火の塔 その2
完成しました
投稿します
お楽しみください!
マグマから現れた階段を上ったソウル達が、次のエリアで見た物は天井から無数に伸びた鎖だった。その鎖は手を伸ばせば届く持ち手に繋がっており、敵も少ないがいた。
「もしかして、これ間違えたら下のマグマに落とされちゃう?」
「そんな雰囲気がしますね」
マナリアとソウルが網目状の金属床から見えるマグマを見ながら言った後、全員でヒントを探した。
「う~ん、雑魚は私に任せて」
「お願いします」
ソウル達に向かってきた敵をアップルが相手して、残った三人がヒント探しを続けた。だが、一向にヒントらしいものは見つからずソウル達は悩み始めた。
「どうしましょうか?何の手がかりも無いですね…」
「う~ん…別の場所にヒントがあるのかな?」
「先ほど、調べてみましたらどうやら正解は一つの様です」
「一旦引き返して、別のエリア探しますか?」
「そうしよう!」
「了解です!」
「え?戻るの?!めんどくさいわね!こういうのはガッとやってみれば何とかなるはずよ!」
「え?!アップルさんそれは無茶ですよ!」
入り口付近にいたアップルが、一つの持ち手を掴んで引こうとするのを慌ててソウルは、止めようとした。
「大丈夫!行ける行ける!」
「あ、ちょっと待って!あー!!!」
アップルが持ち手を引っ張り、ソウル達はマグマに落ちる事を覚悟したが、一向に落ちる気配はなかった。数秒後、後ろの方で鍵が開く音がするとソウルは目を見開き、驚いていた。
「はぁ?…馬鹿な…」
「あっはっはっは!いけたわね!」
「嘘でしょ‥‥」
「所謂これが、野生の感っていうものですね!驚愕です!」
「なんだろう…この納得いかない感覚…」
「まぁまぁ!次のエリア開いたんだからいいじゃない!」
ソウルは、どうにも腑に落ちなかったがアップルに背中を押され、扉を開くと螺旋状の上り階段があった。ソウル達はその螺旋階段を上り続け次のエリアへと入った。
「今度はバランスギミックね!」
マグマの上に半球の土台が浮かび、少し斜めに傾いていた。ソウル達はその半球に乗ると、コドモオオトカゲの鳴き声のようなものが聞こえた。
「でっかいな!中ボスか?」
「位置取りに気をつけないと落ちるわね!」
巨大なリザードマンが半球に飛び乗り、大きく半球の土台を揺らした。リザードマンは、着ている鎧を叩きソウル達を挑発した。
「なるべく中心で戦おう!マナリアさんは敵の攻撃が当たらない距離で頼みます!」
「解りました!」
アップルが中心で相手取り、ソウルはセレクターをRにした後、銃を発砲した。だが銃弾は鎧に当たっても痕を付けただけでダメージは無かった。
「嘘だろ?!」
ソウルは驚き、【チャージショット】を撃った。この攻撃で鎧は貫通したが、大したダメージは無かった。ソウルの弾が鎧を貫通した時、体の表面に半透明な障壁が一瞬だけ見えた。どうやら肉体に魔法の障壁が掛かっており、ダメージ軽減をしている様だった。
「マスター!どうやら遠距離攻撃軽減を持っているようです!」
「え?マジかよ!俺役立たずじゃん!」
「そうですね!マスターができる事は少なく役立たずですね!できる事と言ったら敵の攻撃の軌道を変える位ですね!」
自分で言った事で心に軽いダメージと、マギアの言葉でクリティカルダメージを心に追いながらも、大型リザードマンの攻撃を発砲で阻害していった。リーザードマンのHPが半分を切ると、半球から飛び上がり最初に出てきた場所で鳴き声を上げると、普通の大きさのリザードマン達が、鎖につながれた大玉スイカ位の大きさの鉄球を持ってきた。その鉄球は刺が付いており、鉄球を手にした大型リザードマンが半球へ戻ると、振り回し始めた。
「ちぃ…あの鉄球厄介ね…」
アップルが近づこうとすると、リザードマンが鉄球を巧みに使い、近寄らせなかった。
「マギア!銃で鉄球の軌道を変えられるか?」
「かなり難しいですが可能です!やりますか?」
「…難しいか‥‥じゃあ軸になってる手はどうだ?」
「それなら簡単です!」
「よしじゃあ、振り回し始めたら軸になってる手を狙うぞ!」
「了解です!」
リザードマンが鉄球を振り回し始め、マギアは乱射しソウルは【チャージショット】を撃ち続けた。手を撃たれたリザードマンは、鎖を離してしまい鉄球が明後日の方向に行ってしまった。そこにアップルが好機と見て、怒涛の連打を叩きいれた。アップルが反撃されてHPを減らしても、マナリアの回復魔法で即座に全快し、
連打を続けた。
「鉄球が来る!回避!」
ソウルがリザードマンを観察し、軸になっていた手を無理やり動かすのを見て叫んだ。目の前に鉄球が迫ってきたアップルはしゃがんで回避すると、再び懐に入りソウル達が軸手に向けて発砲をした後、アップルは連打を入れていった。
「アップルさんすごいですねマスター…ただ黙々と連打を決めてます…」
「あー…確かあれは超集中状態って言ったかな?詳しくは知らないけど、ゾーンっていう物に入った状態が今のアップルさんだと思う」
「あれは…マスターの【ハイタイム】に似ていますね…」
「ハイタイムはデメリットがあるからなぁ…多分あれが【ハイタイム】の上位互換だと思うよ?」
「そのゾーン入るって誰にでもできる事なんです?」
「できると思うよ?訓練すれば…」
マナリアの疑問に答えたソウルは、再び振り回そうとしている鉄球の軸手を撃ち、リザードマンが黒い霧になるまでパターン化した作業を続けた。
「スゥゥ‥‥‥ハァァァァ‥‥」
【アナウンス:百人隊長ダンタルガ を討伐しました。SP39705 獲得しました。 4310 オカーネン 獲得しました。戦利品設定は 自動分配 です。】
アップルが、黒い霧変わって行く横たわったリザードマンを前にしながら、中国拳法の深呼吸をして自身を落ち着かせた。
「アップルさん、お疲れ様です!見事でした!」
「アップルちゃん、お疲れ様!すごいですね!」
「お疲れ様ですアップルさん、さすがです!」
三人に褒められたアップルは、少し顔を赤くして照れてしまいそれを誤魔化す為にチャット欄を開いた。
「あ!新しいスキルを覚えたわ!…【超集中】と【気功】だって!どっちもLv1だけど…」
「すごいじゃないですか!これでZ戦士に近づけましたね!」
「【気功】育てれば空飛んだり、〇めはめ波撃てるようになれるかしら?」
「アップルさんならきっと出来るかもしれないですね!(知らないけど)」
この時のソウルの適当な言葉で、アップルが将来とんでもない方向に進んでしまう事に、この時は誰も知らなかった。
大型のリザードを倒すと半球の土台が固定され、マグマの量が増えると次のフロアへ行けるようになった。だがその近くに、トランプのダイヤが刻印された扉を見つけ、ソウルは鞄から鍵を取り出し鍵を開けて入ってみると、様々な素材が置いてあり、人間用のベッドやかまど等あった。どうやらここは休憩所の様だった。
「ちょっとここで補給やら休憩を済ませますか」
「わかったわ!ちょっと一旦ログアウトしてくるわね!」
「あ、私も~」
「解りました、二人が戻ったら俺も一旦ログアウトしますね」
「了解~」
二人のログアウトを見送ったソウルは、エンチャント台と錬金釜を取り出し、部屋の素材を使って弾や薬などを製作していった。
「ここでSP消費して新しいスキルとステータス強化しておくか…」
「もちろんですが極振りは止めた方がいいですよ!マスター!」
「極振りしたら絶対に詰むな」
ウィンドウを操作してステータス画面を開いた。
〔 STR 〕 281
〔 VIT 〕 198
〔 INT 〕 105
〔 DEX 〕 368
〔 AGI 〕 256
〔 LUK 〕 261
この数値からSPを消費してDEX、AGI、STRを基準にして上げていった。各ステータスの下にゲージが付いており一ゲージで40上がり、要求されるSPの量が増えていく仕組みだった。
〔 STR 〕 361
〔 VIT 〕 238
〔 INT 〕 145
〔 DEX 〕 528
〔 AGI 〕 376
〔 LUK 〕 301
ステータスはこの位でいいかと考え、ソウルは次に戦闘タブを開いた。ソウルは銃士系戦闘スキルを一つも取っていない為、見るのも初めてだった。戦闘タブで表示されていたスキルを見ていったソウルは、どれも魅力的な物だったが、どれも実戦で使える物じゃない為、諦めて生産タブを開いた。
「なんだよ…リキャスト2時間って…おかしすぎだろ…この設定には悪意感じるわー何?銃士消したいのか?」
「確かに、この設定はゲームとして破綻していますね」
「まぁ、いいか…最初に選んだのは俺だし、オリジナルスキル作れるようになったらそこにSPつぎ込めばいいか」
「オリジナルスキルですか…マスターはどんなスキルを作るのか楽しみです!」
「ふっふっふ…楽しみにしているがいい!…さ~てと~生産スキルどれがいいかなぁ…」
ウィンドウをスクロールし、錬金術から【再調合】、【品質アップ】、【特性引継ぎ】を取った。
【再調合】は一度完成した物を再び調合できるようになるスキルで、【品質アップ】は完成した製作物が品質+20%されるパッシブスキル、【特性引継ぎ】は素材が持つ特性を製作物に引き継げるスキルだった。
ソウルは、先ほどの戦闘で弾が弾かれてしまった事を思い出し、これから強い敵が出て来ても火力不足にならない様に、このスキルを選んだ。
「通常弾を強化しよう、マギア一度自動製造は切っておいてくれ」
「了解しました」
「う~ん…どの素材を使おうか…」
弾を釜の中に入れるとウィンドウが開き、使われている素材が表示された。ソウルはアイテム欄を開き、どの素材を入れ替えるか悩んでいると、マギアがおすすめの素材をアームで指した。
「この素材とこの素材の特性はよく見るのでお勧めです! 【増殖量産】のスキルを取ってもらえれば一回の調合でかなりの量が出来ますよ!もちろん自動製造にも有効です!」
「ほう、じゃあ取るか」
ソウルは、【増殖量産】を獲得しお勧めの素材を釜に入れて、弾を完成させた。どうやら前の素材は手元に戻らず無くなってしまう様だった。完成させた弾は、品質と攻撃力が上がり特性は、攻撃力中+、破壊力小、クサいを引き継いだ。
「なんだろう…この匂い…鉄と植物の青臭さが合わさった臭さ…」
「強烈に臭って来る訳では無いので、いいのでは?」
「それもそうだな…」
「じゃあこの弾を自動製造しますね」
「頼む」
ソウルが弾をアイテム欄に入れ、マギアがウィンドウを操作すると、新しい弾が自動で作られていった。
「この弾に名前を付けますか?」
「う~ん、分かりやすく通常弾2で頼む」
「解りました」
マギアがウィンドウを操作すると、弾の名前が通常弾2と表示された。その数分後、特殊弾も強化していたソウルは、アップルたちが戻ってくると切りのいい所で止め一旦ログアウトを始めた。
「もう昼過ぎか…何か胃に入れるか…」
「マスター!今後も探索は続くのでしっかり食べたほうがいいですよ!」
「そうだなぁ…」
総一郎は、一階に降り台所へ向かうとカップ麺が入っている袋を漁った。
「このうどんカップ麺とおにぎりでいいか…」
「偏りすぎてますよ!ヨーグルトと果物を取る事を推奨します!」
「え?果物は冷蔵庫に入ってたけど…ヨーグルトは入ってな………あったわ…」
冷蔵庫を開けて見ると、奥の方に姉の名前が書かれたヨーグルトが入っていた。賞味期限を見て見ると今日までだった。総一郎は、冷蔵庫からリンゴとバナナ、キウイを取り出して適当な大きさに切りヨーグルトの中に入れた。昨日余ったご飯をタッパに入れて冷蔵庫に入れてあったのを取り出し、レンジで温めた後おにぎりを作り、カップうどんにお湯を入れ、5分まってから食事を始めた。
「食後のデザート~」
カップうどんとおにぎりを5分もかからず平らげ、デザートのフルーツ入りヨーグルトにスプーンを入れた。
「二人は今どうしているか解る?」
「マナリアさんとアップルさんですか?‥‥今、お二人を見て見たら、芸能人の話題で盛り上がってますね!」
「よかった、まだ来ない~とか遅い~とか言ってなかったか、ちょっと安心した」
「食事は落ち着いてよく噛んでください、お二人を待たせている事に焦るのは理解できますが、マスターがゆっくり食べられる位の時間なら私がいくらでも稼ぎますから」
「それはありがたい」
「ですのでしっかり食べてください」
「はいよ~」
ヨーグルトを食べながら、同意するとある事を思い出した。
「マギア、姉さんにヨーグルト賞味期限今日までだったから食べちゃったよってメールしといてくれる?」
「了解しました」
ヨーグルトを食べ終えた総一郎が、後片付けをしている最中、姉の美咲からメールの返信が帰ってくると何か変な文章だった。
件名 Re:姉さんへ
「(ど…どうしたの!?総ちゃん!?頭でも打ったの!?おねーたんだなんて…ハッ!まさか姉萌属性を身に付けちゃった!?)」
「なんのこっちゃ…うん?…マギア…お前どういう文で送った?」
「はい、こちらです」
件名 姉さんへ
「おねーたんへ おねーたんの白くて少し苦い物を食べました。白くて反り返った物と丸くて甘い奴、毛が沢山あってちょっと酸っぱい物と一緒に食べたからおいしかったよ!♡♡ ちょっと口元が白く汚れちゃったけど全部食べちゃった!」
「おい…マギア…」
「はい!なんでしょう?!会心の出来だと自負しますよ!」
「お前何て物を実姉に送っているんだ!別の意味で会心の一撃だよ!」
「いやぁ、それほどでも!」
「褒めてねぇから!逆にひどい事になっちゃってるから!」
「おかしいですね…母性本能を刺激する様計算された文章でしたのに…何がいけなかったのか…」
「全部だめだ!姉の母性本能刺激させてどうする!?アホか!?どうすんだよこれ!」
総一郎は、とりあえず言い訳を考えメールを送った。
件名 Re:Re:姉さんへ
「すまない姉さん、冷蔵庫に入ってた賞味期限今日までのヨーグルトを食べたって友人に代打ちメールさせたらあんなひどいメールに…」
このメールを送り2分後返信メールが来た。
件名 Re:Re:Re:姉さんへ
「(そうだったのね!びっくりして旅行切り上げて帰ろうと思ったわ!ついに弟が姉萌になったかと思ったら興奮しちゃった!は~びっくりした、そっちは一人で大丈夫?)」
件名 Re:Re:Re:Re:姉さんへ
「大丈夫だよ、姉萌にはこの先なる事は無いから安心してくれ、それじゃあ旅行を楽しんできてね!」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:姉さんへ
「(姉萌にこの先もならない?ずっと?死ぬまで?永遠に?)」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re:姉さんへ
「ないね!」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:‥‥姉さんへ
「((´・ω・`)そんなー)」
総一郎は、自分の部屋に戻り機器を頭に付けてログインを始めた。
「オウフ!」
「あ、お帰りなさい!ソウルさ…どうしたの?」
「ちょっとマギアがリアルでやらかしてな!正義の鉄槌を与えた所だ!」
「なにそれ?気になるわ~」
「聞かないでくれ…」
ログインしたソウルはまず初めに、マギアにチョップを与え地面に沈めた。
「さて、休憩もすんだことだし行きますか!」
二人が頷き、部屋から出た後、次のフロアへ向かった。
とある数字を数字語しするとちょっとおもしろいかも…あ、一応そのまんまだとまずいので一文字追加してますがw
ゾーンに入る訓練をやったことある人は、何人くらい超集中を獲得できたのだろうか?
アップルさんの強さは桃白〇にすら届いてはいません。
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