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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
真理者の腕
56/328

貴方の名前は?

YATTO 完成 投稿です!


かなり長いと思うのでゆっくりとお楽しみください。29ページです!

「じゃあ、帰ったら誘ってくれぃ」


「お使い頼まれたからちょっと遅くなる」


「あいよ、それまで準備してるわ」


「おう、俺もユニオンに話通しておくわ」


「亮くん、車だよね?途中のコンビニまで、乗せてってくれない?」


「いいぞ、俺も飲み物買いたかったし」


 総一郎は三人と別れ、帰り道にあるスーパーに寄って、メモの書かれていた物を購入した。


「挽肉、卵、キャベツ…今日は、メンチカツかな?」


 食材をカゴに入れ、レジへ進むとレジ担当の小柄な女性が驚いていた。


「ソウ…いえ…何でもありません…」


「?」


 総一郎は首を傾げるが、レジ担当の女性は黙々と会計を済ませ商品を総一郎に渡した。


「ありがとう…ございました」


 会計カゴに入った物をビニール袋に入れ店を出た後、バイクに固定し自宅へと向かった。






「ただいま~」


 自宅へと帰って来た総一郎は、頼まれていた物を渡し自室へと入ると、早速ログインを開始してた。ログインを完了し、左あるパーティー欄を見るとマナリアとアップルがこの世界にインしていた。


 [あら?ソウル?どうしたの?]


 〈アップルさん…あれからずっとやっていたのですか?)


 [ええ、あれから少しでも強くなろうとしてSPを稼いでいたわ、マナリアとマギアも一緒よ]


 そのチャット文を見たソウルは、申し訳ない気持ちで一杯になった。あれから頑張っていてくれた事、二人に相談もせず、応援を頼んでしまった事などの申し訳なさがソウルを襲うが、同時に感謝の気持ちも溢れてきた。


(二人に、謝罪しなきゃいけない事があります…一旦集まってもらってもいいでしょうか?)


 […そう、わかったわ]


 それから数分後、アップル達がソウルの下に集まり、ソウルは頭を下げた。


「すみません皆さん、あの後ログアウトして友人と食事に出かけたのですが、助けてくれる事になりました。勝手に決めて申し訳ありません」


「…謝罪ってそんな事?…何よもう!脅かさないで頂戴。攻略を諦めるのかと思って身構えたじゃない!」


「ソウルさん、本当にびっくりしましたよ!」


「え?許してくれるのですか?」


「許すも何も、今の私達じゃ攻略は難しすぎるわ…助人を呼ぶのは間違いじゃないわ」


「正直、私は今のパーティーでクリアしたいって言う気持ちもありますよ?でも、無理なんです…あの強さにどうやっても届かないんです…だから、ソウルさんが友人さんを呼んだのは何もおかしくはないんです」 


「マスター、一人で頑張らなくでもいいんです。みんなで頑張りましょう?今回は、私達では無理でした…でも、次は私達でクリアできる様に一緒に頑張りましょう?」


「あんな辛そうな顔、見たくはないわよう!」


「皆…ありがとう」


 仲間達から励まされ、ソウルは一人で何でも考えなきゃいけないという間違いに気が付いた。パーティーリーダーだからと自分で選んだクエストだからと、自分で自分を苦しめていようだ。その事に気づかせてくれた仲間達にソウルは、感謝した。


「それで、その友人達はいつ来るの?」


「ちょっと聞いてみますね」


 ソウルは、フレンド欄を開き、ホワイトローズとユメミルクを選択し電話のマークを押した。


 〈もしもし?、聞こえるかい?〉


 [きこえるよ~PT加入申請するから入れて~、それでそっちに行けるから]


 [こっちも頼む、準備はもうできているぞ!」


 2人からの加入申請に、はいのボタンを押すと、左に表示されているPT欄に二人の名前が表示された。


 [おkー今からそっちに向かうよ、中心の塔でいいんだよね?]


 〈ああ、そうだ)


 [よし!俺らも向かう]


 2人との通信を終わり、ソウルはアップル達へ視線を向けた。


「こっちへ来る様です。二人共俺のリアル友人で中身男ですよ」


「ああ、女性キャラ使っているのね」


「ホワイトローズさんにユメミルクさんですね、推定レベルが高い方達なんですか?」


 ソウルが、頷き肯定した。それから数分後、中央の塔に二隻の飛行船が到着した。飛行船から蜻蛉の羽を付けた小型機が幾つも現れた後、中央の塔付近に着陸し、あっという間にテントや作業場が建てられ拠点が出来上がった。ソウルは、ホワイトローズとユメミルクの二人をPTメンバーに紹介する為二人を呼んだ。


「こっちが友人のユメミルクとホワイトローズです。こちらが、PTメンバーのアップルさんとマナリアさんです。そして俺の周りを飛んでいるのが、風の塔で出会ったティーです」


「よろしくね~私ら来たからにはドーンと任せて!」


「よろしくな!俺も全力で当たらせてもらうぜ!」


「よろしくお願いしますマナリアです」


「よろしく、私はスイートアップル、スイートでもアップルでもどっちでも構わないわ」


「ティーなのよう!」


「じゃあ、一旦抜けてこっちで参加メンバー揃えるから表示が出たらはいを押してね~」


「了解」


 ユメミルクとホワイトローズは、PTから抜けると参加メンバーを集めて、ソウルに同盟申請を出した。ソウルは、表示されたウィンドウにはいのボタンを押すと、左に参加メンバーが簡易表示された。


「ソウル達は、一度武器防具修理して、それからいこう」


 ユメミルクが、ソウル達を作業場へと案内し生産職のプレイヤーに修理を頼んだ。慣れた手つきで渡されてた武器防具類を修理した後、ソウル達に返した。


「100%回復したわ」


「修理ありがとうございます!」


「ありがとうございます」


「いいって事~まだ何かあったら声をかけてくれ」


 修理してくれたプレイヤーに感謝を伝え、ソウル達は塔の中に入って行った。塔の中に入ったユメミルクとホワイトローズのメンバー達は、本の数に驚嘆の声を上げた。


「この本の多さは、驚くよね」


「ただのオブジェクトじゃなくて一つ一つ全部読めるもんな、すごいと言うほかない」


「ちゃんと役立つ本もあるからなぁ…」


「ここクリアしたら調べてみるか~」


 ユメミルクは、上に向かう床に乗った後、つぶやいた。そのつぶやきに、メンバー達は喜び自分達が欲しい情報があることを祈った。床が上え向かう途中ふと、ソウルはマギアを見て、思い出したことがあった。


「そういえば、二人の小型サポートAIはどうしたの?」


「今本部で、学習させてる。何故か機械的な発言なんだ…ソウルのAIが羨ましいよ…」


「同じく」


「私は、そこら辺のサポートAIとは、一味も二味も違いますよ!他のAI達がまだその程度のLvなら私がマザーの席に座っても問題ないですね!」


「いや、マザーになるのは俺のAIだ!」


「馬鹿言うんじゃないよ!マザーになるのはうちの子よ!」


 三人の変な言い争いが始まり、床が最上階に着くと三人は、言い争いを止め巨大な扉の前に立った。そしてソウル達のPTが先頭になり、ソウルは後ろに振り返って全員を視界に入れた。


「皆さん、俺達を助けに来てくれてありがとうございます。これから、この塔の主と戦いますが武装だけ伝えます。それは何故かというと、人数が増えた事で攻撃パターンや強さが変わっている可能性が大きいからです。彼の武装はブルーローズと言う万能素材の液体を自在に操り、居合や格闘、浮遊する剣を飛ばして来ます。居合は、天〇龍閃をイメージしてもらえればいいです。浮遊する剣は、物理は効かず魔法系が効きます。HPが半分になったら巨大化して格闘をしてきます。目で追えない位の速さで移動するので注意してください」


「皆聞いたな!未知の敵と戦うという心構えでいてくれ!俺らがやった時とは、まったく別の物だ!注意してかかれ!」


「「「「応!」」」」


「皆行くわよ!勝利をこの手に!心に騎士道!両手に剣と盾を!」


「「「「「「勝利をこの手に!心に騎士道!両手に剣と盾を!」」」」」


「〈わぁ~すごい気合の入れ方…)」


「(私達も、何かやった方がいい?)」


「(事故りそうなので止めておきましょう…)」


「(…後で何か考えてみるわ…)」 


 ソウル達は、頷き合い巨大な扉の中にソウル達は入って行った。


【アナウンス:推定Lvが高いプレイヤーの存在を複数人検知しました。これよりこのボスは最大に強化されます。強化された事によりこのボスに勝利した場合、最高位のアイテム類が確定ドロップします。詳しくは、HELPをご参照ください。】


「強化されたか…じゃあ、久しぶりに本気出すかな!」


 ユメミルクがヴァイキングヘルメットをかぶり、スキルを使ってソウル達全員強化バフを付けた。その他のメンバー達も強化バフを全員にかけた後、ホワイトローズのPTが彼に向かって行った。


「【衝神剣(しょうじんけん)!】


 ホワイトローズが中距離の位置で剣を振り、衝撃波の刃をだした。衝撃波の刃は、彼に当たると彼がホワイトローズに向かって攻撃を繰り出した。


「ソウル達は、ヘイト取らない様に攻撃してくれ。チャンスと見たら最大火力を出すっていう形で」


「「「了解」」」


 ユメミルクの指示に従い、ソウル達もユメミルクのPTと共に攻撃に参加した。だが、最大強化されたとあって、ソウル達が与えるダメージは低かった。


「分かってはいたが、ダメージ低い…これが俺と彼らの差か…」


「私の攻撃も低いわ…ここまで違うなんて驚きね」


「それは当り前だよ、俺らは最前線で戦ってるプレイヤーだ。今ソウル達にDPSで負けてたら話にならんからな」


「まだ、上位職業にもなってないしソウル達は、これからだよ」


 ユメミルクが笑いながら言い、ホワイトローズが盾役を他のプレイヤーと交代して、会話に入って来た。彼の攻撃は、攻撃方法も変わっており、メイスや双剣、鞭や弓など様々な武器にブルーローズを変化させて戦っていた。その猛攻撃を盾役のプレイヤーが難なく防いでいた。


「彼はすごいな、あの攻撃を物ともしないなんて」


「うちのエースだからね、やって来た場数が違うよ。…さて、そろそろ、スキルのクールタイムも終わったし、交代するかな~スタン入れるから全力攻撃お願いね」


 ホワイトローズが盾役を変わり、彼に【パリィ】からの【シールドスタン】のスキルを使うと、彼に気絶状態のデバフが付いた。


「全力攻撃開始!」


 ホワイトローズの掛け声に、全員がスキルを使って攻撃を始めた。彼のHPは高火力の攻撃ですでに半分を切りそうだった。


「HP半分切るぞ!全員注意だ!」


 ユメミルクの声にソウル達は反応し彼の動きに注意すると、彼はブルーローズを纏い銀色の球体となって大きくなっていった。だが、ソウル達が挑んた時の大きさではなく、倍の大きさになって姿も変わっていた。手足に赤黒い突起物が生え、胸のコアの部分は小さくなり顔が鬼の様な表情と角を生やしていた。肌も爬虫類の鱗様になっていて攻撃が簡単に通らない様になっていた。


「あれが、真の姿か…」


 ソウルが無理だと思った彼の強さに、まだ先があった事に戦慄した。それを知ったソウルは、奥歯を噛みしめ悔しさが溢れてきた。ソウルが苦労していたのは、本当の彼ではなく弱く調整された彼だったからだ。そしてその彼が、完全に変身を完了させると咆哮を上げ、両手にエネルギーを溜め始めた。


「全体攻撃来るぞ!全員騎士の後ろに隠れろ!」


 ユメミルクの指示でソウル達や他のメンバー達が、騎士達の後ろに隠れた。騎士達はスキル【フォートレス】を使い、全体攻撃に備えた。彼が両腕に溜めたエネルギーを上に放つと、豪雨のようにエネルギー弾が降り注ぎソウル達を襲って来たが、【フォートレス】のおかげでダメージは無く終わった。


「うお!こっちに来た!」


 全体攻撃が終り、彼が真っ直ぐソウルに向かってきた。彼を止めようとメンバー達が攻撃するが、彼は止まらずにブルーローズを大剣の形にした後、ソウルに向かって上段から振り下ろした。ソウルは横に転がって回避しようとするが、彼の大剣切っ先が地面に触れる直前に跳ね上がり、ソウルの体に切っ先が向かった。


「クソ!」


 ソウルは咄嗟に持っていた銃でガードすると、ソウルは衝撃で吹き飛ばされるが大剣の刃が当たる事は無かった。


「ソウル大丈夫!?」


「ソウルさん!お怪我は?!」


「マスター!生きてますか?!」


「大丈夫なのよう?」


 アップル達が、吹き飛ばされたソウルに駆け寄り安否を心配すると、ソウルは大丈夫と答え、手に持っていた銃を確認してみると、銃に大きな切り傷が出来ていた。ソウルが慌てて修理できるか確認する為、ほんの少しだけ動かすと銃が砕け散り、データの光となって消えてしまった。


「俺の銃が…畜生…」


 ソウルはアイテム欄からパイルバンカーを取り出し銃の代わりに装備した。


「なんで、ソウルが狙われたの?」


「多分ですが、このメンバーの中で俺だけが何かしらの条件を満たしていたからだと思います…前にも同じような事があったので…」


「条件って何なの?」


「解らないです…塔の順番なのか、PTリーダーなのか、はたまた別の要因か…何が引っ掛かったのか分かりませんね…」


 ソウルはアップルの質問に対して、何が原因しているのか分からず首を振って答えた後、ここで悩んでも仕方ないとソウルは思い、彼に視線を向けた。


「銃が無くなったので、近接戦闘にで行きます。ダメージを受ける覚悟で行くのでマナリアさん回復をお願いします」


「解りました」


「では、行きましょうアップルさん!」


「わかったわ!」 


「私達は、いつもと同じくサポートに回りますね!」


「援護するわよう!」


 マナリアが、何時でも回復できるように呪文を詠唱し、マギアとティーはソウルから少し距離を置いて、ソウル達2人に付いて行った。彼はソウルを吹き飛ばした後、別の相手をしていた。数人の騎士が彼の大剣を防ぎ、ユメミルクのPTが攻撃をしていた。ソウル達は、盾役の邪魔にならない様彼の後ろに回り、一撃離脱で攻撃を加えていった。


「やっぱり、パイルバンカーは片手だけだとリロードが大変だな」


「自動装填のルーン魔法を刻印しておけばよかったですね、マスター」


 パイルバンカーに装填し終えると、彼はブルーローズを杖の形にして詠唱を始めていた。彼の近くの床に二つの魔法陣が現れ、一体のドラゴンと氷を纏った女性を召喚した。ソウル達は見覚えがある氷を纏った女性に驚いた。


「シロユキと龍…あれがマイクスっていう高位のドラゴンか!」


「え?シロユキって氷の塔の守護獣ですよね?!倒したはずでは?!」


「契約をしているので、再召喚したのかも知れないですね…ドラゴンの方は、多分ですが記憶にある物を出したとかそういう物じゃないかと思います…」


「じゃあ、ドラゴンは魔法生物って事?ミツネ、KUNIMO、タダノはドラゴンに対処して!物理攻撃が効かなかった時は、魔法やスキルで攻撃!氷女の方は、水菜、蜜あめ、クーロンで対処!」


「ハチドリ、ホッパー、牙螺羅はドラゴン!氷女は、ダルク、小鴉、ルーサーに分かれろ!」


 ユメミルクとホワイトローズが味方に指示を出した後、二人は彼に対処する為ソウル達と一緒になった。


「まず、私が盾役してあいつを止めるから、ソウル達はアタッカーとして攻撃をよろしくね」


「了解!バフ掛け直したら突っ込むぞ!【クイックチャージ】、【チャージ】【オーバーチャージ】、【戦人鼓舞】!」


「【チャージ】、【護法のⅠ】、【リバース】、【チャージ】、【ハイリバース】、【護法のⅨ】!」


「すごいわ!これなら行けるかも!」


「わぁ!すごく強化されてます!」


「感動も感想も後で頼みます!行きますよ!」


 ソウルの言葉に女性二人が頷くと、ホワイトローズを先頭にして彼に向かって走り出した。ホワイトローズのスキル攻撃が彼に当たりヘイトが上がると、大剣を振り上げ盾役のホワイトローズに向かった。ソウルが背負いGランチャーを連射して頭付近に当たると、彼の視界が一時的に遮られ、ホワイトローズに向かって振り下ろした大剣の軌道がブレると、ホワイトローズが【パリィ】を使い彼をよろけさせた。その瞬間を狙って、ソウル達が重い一撃を入れていった。


「【水鉤連烈】!」


「【六連断斧】!」


「オラァ!」「フルバーストです!」「食らいなさいよう!」


「【水魔法】、【水操作】!」


「【スカイストラッシュ】!」


 よろけて膝を突いた彼に、胴体目掛け連続攻撃を与えたアップルとユメミルクはソウル、マギア、ティーの三人と場所を入れ替わった。三人が攻撃を入れた後、マナリアの操る水が、無数の小さなランスの形になり彼目掛け一斉に飛んでいった。そして最後にホワイトローズが跳躍し、剣を振り上げると剣にエネルギーが溜まって行き、剣が眩しい光を放つと着地と同時に振り下ろした。


「グォォォォ!」


 ホワイトローズの一撃は、彼の胸を切り裂きコアにダメージが入ると、苦しむような声を出した。そして彼のコアにエネルギーが溜まり開放されると、爆発したような衝撃波がソウル達を襲い、その衝撃波で強制的に距離を取らされた。


「背中から腕が生えた!?あれがソウルの言っていた奴か!」


「!?え?なに?あの構えは!?」


 彼は、ブルーローズを二本の刀の形にした後、左右の腰に装備し背中に生えた腕で左右の鞘を持った。彼が上半身を前に倒し、左足を前に出して重心を低くした。


「もしかして居合か!?」


「ソウル達は、俺とホワイトローズの後ろにいてくれ!」


 ユメミルクに言われた通り、ソウル達は二人の後ろに行くと、彼の姿が消えホワイトローズが突然盾を振り上げた。目の前には姿勢を崩した彼の姿があり、ソウル達は驚いた。


「これは…俺達では避けられないな…」


「ええ、そうね…」


「両断されてる未来しか見えません…」


「ソウル達も、強くなればこれくらい簡単にできるよ~」


「そうだぞ!俺達も時間をかけて強くなったんだからなっと!」


 ユメミルクが斧を振り上げ、彼の居合を弾いた。彼は、その後も連続で居合をしてきたが、すべてユメミルクとホワイトローズの二人が防いでいた。どうやらソウル達の人数に合わせて、居合をしてくる様でその数回後彼は、ブルーローズを元の大剣に戻した。


「居合が終わったけど、何をしてくるか解らないから注意してくれ」


「了解」


 ソウル達が、ユメミルクの言葉に頷き、ホワイトローズを先頭にして再び彼に向かって行った。彼は、向かって来るソウル達に咆哮した後、ブルーローズをメイス、ランス、刀の形にして武装を追加した。


「くっ!…さすがに武器四本はきつい…」


 ホワイトローズが、彼の正面に立ち攻撃を凌いでいたが、徐々に押され始めた。ユメミルクも防御に参加するが、アタッカーとしてダメージを与えないといけないので、どうしてもホワイトローズの負担が大きくなってきてしまっていた。


「やばッ!」


「ホワイトローズ!させるかァ!」


 彼の怒涛の攻撃に、ホワイトローズは対処しきれず、ホワイトローズに刀が迫って来たが、咄嗟に動いたソウルは、パイルバンカーを盾にしてホワイトローズを庇った。ホワイトローズを庇ったソウルは、パイルバンカーごと斬られてしまい、後ろに吹き飛んでしまった後、地面を転がった。


「「ソウル!」」


 友人2人が心配して声を上げるが、マナリアが二人に対して指示を飛ばした。


「ソウルさんのHPがゼロです!これから復活の呪文を唱えるので時間を稼いでください!」


「!!了解、任せてくれ!」


「俺も防御に回る!そっちは頼んだ!」


「攻撃は任せて!マギア、ティー!行くわよ」


「了解です!アップルさん。マナリアさん、マスターを頼みます!」


「頑張るわよう!」


「はい、任せてください!」


 マナリアが、復活の魔法を詠唱し始めた。その間、友人2人が防御に回り、アップル達三人が少しずつ彼にダメージを与えていった。そして数分後、マナリアは詠唱を完了させた。


「【リヴァイヴ】!」


 マナリアがソウルを復活させると、ソウルは上半身を起こした。


「マナリアさんありがとうございます」


「咄嗟の事とは言え、無茶しすぎですよ!」


「すみません!でも、復活待ちの間に作戦を思いつきました!」


「本当ですか?!」


「ええ、でもそれを伝える時間が無いのが問題です…」


「それは、俺らに任せてくれ!」


 ホワイトローズがエースと言ったプレイヤー、KUNIMOがソウルに向かって言った。どうやら彼らはドラゴンを倒したらしく、ソウル達のPTと合流した。シロユキと戦っているPTに目を向ければ、もうすぐ倒せるようだった。


「少し、時間をください…この作戦がうまく行けば彼を倒せると思います」


「おk、任せろ!隊長!変わります!」


 騎士達とヴァルハラの人達が、友人2人と交代しソウルの元にアップル達も集まった。


「作戦ってなんだ?」


「さっき思いついた作戦だが伝える。まず最初に、ヴァルハラの人達が彼の攻撃を防ぎ、その間に騎士の人達が【サークルオブライト】の準備を始める。準備が出来たらマギアの拘束魔法と同時に発動し、彼の動きを完全に止めた後、俺がこの杭型爆弾で胸のコアを突き刺して爆破する…これが作戦だ」


「なるほど…俺らはソウルを奴の元まで送り届ければいいって事か?」


「そうだ、頼めるか?」


「任せろ!」


「拘束時だが、向かって行く途中、何かしてくるかもしれない…その時はマナリアさん、複数人を回復する魔法で回復し続けてください。彼の下に着いたら、アップルさんとユメミルクの2人で胸の周りを斬り、コアの部分を露出させてくれると狙いが着け易くなってありがたいです」


「マスター!少し時間を頂けるのであれば、私の拘束魔法を改良して【サークルオブライト】と同期率を高めればより強固な拘束ができ、騎士の方の負担も減りますがどうしますか?」


「すぐやってくれ」


「了解しました!」


「俺が作ったポーションを全部渡すから回復してくれ。雀の涙程度の回復量だとは思うがしないよりましだと思う」


「いや、ありがたい」


「ありがと~」


 ソウルが、鞄の中からポーションをすべて取り出し、友人2人に渡した。2人はウィンドウを操作して、PTメンバーに配った後、ソウルの作戦を始めた。


「私達、騎士は【サークルオブライト】の準備!」


「俺達、ヴァルハラは騎士達に変わって奴の攻撃を防ぎ、その場に縫い留めるぞ!」


「「「「「了解!」」」」」


 ユメミルクとホワイトローズは、シロユキを倒して合流したPTメンバー達と彼を相手していたPTに向かって指示を出すと、言われた通りに動き出した。ソウル達も準備を始めて行き、ソウルは鞄から土の守護獣対策で作った黒い杭型爆弾を2本取り出した後、一本は腰に差し、もう一本は左手に持った。


「マスター!準備が出来ました!」


「ソウル!騎士達の配置もすんだよ!」


「よし、マナリアさん回復魔法の準備をお願いします!騎士の方とマギアは5秒後【サークルオブライト】を発動してください!」


「ヴァルハラは、【サークルオブライト】が発動したら一度こっちに戻って回復した後、ソウルを奴の元へ送り届ける!抵抗される可能性があるからそのつもりでいてくれ!」


 ユメミルクが大声で指示を飛ばした後、ホワイトローズが5カウントを開始した。カウントが0になり騎士達が一斉に【サークルオブライト】を発動し、マギアの拘束魔法も同時に発動させると彼は、完全に動けない状態になった。


「【エリアハイヒール】!」


 マナリアの回復魔法が発動し、ヴァルハラPTメンバーのHPが回復すると、ソウルを中心としたアローヘッドの隊列になり、彼に向かって走り出した。


「グォォォォォ!」


 彼が、暴れ出すが動けず怒りの咆哮を上げた後、ブルーローズを剣の形にして無数に増やし、向かって来るソウル達に向けて射出してきた。あまりの多さに、ソウルを守る為にいたヴァルハラの人達が、降って来る剣をを防ぐが、強力なノックバックで隊列から離れてしまい、それが彼に近づくに連れて増えていった。


「きめちゃいなさいよう!」


 ティーが魔法でソウル達を援護し、射出される剣の軌道を変えた。だがそれでもソウルを守る人が隊列から離れてしまい、最終的に残ったのはユメミルクとアップル、そしてソウルの三人だけだった。


「【削り断ち】!」


「【水鉤爪】!シャラァ!」


 彼の元へたどり着いた三人は、ユメミルクの削り取る様な攻撃とアップルの一撃が彼の胸を斬り裂き、コアの部分を大きくさせた。そして最後にソウルが、エアリアルを使い跳躍しようとした時、ソウルのすぐ目の前に剣が迫っていた。


「「ソウル!?」」


「【ハイタイム】!」


 ユメミルクとアップルが、ソウルの名前を叫んで心配するが、ソウルは痛覚遮断がオフになってステータスが強化されるスキルを使った。世界がスロー再生のようになり、目の前に迫る剣をより深くしゃがむ事で、剣を回避したが、背中から何かが壊れる音が聞こえてきた。その音にソウルは眉を顰めるが、気にしていられず跳躍した後、彼のコアに向かって黒い杭を突き立てた。


「もう一本だ!」


 腰に差していたもう一本をすばやく手に取り、コアに突き当てた後、杭が爆発した。杭の爆発でソウルが吹き飛び地面を転がった後、コアを破壊された彼は、苦しむような声を上げて地面に倒れた。


「どうだ?!」


 ソウルが立ち上がり身構えるが、彼は動き出す様子はなく沈黙がその場を支配した。体感的に1分位そのままでいるとアナウンスが聞こえてきた。


【アナウンス:真理者 アルガス・ホブキンス を完全討伐しました。SP 76000 を獲得しました。1000000 オカーネンを獲得しました。 様々な条件をクリアしボスを完全討伐した事で、特別報酬が参加メンバー全員に与えられます。また、希少アイテムも確定ドロップされます。詳しくは、HELPをご参照ください。】


 アナウンスの音声を聞いたソウルは、構えを解き【ハイタイム】のスキルを解除すると、動けなくなり地面に倒れた。その様子を見ていたアップル達が、笑顔でソウルの下に集まって来た。


「やった!やりましたよ!ソウルさん!」


「倒せたわね!ソウル!」


「おめでとソウル」


「おめっとさんソウル…どうした?」


「スキルの反動で動けない…ありがとう皆…みんなが協力してくれたおかげで彼を倒す事が出来たよ!」


 ソウルは、視線だけ動かして彼を見ると、彼が何か言いたそうな表情でソウルを見つめていた。


「すまない、皆…俺を彼の元へ連れてってくれるかな?」


「ん?ああ、任せろ」


 ユメミルクの肩を借り、ソウルは彼の元へ行くと支えられながら膝立ちの状態になった。


「俺が…貴方を殺した。名前はソウル…貴方の名前は?」


「アル…ガ…ス…ホブ…キン…ス…あ…りが…とう…ソ…ウル…やっと…楽…になれ…た…」


 ソウルは、アナウンスで彼の名前を聞いたが、彼の口から直接名前を聞きたいと思った。ただそうしなきゃいけないような気がして、彼に名前を尋ねたのだった。アルガスが感謝の言葉を述べると、アルガスの体が塵となって消えていった。


【アナウンス:ブルーローズを獲得しました。 このアイテムはオンリーワンアイテムです。PvPなどプレイヤーがかかわる戦闘で負けると確率で勝者に渡ってしまう事があります。ご注意ください。】


 ソウルの右腕に腕輪が現れると、銀色の液体が宝石から出て、奪われたはずの右腕を形作った。ただ、銀色の液体が右腕の形になっただけだったが、ソウルは心の底から喜んだ。


「みんなも、特別な武器を貰ったようだね、どうやら育てる系の武器らしいよ?」


 ホワイトローズが、さび付いた剣と盾をソウルに見せながら言った。どうやらプレイヤーの人達がメインに使っている武器が出たようで、メンバー達も大喜びしていた。


【アナウンス:真理者の塔が完全攻略されました。これよりこのエリアは崩壊します。全サーバーから完全に失われるので、2度とこのエリアで遊ぶ事は出来なくなります。また、このエリアが崩壊しますが新しい要素が追加されます。】


【アナウンス:新要素が追加されました。精霊武具、精霊契約、etc.多くの要素が追加されました。詳しくはHELPまたはUIの精霊についてをご参照ください。】


「今、このエリアが崩壊するって言ってなかったか?」


「奇遇だね…私も、同じ事聞いたよ…」


「そういえば、彼…いや、アルガスが死んだらここが崩壊するって日記に書いてあったな」


「…まじかよ…全員!急いで撤収!」


 ユメミルクの一声で全員慌てて撤収準備を始めた。今だ動けないソウルをユメミルクが肩に担ぎ、帰還用魔法陣に乗ると塔の入り口に転送された。


「うわぁ…まじで崩壊してる…」


 ユメミルクが驚きながらつぶやくと、浮島の底から崩壊してテータの光となって消えていっていた。


「ユメミルクの方で崩壊するダンジョンとかの話、聞いたことある?」


「ない」


「だよね~もちろん私もないよ?」


「お二人さん、話すのはいいが逃げながら話してもらってもいいかな?」


 肩に担がれたソウルが、二人に向かって言うと、二人は慌てて自分達の船に乗り込んでいった。


ようやく完成しました…真理者の腕編のラスボスの行動を考えるのに時間がかかりすぎてしまいました…モウシワケナイ


ユメミルクとホワイトローズの船は、黒い雲を通ってやってきました。特別製なので乱気流や稲妻など物ともしません。


何故、崩壊したのか…それは、ラピュ〇でバ〇スを唱えたり悪魔城もラスボス倒したらよく崩壊してるからです。…まぁ、必要だったんで崩壊しました。


21/04/21 1日で1301人の方に読んでもらえました!大感謝してお礼申し上げます!ありがとうございます!


モチベ維持に評価お願いします!


ブックマーク登録もよろしくね!ありがとうございます!


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