氷の塔
YATTO、かんせい 投稿します
おたのしみつかーさい!
ソウル達は、氷の塔へ入って行くと扉を開けた時、底冷えするような寒さは無くむしろ暖かさを感じた。
「ちゃんと機能しているわね」
「全身を覆っているので手足が、かじかむ心配もないですね」
「-70度を検知しました。生物が生きていける様な場所ではありませんね」
「じゃあ、敵は無機物系かな?」
「それか、氷属性を持った敵だね」
ソウル達は、塔の中を探索し、氷柱の後ろに隠れていた扉を見つけた。解凍ライトで氷柱と扉を解凍し、扉の中に入ると、楕円形に広がっており中心には四角い氷ブロック、両端には地面にある三つのスイッチがあった。
「なんだか、アイスホッケーみたいな場所ですね」
「みたいというか、そのまんまね」
「ここに、スケート靴がありますね…」
丁度三人分のスケート靴があり、試しにソウルが履いてみると、自動的に足の大きさが調節された。
「一応聞きますが、滑れますか?」
ソウルが女性二人に聞いてみると、アップルは頷いたが、マナリアは首を横に振った。
「スケートは生まれて初めてやります…」
「じゃあ、ちょっと練習しましょうか」
スケート場にソウルとアップルは立った後、マナリアが手すりに掴まりながらスケート場に出た。
「まずは、手すりに掴まって立つことから始めましょうか、足のブレードをカタカナのハの字にして立ってみてください」
「ハの字ですね…よっと…」
「視線は前にして…そうです、そうです」
「両足で立てたら、今度は片足で立ってみてください、ゆっくり重心を移動する様にです」
「ゆっくり重心を移動…」
「上げる足は少し浮かす位の位置でいいですよ」
「はいできました!」
「では、次は片手だけ手すりを握って少しづつ動いてみましょうか」
「はい解り…きゃ!」
マナリアが前へ進もうとした時、滑ってこけてしまった。慌てて立とうとしたマナリアだが、ソウルは立ち上がるのを止めた。
「立ち上がる時は、カエルの様な姿で立ち上がってください」
ソウルがスケート場に座った後、実演して見せ、マナリアも真似をするように立ち上がった。
「ブレードの向きは、常にハを意識していてくださいね」
「解りました」
それから、1時間かけてソウルがレクチャーすると、マナリアも滑る事が出来るようになっていった。ふとアップルの方を見たソウルは、スピードスケートをしているアップルとタイムを計っているマギアが視界に入り、少しばかり呆れていた。
「500m34秒ジャスト!もう少しで記録更新できますよ!」
「地面と違って力の出し方がいまいちわからないわ…」
「お待たせしました、アップルさん。マナリアさんも滑られるようになったのでそろそろ始めますか」
「わかったわ、マナリア?初めてだから無理はしちゃだめよ?」
「できる範囲でがんばります!」
ソウルが中心にある氷のブロックに手を触れると、氷で出来たチェスの駒がスケート場から生える様に現れた。現れたチェスの駒は、キング、クイーン、ビショップ、ナイトの四つでアイスホッケーで使うスティックを、そのままチェス駒に付けた姿だった。
「ソウルさん!ここの位置に黄色いラインが出ました!」
「なるほど、最初にここに並んでスタートって事か…」
ソウル達が、一定の距離に浮かび上がった黄色いラインに、チェスの駒達と対峙する様に一列になって並んだだ。その後、カウントする様なブザー音が5回聞こえると、黄色いラインが消えチェス駒達が一斉に動き出した。
「先手必勝!」
ソウルが、氷ブロックに一番近かったナイトに向かって発砲すると、ノックバックはしたが壊れる様子はなかった。アップルが氷ブロックに着くまで、ソウルが発砲してチェスの駒達を邪魔していると、氷ブロックにたどり着いたアップルが、全力で氷ブロックを殴り、駒達を吹き飛ばして滑って行く氷ブロックがゴール場所のスイッチの上にあがった。
「やっぱりそんな簡単にはいかないか…」
ソウルがぼやくと、ゴール前を守るルーク、ポーン、チェスの駒にはない弓矢を持ったアーチャーが地面の氷から生える様に現れ、3体が追加された。再び黄色のラインが現れ、中心に氷ブロックが現れるとソウル達も並んだ。
「私の水魔法とスキルでキングとクイーン、ナイトを抑えますね」
「じゃあ、俺がポーン、アーチャー、ビショップを抑えますね、アップルさんはルークを何とかして氷ブロックをゴールに入れてください、マギアは俺とマナリアさんを援護してくれ」
「何とかやってみるわ」
「了解です、マスター」
ブサ―音が5回なり、最初の取り合いが始まるとソウルが銃を発砲してチェスの駒達を凍ブロックに近づけさせない様にしようとするが、アーチャーの放つ矢がソウルの弾丸を相殺した。
「嘘だろ!?」
完全にソウルの攻撃が封じられてしまい、氷ブロックがポーンに渡ってしまった。
「すみません!アップルさん!」
「大丈夫!何とか取り返してみるわ!」
ポーンがアイスブロックを取ると、駒達が複雑に動き出しマナリアの攻撃を回避し始めると、アップルが追いかけていたポーンからアイスブロックを、うまくパスされて行ってしまい、あっという間にマギアがいるゴール目の前まで攻められてしまった。
「私が相手です!」
キングが氷ブロックをシュートしたが、マギアが小さい機関銃を乱射し、右手のドリルで氷ブロックを跳ね返した。
「後は、任せて!」
マギアが跳ね返した氷ブロックを、アップルが取ると体当たりで止めようとしてきた駒達を躱した。
「マナリアさん!アップルさんに近づいて来る敵を狙ってください!」
「了解です!」
再びソウルが、銃口を向け発砲するが、アーチャーがまたしても弾丸を矢で撃ち落とした。
「またお前か!上等だ!この野郎!」
「ソウルさん!?」
ソウルが、銃のセレクターをFにしてアーチャーと撃ち合うと連射が効くソウルに分があり、アーチャーを大きくノックバックさせスケート場の端にまで後退させた。
「ほぼキレた、あいつはたいした奴ですよ…」
「ソウルさん!私一人じゃきついから早く手伝ってください!」
マナリアに叱られたソウルは、慌ててアップルに迫って来る駒達を撃ち、アップルをゴール付近まで進ませた。
「オラッシャ!」
アップルの漢らしい声と共に氷ブロックをシュートすると、ゴール前にいたルークが氷ブロック打ち返し、またアップルが打ち返すというスマッシュの打ち合いが始まった。
「この!…いい加減に!…入れ!」
次第に強く、速くなって帰って来る氷ブロックをアップルが全力で殴りつけると、ルークのスティックが折れてしまい、氷ブロックがゴールに入った。ソウル達は互いに喜び合いハイタッチをして、黄色いラインに並んだ。
「最後のラウンドですね」
「より難しくなりそうね」
「このまま行けるでしょうか?」
「敵が強化される可能性があります、皆さん要注意です!」
マギアが、注意を促すとブザー音が鳴り始め、氷ブロックの取り合いが始まった。取り合いが始まった時チェスの駒達が青く光り出し、さきほどより何倍も速い動きでソウル達を翻弄してきた。その異常な速さになったチェス達が、先に氷ブロックを取り、連携を取りながらソウル達を抜いていった。
「速すぎる!」
「ダメだわ!追いつけないわ!」
「ああ!すみません!抜かれました!」
「これは!」
ゴール前のマギアに向けて、キングが氷ブロックをスティックで強打すると、マギアは氷ブロックを弾き返す事が出来ず、ゴールに入れられてしまった。
「まさか、あれほど早く速くなるなんて…」
「何もできなかったわ…」
「どうしましょう?」
「力も強化されていますね」
ソウル達は、このままでは勝てないと考え作戦を立てることにした。
「相手は以上に早くて、打つ力も強いどう攻略しましょうか?」
「あの速さは厄介ね…あれをなんとかできればいいのだけど…」
「じゃあ、私の水魔法を出してソウルさんの冷凍榴弾で凍らせますか?」
「そうですね、俺の攻撃で凍らせましょう…でもその分アップルさんの負担が大きいですが・・」
「それは、ソウルとマナリアが敵を凍らせている間防御が手薄になるっていう事?」
「そうです、マギアとアップルさんにはゴール付近に居てもらって、氷ブロックの阻止をお願いします」
「解ったわ」
「了解です」
「俺とマナリアさんは、最初に俺の攻撃を無力化してくるアーチャーを最初に凍らせましょう」
「解りました」
「アーチャーを凍らせた後はどうします?」
「水魔法を当てられそうな敵が居たら、どんどん濡らして行ってください」
「了解です」
「じゃあ、行きますか!」
ソウル達が頷き合い、黄色いラインに並ぶとブザーが鳴った。そして5回目が鳴り、マギアとアップルはゴール付近に移動し、ソウルが最初にアーチャーに攻撃を仕掛けてアーチャーのヘイトを稼いだ。
「【ウォータボール】!【水操作】!」
マナリアがスキルで水を操り、アーチャーを包み込むとソウルが背負いGランチャーに魔力を込め、冷凍榴弾を発射した。冷凍榴弾はアーチャーに当たり包んでいる水ごと凍らせると、アーチャーは動かなくなった。
「よし!行ける!」
「次、クイーン行きます!」
アップル達がいるゴール付近から離れていて、ゆっくり動いているクイーンに水で包んだ後、ソウルの冷凍榴弾で凍らせた。
「OK!次!」
ソウルとマナリアはチェスの駒達を次々と凍らせ、残るはゴール前にいるルークだけになった。
「防衛はかなりきつかったけど、こうなってしまうと楽だわね」
「ええ、そうですね。でも、最初に俺が銃を使ったらアーチャーが出てきたように、この作戦は今回しか使えないと思いますよ、もし次があったらきっと学習して凍らない様に何かしてくると思いますから」
「学習機能付きスケート場…」
「じゃあ、マナリアさん最後やっちゃってください」
「はい」
マナリアが、水魔法で包みソウルが凍らせた後、アップルが氷ブロックをゴールに入れて三つのスイッチの上に氷ブロックが乗った。スイッチが押され、スケート場に大きな氷の螺旋階段が現れ、この部屋の上に行ける様なると、ソウル達はスケート靴を脱いで自分たちの靴に履き替えると、螺旋階段を昇って行った。
「鍋…だな…」
「鍋ですね…」
「鍋?」
「詳しくは土鍋ですね!それも巨大な」
螺旋階段を昇りきると、そこには巨大な土鍋が置いてあった。土鍋の中にはまだ何も入ってはおらず、土鍋の下にはその土鍋に合うように作られているかまどがあった。
「今度は鍋を作れと?」
「そうみたいですよ、ここに食材保管庫って書いてあります」
マナリアの指先を辿ってみると、凍った扉の上に食材保管庫と書かれたプレートがあった。ソウル達は解凍ライトで扉を解凍して中を見て見ると、新鮮な食材たちがいた。
「新鮮っていうか生きるじゃねぇか…」
「わ!ソウルさん!食材が襲ってきましたよ!」
「ソウル!こいつら倒すと見慣れた食材になったわ!」
アップルが蟹の足をソウル達に見せると、ソウル達は武器を構え、襲って来る根菜類、魚介類、牛や巨大な鶏などを迎撃していった。
「雀の涙ほどのSPと大量の食材をゲットしたな…」
「私の物理攻撃一回で食材に変わったのですごく弱いと思いますよ?」
マナリアが、ニンジンを片手に持ちながら言うと、ソウルは食材を鞄の中にしまい土鍋がある場所に戻ってきた。
「とりあえず、作ってみますか」
「マスター!ネットからレシピを持ってきました。参考にしてください」
「ありがとうマギア、とりあえず下ごしらえからだな」
土鍋の近くに凍った調理場があり、解凍ライトで解凍した後、調理場にあった蛇口を右に捻ると冷水がでて、左に捻るとぬるいお湯が出てきた。
「…思ったのだけど、この土鍋って何人前だ?」
「2万人前ですよマスター!」
「…つまり俺達は2万人前の鍋を作らないといけないのか…」
「…先ほどの食材では足りてませんね。もっと集める必要があります」
「それは、アップルさんに任せるとして…野菜の皮むきとか、下茹で灰汁取りなんかやらんといけない訳だ…」
「私も手伝うわよう!」
「すみませんソウルさん、私料理なんて家庭科の調理実習しかやってないです」
「私も、包丁とか一度も触ったことないわ!」
「マスター、私も手伝うので頑張りましょう?」
「チクショウ!やってやらぁ!」
ソウルが鞄から食材をすべて取り出した後、野菜を洗い始めアップルが追加の食材を取りに食材保管庫へ向かった。マナリアが、水魔法で土鍋に水を入れる作業を開始し、ティーが魔法で根野菜の皮を剝いていった。
「マスター!かまどを調べた結果、火口付近にあるプレートに魔力を流せばかまどに火が付く仕組みですよ」
「そうか、わかった。ティーがやっている根野菜の皮むきを手伝ってくれ、ああ、大根は米のとぎ汁で一回煮るからそれは分けといてくれ」
「了解しました」
マギアがゴボウを持ち、右手がコンバットナイフのような刃物に変わるとささがきにしていった。
「ナイフにもできたんだな…」
「ええ、いろいろありますよナイフはもちろん、斧、短槍、メイスにモーニングスター、チェーンソー、〇ンダムハンマーみたいのもあります。ただ、私はドリルが好きなのでメインにして使っているのですよ」
「成程…あ、ゴボウが終わったら白菜を大きめでカット頼む」
「了解ですマスター」
そうしてアップルが追加の食材をソウルに渡し、土鍋に水を張り終えたマナリアが切った根野菜を土鍋に入れていく作業を開始すると、かまどに火を入れるまで2時間以上経過していた。かまどに火を入れると部屋の温度が上がって行き、凍っていた部分が溶けて別の部屋があるのが解った。
「調味料室に調理道具室がありましたが…とりあえずマギアとアップルさんはこのレシピに書かれている調味料を計算して持ってきてください、俺とマナリアさんは調理道具室の方に行ってなにかいい道具がないか見てきますから」
「わかったわ」
「了解ですマスター」
「私も付いて行くわよう」
ティーがソウルの肩に乗ると、マギアとアップルは調味料室へ行き、ソウルとマナリア、ティーの三人が調理器材室へ向かった。
「ソウルさん!すごく大きな木べらがありますよ!」
「いや、マナリアさん…【水操作】があるからそのスキルで混ぜてください…」
「じゃあ、この全自動皮むき機はどうです?」
「ビャァァァ…最初に欲しかったそれ…」
ソウルは、嘆きながらもよさそうな道具をマナリアと選び、調理場へ戻って行った。調理場へ戻どるとマギアとアップルが戻って来ていて、近くに樽がいくつもあった。
「マスター調味料をもってきました!」
「ありがとう。じゃあ、次はこっちで大根やら昆布出汁やら手伝ってください」
「解ったわ」
「了解です」
調理道具室にあった鋳物コンロ型の魔道具を幾つも並べて置き、寸胴を置き、出汁取りや灰汁抜き、米のとぎ汁で煮るなどをして出来上がり次第、土鍋の中へ入れていき数時間かけてようやくひと段落ついた。
「後は、少し煮るだけ…」
「料理ってすごく大変なのね…今度から感謝して食べるわ…」
「お母さんに感謝ですね」
「はぁ~やっとできた…後はこれをどうするんだ?」
「そこにあるレバーを下げると何かが起きるようですよ?」
最初は凍っていて解らなかったが、部屋が暖かくなった事で解凍された巨大な扉がある事に気が付いた。その巨大な扉に近くに上向きのレバーがあり、それを下に下げてみると、銅鑼の音が3回鳴り巨大な扉が開いていった。巨大な扉が完全に開くと、地面から軌条が迫上がるとかまどがゆっくりと動き出した。
「マスター!敵性反応を多数確認しました!どうやらこの土鍋を狙ってきているようです!」
「まじか!失敗したらまたやり直し?‥‥いやじゃ~もう作りたくないんじゃ~」
「ソウルさんがストレスでおかしな口調に!」
「みんな、土鍋を守るわよ!」
「やってやるわよう!」
「20秒後来ます!」
ソウル達は土鍋を守るべく、武器を構えた。
すみません!だいぶ遅れました!モンスターハンターの映画見て、ヨドバシでライズswitch同梱版を買おうとしたら、専用クレカがないと売ってもらえない攻撃を喰らい、他の店も探したのですが売ってない状態でなんかもういいや~って思い、プレイ動画を見ながら悔しい思いをしていました!
ソウル達がチェスの駒達を最初に凍らせなかったのは、警戒していた為。
寒い時にはやっぱり鍋だよという事で、鍋を作りました。
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