帝国潜入への準備
完成しました投稿です!
茶色の豆腐ハウスで帝国の中年男性から必要な事を聞き出したソウルは、外に出て背を伸ばし深呼吸をした。
「あれだけ高圧的だったのに、数本釘打っただけで簡単に喋ったな…」
「ええ、それも動けない様に固定している最中にですよ……帝国の騎士はそれでいいのでしょうか?」
「帝国ではなんちゃって騎士が多いんじゃないか?よくあるだろ?貴族が箔をつける為~とかなんとか多分そういう奴じゃないか?」
「せめて腕の一本位頑張ってほしい物です。人間には215本も骨があるのですから…」
「コナー家の嫁理論かよ…」
ソウルはマギアに呆れていると、茶色の豆腐ハウスからルージュが出てきた。
「簡単に喋ったわね…つまらないわ…」
「まぁ…あのおっさんが本当の事を言ってるか解らないから、後日帝国に忍び込んで事実確認してきますよ。その時は潜入が得意なプレイヤーを数名お借りできればありがたいですが」
「判ったわ。こっちで選別しておくから任せて頂戴」
「お願いします」
ソウル達がルージュと別れ、宴会場に戻ってくるとホワイトローズから通話がきた。
[帝国の飛行船鹵獲したよ~これどうするの?]
「おお、ありがとう。用途に関しては帝国に潜入するのに使う」
「あ~‥‥じゃあ、爆薬隠して設置しといたほうがいい?」
「お?いいね~頼めるかい?」
「おk~その代わりこの飛行船を詳しく分析するけどいいかな?」
「ああ、問題ない」
「了解~」
ホワイトローズの通話を切ると、今度はユメミルクから通話が来た。
「帝国の乗組員全部ヤっちまったけど、問題ないか?」
「ああ、問題ない。お疲れ」
「おう!もしかしてあれか?潜入とかするのにこの飛行船使うのか?」
「ああ」
「あ~じゃあ数人分の服は置いて行くか…こっちで服用意しておくわ」
「ありがとナス」
「おう、任せて置け」
ユメミルクからの通話を切り、頼りになる友人にソウルは感謝した。
「随分と話の分かるご友人ですねマスター?」
「別ゲーで同じ事やって来たからな…俺が潜入するってなったら的確に動いてくれる友人だよ」
「私、その関係性に軽く嫉妬ですよ!マスター!」
マギアが体の球体をソウルの顔に押し当て、うっぷんを晴らしていると、何かを探しているアップルとマナリアがソウルの目に入って来た。
「あ!いたいた!ソウルさん!」
「いたわね!探したわよ!」
「二人共どうした?」
「私達で料理を作ってみたんです!」
「一番おいしい所をふんだんに使って作ってみたわ!初めて料理をしたけど楽しいわね」
「…それで…俺を探していたと…?」
ソウルは二人の言葉に不安感が湧きあがり、ゆっくりと二人から距離を取ろうとした。
「はい!ぜひ私達が作った料理をソウルさんに食べてほしくって!」
「会心の出来だから食べてほしいわ!」
「いや、遠慮す!‥‥」
「まぁまぁ…遠慮なさらずに…」
「そうよ!遠慮しちゃだめよ!」
ソウルはその場から逃げ出そうとしたが、両腕を二人に捕まれてしまい、引きずられるようにして連れて行かれてしまった。
「さぁここに座って」
「すぐよそってきますね~」
小さい円卓のテーブルが前にある椅子に強制的に座らされたソウルは、半ば足が震えていた。
「なんだ…この…なんとも例えようのない刺激臭と腐乱臭は…俺は…一体なにを食わされるんだ?」
「初めて作る料理は何がいいか聞いたら、丼物が簡単だって言うからそれを作ったわ!」
「丼…物…?」
明らかに丼とは言えない物が出てくることを確信したソウルは、周りに目を向け助けを求めると他のプレイヤー達は何故か戦闘飛行機のパイロットの姿をしていて、ヘルメットとマスクを装着していた。
「なんでそんな格好しているか聞いてもいいですか?」
<<あのやばい臭いから身を守るのがこれしかなかった!>>
プレイヤーの肩にある無線から男性の声が聞こえると、周りに居た同じ姿のプレイヤー達もそれに同意した。
「あ!そうだわ!皆にも食べて貰って味の感想を聞きたいわ!」
アップルが爆弾発言をすると、途端にプレイヤー達が逃げ出たが、それに逃げ遅れたプレイヤーが三名いてソウルの座る円卓に座らされた。
「はいお待たせしました!あ!食べてくれる人3人増えたのですね!今持ってきます!」
「な‥‥なんじゃこりゃ…」
ソウルの目の前に置かれた丼は、この世界にあってはならない物がご飯の上で蠢き、時折泡の様に膨れ上がり刺激臭と腐乱臭を配管から漏れ出した煙の様に出していた。
「さあ、たーんと食べて!」
「食べてって!これどう見ても食べ物じゃないじゃないか!なんだよこれ!どうしたらこんなものが出来上がるんだ!?人体錬成に失敗したのか?って言う位ヤバイじゃねぇか!もうこれ…ヴォイドだよ!ヴォイ丼だよ!」
「マ…マスター!こういう場合、実はおいしかったフラグの可能性があります!」
「それでも嫌だよ!俺は勇者になれないよ!」
「そんな…頑張ってソウルの為に作ったのに…酷いわ…」
アップルが両手を目に当て泣き出すと、テーブルを囲んでいたプレイヤー達の目がソウルを非難している様な視線を向けた。
「…っく…分かった。一口だけ食べるよ…」
「そう?よかった!」
アップルが、さっきまで泣いていたのが嘘だったかのように態度を変えると、ソウルは内心「やりやがったな…」と思いながら、震える手でスプーンを持った。
「主よ我を守り給え…」
神に願った後、ソウルは少量を掬い口に入れた瞬間、戦闘飛行機のコクピットに直接ミサイルを撃ち込まれた衝撃と腐ったキャベツの山に放り込まれた腐乱臭、底なし沼に落ちた後、地獄の炎で身を焼かれるような痛みが襲い、ソウルは口に入れた物を噴き出て気絶した。
<<大変だ!隊長!彼女はネームド持ちだ!>>
<<ああ!メシアがやられた!>>
<<落ち着け!ジン、スプーンを引き継げ!>>
ソウルが気を失い、同席していた三人が騒ぎ出すと、マナリアがヴォイ丼を人数分持ってきた。
「はいどうぞ~」
<<隊長!撤退しましょう!>>
<<この円卓からの撤退は許可できない…完食せよ!>>
<<だろうな…錬金薬上乗せだ>>
<<EAT2!EAT2!>>
意を決したプレイヤー達がマスクを外し、ヴォイ丼を口の中に入れ次々と撃破されてしまった。
「やっぱり、ダメだったわね…」
「そうですね…自分達じゃ食べる勇気がないからソウルさん達を利用しちゃいましたけど…素直に捨てておくべきでした…」
「食材を無駄にしてしまった事で引っ込みがつかなくなっちゃってたわ…」
アップルとマナリアはその後、ただ黙って自分達が作ったバイオ兵器を処分した。
「ッハ!…あれ?寝落ちしちゃってたか?…いけないなぁ…」
その翌日、時計の針が12時を回った頃、総一郎は目を覚まし、椅子から立ち上がると体を伸ばした。
「あー昨日は…いつ寝落ちしたんだっけ…豆腐ハウスから出て…あれ?」
「おはようございます!マスター!昨日の事覚えていますか?」
「いや、豆腐ハウスから出た後の記憶がない…」
「そうですか、ショッキングな事が起こったので思い出さない方がいいですよ!あ、ティーは今進化中でまだだいぶ時間がが掛かるらしいそうです」
「そうか…」
総一郎は昨日の事を思い出そうとしたが、脳がそれを拒否し思い出せなかった為、仕方なく一階へ降り身支度を済ませた後、昼食を取って部屋に戻って来た。
「ただいまっと」
「お帰りなさいマスター。今日はどうしますか?」
「帝国潜入の為に装備一式作りたい。ちょうどオカーネンもあるしな」
「お!では!パワードスーツはどうですか?隠密作戦に適したパワードスーツの設計図があるのでこれをベースに製作しましょう!」
「…獲得したオカーネン全部吹き飛びそうだ…」
総一郎がログインしようとした所、1階から総一郎を呼ぶ声が聞こえて来た。
「ん?なんだ?」
総一郎が1階へ降りると母親から一枚のメモを渡された。
「これ買ってきて!はいお金!」
「おつかい…あれ?今日は誰もいないの?」
「いない、美咲はどっか行ったし有栖は友達の家でお誕生日会だって」
「あ~わかった行ってくるよ」
総一郎は2階へ戻りヘルメットとバイクの鍵を持って外に出ると、夏の暑さが体を包み総一郎は眉間に皺を寄せた。
「今日もあっついなぁ…」
ガレージからバイクを取り出した後、バイクに跨りスーパーへと向かって行った。
「マスター!洗剤はこの先にある店、食材は今いるスーパーで後5分後にセールが始まります!」
スマホにいるマギアが、マップアプリを使い場所を指差しながら言うと、総一郎は確認した後足早に店の中に入って行った。
「暑かった…」
メモの内容を見ると合いびき肉、 ピーマン、 トマト、 レタス、にんにく、赤唐辛子と書かれていてた。
「まずは…えっと~…合いびき肉!」
精肉コーナーへ向かった総一郎は、法被を着て手振り鐘を持っている定員がいる事に気が付いた。
「今から~精肉コーナーにてセールを行います。本日数量限定で全てのお肉が100g50円!50円となっております!ぜひお買い求めください~」
店内放送が流れると、総一郎がいる精肉コーナーに主婦達が集まり出し、僅かしか動けない程密集した。
「嘘だろ…ここから目当ての肉をゲットしろと…」
総一郎があまりの人の多さに驚愕していると、店員が手振り鐘を鳴らしセールが始まった。
「…く!やるしかない!」
意を決し人を掻き分け、合いびき肉が置いてある所に向かうと、目的の物が手の届く位置にあり総一郎は必死に手を伸ばした。
「取った!…なにぃ!?」
後、数ミリという所でお目当ての合いびき肉が取られてしまい、取った相手を見るとパンチパーマのおばさんが勝ち誇った顔をしてその場から離脱して行くのが見えた。
「(クソ!パンチめ!)」
内心悪態を吐きながらも、別の合いびき肉を手に入れた総一郎は野菜コーナーへと向かい、残りの食材を買い物かごに入れ会計に向かった。
「ありがとう…ございました…」
会計担当の店員に、顔をチラチラ見られながら会計を済ませた後、買った物を段ボールに入れバイクに括り付けた後、次の店に向かった。
「マスター、このお店はお一人様2点までなのでお気を付けてくださいね」
「解った」
量販店に入り、洗濯用洗剤の詰め替え品やシャンプー、ボディソープ等の詰め替え品をかごの中に入れて会計に向かうと、どのレジも長蛇の列が出来ていた。
「(仕方ない…並ぶか…)」
総一郎が列に並んでしばらく待っていると、総一郎より前の方で突然女性の声が聞こえて来た。
「おい!おばさん!しれっと割り込んでんじゃねよ!後ろに並べ!」
「はぁ?いいじゃないのよ!」
厚化粧のオバサンが逆切れして、注意した女性と口論し始め一向に前に進まなくなってしまった。
「(マジか‥‥他のレジに並ぶか?)」
他の列を見ると、待った方がいいか並び直した方が速いか解らない微妙な位置にいて判断に困った。
「(3分待って終わらなかったら他のレジに行こう…)」
そう考え、しばらく待っていたが女性二人の言い争いは終わらないと判断して別の列に並び直すと、男性店員が言い争っている女性二人の仲裁に入ると、数秒で先ほどまで並んでいた列が動き出した。
「(マジかよ…待ってればよかった…)」
しょんぼりしながら自分の番を待った後、会計を済ませた総一郎は帰宅途中コンビニによりソフトクリームを買って食べ始めた。
「あの男性店員なんでもっと早く動いてくれなかったんや…」
「どんまいですよ!マスター!」
ソフトクリームを食べ終え、気分転換した総一郎は帰宅した後、買った物を母親に渡した。
「おつかいありがとね~」
「はいよ~」
自分の部屋に戻り、早速ログインを開始した。
「ログイン完了っと」
ソウルは、周りを見渡してみると拠点のテントが少なくなっており、プレイヤー達の人数も少なくなっている事に気が付いた。
「おーソウル!やっほ~」
「やぁ、ホワイトローズ。進捗はどうだい?」
「まだちょっとかかるね~」
「なるほど、じゃあ俺は潜入装備を製作する事にするよ。マギアが何かいいパワードスーツがあるみたいだし」
「そういう事ならハピネスカラーの所に行った方がいいよ!そういうの専門でやってるし」
「なるほど…行ってみるよ」
ホワイトローズと別れ、ソウルはハピネスカラー隊のテントへ向かうと、そのテントの中から女性の怒り声が聞こえて来た。
「厚化粧ババア!マジ許さん!はぁ~…頭にくるなぁ!!」
「お邪魔しますよ」
「あ゛あぁ?」
ソウルがテントの中に入ると、ハピネスカラーに睨まれてしまった。
「あ…コホン…イラッシャイ!」
「…ホワイトローズがパワードスーツに関してならここを訪ねた方がいいと聞いてきました」
「!?メシアはパワードスーツに興味が!?どうぞどうぞ!こちらに!ちょっとーお茶用意して!高級な奴!」
「隊長!うちには高級な物買えるほど余裕がないですよ!」
「馬鹿!そんな事は私も知ってるよ!こういうのは黙って出せば問題ないんだよ!」
台所事情がダダ洩れで聞こえてきたソウルは、内心引き気味になりながら、マギアにパワードスーツの設計図を出す様に指示を出した。
「えっと…今回この設計図をベースにいろいろ改良したいと考えているので、お知恵をお借り出来たらなと思います」
「これは!?こ…これをどこで!?」
「真理者の塔で見つけた設計図です」
「あそこに!?」
ハピネスカラーが目を見開き、穴が開きそうな程設計図を凝視し始めた。
「どうですかね?一応俺の金で作ろうとは考えているのですが」
「…やるわ…いや、お金払ってでも協力させてもらうわ!」
「ありがとうございます。では早速、案を出し合って必要な機能を考えましょうか」
ハピネスカラー隊の全員と、ソウルとマギアは自由な発想で案を出し合った。
中年男性は太い釘を板に打ち付けているソウルにビビッてすぐ情報を吐き出しました。本当ならがっつり尋問している風景を描きたいのですが、この作品R15指定なので控えました。がっつりと書いた物は書籍版でやりたいと思います!まぁ、この作品が書籍化する予定なんてありませんが!(血涙)
知ってるか?メシマズは3つに分けられる…不器用な奴、味音痴の奴、いい加減な奴…この3つだ…
忘れていたので追記 無線で話している人の中に隊長がいますが実際の隊長ではありません。隊長とあだ名で呼ばれている人です。
ゲームしようとしたらお母さんに用事頼まれるやーつ、そしてその用事で地味に嫌な事が起こるやーつ。皆さんも覚えがあるのでは?
ハピネスカラーが設計図を見て驚いたのは、数が月探していた設計図をポンとソウル達が出したからです。
只今諸事情も重なって制作が遅れています。明日もしくは明後日には完成できると思います。申し訳ございません。
モチベ維持に評価お願いします!
ブックマーク登録もよろしくね!ありがとうございます!




