マスク・オフ・会
特別編! リアル話です!
お楽しみくださいな!
この話はちょっと先の未来のお話なのじゃ…
「【ファイナリティキック】!」
アップルが大型ウツボのモンスターに止めの一撃を入れた。
「お疲れ、アップルこれでクエストクリアだ」
「これでユニオンランクも上がるわね」
「ああ、ようやくだな」
ソウル達は今、ユニオンのランクを上げる為、ギルドの依頼を手分けしてやっていた。ランクを上げれば、上級エリアと言う場所に行ける様になり、その上級エリアではモンスターなど敵が強くなるが、オカーネンやSPが普段より多く獲得でき、希少な素材等が手に入れる事が出来る為、ギルド依頼に勤しんでいた。
「後は報告するだけだな」
「ではマスター、ジャバワークを展開しますね」
「ねぇ…ソウル?あのウツボ見て思い出したのだけど…」
ソウル達が、今やっている「海辺のウツボ退治 討伐数20匹 」の依頼を終わらせれば、ランクが上がる所までやっていて、ソウルは報告に戻ろうとしたが、アップルが何か思い出したようで、ソウルを見つめた。
「アレの話はどうなっているの?」
「アレ…アレってなんぞや?」
「オフ会よ!オフ会!うなぎ屋でオフ会開くって言う話あったじゃない!」
「あ~?…あ?そんな話ありましたっけ?」
「…酷い…ずっと楽しみにしてたのに…」
「(まずい!マズイマズイ!アップルが泣き出してしまう!ヤバイ!)
「うぅ…グスッ…」
「あ!…ああ!思い出しました!今思い出しましたよ!確かに、俺言いましたね!オフ会やるって!すみません!近場で探したのですが、オフ会開いてもいいって言う場所が見つからなくって…それと、こっちが忙しくなっちゃってオフ会の事すっぽり抜けちゃっていました!申し訳ございません!」
「じゃあ、オフ会もうできないの?」
「いえ!必ずオフ会をさせていただきます!4日…いや3日ください!会場を見つけますから!」
「3日ね!わかったわ!」
アップルはニヤリと笑うとソウルは、しまった!と困った顔をした。どうやらアップルのウソ泣きに騙されてしまったようだ。とりあえず他のメンバーにも、オフ会の事を伝えないといけないので、最初の街の冒険者ギルドに集合する様、ゲーム内メールを使って伝えた後ソウル達は、冒険者ギルドに向かった。
「おっすーソウル、何々?オフ会するんだって?」
「そうなんだ…ティカルどうしよう…」
ティカルとは、新しく入ったメンバーで中身が総一郎の友人、戌井 拓斗だった。タクトの使うキャラの種族は、最近追加されたキーメラと言う種族で、職業がない代わりに捕食と言うスキルを使い、敵の特徴を獲られる種族であった。強いのは強いのだが、捕食を使えば使うほど、見た目も恐ろしくなってしまう為、いまいち人気がないプレイヤーキャラクターだった。
「ちなみにどんな場所でオフ会するの?」
「うなぎの調理を見せてくれるうなぎ屋なんだけど…何処かいいとこ知っているかい?」
「う~ん…僕にはないけど叔父さんなら知っていると思うよ」
「連絡取ってもらってもいいかな?参加するのは、俺とマナリア、アップルだけどティカルはどうする?」
「僕も行くよ!うなぎ食べたいしね。けど、ソウル達はお金大丈夫?うなぎって結構するよ?」
「大丈夫だ、俺が何とかするから」
「何とかってどうするの…?まぁ深く聞かない方がいいかな?じゃあちょっと落ちて聞いてみるよ」
「頼む!」
「はいはい、じゃあまたね~」
ティカルがログアウトをすると、マナリアが冒険者ギルドに入って来ると、マナリアは周りを見渡しソウルを見つけた。
「ソウルさん、オフ会するんですか?…というか大丈夫ですか?」
「アップルさんに3日で決めると言ってしまった以上やるしかない…今、ティカルに頼んでオフ会する場所探してもらっているから後は、お金の問題だな…」
「えっと…確かうなぎ屋さんでやりたいってアップルちゃん言ってましたね…私のお小遣いでうなぎはちょっと無理そうです…だから私は不参加で…」
「今回は、高額だし全部俺が出そう」
「え?いいんですか!?」
「大丈夫だ。さすがに小学生にお金払えとは言えんし、無理だろ?だから初回限りで俺が全部払えば、問題は無い」
「そんな…悪いです…」
「仲間なんだから遠慮はしないでくれ、さっきも言ったが初回限りだ。もし、次があったらちゃんと払ってもらうよ。まぁなるべく安い所を選ぶから安心してくれ」
「そういう事なら、今回はお言葉に甘えて参加しますね。ありがとうございます」
「いいって事ヨ」
「マスター?でもお金どうするんですか?マスターの銀行の残高ジュウキュ…」
「オイィ!俺の預金額を公衆の面前で言うんじゃない!」
「失礼しました」
「まったく危ない奴だ…まぁお金に関しては知り合いの仕事すれば問題ないだろう」
「うなぎ7000円位として参加が4人…28000円の高額のお仕事ってあるんですか?」
「1日5万の仕事がある…」
「ひぇ…ソウルさん怖いです…って言うか本当に大丈夫なんです?」
「大丈夫だろ?多分?」
「多分って…」
マナリアが不安な顔でソウルを見ると、ソウルは怪しい顔をして笑った。それから二人で雑談をしていると、この街に着いて競売所に向かったアップルが、ギルドに入ってきて雑談に参加し、その数分後ティカルがログインしてきて、ソウル達のいるテーブルの席に着いた。
「おっけー!場所の確保できたよ~とりあえず4日後に予約して来たけど大丈夫?」
「ええ、かまわないわ」
「俺も大丈夫だ」
「あ、私は親に許可取ってきますね!多分大丈夫だと思います」
「じゃあ、4日後の午後1時までにここにきてね」
「集合はどうする?そのまま向かうか?」
「駅も近いし現地集合でいいんじゃないかな?」
「そうね、ソウルは別として他の皆のリアルは知らないから現地集合でいいと思うわ」
「だいたい決まったかな?あ!そうだ、全員マスク着けて来てくれ。極力個人情報は出さない事、聞いてしまったとしても誰にも喋らない、それが親兄弟だとしても墓場まで持って行くことを約束してくれ」
「え?なんで?」
「アップル…今のご時世どこで何かしてたらすぐ拡散する時代だ…もしオフ会の事がバレて、よからぬ奴が近づいて来るかもしれない…」
「そんな考え過ぎじゃ…」
「じゃあ、この話は無かった事にするがいいか?」
ソウルがアップルを見つめると、アップルはしぶしぶ了解した。その後、ソウルはティカルに総額いくら掛かるか聞くなどして、話を詰めていき今日は解散した。
「マスク…マスクね…」
FDVR機器を外したアップルの中の人、天宮寺 林檎はマスクについて考えていた。
「おや?お嬢様?どうなされました?」
扉から数回のノック音が聞こえ、林檎が許可を出すと老齢の執事服を着た人が林檎の部屋に入り、悩んでいる林檎に声をかけた。
「ああ、不破さん。4日後にオフ会するんだけど、正体隠す様にマスク着けて来てって言われたわ…私オフ会なんて初めてだからどんなマスク着ければいいか解らないの…」
「え!?お嬢様がオフ会!?友人もいなくて、教師に二人組作ってと言われて必ず教師と組むボッチのお嬢様に御友人が出来たのですか!?さらには、言い寄ってきた男子を殴り飛ばして悪評が広まってさらにボッチ化が進んだお嬢様に!?」
「不破さん…私年配の方でも失礼言う相手には、容赦せず拳を振り上げる事が出来る人間よ?」
「こりゃあてぇへんだ!旦那様にご報告しなければ!」
不破が、林檎の部屋から飛び出す様に出た後何故か、てぇへんだぁ!と江戸っ子口調でに連呼し何処かへ消えていった。その様子を見ていたアップルは、大事になってしまった事に頭を抱えていた。その数分後、林檎の部屋に家族全員が飛び込むように入って来た。
「林檎がオフ会だと!どういうことだってばさ!」
「姉ちゃん本当かい?僕達を騙してない!?」
「おお!我が妹よ!悩みがあるならこの美しい私に話してごらん?」
「はいはい、皆落ち着いて、林檎が困っているじゃない!」
「奥様…それはお嬢様ではありません、花瓶です」
最初に父親が入り林檎を問い詰め、次に弟が疑惑の目を向けた後、兄がナルシスト全開で心配し最後に母親が動揺し花瓶に向かって話していた。とりあえず林檎は全員を落ち着かせた後オフ会の事を話した。
「あなた…そのソウルさんにお礼言わなきゃ…」
「ああ、そうだな…我が娘の為にパーティーを開いてくれる人がいたなんて…」
「私は認めないぞ!どこの馬の骨とも分からない奴に妹を渡すなんて!どうしてもと言うなら私より美しい人を連れてこい!」
「僕はいいと思うよ?これをきっかけに姉さんが社交的になってくれれば、きっと友達も増えると思うしさ」
「父様、母様…ただのオフ会だからお礼だなんていらないわ…兄様、それについては兄様より美人だから問題ないわ‥連はいい子ねありがとう」
林檎が両親にお礼はいらないと言い、兄に美しさについて話すと兄は驚愕と絶望が混じった顔をするのを見た後、弟の頭を撫でた。
「そうか…じゃあなにかできる事はないかい?」
「えっと、マスク着けて正体がバレない様にしなくちゃいけないのだけど、どんなマスク着けて行けばいいのか解らないの…」
「なるほど!解った!うちの会社の総力を挙げて最高のマスクを用意しよう!」
「マスクに合わせて服も作った方がいいわよ!あなた!」
「ああそうだな!一流デザイナーに連絡を取ろう!」
「私より…美しい?…そんな馬鹿な…」
「パパ、ママ準備する時間は4日しかないんでしょ?急いだほうがいいと思うな」
「ああそうだな連!忙しくなるぞぉ!」
父親が不破に指示を出し、その場が慌ただしくなると林檎は不安な気持ちにもなったが、同時に家族に心配されていた事に気が付いた。
「(なにか大事になったけど、私はこんなに心配されていたのね…もう少しちゃんとしようかな…)」
慌ただしくなった風景を見ながらリンゴは心の中でそう思った。
「マスター?どんなお仕事するのですか?」
「ん?ああ、荷物運びだ」
「荷物運びで5万円も貰えるのですか?」
「まぁ特殊な荷物運びとだけ今は言っておこう」
総一郎がスマホを操作し、何処かへ連絡を取り始めた。
「あーお疲れ様です。少し入用になったので連絡しました…はい…はい…わかりました。明日の夜そちらに伺いますね。はい…では失礼します」
ソウルが電話を終えると、スマホに映ったマギアが両手をブンブンさせていた。
「マスター!今の電話の相手は!」
「おっと!それ以上何も言うな…」
「…はい」
その後、総一郎は翌日、日が落ちた時にバイクで出かけ、市役所に向かった。
「お疲れ様です」
「おお、総一郎君今日は頼むよ!」
「はい、必ず届けますのでお任せください」
「頼むよ!」
太った男性から荷物を受け取り、落とさない様にバイクに括り付けた後、総一郎は出発した。
「マスター…この先は朽ちた洋館がありますが大丈夫ですか?」
「大丈夫だろ、俺は中に入らないし」
「そうですか…」
ハンドルに付けたスマホスタンドのスマホから、マギアが心配する声が聞こえ、総一郎は大丈夫と行った後、朽ちた洋館の前までやって来た。洋館の前では、数人の男女が頭を抱え悩んでいる姿が見えた。
「お疲れ様です!お荷物お届けに上がりました」
「え!マジで!ありがとう!これで奴を駆除できる!」
「こんな所まで配達してくれる人がいるなんて…」
「おお!総一郎君か!ありがたい!」
「こんばんは、鬼塚さん難航してます?」
「ああ、ちょっとな…持ってきた装備では対処できなくてどうしたもんかと悩んでたんだが、君が届けてくれた物で何とかできそうだよ!ありがとう!」
「いえ、仕事なのでお礼とか不要ですよ」
「いや、それでも感謝するよ!ありがとう!」
「じゃあ、お気持ちだけ受け取っておきますよ」
「ははは、そうか。…どうだい?総一郎君…本格的にこの仕事につく気は無いかい?」
「あんな恐ろしい洋館に一歩でも入ったら気を失うのが目に見えてるんで遠慮しておきますよ」
「うう~んそうか…まぁ気が変わったらいつでも連絡してきてくれ…よし!お前ら!準備は出来たか?いくぞ!」
渡した荷物を身に着けた男女が、再び朽ちた洋館の中に入り、しばらくすると何か戦闘音が聞こえ始めた。
「マスター彼らは何と戦っているのですか?」
「…もの」
「マスター!冗談言わないでくださいよ!現実にバ…ケ…」
マギアが言いかけると、突然朽ちた洋館が崩壊し中から超巨大なムカデが現れた。
「バケェ!」
「おっと危ない!」
飛んできた瓦礫が総一郎達に降り注ぐが、総一郎は安全な場所まで下がり、彼らの戦闘を見守った。それから彼らは見事超巨大なムカデを討ち取り、後片付けを始めた。
「鬼頭さんお疲れ様です。では俺は戻って報告したら帰りますね」
「ああ、お疲れ様!」
挨拶を済ませ、総一郎は市役所に戻ると総一郎に荷物を渡した太った男性に先ほどの事を報告した。
「いや~今回は助かったよ!私らは、秘密裏に対処しないといけないし、迂闊に人員も増やせないから追加支援出されても運んでくれる人がいないから困ってたんだけど総一郎君が来てくれたおかげで何とか出来たよ!ありがとう!」
「いえ、お仕事ですので」
「そうだったな!はっはっは!じゃあこれお給料!少し色付けておいたから!」
「ありがとうございます」
「いや、今回は本当に参ったよ…とある製薬会社が倒産して実験に使われていたムカデがあそこに住み着き、あんなにバカでかい姿で現れるなんて…それも解ったのがつい最近で、数年かけてあんな巨大になったらしいんだよ…」
「まってください!それ以上は仰らなくて結構です!失礼します!」
「あ!ちぃ!逃げられたか…」
総一郎は、それ以上は深く踏み込まない為に急いでバイクに乗り、自宅へ向かった。
「マスター…リアルでもバケモノっているんですね…」
「いると思うよ?まぁ…この話はここまでにしておこう。この事は誰にも言わない様にな?」
「了解しました。この事は、アクセスレベル最大にして封じておきます」
「それがいい、よしお金は何とかなった!後は、オフ会に行くだけだ」
総一郎が部屋に戻り、今日はもう遅いのでログインせず、寝支度を済ませた後就寝した。そしてオフ会の日になり準備を済ませた総一郎はバイクに跨りうなぎ屋に向かおうとした。
「あ!総兄ぃ?どこか行くの?」
「ん?ああ、オフ会でうなぎ食って来る!」
「うなぎ!いいなぁ!私も食べたい!」
「いや、食べたいって言ってもどうしようもないな?」
「食べたい~食べたい~」
「予約4人で取っているからなぁ…あ、土産で買ってくるか…」
「やったぁ!」
「でも、そこで土産やって無かったら諦めてくれ」
「う~…わかった…」
有栖に見送られながら総一郎はバイクを発進させ、うなぎ屋に向かった。県境を越え、目的地のうなぎ屋につくと小学生が二人…いや、拓斗と女の子がいた。
「あ!総君」
「あ!総一郎さん!」
2人が同時に総一郎に声をかけると、互いに驚きお辞儀をして挨拶した。
「マナリアさんだったんだね…家族でこの店に来てる子供かと思ったよ…」
「私も、ティカルさんだとは思ってはいませんでした…近所の子供かと…」
「僕はこんななりだけど、総一郎と同い年だよ?」
「えぇ!?嘘ですよね?」
「嘘じゃないから!総一郎も何とか言ってやってよ!」
「すまないマナリア、この子はちょっと背伸びしたいお年頃なんだ…」
「ちょっと!」
「ああ、そうなんですね!」
総一郎が、ニヤつきながらマナリアに言うと拓斗が驚いて訂正し、マナリアは総一郎の嘘を信じてしまったようだった。
「マナリアさん!嘘だからね!本当に同い年なんだからね!」
「はい、解ってますよ!恥ずかしくなって誤魔化さなくても大丈夫ですよ?」
「誤魔化してなんかないよ!」
「そろそろ店の邪魔になるから中に入るぞ~マスク着けろ~」
市販の不織布マスクを着け、総一郎達が店の中に入り予約した事を伝えると、割烹着を着た女性に奥へ案内された。
「奥様はもうご到着して中でお待ちになっていますよ?お客様!頑張って下さいね!」
「え?奥様?どういう事です?」
割烹着の女性が、胸元で両手を握り総一郎に応援を送ると厨房の方に行ってしまった。総一郎は、首を傾げながら引き戸に手をかけた。
「マスターもしかしたらですが、あの女性は「再婚相手に自分の子供を見せようとしているのでは?」と言う勘違いをしているのではないでしょうか?」
「…まじかよ…」
「新しいお母さんに気に入られる様に僕、頑張るよ!ね?「お父さん!」」
「おい馬鹿止めろ!」
視線を感じハッとして厨房の方を見ると、割烹着を着た女性が小声で「やっぱり」と言ったのが聞こえた。総一郎が全力で首振って否定するが、割烹着の女性は先ほどと同じように、総一郎に応援を送り厨房に消えていった。
「さっきの返しだよ!」
「っく!」
「お二人共そろそろ入りましょうよ…アップルちゃん待ってますよ」
「そ…そうだな…」
総一郎が引き戸を開くと、部屋の中は別世界だった。部屋の中には、赤いドレスと仮面舞踏会でつける様な豪華な仮面をつけた女性と、白い仮面をつけた白髪の老執事がいて総一郎は、そっと引き戸を閉じた。
「あれ?俺達は、うなぎ屋じゃなく仮面舞踏会に来たんだっけ?」
「総君…きっとこの扉は異世界に通じてるんだよ!きっとそうだよ!」
「このまま異世界転移しちゃいますか?私、リアルでは普通の女の子ですよ!?」
部屋の前で、あり得ない事に騒いでいると勝手に引き戸が開き、赤いドレスの女性が目の前に現れた。
「皆何してるの?部屋に入ったら?」
「もしかして、アップルか?」
「そうだけど何よ?」
「と・・・とりあえず中に入るか…迷惑になるしな…」
総一郎達が、部屋の中に入り座布団に座ると総一郎達は、アップルを見た。
「一応自己紹介しておこう…俺がソウルだ」
「ティカルだよ」
「マナリアです」
「アップルよ!」
「で…アップル…その姿と後ろの老執事さんはどちら様で?」
「ん?ああ、うちの執事の不破さんよ!」
「初めまして、皆様。不破辰助と申します。以後お見知りおきください」
「ああ。これは、ご丁寧にどうも…それで…その衣装は…」
「家族皆で準備してくれたの!すごいでしょ!」
「うん…僕は、凄すぎて直視できないよ…」
「アップルちゃんはこれから仮面舞踏会に行くの?」
「行くわけないでしょ!」
「そうか…アップル…ちょっと言わせてもらってもいいかな?」
総一郎が、真面目な顔をしてアップルを見つめた。
「この店で、その服装は無いから普段着に着替えてもらってもいいかな?」
「え?何かおかしかった?」
「おかしい事だらけだよ!ただのうなぎ屋にドレスに豪華な仮面っておかしすぎだろ!」
「そうかしら?」
「不破さんは、おかしいと思わなかったのですか?」
「おかしいと思いましたが、お嬢様が愉快…いえ、楽しそうだったので放置…いえ、止められませんでした」
「え!ちょっと!おかしいと思ったのならちゃんと言いなさいよ!殴るわよ!」
不破はアップルの言葉に笑いながら手を2回叩くと、畳下や天井など至る所からメイド達が現れ総一郎達とアップルの間に仕切りを引くと、瞬く間にアップルの姿が普通の服装に戻った。
「これでいいかしら?」
「ああ、問題ないよ」
「今のメイドさん達は…あれ?掛け軸の裏から出てきたのに隙間や動く様子がない?1枚の壁?あれ?僕は幻術に掛かったのかな?」
「現代のメイドさんは忍術使いだったのですね…」
「はっはっは、旦那様は仕事柄敵も多いのでメイド達には必須技能なんですよ」
「まさかの、デフォで身に着けてるとか…すごいな…」
「ソウル、そろそろ注文しない?」
「ああ、そうだなうなぎ屋に来たのにびっくり箱を渡された気分だった…皆注文しよう。ここのお金は全部俺が持つから松の大盛り頼んでも大丈夫だぞ」
「じゃあ、遠慮なくそうさせてもらうわね!」
「総…ソウルゴチです!」
「ごちそうになりますね」
注文する為、店員を呼ぶと先ほどの割烹着を着た女性が現れ注文を取った後、最後に総一郎に小声で「やりましたね」と言われた。訂正するのもめんどくさかったので苦笑いで返答し、注文のうなぎを待った。
「ソウル!ここからウナギの調理が見れるわ!」
「ご注文の調理が見えるうなぎ屋を選んだから、たっぷり見てってくれ」
「わ!頭に杭を!あ~綺麗に捌かれたわ!」
「アップル…少し落ち着こうな、うるさくすると追い出されるかもしれないぞ」
「それは困るわ…」
総一郎がの忠告をきいたアップルは、小声で驚きウナギの調理を見ていた。
「私までごちそうになってよろしかったのでしょうか?」
「問題ないですよ、不破さん。こういうのはみんなで食べた方がおいしいですし、アップルさんもご家族の方がいた方が安心できるでしょう」
「なんと、お若いのにそこまでの気配りが…いい親御さんの教育が行き届いていますね」
「いえ、教育に関しては俺の祖母から教わった物でして、特に両親とかではないですね」
「おや、そうでしたか一度会ってみたいものですな」
「不破さんはあった事はないですが私の祖母の事は知っていると思いますよ」
「え?それはどういう?」
「お待たせいたしました。うな重 松 大盛りのお客様は?」
話の途中で割烹着の女性が、注文したうな重を持ってくると総一郎達が頼んだ物を各自受け取った。渡し終えた最後に割烹着の女性にウナギのお土産ができるか聞いた所、出来る様なので5人前を頼んだ。
「それじゃあ、早速食べようか。長ったらしい挨拶は料理が冷めてしまうからい無しで!いただきます!」
「「「「いただきます」」」」
蓋を開けるとうなぎとタレの匂いが鼻腔を擽り、箸でウナギを切ると何の抵抗もなく切れた。たれのかかったご飯と一緒にうなぎを口に入れると最初はサクッと言う食感の後柔らかさが広がり口の中が幸せになった。
「これが本物のうな重なんですね!とってもおいしいです!」
「ほんとねー」
「スーパーで売ってる奴とは次元が違う…あ、失礼か」
「比較対象がスーパーの奴しか知らないからしょうがないさ」
「お嬢様!旦那様達にもお土産として持って帰りましょう!」
「そうね!」
「(あれ?アップル達のお土産の分俺がも払うのか?…まぁいいか、前日の仕事で色付けてもらったから問題ないし)」
総一郎達は、ゆっくりと味わう様にうな重を食べていき、ご飯粒一つ残さず平らげた。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「いやー美味しかった」
「うな重が2段になっていて幸せが倍増でした」
「あれなら毎日食べたいよ僕」
「こういうのはたまに食べるからおいしいんだ」
「あ~それもそうだね~」
各自しばらく余韻に浸り、総一郎がアップルに視線を向けると、アップルは船を漕ぎ始めていた。
「アップルは大丈夫か?」
「ああ、お嬢様…どうやらオフ会が楽しみで碌に眠れてなかったようです」
「子供みたいですねアップルちゃん」
「今日はお開きにしようか」
「そうだね」
総一郎達はマスクを着け、完全に落ちたアップルを不破が背負い、総一郎が会計とお土産を貰った。
「ああ、申し訳ございませんソウル様、お土産代を今渡しますね」
「いえ、今回はすべて私が持つと言ったので問題ないですよ」
「ええ、ですが結構なお値段では…」
「今回だけ、と言う話ですからここは俺に奢らせてください」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「ではこちらをどうぞ」
不破にお土産を渡し挨拶をせ済ませると、アップル達は車に乗って帰って行った。拓斗とマナリアも店を出た後総一郎に挨拶して二人で駅に向かって行った。
「マスター!皆様のリアルは個性豊かで楽しいですね!」
「そうだな~アップルさんの最初のインパクトが強すぎて笑いをこらえるのが大変だったけど楽しかったよ」
「次はどうしますか?」
「…もし次があったら今度は食べ放題に行こう」
「あーそれなら皆さんも払えますね」
「ばあちゃんが「男は見栄を張ってなんぼよ!女性や友人に奢っても問題ない位稼げる男になりなさい」って言っていたけど、今の俺には虚栄しか張れないな…」
「この奢りがいい方に転がるといいですね」
「損得で考えたら悲しくなるからやめておこうか…よし帰るか」
総一郎がバイクに乗り自宅へと帰って行った。
アップルの家族が呼んだ一流デザイナーは北の字を持つあの人
倒産した会社のマークは傘のマークだったそうな…
特別編第一弾としてリアル話のオフ会をしました!第二弾はゲーム方面で行こうと思います!
モチベ維持に評価お願いします! ありがとうございます!
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2021/11/17 拓斗の種族を変更




