アスカロン大監獄
完成しました!
お楽しみください!誤字脱字報告は気兼ねなくご報告ください。
ソウル達が捕まり、馬車に乗せられ数時間立つと、馬車が止まった。どうやら目的の場所に着いた様で、兵士の指示に従い馬車を降りた後、しばらく歩かされ牢屋の前で頭に被せられていた布袋を取られた。
「ここに入っていろ!犯罪者め!たっぷり取り調べてやるからな!」
ソウル達は、牢屋の中に突き飛ばされ床に転がりマギアに至っては、体中に鎖が巻かれ、物を放り込むようにして入れられた。
「まったくひどい扱いだね」
「俺の乳が傷ついたらただじゃおかねぇ…」
「マギアは大丈夫か?」
「マスター!鎖がいい具合に巻き付いていて何かに目覚めそうです!」
「ダメだったか…」
ソウルは立ち上がり、周りを見て見ると牢屋の奥に誰かが座っているのが見えた。
「先住民の方がいたのか?」
「ほぉほぉ、新人さんかね?」
「新しく入った新人のソウルです。小さいのがホワイトローズで乳を確認してるのがユメミルク、鎖に縛られて手遅れなのがマギアだ」
「ああ、すまない…こんな所にずっといるから目をやられてしまってな…姿は解らないんじゃよ…」
「これは失礼した、お爺さんは何故ここに?」
「濡れ衣じゃよ…真面目に大社で働いていたのに急に帝国騎士が来て有りもしない罪状でここに入れられたのじゃ…」
「ひどい話ですね…まぁ俺達も同じですが」
「お主らは、なんて言われてここに来たんじゃ?」
「星の子らと間違われてここに来たのですよ」
「へぇぁ?星の子ら?…星の子らってあの慈善団体の?」
「慈善団体…いえ、今はテロ組織となっていますよ?」
「…すまないが、少し詳しく話してくれんかの?」
「いいですが、俺らも詳しい事は知りません…それでも良ければ」
「頼む」
ソウル達はお爺さんにグリムニルから齎された情報、マザーの魔石を欲しがっている事、子供を生贄にしようとしてプレイヤー達を挑発しアップルが暴れた事など知っている事をすべて話した。
「なんと…そんな事になっておったのか…」
「そういえば爺さんの名前は?」
ユメミルクがお爺さんに尋ねると、ハッとした表情で自分の額を軽く叩いた。
「こりゃあ、うっかりしていたわい。儂の名は、ナガト・バウエル 大社で長をしていた者じゃ」
「ナガトさんはマザーの魔石について何かご存知ですか?」
「ふぅむ‥‥もしかしたらゾイの楽園に関係があるかもしれんのう…」
「ゾイの楽園…その楽園について聞かせて貰ってもいいですか?」
「…すまぬ…話しておいてなんだが、この話は大社の長が代々秘密にして受け継いできた物なのじゃ…長じゃなくなったからと言って気軽に話していい類の話じゃないしのう…」
「そうですか…」
「すまんのう…もしここから抜け出せたなら今の長と相談して、話してやる事は可能になるかもしれんが脱獄不可能と言われているアスカロン大監獄から出るなんて無理じゃしのう…」
「そうですか?そうでもないと思いますよ?」
ソウルはブルーローズを使い、手錠の鍵を外した後左手を摩った。
「お?便利だな~ついでに俺のも頼むよ」
「私のも~」
「マスター!私も忘れずに!」
「はいはいっと」
マギアの鎖と友人二人の手錠を外した後、ナガトの手枷や足枷を外した。
「おお!手足が動く!数年ぶりの自由じゃ…」
「これから俺達は大脱走しますがナガトさんはどうしますか?」
「お主ら本気でここから抜け出すつもりか?…そんな事が可能なのか…?」
「さぁ?どうでしょう?確証は無いですが、俺達は必ずここから抜け出しますよ?後は、ナガトさんが合ったばかりの俺らを信じるかどうかですね」
「…どうせここに居ても拷問されて死ぬだけじゃし、お主らに賭けてみようかの」
「そうですか、付いて来ると言うなら一緒に行きましょう」
「まずは私らの武器だね」
「マギア、何処にあるか解るか?」
「その事で御二人にお聞きしますが、御二人の武器はオーナー登録されていますでしょうか?」
「おう、オーダーメイドの特注品だから登録しているぞ」
「私の剣と盾にもされているよ~」
「それならそれを頼りに探し出せますよ! 少しお待ちください」
マギアがウィンドウを操作し探し始めると、上の階層に反応があるのが解ったがソウルの鞄は、反応なしだった。
「マスターの鞄はこの大監獄にはありませんね…」
「マジか…デフォのアイテム容量でやりくりしないと行けないのか…」
「私に余分なアイテムを預けてもらえば鞄に転送しますよ?取り出すことは出来ませんが」
「マギアなら取り出す事も出来そうなんだけどできないんだ?」
「本来なら取り出せますよ?マスターが鞄に施錠のルーンを付与した為取り出せないのです」
「ソウルやっちまったなぁ!」
ユメミルクが茶化すとソウルは眉間に皺を寄せて微妙な顔をした。
「まぁ仕方ないさ、鞄の中身取られない様にしたかったし…後で必ず回収する。今はここを出るぞ!ナガトさんは俺の肩に手を置いて付いてきてくれ。申し訳ないがゆっくり行っている暇はない」
「そこまで年寄り扱いするな、大丈夫じゃわい」
「よし、じゃあ静かに行くぞ」
ソウルはブルーローズを使って牢屋の鍵を外した後、音を立てない様にゆっくりと扉を開けた。
「ソウル?どっちに行けばいいかな?」
牢屋を出ると左右に行ける道があり、ソウルは左を指差した。
「馬車から降りた後この牢屋に来るまでの道順を覚えて置いた。けど間違えて看守達がいる部屋に入ったら許してくれ」
「それはシャレにならんぜ…」
大きな音を立てない様にして左の通路を進んでいくと、階段を見つけ上に上って行くと看守が巡回していた。ソウル達は見つからない様に隠れると、看守達から話が聞こえてきた。
「今回新しく来た奴って渡来人だろ?随分大人しかったけど何したんだ?」
「さぁ?詳しくは知らないけど、星の子らに関係する奴ららしいぞ?」
「ん?またか?なんか最近そういう奴が入って来るけど多くないか?明らかに違うって思う奴もいるしよ?」
「知らねぇよ…俺らは黙って看守してればいいんだ…変に探ったりしたら消されるのがオチだしな」
「怖いわ~戸締りしとこ」
「ちゃんと鍵かけてな!監獄だけに」
「お?うまいね!」
看守達は笑いながら奥に行くと、ソウル達は顔を見合わせた。
「爺さんの他にも不当に入れられた奴がいるんだな…」
「どうする?ソウル?」
「今回はナガトさんだけ助けよう。ここで全員助けても匿う場所もないし、助けなくていい犯罪者も紛れ込んでしまうかもしれないからな…」
「解ったよ」
「あと、解っていると思うが看守など住民は殺さない様にな」
「了解、殺っちまったら後々問題が起きるしなぁ」
「私の秘拳が唸る!スキル覚えてないけど」
「じゃあ俺はこの乳で幸せに落としてやるぜ」
「首トンで落とせるかな?」
「お主らこんな状況でも楽しそうじゃな…」
「それがマスター達ですから」
友人二人の武器は看守達が向かった先にある様なので、静かに移動していくと、どうやら看守達が詰めている部屋のさらに奥の部屋にあるらしく、ソウル達は部屋の前でしゃがみ中を確認した。
「中には5人…どうするか…」
「1~2人別の所に誘い出して気絶させたら、残りの看守をやるか?」
「そうだな、マギア石か何かで誘い出してくれ、俺とユメミルクが看守を気絶させる。ナガトさんはホワイトローズと待機していてくれ」
「わかった」
「音でおびき出してみますね、誘導場所はそこの牢屋でいいですか?」
「ああ、頼む」
「では始めます」
ソウルとユメミルクが物陰に隠れ、マギアが両手を叩いて音を出すと看守達が驚き、警戒し始めた。その後マギアは、音を出しながら急いで近くの牢屋の中に入って行った。
「なんだ今の音は!」
「カルロ、ワドルディ確認してこい」
マギアの出した音で看守二人を誘い出すことに成功し、看守達が近くの牢屋の中に入って行くと、ソウル達2人も牢屋に入り看守達を背後から締め落とした。
「ごれば…おっばぃ‥‥」
「ぐぇ!…」
「いい夢見ろよっと」
「グンナイ」
ソウル達は看守達の衣服を剥ぎ取り、下着一枚の姿にした後、剥いだ衣服の一部を使って猿轡と手足を縛った後ブルーローズを使って牢屋の鍵を掛けた。
「さて、残りの奴は俺のブーメランに煙幕付与して投げ入れるから締め落としてくれ。俺は最奥の奴をやる」
「じゃあ、私は真ん中の奴やるよ」
「俺は窓際のあいつだな」
「マギアとナガトは少しここで隠れていてくれ」
「解った。気をつけるのじゃぞ」
「了解しました」
三人は看守がいる部屋の外側の壁に背を向け、タイミングを見計らい、扉から煙幕のルーンを付与したブーメランを投げ入れた。投げ入れたブーメランが回転しながら煙幕を出し、部屋の中を白い煙で満たした後、ソウル達は部屋に突入して看守達を気絶させた。
「よし、魔法解除っと」
ソウルがルーン魔法を解除すると煙幕がはれ、倒れている看守達と友人二人の姿が見えた。
「この看守達どうする?」
「身ぐるみ剥いだ後猿轡と拘束してさっきのと違う牢屋に入れておこう」
「了解、ユメミルクそっち持って」
「あいよ」
「マギア、ナガトさんをこの部屋に連れて来てくれ、その後看守を運ぶぞ」
「了解です」
「なんじゃ?おぬし、丸っこいのう?本当に人間か?」
「いえ、サポートAIですよ?まぁ機械です」
「なんと、外ではこんな機械が出回っているのか…驚きじゃ…」
マギアがナガトを部屋にいれ椅子に座らせた後、看守達を牢屋へと運び入れ先ほどと同じように拘束し牢屋に鍵を掛けた。
「よし、武器を取り戻したら出口に向かうぞ」
「ああ、すまないソウル殿、その部屋の中に緑色の箱があったら儂に渡してくれんか?それがあればこの先役に立てると思うのじゃ」
「緑の箱ですね?探してみます」
ソウル達は、武器が置かれている部屋の中に入ると、様々な武器が置いてあった。どうやらここに置かれている武器は、此処に囚われている人達の物の様で、槍の穂先が動物の骨で出来ている槍だったり、豪華に装飾された弓などが置かれていた。
「緑の箱…あった、これだな?二人は見つけたか?」
「あったよ~」
「おう、あったぜ!」
「それじゃあ、長居は無用だ。さっさと出よう」
2人が頷き、武器保管庫から出た後、緑の箱をナガトへ渡した。ナガトはその箱を開け中に入っていた人型の和紙を数枚取り出し、呪文を唱え始めた。
「ナガトの爺さんは陰陽師だったか」
「ああ、そうじゃ。これで周りの物を見回せたり、偵察なんか出来る様になったぞ」
「偵察!いいですね!これで出口までの道が楽になりますよ」
「その事なんじゃが、お主らはこのまま入って来た入り口を目指しておるのか?そうならやめた方がいいじゃろ…」
「え?そうしようとしていましたが、理由があるのですか?」
「ああ、このアスカロン大監獄が脱獄不可能と呼ばれている理由は、中の警備システムも厳しいが本当の理由は外にあるんじゃ…アスカロン大監獄の周りは森で囲まれていて、凶暴なモンスターが犇めいていて唯一出られるとしたら幾つも在る関所を通るしかない。さらにその関所には多くの兵士がいると聞いた事があるのじゃ」
「下がダメなら上はどうです?」
「それも難しいじゃろ‥‥ここの上空には高エネルギーシールドが張られていると聞く…それもそのシールドに触れたら一瞬で体が蒸発するという厄介な奴じゃ…」
「マギア、そのシールドの発生器は何処にあるか解るか?」
「少々お待ちください」
マギアがウィンドウを開いて検索してみると地中深くにあることが解り、ソウルに報告するとソウルは少し考え、今度はシールド発生器を動かすエネルギーが何処から来ているか調べてくれとマギアに言った。
「エネルギーは外部から地面の中を通って来てますね…ですが一部地上に出ている箇所があります。どうやらメンテナンスを行う為と推察します」
「そこを攻撃して停止した場合はどうなる?」
「上空のシールドや警備システムが一時的にダウンしますが、5分後予備エネルギーに切り替わりシールドや警備システムが復活します」
「5分か…」
「どうするソウル?」
「私にいい考えがある!」
「爆発するかペッタンコフラグの予感がするけど聞こうか」
ソウルは自分の考えた作戦を全員に伝えた。
次なるお宝はゾイの楽園!この楽園に何があるのか?何故帝国が狙っているのか?マグロ漁並みにご期待ください(イミフ
ゾイ(ΖΩΗ)の楽園です。
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