楽園の秘密
遅くなりましたが完成したので投稿です。
おたのしみつかーさい
ソウル達は秘術を施された後、時刻が明日に切り替わろうとしていた為、各自ログアウトをし始めていた。そんな中、アップルが怪訝な顔をしてソウルに近づいてきた。
「ソウル?…本当に戦争が起こるの?」
「俺ら次第って事かな?まぁ帝国との戦闘は一回はあると思うけど…」
「え?そうなの?」
「俺の鞄取られたままだから取り返さないといけないからね。その時、一悶着あるかもしれない」
「ああ、なるほど」
「なるべく俺も回避する方向で行くけど、相手の出方によっては戦争することも頭の片隅に入れといてくれ」
「ソウル…はっきり言って今回は怖すぎだわ…帝国は子供を簡単に殺せるあいつら共と繋がっているんでしょう?」
「…確かめた訳ではないけど、多分そうだな」
ソウルの言葉にアップルの表情は暗くなった。
「アップル…今回、一応は宝探しはするけど、それは帝国との交渉に使うから何も手に残らない可能性が高い。だから、今回の件が終わるまで抜けてもいいんだそ?」
「違うのよ…臆病風に吹かれたとか無理してるとかじゃないの…理解できないのよ…」
「理解できないって?」
「あの白い奴らが現れて、子供を生贄にしようとした時…生贄の子がね…笑っていたの…これから死ぬって解っているのに…純粋に笑って…」
「多分…その子供は奴らに何か言われたのだろう…耳元で天使が囁く様に、生贄になったら楽園へ行けるとか、もう苦しむ事は無いとか何の確証も無い言をいう。ああいう奴らの常套手段だな」
「…ねぇソウル?そんな事言われただけで…信じられる物なの?」
「知識不足、絶対的貧困、精神衰弱など要因が多ければ人は簡単に信じると思うぞ?例え、目の前に置かれた物が明らかに触っちゃいけないヤバイ物でも、「触っても大丈夫」「みんな触っている」とか言われたり「もしかしたら」なんて言葉が頭によぎるしな」
「・・・・」
「アップル…俺は、今回の事最後までかかわり続けるぞ?何かが起きて一人になろうともだ…アップルはどうする?」
「私は…」
アップルは答えられず、二人の間に沈黙が流れた。
「まぁ、関わるか関わら無いかはアップルが決めてくれ」
「…しろとは言わないのね…」
「言わない。それはアップル自身が決める事だからだ」
「そう…」
アップルはその言葉だけ行った後、ログアウトボタンを押してリアルに帰って行った。アップルが完全にログアウトしたその後、ソウルの所にマギアとティーが近づいてきた。
「マスター、アップルさん思い詰めていましたね…」
「そうだな…でも、アップルの迷いはアップル自身で悩んで悩みまくって答えを出すしかない」
「私達はそのお手伝いをすればいいんですね?」
「ああ、そうだ。アップルが関わると決めたなら全力で支えるし、関わらないと決めたなら今回の騒動が終わった後迎えに行けばいい」
「アップルさんはどちらを選ぶのでしょうか?」
「解らない」
「ちょっとー!私の寝床どうするのよう!ソウルが帰ったら私、ここに一人でいることになるわよう!いやよう!」
「ティーは私と一緒にスマホに移動しましょう。そうすれば問題ないですよ」
「スマホってなによう!いかがわしい何かなのよう!?」
ティーがソウル達の周りをうるさく飛び回るが、マギアはまるで虫を捕まえる様にティーを捕まえると両手で拘束した。
「マスター、ログアウトどうぞ」
「あ、ああ…」
マギアに拘束されながらでも、暴れ続けているティーを見ながらソウルは、ログアウトを開始した。
「ふぅ…」
「お疲れさまでしたマスター」
「何よここ!快適じゃないのよう!…ん?なにこれ?マスターの性k」
「おやすみなさい!マスター!!」
「おい?ティーは何を見つけたんだ!?」
マギアに向かって総一郎は言うが、スマホの電源が落ちていて返事は帰ってこなかった。しかも何度も電源ボタンを押しても起動しなかった。
「逃げたな…まぁいいか…とりあえず風呂入って寝よう」
総一郎はスマホを机の上に置き、風呂場に向かいゆっくり風呂に入った後寝支度を済ませ就寝した。
総一郎が目を覚まし時計の針を見ると、8時半近くを指していた。
「おきたのよう?!じゃあ早くあっちに行くのよう!」
「起きてそんな早く行けるか!ちょっとまってろ!」
部屋から出て顔を洗ったり歯を磨いたりした後、朝食を済ませて自分の部屋に戻ってきた総一郎は、ティーに急かされながらログインして行った。
「オーッス、ソウル」
「おはようソウル」
「おはようございます、ソウルさん」
「おはよう…」
「おはようございます。ソウルさん」
ユメミルク、ホワイトローズ、マナリア、アップル、ミミランジェがソウルに挨拶をするとソウル達も挨拶を返した。
「主要メンバーが集まった事だし、さっそく聞きに行くか」
「そうだね。あ~ちょっとそこの巫さんちょっといいですか?」
ホワイトローズが男性に話しかけ、ユメミルク達は奥に案内されて行った。
「アップル、どうするか決めたか?」
「解らないわ……あの時助けた子供に「なんで助けたの?」って言われてそこから頭の中混乱しちゃったけど、このまま全部忘れて投げ出したらきっと後悔すると思うの。だから私も今回の件に関わって自分なりの答えを出したいと思うわ」
「そうか…」
ソウルはその一言だけ行った後、ユメミルク達を追って行くとアップルもソウルの後に続いた。
「お?来たな?、ソラの嬢ちゃん全員そろったから楽園の事どうするか教えてくれ」
「解りました。祖父と話し合った結果、皆様にはゾイの楽園の事をお伝えしたいと思います。ですが、今からお話しするのは大社の長が代々秘密として受け継いで来た物…他言無用でお願いします。これが守られなかった場合は、大社の機能はすべて使えなくなるという事をご理解ください」
「それは俺らだけ?それとも全来訪者?」
「全来訪者です」
「解った。注意しよう」
ソウルが尋ねるとソラの目つきが鋭くなり、ソウルの質問に答えた。全プレイヤーが転職できなくなるのは流石にやばい事なので、その場にいた全員がこれから聞く話を、墓場まで持って行く覚悟を決めた。
「よろしいですか?」
ソラがソウル達を見渡し誰も退出しない事を確認すると、一枚の紙を広げた。その紙は2mの正方形で和を感じる魔法陣が描かれていた。
「今から語るは遥か昔、我らの始祖達の物語… 始祖の時代は今より遥かに進んだ文明で、別の異世界へと簡単に渡れるほど高い文明を築いており、我らの始祖達はその時代で命の研究をしていた。新しい種の創造、不老不死、生体改造など様々な事をやっていた」
魔法陣から当時の記録と思われる映像が映し出された。その映像には、様々な動物が檻に入れられた風景や人の様な姿をした生物が、薬品に満たされたカプセルの中で蠢いていた。
「だが、我らの始祖達に異を唱える者達が現れた。その者達は、始祖達が行っていた研究を命の冒涜、神への反逆だといい、鉄火を以って始祖達を迫害し始めた。その迫害に数多くの人達が命を落とし、始祖達は迫害する者達に対抗する為、多くの兵器を作り出した」
映し出された映像には、爆発物を使われた後の建物や武器を掲げた人達が映っていた。
「迫害者達と始祖達の戦いは激化の一途を辿り、国家間の戦争まで発展してしまうと大量破壊兵器も使われてしまった。その大量破壊兵器で両者は共倒れになり、人が住める場所は限られ人間は絶滅寸前になっていた。戦いを生き残った始祖達は、これまで作った物や研究資料など集め別の異世界へと渡り、とある地に封印する事に決めた」
映像には、生き物や植物が生き生きと生きている姿が映し出され、まさに生命の楽園と言えるような場所を映し出していた。
「かの地をΖΩΗの楽園と始祖達が名付け、我ら大社が護るべき場所。楽園を求める者は心せよ…かの地は人にとっての楽園ではあらず、悪しき者の手に渡れば我らと同じ末路を辿るだろう…これが代々秘密として受け継がれてきた楽園の話です」
「マッドパラサイトマザーの魔石が楽園に関係あるとナガトさんから聞きましたけど、その辺の事についても教えてくれますか?」
「申し訳ございません、それについてはお答え出来ないのです」
「理由を聞いても?」
「はい…実はそれを記した巻物があるはずなのですが、大分昔に何者かによって盗まれてしまったみたいなのです…今言えるとすれば、あやふやに伝わった物なら言えるのですが…」
「そうでしたか…では、それでいいのでお願いします」
「解りました。…楽園への扉は狂いし母の心に黒き巨獣の角を突き立て、花を咲かせよ…咲かせた花を器に入れ器に水を溢れさせれば花は火となりて周りを照らし希望の光とならん…です」
「狂いし母はマザーの魔石か?…黒き巨獣の角…?」
ソラの言った事に思い当たる事は無く、ソウルは他の皆に視線を向けると、全員が首を傾げ頭の上に?マークを出していた。
「黒き巨獣…?ライノタスクかな?いや、あれは角生えてないし…ブラストドンは角生えてるけど緑だしな…」
「レイジコングは黒くて角生えてるけどなんか違う気がするな…ライトニングサンダーボルトマウス…これは絶対違うな」
「ライトニングサンダーボルトマウス…ちょっと会ってみたいかも」
マナリアが、ユメミルクの最後に言った名前を聞くと、世界的有名な電気ネズミを頭の中でイメージしていた。
「あのネズミはそんなかわいいm(あれは可愛いですよね団長?)え?」
マナリアの表情を見て、多分あれだなと思ったホワイトローズはミミランジェが言った言葉に信じられないという表情を向けて驚いていた。
「ソラさん情報ありがとうございます。こちらで探してみますね」
「はい…ですか絶対に他言無用でお願いしますね…」
「この事は誰にも喋らず墓場まで持って行く事を約束しましょう。全員いいな?」
ソウルは全員に視線を向けて言うと、全員が頷いて答えた。
「では、俺らはこれで失礼します。解決したら報告に来ますね」
「解りました。祖父の自由もお願いしますね」
「ええ、もちろんですよ。それでは」
ソウル達がソラのいる部屋から出て、参道に戻ってきた。
「俺らの方で黒い巨獣についていろいろ探してみるわ」
「私は器や水について調べてみるね~きっと特別な物だと思うし」
「すまない。いろいろ俺らも探してみるが、強化メインにしていいか?」
「あ~おkおk、がっつり鍛えてくれ」
「戦争するかもだしね~こっちも了解だよ」
「ありがとう」
「ソウルさん!じゃあ早速ジョブチェンジしましょう!」
「マナリアちゃん、騎士になりたいなら騎士になるジョブクエストしないといけないから、そこら辺の情報渡すね」
「ホワイトローズさん!ありがとうございます!」
「私は何にしようかしら…」
「アップルの姉御さんは、魔装使いでやって行くのか?それならウェポンマスターと拳法家がおすすめだぞ」
「ありがとう、やってみるわ」
「俺は何がおすすめかな?」
ソウルが目を輝かせて友人二人を見るが、二人はソウルと目を合わせようとはせず明後日の方向を見た。
「そんな事だと思ったよ!チクショウめィ!」
「じゃあ、ソウル達強化頑張ってね~」
「おう!何かわかったら連絡する!」
「では、失礼しますね」
「あ!オイィ!」
急いで逃げるように三人は何処かへ行くと、ソウルは悔しい気持ちで一杯になった。
「ソウルさん…地道に手探りで頑張って行きましょう?」
「ソウル…頑張るしかないわ」
「マスター…私もサポートするので頑張りましょう?」
「ソウルならやれるって信じてるわよう」
「あれ…何だろう…目から液体が…これは涙?」
ソウルは皆に同情され、目から涙が出てきた。
ジョブ選択すると言ったな?あれは嘘だ!…すみません許して!エビフライ投げないで!
思いの外昔話が難航してしまいました…
次回はジョブ選択です!…きっと…多分…
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