黒き巨獣 4.5.6
何とか投稿出来ました!ですが次回は少し遅れると思います!
お楽しみください!
ソウル達は説教から解放された後も乱狩りを続け、2時間立った現在、休憩する為設営された拠点に来ていた。
「マスターSPの塩梅はどうですか?」
「いい感じだ。今こうして休憩している時でも増えているから、ガンストライカーのスキル全部獲れそうだよ」
「それはなによりです…ですがマスター、残りの1枠はどうしますか?」
「武器重量軽減があるスキルがある職業を取って行こうと思う。重い武器を作っても重すぎて扱えませんじゃ意味ないからな…」
「なるほど、なるほど…ではこちらをどうぞ!軽減スキルがある職業をまとめてあります」
マギアは、ソウルの話を聞きながらウィンドウを操作し、ソウルの目の前に様々な職業の名前が、並んで表示されたウィンドウが表示された。
「何々…凶戦士に獣戦士、黒剣士、槍兵士‥‥マギアこれ、武器指定あるやつか?」
「はい」
「武器指定なしでは?」
「少々お待ちください………こちらになります」
マギアがウィンドウを操作すると、職業の名前が3つだけ残った。
「シーフに浪人、サポーターの3つか…この3つ職業から取れば、全部で60%軽減されるな…お!シーフとサポーター荷物の重量制限もあるのか!取っとこ~」
ソウルはシーフを選択して設定していると、アップル達がソウルがいるの所に向かって来た。
「お疲れソウル、休憩?」
「ああ、ちょっとスキルと職業を設定してた。アップル達も休憩で?」
「機械の警告が出てね、仕方なく」
「あ~俺もいろいろ済ませておくか~腹減ったし」
現実時間を確認してみれば、もう夕飯時を指していた。
「そうね、じゃあ私は先に落ちるわ」
「お疲れ~」
「私もご飯食べてきます」
「マナリアもお疲れ」
2人を見送ったソウルは、自分も落ちようとしてウィンドウを開いた時、ノイン改めノアールがこちらに向かって来るのが見え、ソウルは手を止めた。
「ソウルさん!お疲れ様です!ちょっといいですか?」
「ん?どうしたい?」
「実は…僕も戦い方を学びたくって…」
「なるほど、ノアールは何の武器を使うんだ?」
「えっと、お城ではレイピアと魔法を習っていました」
「レイピアと魔法か…ちょっと待ってて教えてくれる人探してみるから」
「はい!」
ソウルは、フレンド欄を開いて友人二人の名前をタップした後、電話のマークを押した。
「もしもし!二人共今大丈夫か?」
[飯落ちしようとしてたけど大丈夫だよ~]
[俺も飯落ちしようとしてた!夕食カップ麺だけど…どうした?]
「実は俺んとこのノイン改めノアールが戦い方を学びたいって言ってきてな、レイピアと魔法を使うらしいんだが~それを教えられるショタコンいないか?」
[うぇ?ショタコン!?…レイピアと魔法を使うショタコンか~…今違う武器育ててるけど2人いるわ]
[変な注文だな…うちも一人いるけどよ…]
「いまその人たちってここにいるか?」
[いるよ~訓練場に集合させておくね~]
[同じく声かけとくわ]
「ありがとう二人共。それにしてもここの拠点訓練場もあるのか…」
[あるよ~木人相手に新しく取ったスキルとか試し撃ちするからね~最初からモンスター相手に使う煮ではリスクが高いし]
[…よしっと、メール送っといたぞ!じゃあ俺は、飯落ちするわ!]
「あい、お疲れ~」
[私も送っておいたよ~じゃあ私も落ちるね~]
「ありがとさん、お疲れ~」
2人との通信が終り、ソウルはノアールに視線を向けた。
「いるって、今から訓練場に向かうぞ…って場所聞くの忘れてた」
「では、私が案内しますね」
「頼む」
「ちょっとーさっきから踊っているのにリアクションがないわよう!無視しないでなのよう!」
「え?踊ってたの?マジかよ!俺には見えない敵と戦っているのかとばかり…」
「この踊りは、妖精族に伝わる踊りなのよう!妄想の敵と戦ってたわけじゃないのよう!ムキーなのよう!」
「はいはい、わかったわかった。時間も無いしとっとと行く太郎~」
「なによ!太郎って!誰なのよう!」
ソウルとノアールは、ティーの騒がしい声を聴きながら、マギアの案内で訓練場へと向かって行った。
「ここが訓練場ですね。木人のアイテムIDを辿って来たので間違いないです」
「案内ありがとう。で~教えてくれる人は…」
ソウル達が訓練場に到着すると、他のプレイヤー達が人型の木人に向けてスキルや魔法を使っている風景が目に入って来た。その訓練場を見渡し、ノアールに戦い方を教えてくれる人物を探していると、3人の女性がソウルに近づいて来た。
「隊長の友人のソウルさんですか?隊長からのメールでは住人に戦い方を教えて…」
ソウル達に近づいて来た3人の内の一人、赤いロングストレートの髪型で胸も大きく、胸元が空いた白が基調のドレスを思わせる鎧を着た女性がノアールを見て、言葉の途中で硬直した。
「フラウニーちゃんどったの?…あーこれはフラウニーちゃんにどストライクの子だわ」
「そういうポットワインはどうなのよ?」
「黒髪だったらどストライクでした!」
「えっと~貴女達がノアールに戦い方を教えてくれる方達ですか?」
「はい!この固まってトゥンクしてる娘がフラウニーで、私がポットワインです!そして横でハァハァしてる娘がチョコルームスです」
「(き〇この山派閥か…)初めまして、よろしくお願いします。改めてご挨拶しますが、俺がソウルで横にいるのがマギアです。そして周りでうるさく飛んでるのがティーです。そしてこの子が…」
「ノアールです!よろしくお願いします!」
「よろしくね~。で~ソウルさん?どの程度教えればいいですか?」
「とりあえず囲まれても一人で離脱できる位~…ですかね?あ、一応この子帝国の第4皇子なので、無茶な事をさせて怪我を負ってしまう等の事が起こらないようにお願いします」
「だ…第四皇子!?わ…わかりました…」
「まぁ、多少ならおさわりしてもいいので、みっちりとお願いします」
ソウルの言葉にフラウニーが反応し、ソウルに傅いた。驚いたソウルはフラウニーの目に視線を合わせると、フラウニーの目には欲望と言う文字が書かれた炎が宿っていた。
「おお!救世主よ!感謝します!…その命、命に代えましても必ずやり遂げます」
「こいつやべぇな…(これは頼もしいですね)」
「マスター…多分ですが心の声と建前が逆になってますよ?」
ソウルが満面の笑みで答えたが、マギアのツッコミでハッとした後、誤魔化す様に咳ばらいをした。
「じゃあ、後はよろしく頼みます。ノアール?こんな機会滅多に無いと思うから、みっちり教えて貰えよ?」
「はい!ソウルさん!ありがとうございます!」
「では、俺は飯落ちします。それでは~」
「お疲れさまでした。一応私もノアールを見ていますね」
「ああ、頼む」
ソウルはマギアに頷いて返事を返した後、現実世界に戻って行った。
「飯飯~っと」
総一郎は一階に降りて行くと、唐揚げの匂いが鼻を刺激し空腹感が増していくのが解った。
「母さん今日は何?」
「そうめんと唐揚げよ、もうすぐ出来るからあっちで待っといて」
「はいよ~」
総一郎が台所を通り、リビングへ向かうと父親が座卓の上に書類をまき散らし、首を傾げながら唸っていた。
「父さんお帰り、どうしたの?」
「ああ、ただいま。いやな…社長が今度は医療補助ロボット作れって言ったのだけど難しくてな…パワーがあり過ぎると危ないし、逆に無いと人を支えられないし…どうした物かと悩んでいたんだよ…」
「それは難しそうだね、100k超える人が両手両足骨折してたら車椅子に移動させるのにもパワーがいるし、少し力を入れただけで骨折する骨粗鬆症の人を介護するには、絶妙な力加減が必要になるしね」
「そう!そうなんだよ!それに個人差っていう物があるだろ?それが難しくてなぁ…」
「医者が数値を入力するのはどう?」
「いや、それでは病院に始めてきた人は補助ロボットが使えなくなってしまう…目の前に苦しんでいる人がいるのに数値入力してないから使えませんじゃ話にならないからなぁ…」
「難しいね」
「自己判断で適切な行動を取るようなAIも組み上げないとなぁ…総一郎の知り合いに居ない?」
「さすがにAIの知り合いはいないよ…」
「だよなぁ…いたら父さん、きりもみ三回転からのキャット空中三回転を決めるよ」
「ゲッタンかな?」
「ご飯できたわよ~」
母親の声に反応して、家族全員が台所にあるテーブルに集まり夕食を食べ始めた。その夕食時、姉と妹の唐揚げレモン紛争が起きる寸前だったが、母親の睨み一つで無事食卓の平和は守られた。
「っく…唐揚げ紛争のせいで3つしか食えなかった…無念…」
夕食を食べ終え、部屋に戻ってきた総一郎はスマホを確認してみると1件のメールが来ている事に気が付いた。
「坂田から?なんだろ…」
総一郎がメールを開いて内容を確認してみると、ノアールが面白い事になっているという文が目に入り、不安を覚えた総一郎は急いでログインし始めた。
「おー!ソウル!飯済ませてログインしたら面白い事になってんぞ!」
ログインしたソウルに、ユメミルクが半笑いしながら近づいて来ると、ソウルは人だかりが出来ている所へ向かって行った。
「はい、王子あーん」
「あーん…じゃなくて!僕…戦い方を教えてほしいのだけど…」
「ええ、解っております…これから戦い方をみっちりと教えて差し上げますよ」
ソウルが人だかりを掻き分け、原因となっている中心に向かって行くと、そこにはベッドが一つ置いてあり、その上にノアールとフラウニーが寝そべっていた。ベッドに寝ている二人はピンク色の雰囲気を出し(フラウニーだけ)今にもヤバい事が起きる5秒前だった。
「これから、私が夜戦をお教え…」
「ほう…夜戦がなんだって?」
ソウルが地獄から聞こえる様な低い声を出し、フラウニーは背後から聞こえた声に硬直した後、ゆっくりと後ろを振り返ると、鬼神の顔したソウルが仁王立ちで立っていた。
「もう一度聞くぞ?夜戦がなんだって?」
「えっと、いや~その~あははは…」
「それに、なんだ?その果実は?その果実を食べさせた後、何をするつもりだったんだ?」
「なにってそれは…ナニしようとしてました!」
「アウトだ!馬鹿もん!」
ソウルは、アイテム欄から大きなハリセンをすばやく取り出し、フラウニーの頭に叩きつけた。その後、頭にたんこぶを付けたフラウニーを正座させ、ソウルは周りを見渡すと、近くに鎖に巻かれたマギアとポットワイン、チョコルームスが地面に転がっていたのがみえた。
「すみません…マスター不覚を取ってしまいました」
「いやーソウルさんが落ちたら急にだもんね~対処できなかったわ~」
「放置プレイもまたいい…」
三人を鎖から解放したソウルは、改めて睨みながらフラウニーと向き合った。
「俺は、戦い方をノアールに教えてあげてくれと言ったはずだが?」
「えっと…いわれた通りに戦い方を教えようとしてました…夜の…」
「誰が夜の戦い方を教えてあげてくれと言った?俺が行ったのは、生死を掛けた戦いの事だ!」
「はい!言われた通り〇子を掛けた戦いを教えようとしてました!」
全く悪びれないフラウニーに、もう一度ハリセンで頭を叩くと、たんこぶの上にもう一つたんこぶが出来上がった。
「俺が間違っていたよ…ショタコンなら無茶な事はせず大切に指導してくれるだろうと思ったが…間違っていた…多少のボディタッチ位ならいいだろうと思っていたのが間違いだった…変態は変態だった…」
ソウルは手で目を覆いながら言った後、マギアにノアールをここから遠ざける様に指示を出した。
「ああ!ノアールきゅん!救世主よ!ご無体な!」
「だまらっしゃい!…さて、ここに集まってる皆よ!聞くまでも無くギルティだが、この者の判決を聞きたい。ギルティオアノットギルティ?」
「ギルティだわ」
「ギルティ!」
「面白そうだからギルティ!」
「羨ましいからギルティ」
この場に集まっている皆に有罪か無罪かを聞くと、満場一致で有罪となった。
「汝の判決は有罪となった。これより刑を執行する」
「おいおい、痛覚切っているのにどうするんだ?」
ユメミルクが、痛みではどうしようも出来ないと伝えどうするのか?とソウルに尋ねると、ソウルはニヤリと笑い土魔法と氷魔法、水魔法が使える人をその場に集まっている人達の中から募集すると、ちょうど三人が手を上げた。
「手を上げたくれた方、ありがとうございます。ではまず土魔法でこの位の土箱を作ってください。はい…ありがとうございます。では次にこの土箱の中に水魔法を満杯で入れてください」
手を上げた三人は、ソウルが何をしたいのか大体の事を察すると、手際よく支持された物を作った。
「このゲーム痛覚切ってても寒さだけは感じるんだよね…だから、この変態さんには頭冷やしてもらおうかなと思ってさ」
「あ…あの…頭冷やすっていうよりも凍えそうなんですが…」
「大丈夫ですよ~リアルの体は問題ないはずですから…多分…なのでこの中で正座して反省してくださいね」
「え?いやでも…」
「あ゛あぁ?」
「ナンデモナイデス…ハンセイシマス…」
満面の笑みでソウルはこれからする事を説明したが、フラウニーが反論しようとするとたちまち鬼神の表情となり、フラウニーは反論する事を止め素直に従い、土箱の中に入って正座した。
「では、最後に氷魔法をお願いします」
氷魔法を唱え、土箱の水を氷水にするとフラウニーが数秒も立たず震えだした。
「めっちゃ‥‥寒い…」
「しばらく反省してくださいね~ざっと4時間位…」
「そんなー…」
ソウルは、「執行完了!」と言いながら謎の決めポーズをした後、ノアールの元へ向かった。
「すまない、ノアール…俺の人選ミスで変な事になってしまった…今度は普通に教えてくれる人さがすから」
「あ、いえ大丈夫ですよ。ただベッドに寝ていただけなので」
「おーい、ソウルさん」
ソウルがノアールに頭を下げ謝罪していると、ポットワインとチョコルームスがソウル達に近づいて来た。
「あの変態のせいでおかしな事になっちゃったけど、私達ならちゃんと教えられるよ?黒髪だったら私もあれと同じようになっちゃう可能性があるけど、ノアール君金髪だから大丈夫だよ!」
「はぁ?それを信じるとでも?」
「シンジテ!」
チョコルームスが必死になって訴えたが二人の言い分が信じられず、ソウルはジト目になって二人を見ていると、ノアールが腕の袖を引っ張って来た。
「ソウルさん、僕はこの二人は大丈夫だと思います。あの人と同じ臭いがしますが、さっきみたいな事にはならないと思いますから」
「…ノアール…これから俺達は狩りに行くから、間違いが起こっても助けに来られないかもしれないぞ?その言葉は、自分でよく考えて出した答えか?」
「はい。やるにしてもちゃんと他の人達がいる場所でやりますし、このお二人ははさっきの人みたいな
目をしていないので大丈夫だと思います」
「そうか、そういうなら俺は何もいう事はない…だがそこの二人!やらかしたら即通報するが…いいな?」
「おけー任せて!」
「yes!ショタ!ソフトタッチ!」
「最後の言葉に不安を覚えるが…じゃあ頼む」
「じゃあ、ソウルさん行って来ます」
「気をつけて行けよ~」
ノアールが元気よく頷くと、三人は訓練場に向かって行った。それを見送った後、ソウルは狩りをする為、武器に異常がないか確信した後、今でも続いている乱狩り場に向かって行った。
「どんどん行くぜ!」
「マスター!右に敵がポップしました!」
「了解!こいつを倒したらすぐ行く!」
トカゲを黒い霧に変え、マギアが報告した敵に向かって銃機剣を振り、敵を倒していると拠点がある方から男性の声が聞こえてきた。
「そろそろ今日は終わりにしますよー!今戦ってる敵で最後にしてくださーい!明日の朝10から再開しまーす!」
ソウルがリアル時間を確認すると、乱狩りを始めてから5時間が経過しており、ハッとしてしまった。
「熱中してると時間を忘れるな…」
「それはゲームあるあるですね」
「あるあるというかありすぎだな」
「あ、ソウルさん!お疲れ様です!拠点に戻りますか?」
「ん?ああ、マナリアもお疲れさん。戻るよ」
「では、行きましょう」
ソウルが一息ついてマギアと話していると、マナリアが後ろから声をかけてきた。三人は拠点に戻ると、アップル達が木箱の上に座り雑談している様子が見えた。
「放浪王はギアカウント100越えると一気にダメージはいるから雑魚的一匹残して、100越えたあたりから全力攻撃すれば倒せるわ…あ、ソウルお帰り」
「マジですか!どうしても強くて倒せないから、どうにかしてドールの攻撃当てれないか山の斜面うろうろしてたよ…あ、お帰り~」
「その話を聞いてあのゲームの事だとわかるが…あのゲームも勿体ないよな、いろいろと‥‥」
「そうね…勿体ないゲームが沢山あるわ…リメイクしてくれないかしら?」
「難しいだろうね~今はVRが主流で次々と新しいゲームが出てるけど、このゲームみたいな自由度はないし作り直して販売したとしても、小遣い程度の儲けしか出ないと思うぞ?さんざん作り直してクソゲーになったやつも多いし」
「もう期待値が低いって事かぁ~」
「やらかしたらやらかした分だけコンテンツとしての価値も下がるという事だな。逆も然り」
「勿体ないと言えばソウル、ちゃんと取るスキル選んでる?あっちもこっちも取ろうとしてるとすぐSPが無くなるわよ?」
「してるぞ!って言っても武器重量軽減と荷物重量軽減しか今は取ってないけど」
ソウルはウィンドウを開き、設定している職業のスキル欄を表示した。そのスキル欄をスクロールしていくと一ついいスキルが目に入った。
「あ、これいいじゃん!」
ソウルは見つけたスキルを取った後、ふとアップルに視線を向けると、アップルは微妙な顔をしていた。
「ねぇ…ソウル?いま思い付きでスキル取らなかった?」
「いや?「アタックスティール」っていうスキル名で効果は、攻撃すると低確率でアイテムを獲得できるパッシブスキルだよ」
「あ~シーフの技だね、Lv上げるとレア素材も手に入るから金策に使えるスキルだよ」
「そう…よかった、ソウルにしてはいいの選んだじゃない」
「俺にしてはってどういうことだ…」
「守護者の塔での出来事忘れたとは言わせないわよ?」
「…っく!それを言われると何も言えない…」
「マスター…弱くないですか…やれやれですよ」
マギアがソウルを見ながら呆れているが、マナリアはマギアを見て「マギアさんも同じなんじゃ?」と心の中で呟いた。その後、ソウル達は欲しいスキルについて話し合っていたがリアルの時間が深夜帯になった為、各自ログアウトする事になった。ソウルは落ちる前にノアールの元へ向かうと、まだ戦闘訓練を続けている様だったので、頑張っている姿のノアールを確認した後、ソウルはそのままログアウトボタンを押し、現実世界に帰って行った。
「さっさと起きるのよう!そして私の為にSPを稼いでくるのよう!」
「うるせぇ!」
スマホから、最大音量で聞こえてくるティーの声に叩き起こされた総一郎は、時計を見ると朝の7時近くを指していた。
「まだ、7時じゃねぇか…」
総一郎は二度寝しようとしたが、再びティーの声に邪魔されてしまい渋々起きる事に決めた。
「さぁ!はやく!いくのよう!」
「行かない!マギア!うるせぇから先に行ってノアールの様子見といておいてくれ」
「了解しました。ほら、ティー行きますよ!」
「ちょっと!どこ掴んでるのよう!ああぁぁぁぁ…」
「雷鳴は過ぎ去った…」
総一郎が部屋から出ると、妹の有栖がちょうど同じタイミングで部屋から出てきた。
「総兄ィ…変な目覚まし音使ってるね?」
「ごめん、うるさかったな。目覚ましの音、最大音量にしてたの気づかなくて流しちまったよ」
「まるで会話しているみたいだったけど…」
「ああ、ゲーム内で録音した声をスマホに落として設定したんだ。あの甲高い声なら一発で起きれそうだしな」
「そうなんだ。確かにあの声なら起きれるね!」
有栖にティーの声が聞かれ、一瞬ヒヤリとしたが何とか誤魔化すのに成功すると、今度は姉の美咲が二日酔いで苦しんでる顔をしながら部屋から出てきた。
「頭痛ゥ‥‥総ちゃんうるさいよ…」
「ごめん…」
美咲の険しくなった顔を見て、総一郎は素直に謝った。それから三人は朝支度を済ませ、母親の作る朝食が出来るのをテレビに流れているニュースを見ながら待っていると、総一郎の目に気になるニュースが入って来た。
「ブレインアクション社が提供するFD型VRゲーム「Wonderful Planet」の管理AIが有名セキュリティハッカー集団「トゥルーアイ」を撃退したとの発表がありました。この発表によりますと…」
「マジかよ…そこまでAIが優秀なら国防省のセキュリティ簡単に突破できそうだな…」
「…その管理AIいま開発してる医療補助ロボットに使えないかな…無理か…」
「父さんおはよう」
「おはよう…ダメ元で頼んでみるか?…いや、しかしその位優秀なら結構なお値段しそうだし…うーん」
父親の兵吾が体を傾かせ唸っていると、母親が作る朝食が出来上がったという声が台所から聞こえて来て、家族全員で朝食を取り始めた。
「朝はご飯もいいけどトーストもいいな」
総一郎が、朝食を食べ終え自分の部屋に戻ってくると、スマホにメール着信が2件が来ている事が解り、メールを開いてみた。
「右近寺からか…なになに…「これから総団長に報告してくるぜ!期待しててくれよな!」あー例の報告合戦か…もう一件は…「へへ…やった…やったぜ…一番最初を勝ち取ったぜ…へへ…それで総団長が話してみたいって言うからログインしたら会議テントに来てくれ…」…お疲れとしか言いようないな」
総一郎はスマホを置いた後、早速ログインを始めた。
「よっと!」
ソウルがログインを完了してフレンド欄を見ると、アップル達はまだログインしておらず名前が黒く表示されていた。
「皆はまだ来てないか…とりあえず会議テントに向かうか…場所どこだ?」
ソウルは、近くにいた隊員に会議テントの場所を聞き、その場所へ向かうと一回り大きなテントが見えその中に入って行った。会議テントの中に入ると、入り口の近くに何か真っ白くなったものが座っているのが分かった。
「やぁ…ソウル…待っていたよ…」
「ホワイトローズ!?どうした?灰みたいに白くなってんぞ!」
「へへ…私…燃え尽きちまったよ…真っ白にね…」
ホワイトローズをよく言見て見れば、装備している防具はボロボロになっており、足元に転がっている武器と盾には、ほんの少し衝撃を与えると壊れそうな程の大きな罅が入っていた。
「激戦だったんだな…お疲れ様…」
「ああ…ありがと…総団長が奥にいるから奥にどーぞ―…」
「あいよ」
風に吹かれ四散していったホワイトローズを他所に、ソウルはカーテンを押しのけ奥に入って行くと、外から見えるテントの大きさよりもはるかに広い空間が広がり、その最奥に赤い髪と赤い鎧を着た女性が腕を組んで座っていた。
「君がデルタクロスと異常種ベヒーモスを見つけてくれたソウル君かな?」
「はいそうです」
「あ…」
「あ?」
「ありがとニャン!」
「‥‥‥」
突然、感謝する言葉の語尾にニャンを付けた女性に驚き、どうしていいか解らずただ目を見開いて見つめる事しかできないソウルだった。
「あれ?おかしいわね?今の子は語尾にニャンを付けると萌~とか言わないのかしら?」
「いやもう、無理はするなという言葉しか浮かびませんね…」
「無理って何よ!まだ私はピチピチの17歳の女の子よ(PCの設定した年齢)!」
「(ピチピチって…)えっと、俺と話したいと聞きましたが…」
「そうそう、私に強くなる方法と強敵の情報をくれた君に何かお礼したくて、白ちゃんに頼んだの!何がいい?」
「お礼ですか…そうですね…」
ソウルは少し悩んだが、帝国とのいざこざを思い出し手を打った。
「では、帝国と戦争する事になったら戦力をください」
「あー…白ちゃんから軽くしか聞いて無いんだけど、帝国と揉めてるんだっけ?私自身は協力出来るけど、他の子たちは強制できないよ?なんたって私達は来訪者で冒険者なんだし」
「ええ、俺とユメミルク、ホワイトローズの三人は強制参加ですが、他の人達に無理を強いるつもりはありません。他に協力をしてくれる人達には、自由意志と自己責任で参加してくれと伝えてありますのでそこの所は問題ないですよ」
「もし、人が集まらなくて三人だけで戦争するって事になってもやるの?」
「やりますよ?まぁその場合碌な結果にならないと思いますが」
ソウルが邪悪な笑みを浮かべながら総団長にいうと、何故か総団長は悔しそうな顔をした。
「そんな楽しそうな顔で言われると、何か起きるかも?って期待しちゃうわ!ずるい…ズルいわ!私も楽しい事したい!いいわ!宣言してあげる!【盟主の命において我ら、薔薇乙女騎士団は貴方に全面協力する。またこの宣言には条件があり、貴方が帝国と戦争状態となった時に有効になるものとする】…これで良しっと」
総団長がウィンドウを開き何かを操作した後、大声で宣言すると声に出した内容が、空中に淡く光る文字として浮かび上がり、一枚のスクロールへと変わって行った。
「はいこれ、宣言書。これでソウル君達が帝国と戦争状態になった時、私達が参戦しても問題なくなったよ!大切に保管といてね!」
「ありがとうございます」
「じゃあ、私の用も済んだ事だし、大社に行って秘術受けて来るよ!その後また此処に来て乱狩りに参加するからその時はよろしくね!」
「はい、よろしくお願いします。…あ!そういえばお名前は?」
「あ!ごめん!名乗って無かったね!私の名前はローズルージュ!ルージュって呼んでね!」
「はいわかりました。では失礼します」
ソウルは軽く会釈した後、会議テントから出て深呼吸した。
「これで戦争状態になっても3人対帝国と言う形じゃなくなったな…いや…もっと人数が必要か?帝国がどの位出してくるのか判らないしな…」
ソウルがこの先どうすればいいのか考え始めた。
~5~
会議テントを出た後、ソウルは10時から始まる乱狩りまでまだ時間がある為、欲しいスキルを確認したりノアールの訓練や話したりして時間を潰していた。9時を過ぎると人も増えだして行き、アップル達もログインしてきた。
「おはようソウル、早いわね」
「おはよう。いやね、ホワイトローズに呼び出されて薔薇乙女騎士団の総団長と話してたんだよ。それで帝国と開戦したら協力してもらえる事になった」
「戦争…ねぇ?ソウル、聞きたいのだけど帝国側につくプレイヤーもいるのかしら?」
「無い…とは言えないな。帝国で悪さをしている奴らは狡猾だから、状況が不味くなれば適当な餌を鼻先にぶら下げてくると思うぞ」
「PVPも視野に入れて強化していかないとだめなのね…もう一つ聞きたいのだけど、帝国側には強い住人はいるのかしら?」
「いる。さっきノアールから聞いて来た。なんでも帝国には6守天魔やら6攻逢魔がいるらしい…そこの所詳しく聞いてみたが、機密情報だから教えられないと言われてしまったが、互いに監視し合っている関係とだけ教えてくれた」
「12人の力を持った住民とプレイヤーね…勝てるの?」
「今のままでは難しいだろうな…俺らにとっての「勇者」が居れば話は別だけど」
「勇者?」
「そう勇者…軍を相手できる個の存在が居れば、俺も強気で行けるんだけど…いないよなぁ…」
「そういえばこのゲームって勇者どころか魔王の存在なんていないわよね?ファンタジーなのに…」
「プレイヤー自体が勇者や魔王になれるからな~後々追加されても多分皆「勇者(笑)」とかそんなのいたっけ?って言われる魔王になりそうだな」
「悲しい存在ね…よく使われてる伝説なのに…」
「ソウルさんアップルちゃんそろそろ始まるみたいですよ!」
乱狩りが始まる事を伝えに来たマナリアが二人に言うと、二人は返事を返し狩場へ向かった。
「さて、今日も稼ぎますか」
「もう少しで要求値に行けそうです!」
「ウェポンマスターのスキルある程度取ったけど、次の拳法家どうしようかしら?…いっその事全部廻ろうかしら?」
「マスター、ノアール君が順調に強くなっていますよ!負けられませんね!」
「さぁ!私の為にSP稼ぐのよう!目指せ妖精女王なのよう!」
「しまった…昨日飲み過ぎた…」
続々とソウルの周りに集まって来た仲間達が、騒ぎながら狩場へと向かい一日掛けてSPを稼いでいった。次の日、マナリアが騎士ジョブクエストする為の条件を満たした為、ホワイトローズの飛行船に乗りアークライト城下町へと降り立った。
「マナリアの他にも騎士ジョブやる人いるんだな」
「新人さん達だね、うちに入隊したい人は騎士にならないと行けないし、騎士になるのに最速でなれるユニオンだから利用する人も多い訳だよ」
「それは騎士になったらユニオンから脱退する奴がいそうだな」
「そういう人は別途料金貰ってるから問題ないよ?」
「…逞しいなぁ」
「こっちもユニオン運営して行かないといけないからね~ソウルも銃士増やしたいならやってみれば?」
「Nerfされた数値が正常になったら考えるか…」
「ソウルさん!そろそろ出発するらしいので行って来ます!」
「行ってらっしゃい」
「マナリア、頑張ってね」
「行ってらっしゃい!気合だよ!マナリアっち」
「騎士になったらデイムマナリアとお呼びしなくてはいけませんね!」
「近くで応援してるから頑張るのよう!」
「皆さん、ありがとうございます!じゃあ行こっかティー!」
マナリアとティーがホワイトローズの新人達と一緒に城へ向かうのを見送った後、ソウル達は再び飛行船に乗り今度はアクアクリスタリアへと向かって行った。
「もう一度確認するけど、本当に今のままの状態で上位職取るの?」
「ああ、昨日寝る前に考えてこう思ったんだ…「どうせNerfで弱体化されているのだし、上級職にしても少ししか強くなれないんだったら取っちゃってもいいんじゃね?」と…」
「これは後で泣きを見るフラグですね…」
「大丈夫!作りたい銃に必要なスキルは取った‥‥全部Lv2だけど…」
「そんなスキルで大丈夫か?」
「大丈夫だ問題ない…と言い出いけど、ダメだね…ベヒーモス相手に近接~中距離の位置で戦ってもすぐやられると思うから、なるべく遠距離から攻撃しないと行けないし、今持ってる武器じゃ20mが限界だから最低でも100m以上離れた場所から攻撃できる武器が無いとな…。」
「そういえば銃士って後衛職だったね~近接職並みにガンガン前に行っているから忘れてたよ」
「回避型タンクしたり近づかないと攻撃当たらないから仕方なかったんだ…」
ソウルは、これまでの戦闘を思い出しながらしみじみしながらと言うと、目的地のアクアクリスタリアに到着した。ソウルとマギアは飛行船から降りると、飛行船はそのまま東に向かって行った。
「マスター?アップルさんは大丈夫でしょうか?ホワイトローズさんが知り合いの道場を紹介してあげると言っていましたが…あれはどう見ても道場破りする気満々でしたよ?」
「格闘漫画なら返り討ちにあってそのまま門下生になる奴だな…きっとそうだろ!そうに違いない!そうだと言ってくれ!…ああ…責任が俺に来ないといいな…」
痛覚遮断しているのに痛み出した腹を抑えながらソウルは、マギアと一緒に銃士ギルドへと向かって行った。
「こんにちわ~」
「ん!?その声は、ええ尻しとるソウルさん!お久しぶりです!」
最初から飛ばしてきたハリーベルに、ソウルは顔を引きつらせたが気を取り直し、用件を伝えた。
「銃士を上級職にしたいのだが、どうすればいい?」
「ナイスヒップ!略してナ尻のソウルさんは銃士の上級職になりたいのですか!?じゃあ、私に2時間お尻を触らせ‥‥ててててぇ!」
「まじめにやれ…」
ソウルは鬼神の表情をして、ハリーベルにアイアンクローを喰らわせていると、2階からお馴染みの笑い声が聞こえてきた。
「ハッハー!ソウルっち久しぶりぃ!上級職になりたいんだって!?どんな上級職をお望みだい?」
「やぁ!セフティ久しぶり。100m以上離れた位置から攻撃出来て、それでいて高火力の武器が装備できる職業無いかい?」
「ハッハー!すごい事要求してきたな!今度は何を狙っているんだい?」
「異常種ベヒーモス」
「は‥‥はぁ!?異常種!?それにベヒーモスだと!?」
笑う事が出来なくなるほど驚き、ゼフティの目が限界まで見開いていた。その様子を見て、ソウルはセフティは異常種について知っているなと思い話を進めた。
「とある事情でそいつの持ってる角が必要になってな…」
「詳しく事情を聞いてもいいか?」
「もちろんいいぞ」
「じゃあ、ギルドマスターの部屋で聞こう…っとその前にそろそろハリーちゃんを放してあげて…」
口から魂が出ているハリーベルを放すと、そのまま崩れ落ちる様に地面に倒れた。
「うへへ…ええ尻しとるやん…ちょっと私に触らせて…」
「こいつ…気を失っても尻を追い求めているとは…筋金じゃなくて鉄筋入ってるな…」
ソウルはハリーベルをそのままにして、ギルドマスターの部屋に向かった。
「じゃあ、詳しい話を聞こうか…」
「ああ、最初の字始まりは…」
ソウルは、最初から今に至るまでの事をゼフティに伝えると深刻そうな顔をした。
「そうか…アンジェラさん、息子夫婦の事お孫さんに話したのか…当時俺っちもあそこの砦で防衛してたから事情は知っているぜ…異常種を討伐して帰って来たアンジェラさんを見たんだけど…酷かったぜ…」
「アンジェラさん…話している時、手が震えてたな…」
「あれは本当に地獄だったからしょうがないさ…なぁ?ソウル…俺は忠告するぞ…今回はてを引いた方がいい…」
「そうだな…俺もできる事なら手を引きたいと思ってる…だけどそうも言ってられない状況なんだよ…世界の命運がかかってるし…」
「その宝物庫にある宝ってそんなにヤバいのか?」
「ああ、人類が手にしたら確実に滅ぶ品物だ…」
「何で帝国はそんな物を欲しがるのかね?」
「知らないんじゃないか?どうせその宝で他国を侵略したり、金を掻き集める事が出来る道具だと思っているのだろう…所詮奪う事しかできない奴らなんて碌な事しかしないな」
「そうだなぁ…」
ゼフティが何かを思い出しながらソウルに同意した。
「分かった!ソウルっちには特別な上位職にして上げよう!その名も「アビスシューター」!この職業は銃士の上位職を全部修めた後、特別なクエストを完了するとなれる職業だ!やったね!ソウルっち!一時的でも最強の銃使いになれるよ!」
「ん?一時的ってどういう事だ?」
「ハッハー!俺っちの権限を使えば条件付きでどんな上位職にでもなれるんだ。まぁ所謂お試し職業って言う奴だね」
「え?お試しなのか?永久的にじゃなくて?」
「ソウルっち…世間はそんなに甘くないよ…アビスの名を持つ職業は、特別なクエストの一つに各ギルドマスターから許可証を貰わないと行けないやつがあるんだ…俺っちがそれを無視して勝手にやっちまうと解任されるだけの話じゃ無くなりしまいにゃ命を狙われちまうよ…」
「それほど厳しいのか…」
「ああ…厳しいけど、期待していい職業だ」
ゼフティが数枚の書類に記入して行き、最後に印象を押すとソウルの目の前に「お試し職業・アビスシューター 期限7日間 実行しますか? はい/いいえ 」と言う表示が現れ、ソウルは「はい」を選択した。
「ハッハー!これで今日から7日間ソウルっちはアビスシューターになったぞ!お試しだからスキルやパッシブスキルなんかはある程度取った状態で始められるけど、スキル関係は弄れないから注意してくれ」
「わかった、ありがとう。じゃあ、早速材料買って武器作るか…マギア!競売所に…あれ?マギア?」
ソウルは、マギアが後ろに着いて来ていると思い後ろを振り返ってみたが、その姿は無く受付に戻ってみるとハリーベルと何かを会話していた。
「結局の所、いい尻している人は将来天下取ることが出来て無病息災、家内安全、夫婦円満、子宝成就などいろいろご利益があるのよ!」
「お尻にそんな効果が…」
「そんな効果ねぇから!マギア、話は終わったから競売所に行くぞ!」
「了解です!マスター!」
2人の会話にツッコミを入れ、マギアを連れて競売所へ赴くと、持っている不要な物を売り払い鞄や素材など大量に買い込んだ。
「マスター?どのような武器をお作りになるのですか?」
「両手持ちの大口径銃と大砲級の銃だ。距離と火力…この二つを求めて行きたいと思ってる」
「火薬型ですか?光学型ですか?」
「それはまだ決めてない…」
「では、マスターは銃のデザインを考えてください!中身は私が設計するので問題ないですよ!」
「連射速度も考えないといけないか…」
ソウルは銃の形を考えながら銃士ギルドへ戻っていった。
~6~
「これで良しっと」
「デザインが出来ましたか?」
「ああ、出来た」
ソウルは、銃士ギルドの製作室で大型銃のデザインを書き終わると、マギアに見せた。
「いろいろ盛りましたね!」
「これでも少ない方だぞ?」
「え?本当ですか!?」
「あと他にレールガンや追尾型ロケットランチャーなんかも乗せたかったけど…素材がもう買えない…」
「あれだけあったオカーネン全部使ったのですか?」
「魔法の鞄が高かったのが原因だな…三分の一の値段したよ…」
「そんなにしたんですか!?もっと安い低ランクの鞄もありましたよね?」
「そうなんだけど、ベヒーモス戦の事考えてこの容量にした。なんせ2000人以上が参加するから薬品類なんか大量に必要だろう?それにトマーチェさんが使う弾薬も必要だと思うし」
「ああ、なるほどです」
マギアはソウルの言う理由に頷き、紙に書かれた大型銃に視線を向けた。
「では、作って行きますか。レールガンなんて目じゃない性能にして上げますよ!」
「まじか!それは楽しみだな」
マギアは紙に書かれたデザインを設計図へと起こし、ソウルはその設計図を頼りに砲身等作り始め、マギアはエネルギー装置を作り始めた。初の大型銃で部品も多く、とても今日一日だけでは作りきれず完成したのは次の日の16時になった時だった。
「やっと…完成しましたね…」
「徹夜作業になってしまったな…ブルーローズ使いすぎて頭痛い…」
「アナウンスは出ませんでしたが、この武器に名前を付けますか?」
「グラウンドゼロと呼ぼう」
「リネーム完了しました!この武器はガトリングガン、ミサイルポット、大口径弾、ブラスター、多線型レーザーを撃ちだせます!数値だけ見ればレジェンダリーを超えていますよ!」
「ついに俺もレーザー系を撃てるようになったか…よし!試し撃ちに行こう!」
ソウルは机に置かれたグラウンドゼロを持ち上げたが、かなりの重さで走る事は出来ず移動スピードにも制限が掛かってしまっていた。
「重すぎ…軽減スキル取ってこれかよ…」
「少々お待ちください‥‥‥‥‥‥STRを二回上げれば移動制限は解除されますね」
「行けるかな…?」
ソウルはステータス画面を開き、STRを二回上げるとSPが底をついてしまったが、ステータスを上げたおかげで移動制限は解除された。
「よし、これなら背負った状態でなら走れるな。通常時よりも遅いけど…」
「もういっその事パワードスーツを開発しますか?それならどんな重い物を持った状態でも時速300km以上で走る事が可能ですよ!」
「時速300km?600万しそうなバイクかよ…」
「もう中古でしか買えない代物ですよ…ではなく、パワードスーツです! 303式です!マドッ〇スです!ストレイトジャケッ〇です!」
「ストレイ〇ジャケットは2クールで放送してほしい…まぁ、かっこいいのを身に着けたいけど、オカーネンとSPがない…いずれ開発しよう…そうしよう…」
ソウルは、グラウンドゼロを背負い製作室から出た後、その場にゼフティが通りがかって少し話し合ってると、ゼフティがグラウンドゼロの試し撃ちにぴったりな敵が居ると言い、案内してもらう事になった。
「ハッハー!うちの鉱山掘り進めてたらモンスターの巣にぶち当たってさ~困ってたんだよね…ライトニングロッドタートルっていう亀型のモンスターなんだけど雷魔法で攻撃してきたり、弾丸が躱されたりするんだよね…甲羅もアダマンかよって位硬いしどうしようか悩んでたんだよね」
「その亀は襲って来るか?」
「いや、こちらから手を出さなければ襲っては来ないよ」
「ノンアクティブか…数は?」
「一匹」
「グラウンドゼロの試射にぴったりだな」
「これで調整もできますね」
「本番でそのまま使うのは避けたいしな…」
「そうれはそうとソウルっち…船が沈みそうなくらいギリギリなんだけど…」
ソウルとゼフティが乗ったゴンドラが、ほんの少し揺れただけで水が入って来そうな程ギリギリな状態で浮いていた。
「このグラウンドゼロが重いからしょうがない…」
「いや、魔法の鞄もってるだろ?それに入れようよ…」
「嫌や!しばらく装備してたいんや!」
「いやだって今にも沈みそうな…いや沈んでるなこれ…」
三人がいる地点は街と鉱山の中間にいてまだだいぶ距離があり、ゴンドラに水が入ってきていた。そのせいでゴンドラが沈み始め、ソウルは慌てて水を掻きだしていた。
「っく…仕方ない…しまうか‥‥」
「まさにくやしいのう、くやしいのう状態ですね!」
「グギギ…」
ソウルがグラウンドゼロを鞄の中にしまうと、軽くなったため船が浮き出した。
「ハッハー!これなら問題ないな!ソウルっちはそのまま排水作業しといて~」
「わかった」
三人が鉱山方面の桟橋にたどり着き、鉱山に向かうと鉱夫姿の屈強な男達が、入り口付近で休憩していた。
「おや?ゼフティの旦那?今日はどうしたんですかい?」
「あの亀を退治してくれる人を連れて来た!名前はソウル!俺らの救世主さ!」
「ソウルです」
「ああ、これはご丁寧にどうも。あっしはここの現場監督のロックヤードというもんです」
ソウルが丁寧に挨拶をすると、ロックヤードが会釈を繰り返しながら挨拶を返した。
「で~問題の亀は何処にいるのですか?」
「右側の通路に行った先におりやす。案内しやしょう」
ロックヤードの案内で鉱山へと入り、左右に分かれた通路を右へ進んでいくと、たくさんの水晶がある円形の場所に出た。その場所の奥から固い物を咀嚼する音が聞こえ、ソウル達はその場所に向かうと3mはありそうな亀型のモンスターが水晶を食べていた。
「あれがライトニングロッドタートルか…」
「あの甲羅から数本飛び出ている突起物が、避雷針みたく雷を纏って攻撃して来るから注意だ」
「わかった。じゃあ早速試射してみるか。亀の攻撃が届かない位離れていてくれ」
「ハッハー!頼んだぜ!」
ゼフティとロックヤードがソウルから離れ岩陰に隠れた後、ソウルはグラウンドゼロを鞄から取り出した。
「私も準備OKです!何時でも行けますよ!」
「うっし。じゃあ最初はガトリングガンから始める!それから徐々にミサイルポットとか増やしていくからそのつもりで」
「了解しました」
マギアがウィンドウで何かを操作した後、武器を取り出し構えた。そしてソウルがグラウンドゼロのトリガーを引くと、ガトリングガンの銃身が回転し始め、轟音と共に弾が連射されて行った。
「こりゃあいい!アビスシューターのパッシブスキル「無限弾」が最高だ!弾薬気にしなくていいから気兼ねなく撃ち続けられるぜ!」
「これなら狩猟民族の宇宙人に連射しても当たりそうですね!」
「軍曹も生還できそうだな!」
ライトニングロッドタートルはソウルに攻撃されると、驚いて甲羅の中に引っ込んでしまったが、ソウルはそのまま攻撃を続けた。
「甲羅に弾かれるか…なら!」
グラウンドゼロのミサイルポットから小型のミサイルを発射し、ミサイルが甲羅に当たると大きな爆発を起こした。
「マスター!甲羅に罅が入ってます!」
「このままブラスターを撃つぞ!」
ガトリングガンの下にある大口径の銃身にエネルギーが溜まって行き、グラウンドゼロの横についている髑髏の額にある水晶が輝きだすと、大口径の銃身から太いレーザーが発射された。そのレーザーを3秒間喰らっていた亀は、黒い霧へと姿を替えた。
「亀が黒い霧になりました。状況終了です」
「ふぅ…これならベヒーモスにもダメージを与えられるな」
「そうですね、ほんの少しエネルギー効率が悪かったですが、調整すれば問題なしです」
「お疲れソウルっち!すごいな…威力も相当だけど音がヤバイ」
「あんなリあっさりと倒せるなんて…」
「崩落の危険性は無いので安心してください」
「おお!そうか!じゃああっしは、早速採掘作業に入らせてもらうよ!ありがとさん!」
ロックヤードが来た道を走って引き返して行き、鉱夫達を呼びに行くとソウル達も鉱山を出て一息ついた。
「いやー倒してくれてありがとう!ソウルっち!これでまた作業が出来るよ!」
「俺もこいつの試射が出来てよかったよ。後は帰ってから少し調整だな」
ソウルは、妙に大声で話すセフティから少し離れた後桟橋に向かって行った。
「じゃあ帰るか!それは鞄にしまってくれよ!」
「…ック!仕方ないか」
しぶしぶとグラウンドゼロを鞄の中にしまった後、三人は銃士ギルドへ戻り、ゼフティと別れた後二人は製作室に入って行った。
「マスター、グラウンドゼロの調整は簡単なので私がやっておきますね!マスターも徹夜してお疲れのご様子ですしご夕飯まで仮眠をとるのをおススメします」
「そうか?じゃあよろしく頼む」
「はい、お任せください。それではお疲れさまでした」
ソウルは、グラウンドゼロをマギアに渡した後、ログアウトボタンを押して現実世界に帰って行った。
総一郎が仮眠を取った後、夕食を済ませ部屋に戻り椅子に座ってスマホのメールを確認してみると、右近寺と坂田からメールが来ており、ベヒーモスと戦う日を話し合って決めたいとメールに書いてあった。総一郎は早速ログインをして、二人に連絡を取った。
「もしもし?」
[おーきたな~?今から迎えを送るから待ってて~]
[俺はI乱島の会議テントにいるから待ってるぞ!]
「了解~」
通信が終るとマギアが近づいて来た。
「マスター、グラウンドゼロの調整が終わりました。またI乱島に向かうのですか?」
「ベヒーモスと戦う日を決めたいってさ」
「なるほど、そうですね。マスターのお試し期間も6日とちょっとしかないので急がないといけません」
「そうだな~」
机に置いてあるグラウンドゼロを鞄にしまった後、ホワイトローズの飛行船が来るのを銃士ギルドでしばらく待っていると、ソウルに到着したとの連絡が入り、ソウルは外に出ると上から隊員が操縦するスカイキャリーが下りて来た。二人はスカイキャリーに乗ってホワイトローズの飛行船に乗った後、I乱島を目指して出発した。
「お?マナリアはどうやら騎士になれたみたいだぞ?さっきゲーム内受信箱見たら、マナリアとアップルからメール来てた」
「アップルさんはどうでしたか?」
「無事、拳法家になれたみたいだ。どうやら師範代と勝負して勝ったらしいが次に出てきた老人に引き分けたんだと。その後話し合ったら技を教えてくれる事になったって書いてあるな」
「やっぱり道場破りしていましたね…」
「責任者出て来いって言われたら菓子折り持って土下座しに行かなきゃと思ってたんだが、何とかなったようだ…よかった、よかった」
心が軽くなったソウルは、マギアとI乱島に着くまで雑談しながら待っていると、飛行船の窓からI乱島上空にいくつもの飛行船が停泊している風景が見えた。
「すごいな…ホワイトローズの全部隊が集まっているのか?」
「一番大きいのが赤い飛行船で一番小さいのが紫色の戦艦ですね…紫色の戦艦はなんというか…攻撃的なデザインですね…」
「ソウルさん、到着したのでこちらのスカイキャリーへどうぞ!」
「ありがとう」
男性隊員にお礼を言い、スカイキャリーに乗って会議テント前で降ろしてもらった後、ソウル達はテントの中に入って行った。
「お邪魔しますよ~」
「失礼いたします」
「お~ソウル来たね!じゃあ、会議を始めるよ!」
ホワイトローズがその場を取り仕切り、会議が始まるとまずは自己紹介から始まった。
「今回、私の友人Rebellionsのソウルが異常種ベヒーモスのクエストを発見しました。規模は2000人以上、推奨推定Lvは120以上でかなりの強敵と思われます。そのベヒーモスと戦う日を決めたいと思いますが、ソウルと初めて顔を合わせる方もいるので総団長から自己紹介からお願いします」
「薔薇乙女騎士団の総団長をやってるローズルージュです」
「薔薇乙女騎士団の2番隊隊長をしてるピンクパンサーだよ!」
「薔薇乙女騎士団の4番隊隊長のハピネスカラーだ。よろしく」
「薔薇乙女騎士団の5番隊隊長…ブラッドローズ…フヒヒ」
「薔薇乙女騎士団の6番隊隊長、ホープなのじゃよ!」
「薔薇乙女騎士団の7番隊隊長をやらせてもらっているクラウンです。よろしくお願いしますね」
「Rebellionsのソウルです。今日はお忙しい中集まって頂き、ありがとうございます」
「では、早速日程を決めたいのですがいつがいいですか?」
「明日!明日よ!」
「総団長…さすがに明日は無理なのじゃよ…」
総団長のルージュが勢いよくいったが、緑色の幼女騎士ホープが呆れながら止めた。
「異常種って言う未知のバケモノと戦うのだろう?最低でも1か月は欲しいわ…」
「そうしたいけど、一か月も準備してると夏休み終わっちゃう子がいるからね~厳しいよ」
「あ~そうか…夏休みか…」
ハピネスカラーが一か月と言ったが、ホワイトローズが夏休みという言葉に反応してしんみりしてしまった。
「じゃあ、2週間位?」
「明後日!明後日よ!2週間なんて待っていられないわ!」
「総団長…明後日も無理なのじゃよ…」
「じゃあ…1週間?」
ピンクパンサーが2週間と答えたがルージュが首を横に振って嫌がり、ブラッドローズが1週間と答えた。
「4日…」
ソウルが呟く様に言うと、全員の目がソウルに集まった。
「今日から4日後はどうでしょうか?俺がベヒーモスと戦う為に銃士ギルドのギルドマスター相談したら1週間のお試しアビスシューターにしてくれました。何かあった時の為に1日残しておきたいので4日後の朝6時集合、開始時間は9時か10時でどうでしょう?」
「4日後…厳しいのじゃ…後方支援の職人達を全力で動かせれば、何とかできそうじゃが…」
「今から全員で協力すれば行けるんじゃない?素材採集班、製作班に分かれてさ!」
「それならやれない事も無い…」
「SPが必要な人はどういたします?」
「ここにも人員を割いて乱狩りさせればいいんじゃないかな?寄生っぽくて褒められた事じゃないけど…」
「じゃあ、乱狩り班、製作班、採集班に分かれて最大効率で準備するという事でOKですか?」
ホープが悩み、ピンクパンサーが最初2班の案を出してブラッドローズが同意したが、クラウンがSPの事を伝えると、ハピネスカラーが乱狩り班も必要だと伝えた後、ホワイトローズが最後に話をまとめて、3班に分かれて準備という事になり全員がそれに頷いた。
「じゃあ、4日後の6時に現地集合。あれ?そういえば場所聞いて無かったわね…」
「巨獣達の決闘場ですね。そこの中心に異常種を呼ぶお香を焚けばルインベヒーモスが来るそうです」
「あ~やっぱりあそこなのね~…よし!じゃあ、巨獣達の決闘場に集合!10時開始にするから全隊員に遅刻厳禁と付け足して伝えて頂戴!」
「「「「「「「Yes,ma’am! My Grandmaster」」」」」」」
日程が決まりソウルは会議テントから出ると、マギアが近づいて来た。
「マスター!やりましたよ!他のサポートAIと情報交換していろいろな設計図を手に入れました!」
「会議中姿が見えないと思ったら、そんな事してたのか」
「ええ、会議中一切喋らなかったユメミルクさんの陰でこっそりとやってました。何故かユメミルクさんの方から「この饅頭旨いな…」とか咀嚼音が聞こえていましたが…」
「あいつは、会議中に何食ってんだ…」
ソウルはユメミルクに呆れた後、会議で決まった事をメンバーに伝える為、ゲーム内メールを製作して送った。
フラウニーは通報案件ですが、初犯なので通報はせず氷結刑を執行しました。
チョコルームスは日本語に訳すと、キノコの〇
続編が作られないゲームや、素材がいいゲームが沢山ありますね…悲しいなぁ…
ローズルージュさん17歳!
宣言書が無いと他の方達が戦争に参加できない仕様です。現在参加人数が少なくて回避する方向ですが開戦も視野に入れることが出来る様になりました。
2021/06/08 あらすじを修正。あらすじ書くの苦手やねん…
~5~
6+6=十二天逢と呼ばれてます。
お前が勇者になるんだよ!と言われてもソウルは「残念だけどこれ弱体化してるから無理!サポシw」と言うかもしれない。
ストレスで胃腸が痛くなる人は、一度お医者さんに相談する事をおススメします。
マナリアさんはいずれ「私の騎士道が完成する…」と言って月を薙いだり一人スパロボする日も近いです。
ナ尻枕したい(美少女に限る)
お試し職業はナーフされてませんが、ちゃんと条件をクリアしてなってみるとナーフされてます。ちなみお試しジョブは1アカウント一回限りです。
新銃のデザイン書かないとな…誰か書いてくれないかな…
PSO2NGS なるものありけり…我ネタ探しに8を孤独にさまよう…
~6~
大口径の弾の排夾はトリガーの底にある部分から排夾します。
亀が一切動かず攻撃してこなかった理由は、驚いて甲羅に閉じこもりソウルを視認できなかったからです。
軍曹は「いたぞぉ!いたぞぉぉぉ!」言った人です。
ユメミルクの使っている機器にハーフログイン機能と言う物が付いていて、ゲーム内の風景を見ながら現実で食べ物とか食べられる機能があります。
モチベ維持に評価お願いします! 頑張ります!
ブックマーク登録もよろしくね! ありがとうございます!




