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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
ΖΩΗの楽園
75/328

黒き巨獣 7.8

遅くなりました!完成したので投稿です!

 ベヒーモスと戦うまで4日間しかない中、ソウルとマギアは友人二人のユニオンに所属している生産職の人達と一緒にひたすら薬品類や矢弾、依頼された物など製作していた。


「ソウルさん!魔返し鍛錬の依頼はいりました!」


「えぇ!?またか!この忙しい時に依頼してくる奴は何処のどいつだ!」


「仕方がないですよ!魔返し鍛錬を出来るのはソウルさんだけなんですから!」


「チィ…良かれと思って情報開示したけど時期尚早だったか…」


 ソウルは依頼書に書かれた内容を確認してみると、鉄の魔返し鍛錬を依頼されていた。ソウルはその依頼書を見た後、怒りが込み上げて依頼書を両手で引っ張り破いた。


「なんだよ!鉄って!どう考えてもお試しでやってみるか~って言う位の物だろ!ふざけやがって!?こんな依頼書に付き合ってる時間はない!ポプコーンさん!オリハルコンクラス以上じゃないと受けないって受付の子に伝えておいてくれ!」


「わ!わかりました~」


 ポプコーンとは、ソウルとマギアが製作班に配属されて製作機材が置いてあるテントに向かった時、最初に会話したのが薔薇乙女騎士団ルージュ隊に所属しているポプコーンだった。ソウルはポプコーンと話していく内についうっかり、魔返し鍛錬の事を伝えるとポプコーンが驚いて騒いでしまい、その場にいた生産職全員に魔返し鍛錬を教える事になってしまった。それから話が広まって行き、最初はどんな金属素材にも魔返し鍛錬をして行ったが、他のアイテムも作らないと行けない為、忙しくなっていくとやっていられなくなってしまった。


「ソウルさーん!オリハルコンの依頼来ました~はいこれ、オリハルコンインゴットです」


「ファーー」


「これは…大剣の形ですね…マスター大変な作業になりますよ!」


「バァーー」


 戻って来たポプコーンから依頼と素材を渡されると、涙目になりながらマギアと鍛錬し始めた。その後も依頼が続いてくる事に汗と涙を流し、4日後の当日を迎えた。


「ゴフっ…グフッ…」


「ソウル…何と言うか…お疲れね?」


「仕方がありませんよ…決行日を決めた日からずっと作業してて碌に休みもせず、準備してきたのですから…」


「休憩は取っていたの?」


「機器の警告が出たらログアウト、食事など取っていましたが睡眠を削っていました。寝たのが4時間前ですからね…」


「ソウルさん…あの状態で戦えるのでしょうか?…」


「マナリアとアップルがソウルを見ながら言うと、ソウルは寝た状態で片手を上げた。


「大丈夫、大丈夫~こんなの俺のばあちゃんが考えた強化人間訓練に比べたら屁でもないから~…グぅ…」


「強化人間!?ソウルのお祖母ちゃんってどこぞの研究室でCapでも作っているの!?…ってソウル!起きて!」


 アップルがツッコミながらソウルを起こすと、ソウルは上半身を起こし目をこすった。


「ほぼ落ちかけた…」


「完全に落ちてたわよ…」


「おーい!もうすぐ現場に到着するよ~準備しといて~」


 アップルが呆れながらソウルに言うと、艦橋にいるホワイトローズの声がスピーカーから聞こえてきた。ソウル達は今、ホワイトローズの飛行船に乗り巨獣達の決闘場に向かっていて、もうすぐ到着する距離まで来ていた。


「べーひーもす!ベヒーモスだよ!ソウル!有名ファンタジーでおなじみの巨獣だよ!」


「アア、ソウダネ」


「ベヒーモスの革で作ったマント着れば有名になるかな?」


「アア、ソウダネ」


「有名になったらガンストライカーユニオン立ち上げた方がいいかな!?」


「アア、ソウダネ」


「(ソウルさんが一言だけ喋るロボットと化してる…これはもうダメかもしれない…)」


 ハイテンションのトマーチェがソウルに話しかけ、それを見ていたマナリアが大きな不安を覚えていた。そうやっている内に現場に到着し、降り立ったソウル達は巨獣達の決闘場を下見へと向かった。


「広いわね~さすが巨獣と付くだけの広さだわ」


「40mクラスのロボットが遊びまわれる程の広さですねマスター」


「40mクラスのロボットって何かありましたっけ?」


「紫の初号機が確かその位だったような…」


「あ~あれがか~確かにあれが動き回っても十分な広さね」


 下見を済ませたソウル達は拠点の場所に戻り、テント設営や物資搬入を手伝った後、開始時間の10時まで自由行動とした。


「ソウルさん!大丈夫ですか?なんだか辛そうですけど…」


「ん?ノアールか…ああ、大丈夫寝不足なだけ…」


「無理はしないでくださいね」


「ああ、適度に頑張るよ…それより訓練は順調か?」


「はい!今ではゴブリンに囲まれても切り抜けられるようになりました!」


「順調だね~教えてくれる人に問題は無いか?」


「親切丁寧に教えてくれます!この後、始まる時間まで教えてくれるそうなので行って来ますよ!」


「あの二人もちゃんとしてくれてるんだな~良かった。しっかり学んできなよ~」


「行って来ます!ソウルさんもお体にお気を付けて!」


 元気に訓練所へ向かって行ったノアールを見送ったソウルは、テントの中に設置されているベッドに横になった。


「マギア…開始時間までまだあるから少し横になってる…もし寝てしまった時は起こしてくれ」


「了解です」


 テントの外から聞こえてくる何かを立てている物音や、プレーヤー達の声を聴きながら睡眠と覚醒の間を往復して過ごしたソウルは、マギアの「そろそろ始まりますよ!マスター!」と言う声に反応し、ベッドから体を起こした。


「開始何分前?」


「30分前です」


「そうか…じゃあ準備するか」


 ソウルは装備欄とアイテム欄を開き、サウスリアからもらった軍服に鎧のパーツを付けた服を装備した。


「(服関係は鞄に入れなくて正解だったな…これで防御と生命力が上がったぞ)」


「マスターその服はサウスリアさんからもらった防具ですね!」


「ああ、普段来ている服はSTRとAGIが上がる服で今着ているのが防御力とHPが上昇する服だ。少しでも生存確率上げないとな…」


 少し体を動かし着心地を確かめた後、武器の確認を済ませテントの外に出た。


「さすがに開始間際になってくると人も多くて慌ただしく動いているな」


「2000人以上いますからね」


 プレイヤー達が支給されるアイテムを貰ったり、武器を研いだりしている姿があちこちで見られ、ソウルはこれから始まる事に胸が高鳴って来るのを感じた。


「これから会議テントで作戦会議します!各隊長やユニオン盟主、作戦参謀は集まってください!」


 拡声器を持った男性プレイヤーが各隊長や盟主、参謀に呼びかけるとソウルとマギアは会議テントに向かいテントの中に入った後、椅子に座って待っていた。数分待ったのち、呼ばれた全員がテントの中に入って来ると、作戦会議が始まった。


「さて、皆が集まった所で作戦会議とするのじゃ!今回は全く未知の敵…解っているのは皆に送ってあるメールの内容だけなのじゃ、だから自由な発想で案を出してほいいのじゃ!」


 司会進行役だと思われるホープが全員の前に立ち、どう戦うか案を出してもらう様に言った。


「基本はベヒーモスと戦う構成でいいと思う…その構成にどれだけ不確定要素なんかを組み込めるかが勝敗を分けると思います」


 ヴァルハラ所属の参謀グリムニルが手を上げて言うと、その場にいた全員が悩み始めた。


「今解っているのは、6属性の攻撃と耐性攻撃スピードは最速に~高い知性だったな」


「人語も理解するんだっけ?作戦時の会話も控えないとね~」


 ホワイトローズとユメミルクが言うと、ホープの近くにいたプレイヤーが大きいウィンドウを出して二人が言った事を入力して表示した。


「HMPや各ステータスも異常に高いと言っていたからそのステータスを使った特殊な動きもしてきそうですね」


「一撃死もありそうですね」


 ソウルとクラウンが言った事もウィンドウに書かれた。


「対策としては6属性魔法の相殺、特殊な動きに注意しつつ物理攻撃をしっかりガードかな?」


「後他に思いつく事はないのじゃ?」


「う~ん、初めて異常種と言われる奴と戦うから情報が少なすぎてイメージしずらいから対策し辛いね!」


「そんなの関係ないわ!何してくるかわからないという事を頭に入れといて、臨機応変出たとこ勝負すればいいのよ!」


 グリムニルが少しまとめた後、ホープが他に思いつく事がないか聞いてみるが、ピンクパンサーがイメージしづらいというとその場にいたほとんどが頷いた。だが、ルージュが脳筋発言をすると全員が笑った。


「しょうがない、いつもの総団長の策で行くか」


「そうですね」


「やっぱりこうなったのじゃ…」


「じゃあ、グリム後よろしく!」


「ああ…やっぱり僕が考えるんだね…」


「手伝いますよグリムニルさん」


 ハピネスカラー、クラウンが笑いながら言いホープが落胆した後、ユメミルクがグリムニルに作戦立案を丸投げするとグリムニルはため息を吐いた。ソウルは作戦立案に協力するというと、グリムニルに大変感謝された。


「他の参謀さん達にも協力してもらいましょう。隊長さん達は…隅で雑談しててください」


「儂も参加するのじゃ!他のポンコツ脳筋たちとは違うのじゃ」


 ソウルが各隊の参謀役を集めると、ホープもその中に入ってきた。


「では、まず最初にトリガーを使った一番最初から決めて行きましょうか」


「そうですね…最初に6人PTで固めたタンクを3つ作って各足や頭に配置…全体攻撃を防ぐのに各PTに2人は盾持ちを配置した方がいいでしょう」


「近接職で足の遅い人は同じ足の遅い人と、速い人は速い人と組んだ方がいいですね」


「遠距離職は誤射を防ぐ配置にしなければいけませな~」


 ソウルが一番最初にする行動を決めようと伝えると、参謀役の人達が案を言い次から次へと作戦が組み立てられ、前半の会議は何だった?と思う程順調に行った。


「大体できましたな…我がハピネスカラーが誇る機工兵装(人型兵器)の活躍をご覧あれ!」


「うちのブラッドローズ隊の魔法も負けませんわ~」


 作戦が出来上がり参謀役が解散して行くと、ソウルは驚いていた。


「なんだかすごい速く決まったな…」


「いつもは隊長達やうちのマスターが話した後、僕らに丸投げして作戦が組み立てられるんだけど今回ソウルさんがしきってくれたおかげで順調に行ったよ!いつもなら自分達にもっと活躍の場を!と言って争いになるんだけど、ソウルさんがうまく配置してくれたおかげでそれも無かったし、ほんとありがたいよ」


「一番の敵は味方だって誰かが言った気がするな…」


「活躍すればドロップ品の優先度が上がるから仕方ないんだけどね…さてと…僕は決まった作戦を他のメンバーに伝えて来るよ!」


 グリムニルがテントを出て行くと、ソウルは雑談してる隊長達に目を移した。


「笑っているじゃろ?。嘘みたいじゃろ?。大規模ユニオンの隊長達なんじゃ。あれで…」


「ホープさんも苦労してるのですね…」


「それを解ってくれる人が少ないんじゃ…」


 涙目になったホープをソウルは優しく肩を叩いた。




 開始時間まで残り5分となりソウル達は、巨獣達の決闘場に足を踏み入れ指示された場所に移動した。だがソウルだけは、アンジェラから貰ったアイテム金色の丸香炉を決闘場の中心で使わないと行けない為、その中心で一人立っていた。


「(こうしてみると圧巻だなぁ…すごい人数がこっちを見てる…)」


 2000人以上いるプレイヤー達がソウルに注目していた。ソウルはプレイヤー達を見て圧巻されながらも開始時間の10時が来て、合図を送った後アイテムを使った。


【アナウンス:金色の丸香炉 が 巨獣達の決闘場で使用されました。これより異常種ルイン・ベヒーモスを出現させます。またこのレイドは特別な為、各プレイヤーにステータスが大幅に上昇されます。なお、このレイドを失敗した時はこの世界が崩壊する可能性があるのでご注意ください。出現まで30秒…】


 アナウンスの声に全員が驚き、ソウルは慌てて自分が配置された場所に向かった後グラウンドゼロを構えた。


「世界の崩壊…負けられませんね!マスター!」


「ラストバトルしてる気分だよ…」


 アナウンスの秒数が0になり、決闘場内に獣の鳴き声が鳴り響いた。


「来るぞ!全員構え!」


 ルージュの言葉が響き渡り、プレイヤー達に緊張が走った。


「グゥラァァァァァァァァァァ!」


 エリア外から、謎の巨大な生き物が走って来て跳躍して来ると、決闘場の中心に降り立ち、鳴き声を轟かせた。その姿は黒く頭に牛の様な四本の角を持ち、体は筋肉質で牙や爪は鋭く尻尾には刺の様な物が生えていた。だが、それ以上に脅威なのは大きさで全長400mを超える超巨体だった。


「でかすぎだろ!」


「世界が崩壊する可能性があるのも頷けますね!」


「タンクPT!ゴー!他はタンクがヘイト取ったら近接職は相手の攻撃に注意しつつ攻撃開始!」


 ルージュの指示で全員が動き出し、タンクPTがスキルで挑発するとベビーモスの視線がタンクに行きヘイト取りに成功した。


「グルゥゥ…カオスフレイム!」


「魔法来たぞ!魔法職は相殺!遠距離職は攻撃開始!」


 ルージュの攻撃支持が来ると、ソウルはグラウンドゼロトリガーを引いてガトリングガンを発砲した。


「ガトリングガンのダメージは入っていますが…効果は小さいですね…」


「ならミサイルも追加だ!」


 グラウンドゼロの両側にあるミサイルポットからミサイルを発射し、そのミサイルがベヒーモスに当たると大きな爆発を起こした。


「グラァァ!6属性(カオス)最大展開(フルバースト)!」


 ベヒーモスが全属性の魔法を使い、魔法が雨の様に降り注いでくると一撃受けただけでHP全損するプレイヤーが多数現れてしまった。だがルージュは慌てずにHPが全損したプレイヤーをヒーラーの元に連れて行く回収班とヒーラーに指示を出し、回収され蘇生したプレイヤーは順次戦闘に戻って行った。


「これは長期戦になりそうだな…」


 ソウルが呟く様に言い攻撃を続けた。


 ~8~ 


 ベヒーモスと戦い、早くも1時間が経過していた。今も尚、降り注いでくる6属性の魔法がタンクや近接職を苦しめていたが、ルージュの指揮と最前線を行くプレイヤー達なのでうまく凌いでいた。


「マギア…ベヒーモスのHP減ってるか?」


「はい、数値的には減って行ってます…HPバーで見ればmmより小さい動きですね…」


「そうか…始まってからほんの少ししか減ってないから無敵状態だと錯覚するな…」


 ソウルはベヒーモスのHPバーが減少してない事に違和感を感じ、グラウンドゼロを発砲しながらマギアに尋ねると極小で減っていると言った。


「これが異常種か…このままじゃ明日までかかりそうだな…弱点ぽい所探してみるか?」


「そうですね、その場合、先にルージュさんに連絡しておいたほうがいいと思いますよ!下手に弱点部位に当たって暴れ出したら全滅する可能性もありますし」


「そうだな…すみません!ちょっとルージュさんにメールするので攻撃止まります!」


「何か連絡する事が?わかった」


 班の責任者に許可を取り、ソウルはルージュにメールを送ると、「了解した、やってみてくれ」と言うメールがすぐに帰って来た。


「よし!許可は取った!班長さん!ちょっとベヒーモスの弱点探しに行って来ます!」


「あいあい、さっき総団長からメールが来たよ!気をつけて行ってらっしゃい!」


「行って来ます!」


 ソウルは、グラウンドゼロを背負った後マギアと一緒に、一番攻撃が緩いベヒーモスの尻尾へ向かって行った。


「まずは尻尾から攻撃して行こう!切断できるかもしれない!」


「狩りゲーあるあるですね!」


 グラウンドゼロを構え、尻尾の付け根辺りを狙って発砲すると、ベヒーモスの尻尾が動き出し何かを払うような動きでソウル達を攻撃してきた。


「うぉぉ!やべぇ!」


 迫りくる尻尾から慌てて逃げだし、滑り込むとソウル達の頭上を尻尾が通過していった。


「マギア…切断できそうか?」


「可能ですが‥‥相当な労力を要しますね…」


「そうか…じゃあ次は後ろ足から攻撃して行って最後に頭行くか!」


「頭に行くにつれて魔法攻撃が激しいので気をつけてください!」


「了解」


 後ろ足から前足に掛けて、グラウンドゼロを発砲して行ったが大した効果や反応はなく、最後の頭まで来てしまった。


「…まるで羽虫が当たった様な反応しか無かったですね…」


「クソ!俺の攻撃は取るに足らないってか!ケツが痒くなる程度の攻撃ってか!チクショウめェィ!」


 ベヒーモスの攻撃魔法範囲のギリギリの位置から頭を狙い、グラウンドゼロを発砲した。


「頭に攻撃しても何のリアクションもありませんね…」


「俺の攻撃じゃ意味ないのか?…こうなりゃやけくそ撃ちだ!」


 グラウンドゼロのガトリングガンを発砲しながらミサイルや、大口径バレルから発射される多線型レーザーをベヒーモスの頭に当て続けていると、ミサイルの一発がベヒーモスの魔法に当たり、変な軌道を描きながら角に当たると、ベヒーモスは嫌がる素振りを見せた。


「見たか?マギア?」


「…ええ、嫌がりましたね…」


 ソウル達はニヤリと笑うと(マギアは顔文字)ルージュに「弱点発見!ベヒーモスの角を攻撃したら嫌がる素振り。攻撃パターン変更に注意されたし」とメールを送った後、角に向かって集中砲火を浴びせた。


「遠距離班は角に集中!タンク班と近接班はベヒーモスの動きに注意しろ!」


 遠くから聞こえてくるルージュの声にプレイヤー達が機敏に動き出し、遠距離班はソウルが当てている

 太い角に攻撃を合わせた。ベヒーモスは角に攻撃を当たる事を嫌がり、前足で防いだりタンク班を薙ぎ払ってきたが、タンク班はしっかりと受け流していた。数十分間攻撃を当て続けると、マギアが状況の変化を伝えてきた。


「マスター!角の耐久力がもう少しで無くなりそうです!」


「まずは一本…」


 さらに数分攻撃を当て続け、4本ある内の一本が折れると、ベヒーモスは叫び声の様な鳴き声を上げた。


 折れた角が淡い光を出しながら消えると、雨の様に降って来る魔法をしてこなくなったが、ベヒーモスの目が血走り激高状態になった。


「マスター!かなり怒ってます!」


「見ればわかる!」


 ベヒーモスがタンク班や近接班を吹き飛ばし暴れ始め、轟音の鳴き声を上げた後、走り出し始めた。そんな中ソウル達は慌てて遠距離班がいる場所にまで逃げてくると、遠距離班のプレイヤー達が補給している風景が目に入って来た。


「お疲れ様ですソウルさん!弱点見つけましたね!」


「お疲れ様です、班長さん。いや~結果暴れ出して被害出したような気もしますがやってやりましたよ!」


「あの位なら問題ないでしょう。回収班が即座に回収して治療班がすぐ蘇生すると思うので前線の維持は問題ないですよ」


「そうですか、問題無いならよかったです」


「それに…ほら…そろそろ隊長達が動き出しますよ」


 指をさされた方を見ると、ルージュを中心とした7人とユメミルクが無人の荒野を行くが如く、遠くまで走り勢いをつけて戻って来たベヒーモスに向かって歩いていた。


「8人でベヒーモスを止める気か!?」


「ソウルさん…見ていてください。何故あの8人に人が集まって来るのかを」


 班長の言葉を聞き、ソウルとマギアは固唾を飲んで8人を見ていると、最初にホワイトローズが前に出てスキルを使った。


「【ジャイアントスクトゥム】!」


 ホワイトローズの目の前に巨人が使うようなタワーシールドが現れると、突進してきたベヒーモスを受け止めホワイトローズは、地面を滑る様に後退した。


「【堅牢なる薔薇拘束(ロバストローズ)】」


 次にホープが魔法を唱えると、地面から木の幹程の太さの茨が生えてくると、ベヒーモスの体に巻き付き拘束した。


「フヒヒ…【奈落からの嘆き】」


 拘束され動けなくなったベヒーモスを見て、ブラッドローズが動物の頭蓋骨が着けられた杖を振るうと、ベヒーモスのステータスが大幅に下がるデバフを付けた。


 クラウンが、腰ほどある鉄扇を開き幾つ物小さな短剣を展開した後、ピンクパンサーが邪悪で歪な片手剣と神々しく光る片手剣を持ち二人でベヒーモスを切り刻み始めた。


「バランス悪そうだな!俺が整えてやるよ!【イビルフォーム】【大切断】!」


 ユメミルクの姿が異形の姿になった後、跳躍して折れた角の反対側にある太い角に大斧を叩きつけ様にして斬ると、ベヒーモスの角が斬り落とされ淡い光となって消えた。


「我求めるは希望の明日!今断ち切るは邪悪なる権化!【魔神滅断剣】」


 ハピネスカラーが長剣を掲げ、背後に巨大な機械の両腕が現れると、頭上に現れた巨大な剣の柄を握った。その巨大な機械の両腕が、ハピネスカラーの両腕とシンクロし剣を振り上げた後、振り下ろすとベヒーモスの肩を深く切り裂いた。


「さぁ!十分に溜まったわ!いくわよ!「6属性合成魔砲(ドラグバスター)


 ルージュが、6属性の球体を作り両手を前に突き出すと、6属性の球体が突きだした手の先に集まり、一つとなって極太の光線が放たれ、ベヒーモスを飲み込んだ。


「どうですか!ソウルさん!あれが隊長達の強さです!あの強さに皆は憧れ、あの人達の元に集まって来るんですよ!」


 興奮して早口になった班長が嬉しそうに喋っていたが、ソウルは煙を上げているベヒーモスに注目していた。


「さすがにあのベヒーモスも隊長達の攻撃に耐えられなかったみたいですね!」


「…いいや!まだだ!まだ終わってない!」


「へ?」


 班長がソウルの声に間が抜けた声を返すと、地面に倒れていたベヒモスが動き出し空に向かって吠えた。そして咆哮は逆鱗に触れた様な怒りが混じり、あまりの轟音に全プレイヤーをその場に縫い留めた。


「滅せよ!【幾千の流星群(コメット)】」


 ベヒーモスの声が頭の中に響く様にして聞こえ、空から無数の彗星が降ってこようとしていた。


「班長さん!至急隊長達を下げてください!」


 ソウルは慌てて班長に言うが、聞こえておらず不思議に思ったソウルは、左に表示されているプレイヤー達の簡易HPバーを見ると、沈黙と難聴のデバフが付いていた。


「さっきの咆哮でか!?‥‥そうだ!メールだ!」


 ソウルはホワイトローズに「空から彗星、【フォートレス】使用で防げ」とメールを送るとメールに気づいたホワイトローズがスキルを使い振って来た彗星を防いで隊長達を守った。


「降って来る彗星に気づいて防げたのは半分くらいか…まずいな…」


 [マスター!ベヒーモスが回復しています!]


 今だデバフが消えない為、マギアは小さいウィンドウに文字を打ってソウルに伝えると、ソウルはベヒーモスに視線を向けた。視線の先にはベヒーモスは唸り声を上げ、ハピネスカラーに切り裂かれた肩の傷口が塞がって行くのが見えると、焦った表情をしたソウルは、グラウンドゼロの有効範囲内まで走り傷口を狙って発砲した。


「回復なんてさせるか!」


 [マスター!流星群がこっちにも降ってきます!]


「ちくしょう!ヘイト取っちまったか!」


 グラウンドゼロを鞄にしまい、全速力で逃げ回るとソウルの周りに幾つ物氷が降り大地を抉った。


「ソウルさん!私の後ろに!」


「マナリア!助かる!」


 必死になって逃げまわっていたソウルに、マナリアが向かい側から走ってくるとスキル【フォートレス】を使い、そこにソウルは滑り込むようにしてマナリアの後ろに隠れた。


 [マナリア、助かった!騎士の鎧と槍と盾に合ってるな!]


「えへへ」


 ソウルはウィンドウに文字を書き、マナリアを褒めるとマナリアは照れたように笑った。その後も彗星が降り続きプレイヤー達の動きは完全に止まってしまい、ベヒーモスは完全とはいかないまでも体力を回復してしまっていた。


「さて…どうするか…」


「あーあーマスター聞こえますか?」


「お?ああ、聞こえる。ようやくデバフ外れたか…」


「ルージュさん達が減らした体力(HP)8割ほど回復されてしまいましたね…」


「あのタフさと回復は厄介だな…何とかならんか?」


「ベヒーモスの角が魔法の触媒となって使用されているのを私のセンサーが捉えました。もしかしたらですがベヒーモスの角をすべて折れば、何のかなるかもしれません」


「降って来る氷を避けながら残り二本の角に攻撃か…難しいな…この…なんだ…流星群だっけ?それを誰かが一手に引き受けている内に、同時に叩き折らないと行けないな…もし一本だけ残ってしまう状態になたら全滅する攻撃してきそうだし…」


 ソウルはベヒーモスに目を向けると、ベヒーモスはプレイヤー達を前足の爪で薙ぎ払ったり、口から様々なブレスを吐いて攻撃している姿が目に映った。他に目を移せばホワイトローズが守っている隊長達も流星群に足止めされ、他のプレイヤー達も混乱しておりこのままの状態では、全滅するのも時間の問題だと思ったソウルは、フレンド欄から各隊長達とユメミルクの名前をタップし電話マークを押して通話し始めた。


 [おう、ソウルか!?どうした!?]


「このままだと全滅してしまう!だから俺が考えた作戦を伝えるぞ!」


 [作戦?何かいい案があるの?]


 ルージュの声にソウル先ほど考えた作戦を伝えた。


 [なるほどなのじゃ!その必要に必要な人は「流星群を一手に引き受けられるタフガイ」と「角を折る事が出来る高火力持ちじゃな!]


「そうです、誰かいませんか!?」


 [タフガイと言うならハピネスカラーの防御型機工兵装がぴったりじゃろ!]


 [私の玄武機か!?ただあれは…]


 [いま使わんとその玄武機の維持コストより高い損害が出るのじゃぞ!躊躇っている場合じゃないのじゃ!]


 [っく!解った…出すよ!だけど乗り込むの時間と起動時間が必要だ!]


 [それは私が稼ぐよ~]


「後は火力持ちですね…」


 ホープがハピネスカラーを説得し、ホワイトローズが時間を稼ぐというと残りは高火力持ちになった。


 [ユメミルクは行けるかな?]


 [すまねぇ!【大切断】はクールタイム待ちだ!他のスキルでは斬り落とせない!]


 [じゃあ私が砕こう]


 [総団長ならいけるね、じゃあ最後の一人なんだけど…]


 [ブラッドローズはどう?]


 [あ…アタシ呪術系だからデバフつける事しかできない…]


 [他の皆はどう?]


 [じわじわ削るなら得意なのじゃが…]


「私も連撃なら得意だけど…]


 [範囲攻撃なら得意なんですが…]


「ハピネスカラーさんの隊…確か機工兵装ですよね?その人達ではいけませんか?」


 ソウルがハピネスカラーに聞いてみると、ハピネスカラーはしばらく唸った後答えを言った。


 [オーバーウェポンの「ドリルクラッシャー」なら行けるかもしれない…でも有効範囲が2mと近距離な上に一度でも攻撃が当たったら大破してしまう…]


 [あれ?あれってそんなに脆かったっけ?]


 [前に使ったまま整備してなかった…]


 [なんで整備しとかなかったのよ!]


 [機体の整備で万年金欠の私の隊に無茶言うな!それに準備期間が4日しかなかったんだからしょうがないだろ!]


 ピンクパンサーがハピネスカラーを責める様に言うが、ハピネスカラーは仕方がなかったと反論し二人は暫く言い争っていたが、ソウルが一つ案を出して二人を止めた。


「攻撃が当たらなければいいんですよね?」


 [え?あーうん…多分]


「では魔法使いさん達に物理と魔法の障壁を天井の様に張ってもらって、ベヒーモスまでの道を作れば行けますかね?」


 [それなら行けるか?…ううん!やって見せる!うちの隊は伊達じゃない所を見せてやるよ!]


 [魔法班はタンク班に守らせればいいのじゃ!]


 [近接班はその間に回復と補充を済ませればいいですね」


 [決まったわね!じゃあこの作戦成功させるわよ!]


「「「「「「「「了解!」」」」」」」」


 流星群のタイミングを見て【フォートレス】を解除し、隊長達は全力疾走で後方へ下がって行くと隊員達に作戦を伝え、その作戦を聞いた隊員達は慌ただしく動き始めた。


「ソウルさん、これから何が始まるんです?」


「第3次た…何でもない。これからベヒーモスの角を全部破壊する作戦が始まる…その時はスキル解除しても問題ないよ」


「了解です」


 そしてその数十分後、準備が整ったのか黄色の薔薇マークがある隊員が運転する装甲車に、ハピネスカラーとホワイトローズが乗って走行している姿が、ソウルの目に入って来た。


「あれは…M3装甲車…機工兵装、見た事ないからワクワクするな…」


「巨獣とロボットが戦う姿が目の前で見られるんですね!胸アツですね!マスター!」


「正座待機しときますか?」


「いや、俺らは俺らでやれる事をやっておこう、次いつ補給できるか解らないからな…」


「了解です!」


 ソウルはホワイトローズ達に視線を戻すと、二人は車から降りて準備している姿が目に入った。


「これ失敗したら私…破産しそう…いやする…」


「まぁまぁ、そうならない為に勝ち取ろうよ」


「頼むぞ皆…私の財布は皆にかかっているだから…」


 ハピネスカラーが祈る様につぶやいた後、鞘から剣を抜きNの文字を一筆書きする様に描くと、ハピネスカラーの後ろに直径30mの魔法陣が現れ、その魔法陣から四方を亀の甲羅で覆われた機工兵装・玄武が出現した。そしてベヒーモスは玄武機が現れた事に警戒し、唸り声を上げた。


「うひゃ!ベヒーモスこっち見た!急いで乗って!」


「あわわ!」


 ホワイトローズが盾を構えベヒーモスの攻撃に備えると、ハピネスカラーは慌てて玄武へと乗り込んだ。


「グォォォォォ!」


「来た!【巨人の(ガリバー)要塞(フォートレス)】」


 ベヒーモスが空に向かって咆哮を上げると、全ての流星群が玄武機に集中して振り、ホワイトローズはスキルを使って玄武機を守った。


「完全起動まで20秒!頑張って耐えて!」


「めっちゃ怖いから早くして!」


「無茶言うな!これでも最大効率で起動してる!」


 2人は言い争う様ように会話して20秒経過すると、玄武機が完全に起動し覆っていた四枚の甲羅の内二枚を上に向けて、流星群を防ぎながら大地に立った。


「起動完了!」


「起動した?じゃあ、【最大挑発(フルタウンティング)】からの【ヘイトチェンジ】!後よろしく!」


「貴様!」


 ホワイトローズは最大まで貯めたヘイトを玄武機に擦り付け、乗って来た装甲車に乗り逃げ去っていった。


「あのロリ…後でシメる…ええい!こうなったら自棄だ!来い!獣野郎!私の玄武機はそう容易くやられはしないぞ!」


 拡声器から聞こえるハピネスカラーの声がベヒーモスを挑発すると、ベヒーモスは突進し玄武機も残り二枚の甲羅盾にしてぶつかり合うと、互いの力が拮抗しているのか1匹と1機は動かなくなった。


「重量級の玄武機と互角だと?小癪な!」


「はいはい!そのままおさておくのじゃ!」


 いつの間にか近くにいたホープがスキル【堅牢な薔薇束縛(ロバストローズ)】を使い、ベヒーモスの胴体に太い茨が巻き付いた。


「これで準備完了なのじゃ!ハピネスカラー隊出動!総団長も準備するのじゃ!」


 ホープが指示を出すと拠点側から6m半ありそうな機工兵装の6機が、破城槌の先端に大型のドリルを付けた様な巨大な杭を囲むように持ち、ローラーダッシュしながらベヒーモスの頭に向かって行った。


「いけない!ベヒーモスの頭が機工兵装達に向いてるのじゃ!魔法班!障壁を張って守るのじゃ!」


 ベヒーモスの口から火炎のブレスを吐くと、機工兵装達に炎が向かって行ったが、先に準備していた魔法使い達によって障壁が張られ、機工兵装とドリルクラッシャーを守った。


「私も準備出来たわ」


 ルージュが6属性魔法を合成して作った魔法の剣を握り構えると、機工兵装達も両肩にある補助アームを伸ばして高さを調節した。


「ドリルクラッシャー準備完了です!」


「ハピネスカラー!頭を掴んで動かない様にするのじゃ!」


「はいよっとぉ!」


 ハピネスカラーは甲羅の盾を使い、上に向かってベヒーモスの頭を殴った後、両手でしっかりと頭を掴んだ。殴られたベヒーモスは脳を揺らされ、気絶(小)のデバフが付いた。


「今じゃ!」


 ホープの合図でルージュと機工兵装が動き出しルージュが跳躍した後、左側の角を叩きつける様にして断ち切った。だが、その時ベヒーモスの本能からか気絶のデバフが付いていながらも暴れ出し、ドリルクラッシャーの狙いが半分ズレてしまい大きな亀裂が入ったが、まだつながっている状態だった。


「【大地の隆起(アースクエイク)】」


 ベヒーモスが両前足を地面に叩きつけると地震が起こり、土や岩で出来た太い刺が無数に生え、それが扇状に広がるとルージュやホープ、玄武機や機工兵装達を貫いた後吹き飛ばした。ベヒーモスはその後、胴体を拘束している茨を引きちぎり空に向かって咆哮した。


「【星を破壊す(トライ)る3つの隕石(メテオ)】」


 上空に巨大な3つの魔法陣が現れ、その中心に岩の塊が現れた。そして上空の魔法陣が回転する様に動き出し、何かを貯めている様な音と稲光を出し始めた。


「あれはまずい!全滅する奴だ!」


 ソウルが上空の巨大隕石を見て大声を上げると、ベヒーモスに向かって行く一人のプレイヤーがいた。


「【超集中】【ブリッツ】」


 ベヒーモスに向かって行るプレイヤーは変身したアップルで、スキルを使い急速に迫って行くと高く跳躍した。


「【六道螺旋脚】!」


 跳躍したアップルが体を回転させ、体全体がドリルの様になると罅が入っているベヒーモスの角を叩き折った。


「ギャァァァァ」


 ベヒーモスは悲鳴を上げると、上空の魔法陣の回転が遅くなり、何かを貯めている音や稲光も弱くなっていった。


「マスター!残念ながら角を破壊してもあの隕石は消えないようです!」


「落ちるまでの時間が伸びただけ…か…いや、まだ手はある!」


 ソウルはホワイトローズとユメミルクに連絡する為、フレンド欄から名前をタップした後電話マークを押した。


「二人共!時間がないから簡潔に言う!俺があの隕石の一つをどうにかして破壊するから、残りの隕石はどうにかしてくれ!」


 [ええ!?どうにかってどうすれば…]


 [何か策は無いのか!?]


「すまないが隕石一つ相手するのに精一杯だから策はない!自分達でどうにかしてくれ!」


 [そんなぁ!]


 [おい!グリム!何かできる事は無いか!?]


「…失敗したらごめんちゃい」


 […おい!そのしゃざい…]


 [え?なんだっ…]


 2人が全部言う前に通信を切ると、ソウルはマギアにジャバワークを展開するように言い、Σウェポンを装備してβブレードを確認した。


「マスター!ジャバワーク展開完了です!もしかしてメテオブレイカーですか!?説明文に書かれている事を本当にやってしまうと?」


「それを信じるなら出来るはずだ!急いであの隕石に向かってくれ!」


「了解です!」


 ジャバワークに乗り、隕石に向かって飛び立つとソウルは剣を肩に担いで構えた。


「マギア!ある程度近づいたら俺を思いっきり飛ばせるか?」


「可能です!」


「じゃあやってくれ!」


「了解しました!」


 雲を超え、魔法陣の中心にある隕石に近づいて行くと大きさが際立って行った。


「マスター!」


「頼む!」


 ソウルが跳躍し、ジャバワークがその場で一回転した後、勢いをつけた尻尾を足場にしてソウルは弾かれる様に飛んだ。


「【メテオブレイカー】」


 ソウルはスキルを発動すると、攻撃1回毎に罅が入って行き、12回の攻撃で全体に罅が入ると最後に巨大な光の剣を振り下ろす一撃で隕石が砕かれた。


「やってやったぜぇぇぇ!」


「マスター!」


 隕石を破壊したソウルは落下しながら喜ぶと、慌ててマギアがソウルを回収しようと降下していった。


「玄武機はまだ死んでねぇぇぇ!」


 落下している途中で、ジェットを吹かしながら飛翔してきた玄武機とすれ違ったソウルは、玄武機の一撃で破壊される隕石を確認した。


「(残り1つ…)」


 地上に目を向けてみると、タンク班がベヒーモスの近接攻撃を防ぎ、魔法班が大型の大砲にエネルギーを込めている風景が目に入った。


「(あれで破壊するのか?)」


「マスター!捕まえましたよ!」


「ありがとうマギア、助かった」


 ジャバワークの背に乗り、地上に降りると大型の大砲からエネルギーが発射され、隕石が破壊されたと同時に大砲も爆発して壊れた。


「お疲れソウル!やったわね!」


「お疲れ様です!」


「まさかメテオを破壊するとはね~お姉さんびっくりだ」


 地上に降り立ったソウルの元に、アップル、マナリア、トマーチェの三人が集まって来た。


「アップルもお疲れ!アップルがあそこで角折ってくれたから隕石破壊することが出来た」


「私はただ、やられた仕返しをしただけよ」


「(やられていたのか…まぁそれもしょうがないか…)アップルがあそこでやらなかったら全滅してたしもっと胸を張ってもいいんじゃよ?」


「そ…そんなたいしたことじゃないわ!」


 アップルが赤くなりながらそっぽを向いて照れると、その場にいた全員がニヤニヤして笑った。


「…はぁ~てっと~…残るはあいつだけだな…」


 ソウルがベヒーモスを見ると、魔法やスキルを使う様子がなくただ近接攻撃で暴れている姿のベヒーモスが目に映った。


「マギア他に何かしてきそうか?」


「…いいえ、触媒となっていた角がすべて破壊された事で、スキルや魔法が使えなくなっていますね」


「じゃあ、してくるのは近接攻撃だけかな?」


「ええ、そうです」


「それは…本当かしら?」


 ソウルの後ろから聞こえて来た声に全員が振り返ると、ボロボロのルージュが立っていた。


「ルージュさん大丈夫ですか?」


「あの地面から出た奴でやられたわ…でも身代わりアイテムがあったから助かったけど」


「それは何より…」


「それよりもさっき言った事は本当かしら?あいつが近接攻撃しかできないって?」


「ええ、本当です」


「そう…じゃあ今からあいつをしこたまぶん殴って来るわ!」


「ヒェ」


 ルージュが怒りの形相になり、ソウル達が怯えて悲鳴を上げると、ルーシュがベヒーモスに向かって走り出して行った。


「あれ?総団長…どこいった?」


 地上に降りて来た玄武機からハピネスカラーの声がして、ソウルは先ほどの事を伝えるとハピネスカラーは納得した声を上げた。


「あの身代わりアイテム、1アカウントに1個しかもらえない超貴重なものだから怒るのも仕方ねぇな」


「なるほど…だからあんなに怒っていたのですね…」


「そうだなぁ…っと黄昏れてる場合じゃない、部下達に指示しないと…じゃ!」


 ハピネスカラーが玄武機から降りた後、魔法陣を出して玄武機を収納し、大型のバイクに乗って拠点へと帰って行った。


「じゃあ、俺らも攻撃に加わりますか~近接だけって言ってもあの巨体だから気をつけないとな」


「覚えたての技通じるかしら?」


「私の槍と盾が唸りますね!」


「…ハッこれはまさかガンストライカーが活躍できるチャンスなのでは!やるぞ~やったるぞ~」


 アップル達はベヒーモスに向かって行き、ソウルとマギアは遠距離の位置から攻撃を始めた。ベヒーモスは身体強化も使えない為、プレイヤー達の攻撃を防ぐことが出来ず、簡単に刃を通してしまっていた。その間もベヒーモスは尻尾で薙ぎ払ったり、爪で切り裂いたり等の抵抗するがタンク班に悉く防がれもはや成す術無しの状態だった。


 そしてその2時間後、トマーチェが武器スキルを使いベヒーモスの頭に銃機剣を突き立つと、ベヒーモスが悲鳴を上げて地面に倒れた。


【アナウンス:異常種 ルイン・ベヒーモスを完全討伐しました。SP 1476000 を獲得しました。15000000 オカーネンを獲得しました。 様々な条件をクリアしレイドボスを完全討伐した事で、特別報酬が参加メンバー全員に与えられます。また、希少アイテムも確定ドロップされます。詳しくは、HELPをご参照ください。】


【アナウンス:異常種がプレイヤーによって初めて討伐されました。これにより推定レベル120以上のフィールドで異常種が低確率で出現されるようになります。また異常種を討伐した際には特別な希少アイテムと称号がもらえる事があります詳しくはHELPをご覧ください。】


【アナウンス:称号【巨獣を討ちし者】を獲得しました。全ステータス+30% MP解放されている場合、MP+30%】


【アナウンス:称号【メテオブレイカー】を獲得しました HP+20% STR+15%、DEX+15% AGI+15% LUK+10% INT-8% 】


【アナウンス:称号【異常種を討伐せし者】を獲得しました。各ステータス+20% MP解放されている場合、MP+20%】


「なんかすごくステータスが上がったな…でもメテオブレイカーの称号に-補正があるのはあれか?頭おかしいんじゃねぇかっていう意味か?」


「ソウルさんどうしました?」


「マナリア、お疲れ様!なんでもないよ」


「ソウルお疲れ、あれから結構時間たったわね…さすが異常種…弱体化しても強かったわ」


「アップルお疲れ」


「ソウルソウル!見てた!お姉さんトドメさしちゃったよ!これでガンストライカーが流行る事間違いなしだよ!」


「それはよかったですね」


「ソウル!ちょっと聞いてよう!SP溜まって進化できる様になったのよう!」


「お?それはよかったな!」


「マスター!後は解体班に任せて私達は打ち上げをするから集合する様にとの事です」


「わかった。全員拠点へ移動するよ!」


 ソウル達は歩いて拠点へと戻ると歓迎され、宴が始まった。


準備が終わりベヒーモスとの戦いになりました!


異常種ルイン・ベヒーモス 全長403m 高さ50m の超大型獣。普通のベヒーモスが全長100m高さ10m キングベヒーモスが全長200m高さ15mに対し遥かにでかい図体をしている。


上との会議は実にならなかったけど、部下達が会議するとすんなり決められる不思議。


2021/06/20 タゲをヘイトに修正 思い出せなかったんや…ゆるして…


~8~


ベヒーモスの思考 俺かっこよく参上!→なんかケツ痒いな…→角は止めて→俺の自慢の角が折れたぁ!→絶対に許さんぞ!虫けらども!じわじわと嬲り殺してくれる!!! と考えていたとかいなかったとか。


隊長達は強い→まずい状況になる…定番ですね


コメットって隕石が降ってきているのかと思っていたのですが、よく調べてみたら彗星(氷とガス)なんですね~


やっと人型ロボットのタグをつけられます…玄武機の甲羅は背中にある4本の補助パーツと繋がっていてどんな角度にでも動かせます。


玄武機 体長56mの重量級機工兵装かなりの防御力と水魔法やスキルを使う。


機工兵装は1m大きくなっただけで維持コストが跳ね上がります。そりゃあ万年金欠にもなりますね。


ソウルが隕石を破壊できたのは、ベヒーモスが角を折られ詠唱を中断してしまい魔法が不安定になったから出来たのです。


魔法やスキルが使えなくなったら後は体力勝負


トマーチェはトドメを指すのを狙っていました。


黒き巨獣6の後書きに書いた通り、明日か明後日まとめると思います。失敗したら許してニャン


モチベ維持に評価お願いします!お願いします!


ブックマーク登録もよろしくね!登録ありがとうございます!頑張ります!


2021/06/22  がっつりまとめました!

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