風の塔 その2
完成しました! 遅れた理由は、別の物語を書いていたからです! 剣神様は剣に飽きたようですよ? という題名ですが、まだ1部&不定期更新です!もう少し待ってからお読みいただけると、いいのかもしれません。
お待たせしました!それではお楽しみください!
妖精の案内で樹木の迷宮を抜けてきたアップル達は、中心の広場で中ボスと対峙していた。ドールズマスターがマリオネットコントローラーを操り、見覚えのある人形が巨大な鋏でアップルを攻撃するが、アップルはしゃがんで攻撃を回避した後、人形に迫り拳で連撃した。
「あら?破壊不可って出たわね?」
「アップルちゃん、きっとあの鴉みたいな仮面をつけたのが本体だよ!」
「なるほど、他に攻撃しても意味がないって事ね」
ドールズマスターが、竜のパペットの口を開くと火炎のブレスだしてきた。広範囲に広がる攻撃にアップルは腕を組んでガードするが、アップルのHPは大幅に削れた。
「【ハイヒール】」
アップルのHPが削れた時にマナリアは詠唱を始め、アップルのHPを回復させると、アップルがドールズマスターに飛び蹴りを喰らわせた。
「うん、こっちは通るわね」
アップルがドールズマスターのHPが減っている事を確認すると一撃離脱の戦法で確実に敵のHPを削っていった。
「アップルちゃん!そろそろ敵のHPが半分を切りますよ!敵の動きに注意です!」
「わかったわ!」
アップルがドールズマスターから距離を取ると、ドールズマスターの腕が六本腕になり、人形が2体とパペットが2つ増えた。増えた人形は、まるで先ほどまで生きていたかの様な赤いドレスの女性型人形と、全身が木製で中が見えている人形だった。パペットの方は、鷲の上半身と獅子の下半身を持ったグリフォンと虎のパペットが増えた。
「やばい!」
「あ、動けなくなった!」
ドールズマスターが、女性型人形を操りその人形から悲鳴のような甲高い声が発すると、硬直のデバフが付き木製の人形が地面に両手を付けると、二人の足元から蔦のような植物が現れ、二人を拘束した。拘束された2人にドールズマスターは、グリフォンのパペットで風を起こし、龍のパペットが火のブレスを吐くと炎が激しく燃え上がり、二人に大ダメージと燃焼のデバフをつけた。そして最後には虎のパペットが手を振り真空刃を出して二人を攻撃すると、拘束は解かれたが、強力なノックバックとダメージを与えられ、2人は瀕死状態に追い込まれてしまった。
「まずいわね…マナリア、詠唱キャンセル!ポーションで回復よ!」
マナリアが急いで回復呪文を詠唱するが、ドールズマスターは次の攻撃準備に入っていて間に合いそうにもなかった為、ソウルから渡されたHMPポーションを取り出して回復した。
「(次あの連続攻撃が来たら耐えられないかも…)」
アップルはそんな不安感が頭をよぎるが、頭を振ってそれを否定すると、鋏を持つ人形の攻撃を回避していった。だが、虎のパペットが出してくる咆哮で、瞬間的な硬直をさせられ、鋏の直撃は回避して即死は免れたがが、軽く当たってしまいダメージを追ってしまった。
「後2本しかない…」
自分のHPが一定を超えたらポーションを使い回復する、という事を続けていて、ソウルからもらったポーションが残り2本になってしまっていた。マナリアも回復魔法を必死になって詠唱するが、虎のパペットが出す咆哮によって強制的にキャンセルされてしまい、半ばパニック状態に陥っていた。
「せめてあの虎の咆哮が無ければ…どうすれば…」
必死になって打開策を考えるがアップルには、止める手段がなく何もできないうちに、女性人形が動き出してしまった。
「ああ…もうだめだわ…」
アップルが、諦めてしまったその時、後ろから銃声がして女性人形の攻撃を阻害した。
「申し訳ない皆、無様をさらしてしまった」
「ソウル!」
「ソウルさん!」
「皆様!お待たせしました!マスターを起こしてきましたよ!」
女性二人がソウルを見た時、二人の負の感情が溶けていく様な感覚がして、自然と笑ってしまっていた。
「ソウル、本当に大変だったんだから!しっかり挽回してよ!」
「私も、もう無理だって思っちゃってました」
「ここから巻き返しますよ!」
最初にマナリアが回復魔法を詠唱し始めると、先ほどと同じように虎のパペットが咆哮しようとするがソウルの射撃で止めると、マナリアは回復魔法を発動させ、その場にいた全員を全回復させた。
「ソウル、あの赤いドレスの人形に気を付けて!あれが叫んだら連続攻撃が来るわ!」
「了解」
アップルの忠告に頷いた後、ソウルは人形達の攻撃を阻害し続けて行き、アップルがドールズマスターに向かうと攻撃を開始して敵のHPを削り始めた。
「マスター、どうやらあのマリオネットコントローラーは破壊不可属性ではないみたいですよ!」
「なるほど!あれを壊せば負担は減るか!」
ソウルは、銃に意識を向けチャージするとコントローラーに向けて【チャージショット】を放った。放たれた弾丸は、見事木製の人形を操っているコントローラーに当たり、コントローラーは破壊され木製の人形が地面に転がった。
「よし、次!」
続け様に、チャージショットを撃ち、コントローラーを破壊すると残りの人形も地面に転がった。
「後は、パペットを阻害し付ければ俺らの勝ちだな!」
ソウルの言葉がフラグになったのか解らないが、ドールズマスターが怒り出し、両手に同じパペットを装備を装備した。
「ソウルさん…」
「マスター…」
「いや、俺のせいでは無いですから!俺がフラグみたいなこと言ったからでは無いですから!」
「【超集中】!【ハイラッシュ】!」
アップルが予備動作を終え、決めにかかった。ソウルとマギアがパペットの行動を阻害し、アップルがドールズマスターに高速で連撃していき、マナリアが誰かがダメージを受けたらすぐ回復できるようにしていくと、ものの数分でドールズマスターを撃破した。
【アナウンス:人形怪人ドールズマスター を討伐しました。 SP39545 を獲得しました。 5200 オカーネン を獲得しました。戦利品設定は 自動分配 です。】
「はぁ~今回は本当にダメかと思ったわ…」
「行動阻害が厄介でしたね…」
「二人ともお疲れ様」
「マギアもソウルを起こしてくれてありがとうね」
「いえ、ちょっと奥の手を使いましたが無事で何よりです」
「え?ちょっと待って?俺に何したの?」
「…禁則事項です!」
「えぇ…」
「驚いたわ…あれをやっつけるなんて」
「うわなんだこの妖精?!」
「ちょっと何よ!これとかこのとか言わないで!名前はないけどちゃんとした妖精よ!」
「あれ?その服装…俺が作ったやつか?」
「そうよ!服のお礼に樹木の迷宮を案内してあげたのよ!感謝してほしいわ!」
妖精が怒りながらソウルの周りを飛ぶと、マギアはタイミングを見て両手を出し、妖精を捕まえた。
「キー!なによ!放しなさいよ!」
「マスター!この妖精をスキャンしてみた所、進化する可能性があります!」
「え?どういう事よ!」
妖精が驚いてマギアに聞くと、マギアはウィンドウを開いて説明した。
「どうやらこの妖精は、特殊体らしくお腹のあたりに因子がある事がわかりました!ただ、その因子を起こすには大量のSPが必要ですね」
「必要SPはどのくらい?」
「大体50万SPですね、ですが進化したら強力な個体になる事は間違いないです」
「へぇ~」
「私が…進化?強力な個体?…よし、決めましたわ!貴方達についていってSP貪ってやるわ!」
「え?寄生ですか?寄生はちょっと…」
「寄生じゃないわ!ちゃんと仕事はするわよ!失礼しちゃう人ね!」
マギアの手から離れた妖精は、怒りながらソウルの周りを飛んだ。
「ええい!俺の周りを飛ぶんじゃない!」
ソウルは妖精を捕まえると、妖精はソウルの手に噛みついた。だが痛覚遮断している為、痛みは感じなかった。
「マスター?この凶暴な妖精に名前を付けてみては?」
「名前か…何かいい名前あります?」
女性二人にソウルはいい名前が無いか尋ねると女性二人は考え始めた。そして最初にアップルが口を開いた。
「メイトリックス!」 「嫌よ!」 「サンバディ!」 「何それ?」 「バーニー」 「バニーじゃなくてバーニー?」 「シェイファー!」 「あれ?ちょっと?」 「ロバート!」 「さっきから聞いていれば全部筋肉モリモリの男性の名前じゃない!私は女の子よ!かわいい名前にして!」
妖精は、ソウルの手に両手を何度も叩き抗議した。次に名前を考え出したのはマナリアだった。
「かわいい名前ね…じゃあ、ララ」 「微妙に危ないからパス!」「ミユキ」「壮絶な戦いをしそうな名前ね…パス」 「レイ!」 「私の変わりはいないからパス!」 「さやか」 「何かと契約してそうだからパス!」 「リルル」 「タイムパラドックスで消えそうだからパス!」 「チズ」 「…ちょっと!ぜんぶ悲劇キャラの名前じゃない!いい加減にして!」
またも激しく両手を叩きつけ、抗議した。そしてマギアに顔を向けるとため息を吐いた。
「一応聞いておくわ…」 「あれ?なぜため息を?私が考えたいい名前があるのですが…」「さっさと言って!」 「ディアスt」 「はいストップ!大体読めてたけど女性型ロボットの名前で揃えようとしたでしょう!」 「そそそんなはずはありませんよ?!」 「動揺し過ぎよ!何よ何よ!全部アウトじゃない!もういいわ!貴方が決めて!」
妖精はソウルを指差して言うと、ソウルは悩み始めた。
「そうだな…ティーって言うのはどうだろうか?髪の毛が紅茶の色だから…」
「それでいいわ!」
妖精が名前を認めると、妖精が光だしてほんの少し姿が変わった。
「わ!びっくりしたのよう…まぁいいのよう…これからよろしくなのよう!」
「口調が変わったな…名前つけると変化するのか?」
「どうやらそうみたいですね…マスター…」
「ご主人が名前を付けたのだからちゃんと私をお世話してよう!」
「あれ?いつの間にか俺が世話する羽目になってやがる…」
「いいじゃないのよう!じゃあ私は鞄の中にいるから!」
ティーはソウルの鞄に入ると、隙間から顔を出していた。
「とりあえずティーちゃんはみんなでお世話しましょうか?」
「そうね」
「まぁ…そうですね、みんなよろしく頼みますよ」
ソウル達は、頷き合い広場に現れた宝箱の中身を回収して次の部屋に向かった。
「やっぱり、宝箱の中には紙の束がありましたね、それと何かが入った布袋?」
「妖精の粉っていう素材アイテムですね、幻覚作用があるらしいそうですよ?」
「えぇ!?大丈夫なんですか?それって…」
「モンスターにだけ効くようですよ?人には無害らしいそうです」
「もう!、ソウルさん!脅かさないでくださいよ!」
次の部屋へ行くと再び、上り坂の部屋でソウル達はふざけ合いながら進んでいくと、ティーが鞄から声を発した。
「ここで止まって!!そこから横に二歩、前に三歩、くるっと回ってにゃん!」
「くるっと回ってニャン…ってなにさせんだこの妖精は…ってお?」
ソウルがいるちょうどその位置の壁に、大きな姿鏡がありソウルがポーズを取ると、鏡が水面の様に揺らめいた。
「これは、守護獣様がいる部屋の前まで行ける通り道なのよう!すぐ閉じちゃうから早く入るのよう」
ティーに急かされ、ソウル達は慌てて鏡の中へ入ると、目の前には羽の生えた男の子の姿が彫られた両開きの扉があった。そして、その近くにダイアのマークの部屋もあった。
「少し休憩していきますか?」
「そうね」
「ソウルさんからもらったポーションも残り少ないので製作お願いできますか?」
「任せてください」
ソウルは鞄から鍵を取り出し、部屋の鍵を開けると中に入っていった。部屋の中で各々休憩したりアイテムなど製作していると、ティーがソウルに話しかけてきた。
「妖精の粉はいろいろと便利なのよう!聖水と組み合わせればモンスターとの遭遇率を下げられるし、武器強化に使えば一段階強化できるからいろいろと試してみるといいわよう!」
「なんという万能素材…」
「一日一個位なら私が出せるわよう」
「それはありがたい」
「マスター、妖精の粉はどうやら妖精種の老廃物の様です」
「うん、その情報は聞きたくなかったな」
ソウルは錬金窯でHMPポーションを製作し、アップルとマナリアに数本渡した後、ダイアの部屋から出た。そして、戦闘準備をした後、守護獣がいる部屋へ入って行くと、羽の生えた男の子が胡坐をかきながら空中に浮いていた。
「やぁ!僕は、風の塔 守護獣オーベ!初めまして!」
「初めまして、俺はソウル 飛んでいるのがマギアで杖を持っている方がマナリア、今にも飛び掛かって行きそうな女性がアップル それで鞄の中で怯えてるのがティーだ」
「そう!そこの妖精!君のせいで僕らが仕掛けた悪戯の大半がパァさ!久しぶりの挑戦者だから気合入れて仕込んだのにさーどうしてくれんの?…」
「えっと…ごめんなさいなのよう…可愛いお洋服貰ったから舞い上がっちゃったのよう…」
「そうか…それなら仕方ないかな…許してあげるよ、僕の方も爆笑させてもらった場面もあるし」
オーベが手を叩くと、ウィンドウが表示されソウルが気絶した時の顔や、ソウルがお姫様抱っこされている姿、ソウルが戻ってきた時に見せた女性二人の笑顔が表示された。
「いや~、久しぶりに笑ったよ!」
「ねぇ?もういいかしら?殴っていいかしら?」
顔が赤くなっているアップルが指を鳴らすと、オーベが慌てた。
「待って待って!、僕は戦闘には不向きな守護獣なんだ!だからこの塔に挑戦した人達は僕たちの悪戯で楽しませてもらったら攻略した事にしているんだ」
「いや、私の拳が真っ赤に燃えて唸っているわ!」
「ヒェェこれあげるから許して…」
オーベは手を二回叩くと、ソウル達の前にアイテムが現れた。
【アナウンス:風の欠片 を獲得しました。】
【アナウンス:風の玉 X3 を獲得しました。】
「その風の玉は無限に風を生み出せる事が出来る玉だよ!まぁただ風が出るだけなんだけど、何かに使ってね」
「これを使って敵にダメージを与えられるのか?」
「いや、ダメージは判定は無いよ?ただ氷を置いた後にそれを使うと涼しい風がくるってくらいかな?」
「掃除やブラスト加工に使えそうだな…」
「何か思いついた?それならよかった…あ、そうだ君に一つ聞きたい事があったんだ」
オーベはソウルの方を見ると、ソウルは首を傾げた。
「なんでこの時、突然気絶したの?」
「え?…それは、赤い服の女が急に現れて俺を驚かせたから…」
「え?赤い服の女?…僕ら、そんな悪戯仕込んでないよ?」
「え?…」
「ソウルさん、あの時赤い服の女の人なんかいませんでしたよ?…」
「そうね、急に気絶したからびっくりしちゃったわ!」
「マスター私も驚きましたよ!突然の気絶!でしたから…」
「いや、ドールズマスターが赤い服の女が…」
「ソウルさん?ドールズマスターは赤いドレスの人形でしたよ?」
そういえば、とソウルは思い出してみると、ソウルが気絶した原因の赤い服の女はドレス姿ではなかった記憶があった。ドールズマスターはちゃんとしたドレス姿で、あの赤い服の女はボロボロの服装だった。
「ちょっと、ソウルやめてよ…怖くなって来たじゃない…」
「ソウルさん…まさか…」
「まままって…その先はい…言わないでください…」
ソウルが震えだし、その場が静まり返るとオーベが咳払いをした。
「とりあえず、クリアおめでとう!ここから塔の外に出られるからね!ご苦労さまでした!」
「そうね!私達は、オーベが仕掛けた悪戯で苦労しながらこの塔をクリアした!そうよ!そういう事にしておきましょう!」
アップルが速足で魔法陣に乗り塔から脱出すると、ソウル達も急いで塔から脱出していった。
「じゃあお疲れ様!明日は朝9時から10時位に集合ね!」
「お疲れ様でした!ではまた明日!」
「お…お疲れ様です、また明日…」
女性二人は、挨拶を済ませてログアウトしていくとソウルもログアウトしていった。
「ふぅ…怖い怖いと思うから余計に怖くなるんだ…大丈夫、リアルに幽霊なんていない…」
総一郎は、自分に言い聞かせながら、スマホを片手に部屋から出ると、外はもう夜で、家全体が真っ暗になっており恐怖感を煽っていた。
「マスター!大丈夫ですよ!私が付いています!」
「そうだよ、俺は一人じゃない…一人じゃないんだ…」
一階に降りてトイレを済ませた後、台所で何か食べようか考えていると、家鳴りがした。
「大丈夫、ただの家鳴り…ただの家鳴り…」
総一郎は、恐怖しながらも何か食べてすぐ寝てしまおうと考え、冷凍物の炒飯とカップラーメンを作り、気分を紛らわす為、テレビをつけた。
「チクショウ!こんな時に限って怪談物やホラー物の番組しかやってねぇ!」
「マスターそんな時は、ネット動画ですよ!動画配信サイトで無料になっている公式アニメを見るのです!」
「そうだな!何かおススメされてるのを頼む!」
「ロボットアニメを見ましょう!」
マギアの姿が小さくなり、スマホにロボットアニメが流れると、どうやら丁度ホラー回の様だった。
「どこまで俺をビビらせれば気が済むんだ…」
涙目の総一郎は炒飯とカップラーメンを急いで胃に入れ、使った皿を流し台に置いた後、急いで自分の部屋に戻った。部屋へ入り扉を閉めようとした時、見えてはいけない赤色が目に映ったような気がして、総一郎は顔を青くした後、ベッドに潜り込んで震えながら夜を明かした。
赤い服の女の話をすると、二日か三日以内に赤い服の女の姿を見るってどこかのホワイトカラーが言っていたなぁ‥
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