強運のノアール
完成しました!
お楽しみください!
ソウルは、ブルードラゴンの胴体を狙ってΣウェポンを連射すると、弾丸が鱗を突き破りダメージを与えた。
「柔いな!」
攻撃が通った事にソウルは驚くと、ブルードラゴンが苦痛の悲鳴を上げ、逃げる様にして翼を羽ばたかせ空へと飛翔した。そして、そのまま空高く飛翔して行き、ある程度の高度まで行くと反転して地上に落下し始め、ブルードラゴンはかなりの速さになり、最終的には音速の壁を越えた。
「皆さん!ブルードラゴンがこちらに向かって突っ込んできます!衝撃波にご注意ください!」
マギアが注意を促したその数秒後、猶も速さが上昇しているブルードラゴンがソウル達がいる場所を通り過ぎると、かなりの衝撃波がソウル達を襲い吹き飛ばした。
「うぁぁあ!」
「きゃぁぁぁ!」
「うぉぉぉぉ!」
ソウル達が衝撃波に吹き飛ばされた後、木にぶつかったり岩壁に体が衝突し浅いクレーターを作ると、ソウル達のHPが7割失っていた。ノアールに至っては9割失われており、瀕死の状態だった。
「皆!洞窟へ!マギア!ノアールの回復を頼む!」
「解りました!マスターは?!」
「アイツを怒らせた後、洞窟へ逃げる!怒って洞窟の中まで追ってきた時、そこで仕留めるぞ!」
「了解です!フィッシャーさん!ノアールさんを担いで洞窟へ!」
「解った!」
マギア達が洞窟の中へと入り、ソウルは回復薬を飲んだ後、G・アークを装着した。
「(戦闘特化ではないG・アークでやれるか?……いや!やるんだ!)」
弱気になった心を入れ替え、ファントムを両手に装備した後、ブルードラゴンに向けて連射し続けた。
「(当たらなくていい!怒らせればいいんだ!)
ソウルは攻撃を続けながらも、ブルードラゴンの衝撃波で何度も吹き飛ばされるが、背中にある両腕を使いダメージを最小になるよう受け身を取りブルードラゴンの攻撃を凌いだ。
「ソウル!…これを撃って!」
マスクをしたククルが洞窟を出て、空に向かって何かを投げると、ソウルは言われた通り投げられたものに狙いを付け引き金を引いた。
「グルギャァァ!」
「くっさ!なに!?何を投げたの!?」
ククルの投げた物に、弾丸が当たり辺り一帯に悪臭が漂った。そしてこの悪臭を嗅いだブルードラゴンが苦しみ出し徐々に高度を下げていくと、最後には木々をなぎ倒しながら地上へと墜落した。
「魔物用催涙玉…いろんな腐食物を混ぜ合わせて密封した物…ずっと前のクエストで使って鞄の肥やしになっていた物を…使った…効果抜群…」
「(フィルターを通しててもこんだけ臭いなら効果ありそうだな…)」
ククルは、ピーズサインをしながらソウルに説明すると、墜落したブルードラゴンが体を起こし血走った目でソウルを睨んだ。
「おっと!こっちを睨んでる!怒らせる事に成功したかな?」
「そう…見たい…だね」
ブルードラゴンが怒りの咆哮を上げると、ソウル達は急いで洞窟の中へと入って行った。
「ソウルさん!大丈夫ですか!?」
洞窟の中に入り奥へと進んでいくと、瀕死の状態から回復したノアールがソウルの元に寄って来た。
「ノアールこそ大丈夫か?他に痛い所はないか?」
「はい!大丈夫です!」
ノアールがそういう物の膝が笑っており、沸き上がって来る恐怖に耐えている様だった。
「ノアール、よく見てろ!これから俺達が君の恐怖を消してやるからな」
「は…はい!」
ソウルがノアールの頭を撫でた後、サムズアップをして言うと、ククル達が地面にすぐ設置できる罠を張り巡らせブルードラゴンを待ち構えた。
「…来ないな…あ、来た」
洞窟に入ったソウル達を警戒してか、なかなか入ってこなかったブルードラゴンは、数分入り口の前で咆哮を上げ威嚇していたが、痺れを切らし洞窟の中に入って来た。
「(私の罠に引っ掛かったら総攻撃お願い)」
「(了解)」
岩陰に潜んでいるソウル達は、チャット機能を使い会話すると、ブルードラゴンが罠に掛かるのを緊張しながら待つと、ククルが設置した魔法陣の罠をブルードラゴンが踏み、黒い影が魔法陣から現れブルードラコンを拘束した。
「拘束時間は6秒!」
「【サイレントアサシネイト】」
「【スパイラルアロー】」
「【銀の鳥】」
「【ヴィクターエッジ】」
「【ゴールデンスラッシュ】」
「【ポイズンストライク】」
「【風塵大手裏剣】」
最初は各々が持つ最大火力のスキルで攻撃し、墜落で半分以上減っていたブルードラゴンのHPが大きく削れ、ソウル達は続けて二回目の総攻撃を加えると、ブルードラゴンのHPが無くなり悲鳴のような鳴き声を上げ、地面へと倒れた。
【アナウンス: ブルードラゴン を討伐しました。SP 6500 獲得を獲得しました。4800 オカーネンを獲得しました。】
「何とか倒せましたね…」
「ブルードラゴンは飛ぶと強敵になるけど、こういう洞窟とかに誘い込んで飛べなくしたらただのトカゲだかな。ブレス技もないし」
「じゃあ、早速解体してストレージクエスト進めましょうか」
「そうですね」
「ちょっとー!なんで迎えに来ないのよう!」
解体作業を始めようと道具を取り出したソウルの元に、ティーがプンスカ怒りながら来た。
「ん?ティー?どこかに行っていたのか?」
「どこかにじゃないわよう!青いトカゲに吹き飛ばされたのよう!」
「それは災難だったな…いやなに、さっき討伐した所だったから終わったら探しに行こうとしてたんだよ」
「本当なのよう?」
ティーがジト目をしながらソウルを見ると、ソウルはG・アークの中で冷や汗をかいた。
「でもマスターさっきブルードラゴンを解体しようとしてましたよね?それに何処かへ行っていたのか?って言っていましたし完全にティーの事を忘れていましたね」
「マギア貴様!」
「何よう!やっぱり忘れてたんじゃないのよう!ムキーなのよう!」
まさかの裏切りにソウルは驚き、ティーがうるさくソウルの周りを飛び始めた。
「なんだか…賑やかですね」
「そうね、彼らを見ているとなんだかほっこりするわ」
「ほっこり?…なるほど…」
クラフトの言葉にノアールは首を傾げたが、ソウル達を見て納得した。その後ソウル達は、ブルードラゴンを解体し終え、エルメギア水晶を必要分採掘した後、フォレストフロッグが居ると言われている森へ向かって行った。
「結構…大きいな…大型犬並みの大きさだぞ…あの蛙…」
フォレストフロックがいる森へやって来たソウル達は、目当ての蛙を見つけると大きさに驚いていた。
「ごめん…私あの大きさの蛙は鳥肌が立つ程無理だから、フィキシン草探しでいい?」
「お?じゃあ、俺もフィキシン草探しに参加しよう。ここら辺でおいしいキノコ採れるからな」
「森の食い物か…俺もフィキシン草探しでいいか?」
クラフト、ネイ・ザン、フィッシャーがソウルに許可を求めると、ソウルは頷いた。
「構いませんよ。おいしい物沢山取れるといいですね」
「ああ、期待しておいてくれ」
三人達と別れ、ソウル達は武器を構えると、フォレストフロッグを攻撃した。
ソウルは頭を狙って引き金を引くと、弾丸がフォレストフロッグの頭部に当たり、黒い霧へと姿を変え血を一つドロップした。
「これを10個か。行けるな」
ソウルはウィンドウを開き、アイテム欄に入ったフォレストフロッグの血を見ながら言うと、次々と蛙を倒していった。そして30分でフォレストフロッグの血が必要分集まるとフィキシン草を探している三人の元へと向かって行った。
「おーい!クラフトさーん」
「あれ?ソウルさん?蛙の血集まったの?」
「はい、集まりました。フィキシン草はどうですか?」
「ネイ・ザンとフィッシャーが、採集物増加のパッシブ持っているからすぐに集まったわ。今は万年筍のあく抜きしてる」
クラフトからフィキシン草を受け取り、ソウルは近くで筍を茹でている二人に目を移すと何かを言い争っていた。
「いや、この筍はたけのこご飯にして食べるべきだ」
「フィッシャー…筍は煮物が定番だろ?」
「そうだけど万年筍だぞ?この筍がご飯と一緒だったら、他のおかずも楽しめるじゃないか…だから俺は筍ご飯が食いたい…それにこんな激レア食材いつまた出会えるか解らないしな…」
「その理屈は分かるけど、俺は煮物にして食いたいんだよなぁ…」
2人の言い争いにソウルは割って入った。
「お二人共の願いを叶える可能性がありますが、やってみますか?」
「マジかよ!それは?」
「ノアールに筍取りをさせてみてはどうでしょうか?洞窟内で水晶を一度に二つ取った事とフォレストフロッグの血を一体から3つ連続で取った事を考えて見れば、ノアールはかなりの強運持ちだと思います。なのでノアールに任せて見たらいい結果が期待できるかもしれませんよ?」
「強運か…全プレイヤーが欲しているパッシブスキルだな…そのスキルをノアール君が持っているならやらせてみる価値はあるな」
筍から灰汁抜きしている鍋を囲んでいる三人は頷くと、ノアールを呼んで筍堀りをやってみないかと持ち掛けるとノアールはやってみたいと言い、三人は心の中で喜んだ。
「よし、じゃあ筍取りのやり方を教えてやろう…」
「あ!見つけました!これですか?」
「うっそだろ!」
ネイ・ザンが道具を取り出す為ウィンドウを操作していると、ノアールが楽しみなのか竹林の前まで走って行きワクワクしながらソウル達を待っていると、ノアールはふと地面を見ると一部だけ盛り上がっている箇所があり、軽く手で地面を掘ってみると、筍の穂先が見えた。
「こ…これは!」
「間違いない…奴だ!」
ネイ・ザンとフィッシャーがノアールの見つけた筍を確認すると、万年筍という事が解り、二人はまるで地雷を撤去する様に慎重になりながら地面を掘って行った。
「よし、これだこれ!ノアール君よくやった!後は根元に鍬を入れてテコの原理で掘り起こせば取れるからやってみな~」
ネイ・ザンがノアールに鍬の持ち方と振り下ろし方を教え、ノアールが目を輝かせながら実際にやってみると、万年筍が獲れた。
「うまく獲れているぞ!よくやった!」
フィッシャーが獲れた万年筍を確認し、サムズアップをノアールに向けると、ノアールがはにかみながら照れていた。
「もっと取りたいです!」
「いや、止めておこう」
「え?何でですか?」
「自然の物は取り過ぎちゃいけないんだ。なんでだか判るかい?」
「うーん…動物たちの為ですか?」
「それもある。いいかい?ノアール君、俺達人間が身勝手な事をしたらそこで生きている生物のバランスが崩れてしまうんだ。人間が森の食べ物を取り過ぎたら、動物が餌に困って人里に降りて来て田畑を荒らすし、森の木々を根こそぎ取ったら土砂崩れや地滑り等を起こして大規模な災害が起こ事もある。だから俺達人間は、自然と「共存」して行かなければいけない」
「共存…ですか?」
「まぁ今はピンと来なくてもいいよ。いつか理解できるから…だから今言った事を忘れないでくれ」
「解りました!覚えておきます!」
ノワールはネイ・ザンが言った事は解ったのだが、今一実感できずにいた。だが、その次の言葉を聞いて、いつか完全に理解できる事を信じて覚えて置こうと考えた。
「皆ーそろそろ帰るわよー」
クラフトが竹林の前にいる4人に向かって言うと、ソウル達は返事を返し、アイテムを集める様に言った女性の元へ帰って行った。
「あ!貴方達!大丈夫でしたか!?今骸骨山脈にブルードラゴンがいる事を伝え忘れてて心配いたのですよ!」
「そういう大事な事は忘れないでほしかったですよ…まぁ一応何とか倒してアイテムも全部集めましたよ」
ソウルの言葉に全員が頷き、女性が慌てて頭を下げた。
「本当にごめんなさい。では早速集めたアイテムを私に渡してください」
ソウルはノアールの分も含めたアイテムを女性に渡した。
「はい確かに、では少し待っていてください。すぐに出来上がるので」
女性がアイテムを抱えて家の中に入って行くと、何かを削る音が聞こえて来た。
「この音、歯医者でよく聞いたわ…」
「フレンドとかの手伝いでよくやるんだが…最後のこの音が苦手だ…」
クラフトが顔を顰め、006が嫌な顔をしながら口を手で押えた。そしてその10分後、何かの回路図の様な模様が刻まれた水晶を2つ持ち、家の中から女性が出てきた。
「お待たせしました。この水晶を胸に当ててみてください」
女性に言われた通り、ソウルとノアールは水晶を女性から受け取った後、胸に押し当てると水晶が胸の中に入って行った。
【アナウンス: ストレージ が解放されました。新しく追加されたストレージの項目で鞄や魔法の鞄を追加するとその鞄の容量分が加算されます。またペットや契約魔獣もストレージ内に収納する事が出来るのでご活用ください。】
「お疲れ様でした。これでアイテムストレージが使える様になりましたよ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
「あと、これもどうぞ。伝え忘れていたお詫びですが…今家にこんなのしかなくて申し訳ないのですが…」
女性がウィンドウを操作すると、女性の手元にホールチーズが2つ現れた。
「え?!これ貰っていいのですか?」
「はい、どうぞ。父が趣味で作ったチーズなので持って行ってください。まだ沢山家の中にあるので気にしなくていいですよ」
「では、頂きますね。おいしく頂くとしましょう」
ソウルがチーズを受け取ると仲間達が喜び始め、貰ったチーズをどんな風に使うか話し合いが始まると、ソウルが皆に向かって待てといった。
「待てください皆!ピザやチーズフォンデュもいいですが、最初はチーズ本来の味を楽しみましょう!あれをやりますよ!アルプスのあれです!」
ソウルの言葉を聞いたプレイヤー達は、脳内に電流が走った。
「まさか、あれを食える日がこようとは…」
「ゲームの中だけど…いや、中だから食える物か!今日の宴は最高の物になるな!」
「急いで帰りましょう!すぐ帰りましょう!」
ククルがキャラ崩壊させてまでソウル達を急かすと、その事にソウル達は笑い、拠点へと帰る事に決まった。ソウル達は、女性に挨拶を済ませた後、マギアの展開する乗り物に乗り込んだ。
「パンダカーの事…完全に忘れてたな…」
「拠点に着いたら指差されて笑われる自信あるわ…」
「マギア…このパンダカーも却下だな…」
「ええ!?こんなにかわいいのに!?」
「これに乗る奴の年齢を考えろ!」
「ソンナー」
マギアは運転席でしょんぼりしながら運転し、拠点へと戻るとパンダカーから降りたソウル達が仲間達に笑われたがグッと耐え、宴の準備を始めた。
キャベツの腐った臭いは異常…まぁいろいろ混ざって強烈な悪臭物が玉の中に入ってます。そりゃあもう臭すぎて飛んでいる生物が落ちる位に…
ティーは最初の衝撃波で飛ばされましたが、ツタがクッションになって無事でした。どこぞの魔王に吹き飛ばされて行方不明になった後、その妖精を探している道中、仮面を巡る戦いに巻き込まれたりはしないです。
流石に大型犬並みの大きさの蛙には近づきたくないですね…怖いです。
万年筍は灰汁が少ないので少しの時間灰汁抜きするだけでおいしく頂けます。
いつの間にか無くなっていたチーズホールに父は涙したとか…
モチベ維持に評価お願いします! 頑張ります!
ブックマーク登録もよろしくね! ありがとうございます!




