢いのまま壁を蹴りブラキオスの背後に回り込む。そして鋭い蹴りを出すが、ブラキオスの周りには風で作られた障壁の様なものがあり、おっさんの蹴りは弾かれた。

 それを見たブラキオスはニヤリと笑うとおっさんに向けて風の弾丸を発射する。その弾丸をギリギリでかわしたおっさんは壁を蹴り高く飛び上がる。空中で回転し天井を蹴とばしブラキオスの頭頂に猛スピードで落下しながらパンチを繰り出す。勢いに乗ったそのパンチは、風の障壁をぶち破りブラキオスの顔面に見事に決まった。ブラキオスは地面に叩きつけられノックダウンした。


「お見事です勇者様」


 イリシャが嬉しそうに駆け寄ってくる。


「やれやれ、あまり戦いは好きじゃないんだがなあ」


 顔をしかめながらおっさんは言う。


「とにかくブラキオスが気づいたら、尋問を始めるぞ」


「それが、ちょっと不味いことになりました。通訳のサルディが流れ弾に当たって意識不明の重体になり通訳出来るものがいなくなってしまいました」


「なんだって〜。俺がかわした風の弾丸が当たってしまったのか。ううむ」


「今、私の部下が代わりの通訳を探しているところです。もう少しお待ち下さい」


 しかし城内には魔族語が判るものがおらず、イリシャの部下達は城下町まで探しに行く羽目になっていた。


「何、通訳が見つかった。わかった、直ぐにここに連れてきてくれ」


 部下からの報告でなんとか通訳が見つかった事をイリシャはおっさんに伝えた。そして通訳がやってきたのだが……


「おい、なんで通訳が二人いるんだ?」


 やってきた通訳はどういうわけか二人も来ていた。


「それがですね、偶々イスクランドから来ていた者が魔族語が判るということで来てもらったのですが、彼はベルマルト語がわからないためベルマルト語の通訳も必要になりまして……」


 イリシャが冷や汗をダラダラたらしながら説明する。おっさんはジト目でイリシャを見ながらこう言った。


「つまり、魔族語→イスクランド語→ベルマルト語→日本語って事になるのかな」


「そ、そういう事になりますね。ははは(^_^;)。ま、まあ〜とにかくやってみましょう」


 今度は逃げられるわけにはいかないと、鎖でがんじがらめにされたブラキオスが連れてこられる。

 おっさんはブラキオスに向かって言った。


「ブラキオス、今魔王は何処にいるんだ?」


「€££$^※〆々々※〆」(ベルマルト語)


「@#5〆々々€$〒&」(イスクランド語)


「##¥87&¥£」(魔族語)


 それを聞いたブラキオスは何故か大笑いしだし、こう言った。


「£&※78=€€€$」(魔族語)


「^^^^]56※〆」(イスクランド語)


「zx€57%@€€」(ベルマルト語)


「明日の天気は晴れだそうです」


「ふざけるな〜!!伝言ゲームじゃないんだぞ」


 流石のおっさんも、この結果には切れていた様だった。



 




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