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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
真理者の腕
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彼女の冒険日記

お待たせいたしました!真理者の腕編 最終話 です!



お楽しみください!

 ヴァルハラの飛行船に乗り込んだソウル達は、崩壊していく浮島や塔を見つめていた。


「終わったわね…ソウル…」


「クリアしたんですね…」


「ええ、いまだ実感は湧きませんが…」


 動けるようになったソウルが、呟くように言い塔に視線を戻すと、崩壊している各塔の最上階から守護獣が上空へ上がった後、何処かへ去って行った。ただ、去って行く守護獣達の中に、氷の塔の守護獣は居なかった。


「マスター…彼らは精霊として元の住処に戻って行ったのでしょうか?」


「解らない…守護獣としての役目を終えた精霊達は、元の住処に行ったのかもしれないし、別の場所に行ったのかもしれない…もし会う必要が出来たら、何処かに何かしらのヒントがあるはずだから、それを探せばいいさ」


「ソウル!とりあえず地上に戻るぞ!」


「了解した、頼む」


 舵を握っているユメミルクが船首にいるソウルに大声で伝えた。ヴァルハラの飛行船「エインヘリャル」とホワイトローズの船「薔薇の女王」が浮島から少し離れ、降下していった。地上に向かっている途中、ソウルは通って来た黒い雲が無くなっている事に気が付いた。


「俺らが通って来た黒い雲も無くなっているな…」


「マスター、どうやらあれは塔にいた精霊達が起こしていた様です。あの黒い雲の中で稲妻が起こった時、魔力を感知しました。」


「なるほど…あの黒い雲は、精霊達にしかできない魔法だったのか…」


「精霊魔法という物でしょう」


「精霊魔法…強そうだな」


「ルーン魔法は、精霊魔法を真似て人が使えるようにした物だと言われています。なので強力だと言われているルーン魔法より強い魔法と言っていいでしょう」


「そんなに強いのか…ああ、そういえば黒い雲の中の稲妻…直撃したらやばそうな威力だったな…」


「精霊がその気になれば、大陸を破壊する事など容易いと思われます」


「マジか…俺らは世界を破壊できる存在を解き放ってしまったのか?…そういえば新要素に精霊契約ってあったな…もし悪役プレイヤーが精霊と契約したら碌な事にしかならないな…」


「そこは精霊達も何か対策をすると思いますよ?難易度を高くするとか、出会うまでの道のりを遠くするとか…」


「精霊王と言う存在もいるから無茶な事は起こらないか…」


「ええ、私もそう思いますよ」


「もうすぐ、地上に着くぞ!ドロップ品分配するだけだから、テントや設備は降ろさなくていい」


 ユメミルクの声が聞こえると、雲で観えなかった下の景色が一面に咲く花々を映し出した。地面が近づくに連れて二隻の飛行船がゆっくりと高度を下げた後、一定の高度で止まり小型機で地上に降りた。


「浮島の下はこんなきれいな場所だったのね」


「いい匂い…すごくリラックスできますね」


「ちょっと疲れて眠くなって来たから寝るわよう」


「旧型の機械では匂いはわからないよ…買い替えよう…」


 地上に降りたアップル達が深呼吸して体を伸ばし、ティーがソウルの鞄の中に入ると、ホワイトローズが決意した目でFDVR機の買い替えを決めた。


「ソウル、今回の報酬について話をさせてもらってもいいかな?」


「ああ、もちろん。だけどアップルさん達を先に選ばさせていいか?俺の分は無くてもいいから」


「ソウルさん!それは!」


「ダメよソウル!」


「大丈夫ですよ、私はこれを貰いましたから」


 ソウルが、二人に右手を上げてブルーローズを見せた。


「いや、お前も貰っとけ、武装全部なくなったんだろ?」


「そうだよソウル、そんな事で文句言う奴はここにはいないよ」


「ありがとう、二人共。じゃあアップルさんとマナリアさん選んじゃってください」


 ソウルは、最初にアップルとマナリアに報酬を選ばせた。マナリアは何故か2m半位のランスと全身が隠れるほどのタワーシールド、そしてそれを運用するスキル玉Lv7を取り、アップルは、何かの巻物と魔装使いが違う姿になれる腕輪型の機械を取った。


「マナリアさんは、何故槍と盾を?」


「私、騎士になりたいです!なのでこれを選びました!」


「お?入団希望者かな?」


「いえ!ソウルさんの作るユニオンに入りので結構です!」


「はっきり断られちゃったよ…」


「アップルさんは巻物ですか?」


「武術の奥義が書いてある巻物らしいわよ…封印されていて今は見れないけど…」


「あ~それは、条件満たして中身見るとLvMaxで獲得できる奴だな、開く条件が厳しいほど強力な物が手に入る」


「ちなみに条件はわかりますか?」


「ノーダメージで自分の推定レベルより30以上の敵を1000体討伐だって」


「え…?それってきつすぎるじゃ…」


「大丈夫よ!秘策はあるわ!」


「左様ですか…」


「後はソウルだけだな」


 ユメミルクがソウルに言うと、ソウルはウィンドウ欄を開いて選び始めた。何故かアップル達が不安そうな顔でソウルを見ていたが、ソウルは気にしない事にした。


 ソウルが、ウィンドウに表示されたドロップ品を選んでいると一つ目を引く物があった。


「龍の鋭牙…その脈動する牙は神でさえ防ぐことができない鋭い牙か…何かに使えるかな?」


「それでいいのか?もっといい物があるぞ?」


「何故だか、これに目が行った…何かに使えると思うから、これにしておく。後のアイテムは全部権利をパスするからそっちで分け合ってくれ」


「きっとまた何かあるんだね…わかった。これからソウル達はどうするの?」


 ホワイトローズがソウルに、今後の予定を尋ねるとソウルは、始まりの街アークライトへ戻り、このクエストを教えてくれたアンジェラに会うと伝えた。


「報告し戻るんだね、了解了解。あ、でも待って!その右手どうにかした方がいいかもしれない」


「あ~そういえば、これって奪われる可能性があったな…」


「やっぱり、オンリーワンアイテムか~持っている事がばれたら馬鹿共が大軍で襲って来るよ?」


「マジか…」


 ホワイトローズの忠告にソウルは身震いをした。銃士と言う最弱不人気職業のソウルは、他のプレイヤーから見れば格好の獲物だったからだ。もう二度と右腕を奪われたくないと思い、ソウルはどうするか考え始めた。


「そぉんなぁ時は、私ィにおまかせ!」


「何奴!」


 上空から何かが降ってきた。その振ってきた者は、魔法少女が使う魔法のステッキを取り出した後、決めポーズをしながらステッキのボタンを押して音を出した。


「……」


「〈ポチっ〉(テロレロリン♪)」


 その人物は静寂に包まれて中、もう一度ステッキのスイッチを押した。


「ノースさんこんにちは」


「ノース姉さん来たのか」


「ノースさんやほー」


「ちょっとぉ!普通ぅに返さぁないでよ!せっかくぅ颯爽登場!したぁのに台ィ無しじゃなァい!」


 ソウルとホワイトローズ、ユメミルクが、何も起きてなかった様な素振りでノースに挨拶すると、ノースが地団駄を踏んでツッコミを入れた。


「で~北のおっさん!何か妙案があるのか?」


「ノース姉さんと呼ぉびなさいってぇ言ってぇるでしょ!乳狂い!…簡単だぁけどガァントレットを装備して隠ぅせばいィいのよ!」


「そんな簡単な物でいいのかなぁ?」


 ホワイトローズが、首を傾げながら言うとノースは、ニヤリと笑い右腕に着けるガントレットを取り出した。そのガントレットは、機械的なデザインで、肘から手の甲にかけて6角形の銃口の様な物がついていた。


「このぉガントォレットォは、ソォウルちゃんがぁ右腕奪われぇたって話を聞ィいた時、私と南ちゃんとのォ合作作品よぉ~!受け取ってぇ頂戴! あ、見た目ぇ衣装だかぁらぁ防ゥ御力とか期待しぁないでね!」


「ありがとうございます!あのオカーネンは?」


「いらなぁいわぁ!見た目衣装だからぁコスゥト0よぉ!防御力も0だけぇど!」


「そうなんですね…じゃあ早速、着けてみますね」


 ソウルはガントレットを受け取った後、装備欄を開いてガントレットを装備してみると、右肩から指先に掛けて右腕がガントレットに変わり、貰った防具のデザインにも合っていた。


「うん!いいわぁ!よくゥ似合ってるじゃぁなぁい!」


「いい感じねソウル」


「ソウルさんかっこいいですよ!」


「あらぁ…あなぁた…」


「なに?」


 アップルを視界に入れたノースが、眉を寄せてアップルを見つめた。


「その服装ダサすぎぃ!」


「…え?」


「いィいキャラなぁのに、服ぅがダサすぎィていろいろダぁメにしちゃってるぅわ~ 女の子キャラなぁんだからもぉっと、拘った方がぁいいわよぉ~」


「そ…そう?…頑張るわ…」


 ノースのファッションチェックが炸裂し、アップルは引きながら頷いた。その後もノースのファッションチェックが続き、最終的には講座が開かれた。


「以上でぇ終わるわよぉ!みんなぁ頑張ぁって可愛く、かっこぉよくなってねぇ!」


「私の服装って古かったのね…」


「自分が好きな色で固めるとダサいんですね…勉強になりました…」


「…あれ?俺ら何してたんだっけ?」


 ソウルが、首を傾げるとマギアが予定を伝えると思い出した。


「じゃあ、そろそろ俺らは街に戻るわ」


「ああ、その右手の性能確かめる時は連絡してくれ」


「あ、私も気になるからよろしくね~」


「了解した、今日はありがとうな!」


「おう!またな!」


「またね~」


 ソウル達は、ジャバワークに乗り最初の街アークライトへ向かった。飛行中、雑談を交わしながら向かっていたので特に暇する事も無く到着した。


「それじゃあアップルさん達はこの後どうしますか?」


「競売所で防具探すわ」


「私も、同じく競売所に行きます」


「了解しました。じゃあ終わったら冒険者ギルドに集合でいいですか?そこでユニオンの事を話し合いましょう」


「わかったわ」


「了解です」


 ソウルとマギアは、アップル達と別れ錬金術ギルドへ向かった。


「こんにちは~アンジェラさんいますか?」


「お邪魔します」


「あ!ソウル達!お久しぶりです!おばあちゃん呼んできますね」


「頼みます」


「おや?ソウルさんとマギアさん、お久しぶりですね、ふぅ…」


「スクフォイさん、お久しぶりです」


「今日は、どうしたのです?真理者の腕を求めて冒険に出たのでは?」


「ええ、攻略成功したのでアンジェラさんに冒険の報告を、と思いまして」


「ええ!?もうですか!冒険に出てから、数えられる日数しか経ってないですよ!?」


「ヒントがありましたからね、バラックの港町で行くべき場所も解りましたし順調でしたよ」


「おや?ソウル?帰ってきたのかい?」


 スクフォイと話していると、奥からアンジェラが現れた。アンジェラがソウルの顔を見ると、何処かほっとしたような顔でソウルを出迎えた。


「こんにちは、アンジェラさん。今日は冒険完了の報告に来ました」


「おお、それは楽しみさね、アイシャお茶の用意をしておくれ」


「は~い」


「じゃあ、早速聞こうかね」


「はい、じゃあ~…俺らがこの街から出発した所から離しますね」


「記録した映像と写真もありますので解説はお任せください」


 ソウルはマギアの解説を付けて、これまでの冒険をアンジェラ達に伝え始めた。いろいろな場所に立ち寄って何をしたか、どう感じたか、どうしたのかを余すことなく伝えた。ユニークモンスターと出会い右腕を失った事も、アップル達と出会い、虹貝の欠片集めから始まり塔を廻る順番、守護獣達との戦闘、シロユキの苦悩、アルガスとの激戦を伝えた。ソウルの冒険を聞いているアンジェラ達は、たまに質問したり笑ったりしながら聞いていた。


「なるほどね…やっぱり、私の考えは間違っていなかったさね…あの時、ガメルフが馬鹿しなかったらメーリンも怪我する事はなかった…悔しいね…」


「メーリンさんですか?初めて聞くお名前ですね」


「おや?フォメルの奴から聞いて無いさね?メーリンはフォメルの嫁の名前だよ。あの時、引き返すことになったのはガメルフがいらない欲出して、メーリンに大怪我させちまったのさね…あの場所じゃ治療できない怪我だったから引き返す事に成っちまったのさね。 私らが乗っていた飛行船は、今よりもひどいもんだったから帰りの一回で大破しちまって、もう二度と行けなくなっちまったのさね…作り直すって言ってもオカーネンが無かったからね…」


「なるほど、そんな事情があったのですね…」


「ソウルさん、何かお土産はないですか?」


「お土産ですか?…すみません、あそこで採取した素材しかないですね…あ、それと宝箱から出てきた紙の束位しかありません」


 ソウルが、塔や浮島周辺で採取した素材と、宝箱から出た紙の束を出すと、アンジェラが紙の束を見て驚いていた。


「ソウル…この紙の束…ちょっと貸してもらってもいいさね?」


「いいですよ、はいどうぞ」


 ソウルがアンジェラに紙の束を渡すと、アンジェラが釜の前に立ち紙束を釜の中に入れ、錬金を始めた。


「あんなに真剣なおばあちゃん久しぶりに見ました…」


「師匠があんなに真剣なんだ…きっと重要な物だと思うよアイシャさん…」


 アイシャ達がアンジェラの真剣な姿に驚きいていると、その数分後、アンジェラは釜の中から一冊の本を取り出した。


「ソウル…すまないがこれをフォメルの奴に届けてはくれないさね?」


「はい、大丈夫ですけど…この本は?」


「メーリンの日記帳だよ…きっと放棄した道具類の中に入ってたんだろうさね…塔に取り込まれた後、経年劣化で読めなくなってたんだろうさね…」


「なるほど…」


 ソウルはアンジェラから日記帳を受け取り、鞄の中にしまった。


「じゃあ、早速届けに向かいますね。ちょっと冒険者ギルドに寄ってからですが」


「ああ、頼んだよ…あ、そういえばギルドに納品しないといけない物があったね、それもついでに頼めるかい?」


「大丈夫ですよ」


「悪いさね。アイシャ、ソウルに納品する薬品を渡しな」


「じゃあ、ソウルさんこれお願いしますね」


「はい、確かに届けます」


 アイシャから渡された瓶が入ったケースを受け取り、鞄の中にしまった。ケースが大きすぎて鞄に入るか解らなかったが、杞憂だったようだ。


「では、行ってきます」


「失礼します」


「またね。ソウル、マギア。何かあったらいつでも来な」


「またいつでもどうぞ!」


「今度は、武器錬金について話し合いましょう!」


 アンジェラ達に挨拶をした後、錬金術ギルドを出て冒険者ギルドへ向かった。冒険者ギルドの中に入ると、新しい服装になったアップルとマナリアがテーブル席で食事をしていた。


「お待たせしました」


「戻りましたー」


「お帰りソウル、報告は済んだの?」


「お帰りなさい」


「ええ、バラックの港町に届け物がある位ですね。それとこのギルドに届け物があるので少しお待ちを」


 ソウルが受付に向かうとフェリがいたので、アイシャに渡された物を渡した。


「あ、フェリさん。ユニオン結成するのに必要な書類ってありますか?」


「ユニオン結成するんですか?ありますよ、少しお待ちください」


 フェリが、カウンターの下から一枚の書類を取り出した後、ソウルに渡した。


「ここにユニオン名と盟主名…まぁ責任者の名前をここに、副リーダーの名前はその下にご記入ください。他のメンバーの方はここの欄へお名前をお願いします。それと、結成に当たって10万オカーネンかかりますが大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


「では、ご記入されたら受付へ書類とオカーネンをご提出してくださいね」


「解りました」


 ソウルは、アップル達がいるテーブルへ視線を向けると、マギア、マナリア、アップルの三人で話している姿が見えた。ソウルは三人がいるテーブル席に戻り、先ほど説明された内容を二人に説明した。


「なるほど、ここに名前を書けばいいのね」


「副リーダーはどうしますか?」


「その前に、二人に確認したいことがあります」


 ソウルが、早速書類に名前を書こうとしているアップル達を止めて、二人を見つめた。


「何?確認って?」


「お二人は、俺の作るユニオンに入るという事でいいのですね?」


「ええ、そのつもりよ」


「はいそうですが?」


「本当にいいのですね?これから俺が作るユニオンは良くも悪くも目立ちますよ…そのせいで理不尽な目にあったり俺のユニオンに入っていたせいでひどい目にあうかもしれませんよ?」


「大変な目?上等じゃない!そんなものは私が拳で砕いてやるわ!」


「そうですよ!私は、自分で選んで入るんです!流されたからじゃありませんから!」


 2人は決心した目でソウルを見ると、ソウルは頷いて盟主の欄に自分の名前を書いた。


「じゃあ、これからよろしく頼むアップル、マナリア」


「! ええ、一緒に冒険していきましょう」


 アップルがメンバーの欄に名前を書いた。


「! はい、これからよろしくお願いします!」


 マナリアもメンバーの欄に名前を書いた。


「それとソウル、さっきの言葉を一つ訂正しておくわ、俺のじゃないわ私達が作るユニオンよ!」


「!? そうだったな、すまない二人共」


「いいんですよ、ソウルさん。これからみんなで楽しみましょう」


「ちょっとー何面白い事しているのよう!私の名前も書きなさいよう!」


「対象はプレイヤーだと思うんだが…まぁ書いてダメだったら消せばいいか…」


「ダメって何よう!差別よう!断固抗議なのよう!」


 鞄から這い出たティーが飛び回り、ソウル達の周りをうるさく飛んだ。その後、マギアの名前も書いて受付に提出すると受理された。だが、ユニオン名と副リーダーを決めてない事で仮登録の様だった。


「プレイヤーじゃなくてもOKだったのか…。それと一週間以内にユニオン名と副リーダーを決めないとな…」


「フェリさんは、決まったら仮登録から本登録に移るから、本登録時に残り半分のオカーネン払ってくれればいいって言っていましたね」


「とりあえず、バラックの港町に向かいながら考えるか~」


「そうね、なにか届け物があるって聞いたけど?」


「ああ、昔あの塔に挑んだ人の日記帳を渡しに行かないといけないな」


「何が書いてあるの?」


「いや、中身は確認していない。きっと俺達は、これを読む資格は無いと思うから」


「…ちゃんとそういう事も解る男なのね」


「アップルは俺を何だと思っていんだ…」


 それからソウル達は、ジャバワークに乗りフォメルがいるバラックの港町へ向かった。前回は、寄り道しながらバラックの港町へ向って行ったが、今回は場所も判明しているので、一直線に飛んでいき、僅か3時間で到着した。


「マスター!前方からあの悪童が急速接近してきます!」


「…また、何かから逃げているのか…」


 マギアがソウルに言うと前方から、タントが全力で走っている姿が見えた。その後ろには、阿修羅の表情のミーナが角材片手にタントを追いかけていた。


「まてぇ!タント!今日という今日は許さないんだから!」


「ちょっと借りただけじゃねぇか!永久的に返さないけども!」


「それは盗んだって言うのよ!」


「そぉい!」


「ごふぁ!」


 ソウルが、タントにラリアットの不意打ちで止めた後、ミーナに挨拶をした。


「あ!えーっと~ソウルさん!でしたっけ?」


「はいそうですよ、久しぶりです。フォメルさんはご在宅ですか?」


「おじいちゃんに用ですか?家にいますよ!」


「じゃあ、伺いますね」


「はい、後で私も家に帰りますから」


「…元気なお嬢さんね」


「角材持って追いかけまわす…妖怪に居ませんでしたっけ?」


「聞いたことはないな…角材持って追いかけまわす妖怪は…」


 ソウルと話しながらタントを縄で縛ってるミーナが、何処かへ行くと女性二人が驚いた顔をしてミーナの感想を言った。それからソウル達は、フォメルの家に向かいドアをノックすると、中からフォメルの声が聞こえ中に入って行った。


「お?君かぁ真理者の腕はどうなったのじゃ?」


「ええ、仲間達と友人の力を借りて攻略できました。お話ししますね」


「ああ、頼む。儂も気になっていたんじゃ…本当に中央の塔には、真理者の腕は祀られていたのかい?」


「順を追って説明しますね」


「動画と写真もあるので、解説しますね」


 ソウル達は、塔の出来事をフォメルに話した。ソウル達の冒険譚が最後まで行くとフォメルが眉間にしわを寄せて悩んでいた。


「伝承に間違いがあったか…それとも意図的に替えられたか…今になって真実が判るとは…長生きはしてみるもんじゃのう」


「それと、これを渡す様にアンジェラさんから言われて来ました」


「…アンジェラから?…これは!」


 ソウルが鞄の中から、メーリンの日記帳を取り出し、フォメルに渡すとフォメルは目を見開き驚いた。フォメルは震える手で日記を開き中を読んで行くと、目から涙を流し始めた。


「本当に…今になって解る事もあるんじゃな…儂がこんなに愛されていたなんてな…もっと傍にいてやりたかったわぃ…」


「…俺らは、これで失礼しますね」


「ちょっと待て、何を気を使っているのじゃ?儂の婆さんは、まだ生きているぞ!」


「ええ?でもさっき傍にいてやりたかったって…」


「ちょっと旅行に行っているだけじゃ!」


「そうなんですね…私も勘違いしちゃいました」


「勘違いさせるのがうまい爺さんね…」


「じゃろ?婆さんもそこは褒めてくれたわい」


 フォメルが笑いながら日記帳を大事にしまうと、ソウルに一冊の本を渡した。


「これは、儂が伝説と言われとるアイテムの伝承や噂などまとめた本じゃ。お主らの冒険に役に立つと思うから今回の報酬として持って行ってくれい。ただ、さっきの真理者の腕の事もある…伝えられてる伝承が間違っている可能性もあると付け加えさせてもらうぞい」


「なるほど、ありがたく頂戴いたしますね。では、俺達はこれで」


「ああ、また何かあったら来ると言い。その時は相談に乗ろう」


「ありがとうございます!では失礼します」


 ソウル達が家から出ていくと、フォメルが閉まった日記帳を取り出し再び中を呼んでいった。


「ねぇ?おじいちゃん?ソウルさん達におばあちゃんが生きてるって話してたけど…いいの?」


「いいんじゃ…彼らが経験した冒険譚の最後がこんな終わり方じゃ死んだ婆さんも喜ばないからのう…婆さんは言っていたよ…悲しい結末はきらいだ、どうせなら面白おかしい結末の方がいいって、なぁ…」


「おばあちゃんらしいね…」


 いつの間にか帰って来たミーナが、フォメルにメーリンの事を尋ねるとフォメルは優しい顔で答えた。


「明日、婆さんの墓参りに行くかのう」


「そうだね、私も行くよ」


 フォメルとミーナは、写真立てに飾られている古い写真のメーリンを見て、ほほ笑んだ。


 真理者の腕編 ~完~


真理者の腕編を完走出来ました!私の拙い文もありますがこれも、皆様が評価とブックマークで登録してくれたおかげで、モチベ維持することができ大変感謝しております! 次の話はどんなのにするか、今だに決まっていませんが頑張りたいと思います!


次の話が、予告していた通りオフ会の特別編となっております!

ウナギご期待ください!(渋い顔)


モチベ維持に評価お願いします! ありがとうございます!


ブックマーク登録もよろしくね! 大感謝しております!ありがとうございます!


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