帝国の闇
完成しました。
おたのしみください!
「いや~すまない!副官が脅かせてしまって!」
「騎士団長!脅かせたとは何ですか!?あいつらに組している来訪者がいる可能性があるかもしれないのですよ!」
「排外主義の奴らが?来訪者を仲間に?馬鹿言ってんじゃねぇよ!…ああ、すまない」
超大型戦艦「メタルナイト」から降りて来た帝国の騎士がソウル達に接触してきた。どうやら先の警告は副官と呼ばれている男性が勝手にやったようで、騎士団長と思わしき男性がソウル達に謝罪をした。
「えっと、君達の代表はいますか?マザーの件について聞いておきたい事があるのだが…」
騎士団長の言葉にソウルは、友人二人に目を向けると二人は頷き、三人が騎士団長の前に出た。
「この沼地で、青の証を集めなきゃジョブチェンジできないから友人に協力してもらった。俺はソウル、こっちが薔薇乙女騎士団の白薔薇隊、隊長のホワイトローズでこっちがヴァルハラのマスター、ユメミルクだ」
「おお!あの有名ユニオンの方でしたか!私は帝国騎士団団長のノーマン。後ろにいるのが副官のハンクスです。詳しく話を聞きたいので私らの天幕で話しませんか?」
「いいですが、長く拘束されるのは困りますよ?」
「大丈夫、大丈夫。報告の為に話聞くだけですから」
「解りました。アップルとマナリアは皆と少し待っていてくれ。マギアは説明するのにいた方がいいからついてきてくれ。あ、ティーも頼む」
「解ったわ。ティーを預かるわね」
「私の寝床なんだから早く帰って来なさいよう!」
「もし、時間が掛かってしまってアイテム分配が始まっても青の証は取っておきますね」
「マナリア助かるよ、じゃあ行ってくる」
友人二人も仲間達に指示を出した後、ソウル、マギア、ユメミルク、ホワイトローズの四人は帝国騎士団が設営した天幕に移動した。
「ご足労感謝します。ではお聞かせいただきたい。まず、何故あそこに居たのですか?」
ソウル達が帝国騎士団の天幕に入り、中に設置された円卓の椅子に座った後、騎士団長のノーマンが最初に口を開いた。ソウル達はこれまでの事を説明した。
「先ほど、言った通りジョブチェンジクエストで青の証を集めなければ行けなくなり、青の証の情報を友人に聞いた所、あの沼にいるマッドパラサイトから出ると聞き、あそこでマッドパラサイトを狩っていたのが始まりですね」
「ふむ、なるほど…それで?」
「それで、いくら倒しても一向に出ないので、何かヒントはないか友人に連絡を取って見た所、友人が手伝ってくれる事に成ったのです」
「その友人とはどちらの方です?」
「私だよ、ソウルが困っていたから助けてあげたいと思ったんだよ。ちょうど暇していた人達もいたし自由参加と言う形で募集を賭けたんだよ。思いの外暇してた人が多くてびっくりしたけど」
「俺の方でも同じだな。ホワイトローズから連絡貰って募集かけてソウルの所に向かった」
「なるほど、青の証を集める事になったと仰りましたが、大社の紙を見せてもらう事は可能ですか?」
「マギア、これを」
「了解ですマスター」
ソウルは鞄から大社の紙をマギアに渡し、紙を受け取ったマギアはノーマンに紙を渡した。紙を受け取ったノーマンは、書かれていた文字を確認して頷いた後、マギアに紙を返した。
「確かに青の証×3と書かれていますね。ありがとうございます。しかしなぜマザーが現れたので?」
「それは、私が魔物呼びの笛の音色で呼び寄せたからですね、沼の中に大音量で音色を流したらマザーが現れました。あ!安心してください、ちゃんとすべて処理したので近隣に迷惑をかける事はないですよ」
「近隣に問題なしと…ありがとうございます。それでは最後に…」
「騎士団長!大変です!」
「なんだ?ハンクス!騒々しい!取り込み中だぞ!」
「申し訳ございません!ですがすぐ近くに奴らが現れました!来訪者達と戦闘になっているそうです!」
「なんだと!?」
「ホワイトローズ!ユメミルク!」
「ソウル、大丈夫だよ。やばくなったら逃げろって言ってあるし」
「おう、警戒を解く命令は出していないから大丈夫だ。あっちにはグリムがいるから任せても大丈夫だろ?」
「頼もしいお仲間で…」
「きっとソウルの仲間もグリムが何とかしているはずさ」
「いや、その心配はしてないんだけど、アップルが暴れてないか心配だ」
「あ~確かに、見ていて勝気すぎる女性っぽいね」
「暴れすぎて、他の仲間に迷惑かけてないといいんだけど…」
「大丈夫だろ?他の奴らは高レベルだし…」
「報告!来訪者と思われる女性が暴れ出し、敵味方どちらにも被害が出ました!そのせいで現場は混乱し、我らの方にも被害が出ていております!」
追加で報告してきた騎士の言葉に、ソウルは顔を手で覆った。ソウルは頭の中で「何がアップルを怒らせたんだ…」と考え嘆いた。
「やはり貴様らは奴らと繋がっているのか!?」
ハンクスが剣を抜き、ソウル達に向けるとノーマンが止めに入って来た。
「ハンクスやめろ!彼らは、奴らとは何の関係もない!」
「団長!ですが!」
「関係がない!俺はそう言ったぞ…もう一度同じことを言わせるのか?」
「…っく…すみません…」
「部下の非礼は詫びますが、こちらにも被害が出た以上貴方達を捕縛しなければいけない…少し帝国までご同行お願いできますね?」
「…了解した…何かその…申し訳ない…」
「私の知り合いにも似たような人がいますので心中お察ししますよ‥‥全員に撤退命令を出せ!これより我が隊は帝都へ帰還する!」
「団長、奴らはどうしますか?」
「今ここで全員捕縛しても、奴らに関係ある上位貴族共が全部もみ消してしまうだろう…悔しいが今は捨て置くしかない…」
「…了解しました…」
「二人共、なんだか面倒に巻き込んだみたいだ…すまんな…」
「いや、なんか陰謀があるっぽいから楽しくなって来たぞ!」
「滾るね!最大限楽しむよ!」
「それと、アップルに被害を受けた人の名前を俺に教えてくれ…謝罪文を送るから…」
「了解了解~大変だねユニオンマスターも」
「それが盟主の役割だろ?当り前さ…」
「お!そうだな!」
「では、皆さんこちらへ」
ノーマンに付いて行き、メタルナイトに乗ったソウル達は、客室に留まるように言われ素直に従った。ソウル達が客室に入ると扉に鍵が掛けられ出られなくなった様だ。
「あ~やっぱりこの船の中は機密扱いだったか…ちぇ~帝国の船の秘密知りたかったのに…」
「ちゃんとしてればすぐ解放してくれると思うから大人しくしてようか…」
「本当にそうなるって思ってないでしょ?」
「…まぁな、こんな大事になって帝国まで連れて行かれるだけで終わる訳ないよな…あのノーマン団長さんが言っていた「奴ら」、「マザー」、「上位貴族」…闇が深そうだ…」
「ソウル、今グリムと連絡とってみたんだけど、どうやら全身白装束の奴らに挑発されたみたいだ…グリムが言うには奴ら「星の子ら」という組織名でやっている事は自然崇拝、破壊活動、俺ら来訪者の排除などいろいろ過激にやっているみたいだぞ?」
「なるほど、それでその星の子らはアップルに何をしたんだ?」
「直接的には何もしていないと、ただ俺らの目の前で子供を生贄にしようとしたみたいで、それにキレた姉御さんはその生贄を止めようとしたらしいが、こちらが先に手を出せば問題が起こるから俺の仲間が止めに入ったのが…」
「さらにキレて暴れたと…なるほど…狡猾だな、子供が殺されるのを止めようが止めまいがどっちに転んでも奴らには好都合だし、手を出したら俺らを悪者にした話が住人達に広がる…最悪な奴らだな…」
「戦闘になる前奴らはマザーの魔石を渡せと言って来たらしいぞ?」
「魔石?…なぜ?…マザーの魔石が特別な物なのか?…帝国が来たのもその魔石が理由か?…解らん…」
ソウルが頭の中で今回の事を組み立てようとしたが、ピンと来ず首を傾げた。
「まぁ、とりあえず流れに乗ってみようか?今は何もできないみたいだし、帝国についたら何かあるでしょ?」
「そうだな…それにしても、ただジョブチェンジしたいだけなのに何でこんな事に…」
「ソウルだから、シカタナイネ」
「ソウルだから、シカタナイナ」
「解せぬ…」
「マスターはトラブルアトラクターっと」
マギアはメモ機能に小声で呟きながら記した。
しばらく四人で話していると、客室の窓から見える風景が格納庫の中になった。どうやら帝国の首都に着いたようでこの船と同じ戦艦が隣で整備されていた。
「着いたようだな…」
「さぁて…蛇が出るか鬼が出るか…」
「楽しみだね」
「この部屋に近づいて来る人物を確認しました。この反応はノーマン団長と副官のハンクスですね」
マギアが報告すると数十秒後、部屋の鍵が解除されノーマン達が入って来た。
「帝都テスミアに着きました。ユニオン代表の御三方には署名してもらう書類があるのでこのまま私どもに着いてきてください。それと少し相談したい事がありますのでそれが終ったら自由になれますよ」
「解りました。ついて行きます」
ソウル達は、メタルナイトの客室から移動し帝都の城にある一室に入った。その部屋の中は豪華な調度品や家具が置かれ、ノーマンが指し示した席に座った。そのノーマンがソウル達の前にあるテーブルに数枚の書類を置いた後ソウル達配った。
「そちらの書類に署名してください」
「(ソウル…書いても大丈夫か?〉」
ユメミルクの声がソウルの頭の中に響いた。どうやらフレンド機能の通信を使って会話している様でソウルは書類を確認した。
「すこし確認してもよろしいですか?」
「どうぞ」
「(マギア、不審な点はあるか?〉」
「(最後の一枚から変な魔力を感じます…これは巧妙に隠されてますね…私の様なセンサー持ちじゃないと解らない仕掛けの物ですよ…)」
「(マジか…二人共、一番下の書類には別名で書いておこう。それ以外の書類には自分のユニオンが不利にならない様確認しながら書いてくれ)」
「(了解、やっぱり仕掛けて来たね)」
「「さて、次は何をしてくるか…)」
ソウル達は、自分達が不利になりそうな書類には自分達の名前に似たような形の文字を使った。例えばソウルだったらゾウ゛ルなどの形にして汚く書いたり、ホワイトローズの場合には、ホワイトホープなどわざと間違えて署名して何の効力も持たない用にした。最後の書類にソウルは、チベット文字でウルトランウルとふざけた名前を書いた。
「で、相談したいと言っていましたが何ですか?」
「ああ、実は君達が倒したマッドパラサイトマザーの魔石を持っていたら譲ってほしいのです」
「魔石ですか?俺達は持っていないので持っている人と交渉してください」
「?…君達は組織ではないのですか?」
「俺らは何々騎士団や何々結社とか名乗ってユニオンと言う形ではいますが、上下関係がある訳では無いのですよ。自由意思で集まった平等の集団と思ってくれればいいです」
「なるほど…では、持っている方の情報を教えてもらう事は可能ですか?」
ソウルは二人に視線を向けると、微妙な顔をしていた。
「教えてあげてもいいけど、持っている本人が嫌だと言えばそれで終わりだし、買い叩かないって約束してくれるなら教えてあげてもいいよ?」
「俺の方も、ホワイトローズと一緒だ」
「約束いたしましょう」
「マスター!この部屋に向かって来る敵性反応を感知しました!」
「なに!?人数は?」
「100を超えています!」
「100を超えてるだと?…ノーマンさんこれはどういう事ですか?」
「…私にもわかりません…」
マギアの言葉を聞いたノーマンは驚いていて、嘘をついている様な様子では無かった。それからすぐ部屋の扉が開き、太った男性とその男性の秘書と思われる女性が入って来た。
「ゴート大臣…これはどういうことですか?」
「どういう事?それはこっちのセリフだ!ノーマン団長!何故この罪人達を捕縛していない?こいつらは星の子らと繋がりがある奴らではないか!」
「彼らは奴らと何の関係もありません!」
「こちらで掴んだ情報では、こいつらは組織内で重要な役目を担っているらしいぞ」
「そんな馬鹿な…」
「おい!こいつらをあそこに連れて行け!あそこで全部吐かせてやる!ちゃんと武装も取り上げておけよ!」
ソウル達は抵抗せず、武器や鞄を渡し拘束された。
「最初に言っておくが俺以外が鞄を開けようとしたら、この帝都吹き飛ばす位の爆発が起きるから気をつけてくれ」
「なんだと!?貴様…」
「あ、一応言っておくがその仕掛けをしたのは、錬金術ギルドのアンジェラさんだから」
「あ…アンジェラだと!…」
ノーマンとゴートが話している間にソウルは、鞄に爆発と施錠のルーン魔法を付与していた。だが爆発と言っても一軒家を吹き飛ばす位の威力で帝都を吹き飛ばす威力は無かった。嘘と名の通っている人物の名前を出せば、真実味が増し鞄の扱いには慎重になるだろうとソウルは考えた。
「まぁいい…他に手はある…早くこいつらを連れて行け!」
ソウル達は兵士に手錠を付けられ、頭に布袋をかぶせられた。それからしばらく歩かされた後、馬車に乗せられ何処かに連れて行かれた。
「何処に連れて行かれるのかな?」
「きっと監獄だぞ!アズカバ○みたいな監獄!」
「どうしよう?防衛術なんて使えないよ?魔法の杖もないし近接職だし」
「エクスペンダブルパトロールナウだっけ?」
「なにその筋肉達が活躍しそうな呪文…エクスカリババルローナウでしょ?」
「いや、エクスペントバトローナウだろ?」
「…マスター達はこんな状況でも楽しそうですね」
ソウル達は、手錠と布袋を被ったままの状態で話合い、状況を楽しんでいる様だった。
トラブルアトラクター トラブルを引き寄せる人
2021/05/18 ユメミルクのセリフを修正
よくRPGなんかで無罪や濡れ衣なのに国の機関に捕まった後、監獄に移される奴です。仲間達と離れ離れになる奴も入れてみました。
ジョブチェンジはもうちょっと先なのじゃ
モチベ維持に評価お願いします!
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