ペルソナフェイス
お楽しみ頂けたら、これ幸いです!また、この小説を読むと幸運値が上がったと噂されています!(あくまで個人の感想です)
次回更新は、11月16日 0時更新です!
「ん~!空が広いわ~」
地上に上がって来たソウル達が洞窟を出た時、アップルが雲一つない青空を見上げると、開放感を感じて体を伸ばした。
「さっきまで地面の下だったからね~」
「空に雲が一つもないので余計にそう感じますね」
「ん~」
アップルの言葉にティカルとマナリアも同意したが、ソウルだけが喉を鳴らすような言い方の生返事で答えた。
「ソウルが一言しか喋らなくなった…」
「一言っていうか一文字ね?」
「たまにだけどお姉ちゃんもこんなザマになってる時あるよ!」
「ザ…!?クーちゃん!?」
「大丈夫ですかソウルさん?」
「ん?ん~…」
「駄目そう…」
ソウルはマナリアの声に返事を返したが、先程と同じ一文字だけだったので、ティカルはソウルの限界は近いなと察した。
「Rebellionsのみなさーーーん!!」
そんなやり取りをしていると、1人のネーバーク王国の兵士がこちらに走って来た。
「Rebellionsの皆さん!どうでしたか!?」
「探索完了しましよネイールさん。これから国王様にご報告に伺います」
「完了したんですか!?それは凄い!あ!盗掘団はどうなりましたか!?」
「何処かからドリルシップで掘ってきましたが、全て撃退しました」
「おおお!」
ネーバーク王国の兵士に、ソウルは突然スイッチが入ったかのようにちゃんとした受け答えをすると、先程まで「駄目かも…」と思っていたアップル達は、目を大きくさせて驚いていた。
「この事を急いでみんなにも知らせないと!皆様は国王様にご報告をお願いいたしますね!本当にありがとうございました!」
兵士はネーバーク王国特有の敬礼をした後、足早で陣地へ戻っていった。
「…あれ?何だろう?さっきのネイールさん、僕達の成功を喜んだんじゃなくて別の事を喜んでいる様に見えたんだけど…気のせいかな?」
「色々あるのよ。ね?ソウル?」
「ん?ん~」
「あれ?戻った?」
「…ふざけての?」
「んん~」
ソウルが戻った事に、アップルが圧を掛けるような言い方で聞いたが、ソウルはゆっくりと首を横に振って否定した。
「じゃあ~…ソウル?こんど女の子の服来てくれるかしら?」
「ん~…」
ふざけてはいないと首を振ったソウルに、アップルは怪訝な顔をしながら頼んでみると、肯定か否定か分からない声を上げた。だがアップルは、その返事を肯定したと捉えると、他の仲間も悪乗りして便乗し始めた。
「えっと~ソウルさん?ソウルさんの奢りで新しい槍を作ってくれますか?」
「ん~…」
「ねぇねぇ?ソウル?今回のうちあげ代は全部ソウル持ちでいいよね?」
「ん~…」
「ソウルさん?私~欲しい錬金術の本があるんですけど~買ってくれますか?」
「ん~…」
「あたしは新しい武器が欲しい!めっちゃ強い奴!」
「ん~…」
「マスター?結構値が張るとある素材が欲しいのですが、購入してもよろしいでしょうか?」
「ん~…」
次々ととんでもない事を頼んできた仲間達に、ソウルはすべて同じ声を上げて答えた。
「…多分これ後で「俺が意識がはっきりしてない時~」とかなんとか言って、全部無効になると思う」
「そうね。でも、言うだけなら問題ないわよ」
「そうですね。冗談でもこれ全部叶える事になったらソウルさんが可哀そうです」
「そうだね~」
「え?冗談だったのですか!?私、てっきり本当に買ってもらえる物だと思って本気で喜んじゃいました…」
「お姉ちゃん…流石にそれは…」
「え!?ちょ!そんな!見ないで!」
姉のがめつさに、クリスはジト目でリリアナを見つめると、恥ずかしい気持ちで顔を真っ赤にさせたリリアナは顔を両手で覆い隠した。
「皆様、ご安心ください。先ほどの会話を録音していましたので、マスターが否定されても拒むことはできないでしょう」
アップル達が双子のやり取りを見て笑っている最中、マギアがとんでもない爆弾を落として来た。
「え!?えっぐ!まじ!?」
「はい、また過去のマスターの発言を利用してこんな事も出来ます」
ジャバワークの顔付近にウィンドウを開いたマギアは、音声データを流し始めた。
【ねぇねぇ?ソウル?今回のうちあげ代は全部ソウル持ちでいいよね?】
【おう!マカセロー!俺が全部払ってやるよ!】
「うわ!うーわ!!」
「ちょっと合成した感はあるけど…これを出されたら大変ね…」
「マギアさん!?流石にこれはまずいですよ!」
「おーすごいすごい!」
「これならワンチャン買って貰える!?」
ソウルの声を合成編集された音声データに、アップル達は目を大きくさせて驚いた。
「急遽作ったのでアップルさんがご指摘された通り、合成した感じの発言になっておりますが、後で調整して違和感を感じない様に致します」
「…そんな事が出来るのも新しいボディのおかげなのかしら?」
「はい!」
「はいって…早速悪い事に使ってて草生えそう…」
「草の根も生えないの方では?」
「あ~そうだね。こんなんやられたら怒りで焦土化しそう」
「そうね、だからとりあえず止めておいた方が良いわよ?」
「そうですか…残念です。でも、このデータは消さずに残しておきましょう」
マギアが返した言葉に、アップル達は「あ…これ、いつか使ってソウルにシバかれる奴だ」と察してソウルに視線を向けると、当の本人はコックリコックリと舟をこいでいた。
-ネーバーク王国・王城・貴賓室-
「ほう!そんな所だったのか!とても興味深い!」
採石場から王城に到着したソウル達は、受付を済ませて貴賓室に案内された後、国王のティアミイルにネヴァロンの事を話し始めた。再びスイッチが入ったソウルは、ネヴァロンで撮った写真や壊れたカヴァーズのパーツ、街の残骸などを見せて詳しく説明すると、ティアミイルやその側近たちは目を輝かせながら聞いたいた。
「それに~スフィアータだったか?そんな高度な物があるとは驚きだ」
「ええ、もしスフィアータがどこかの国で使われた場合、その国は飢えも病みもしない永劫に繫栄が約束された国になるでしょう」
ソウルの言葉に、ティアミイルは訝しげに目を細めた。
「…ほう?それほどかね?」
「ええ、それほどですよ。スフィアータが全てのカヴァーズに食料を作れと命令を出したら、カヴァーズ達は休むことなく生産し続けますし、流行り病の兆候が出た場合には即座にワクチンを作り出して、全ての国民に配布するなんてことも容易でしょう」
「…」
徐々にティアミイルは表情を険しくさせていったが、ソウルはそれを無視するかのように話を続けた。
「…もし、戦争に使われた場合、膨大な数の不眠不休で死を恐れない兵士が砦や街を襲う事になりますね。更にその兵士は、たった1体だけで戦闘を行ったしても、その戦闘で得た情報が全ての兵士を強化します。そしてこれは、戦闘を行う度に強くなっていきますので、相手が大陸最大の国家だったしても、大体1か月くらいで滅びると思います」
「…大国規模の国家が1か月…恐ろしいな…」
「ええ、本当に怖い話です。まぁ、今はその心配はありません…が、その「もしも」が起きた場合、覚悟しなければいけませんね」
「むぅ…」
「なので、提案があります」
「覚悟しなければいけない」と言う言葉に、ティアミイルは表情を険しくさせながら天井を見上げると、ソウルがティアミイルに提案を示した。
「俺達が探索で得た物を1度ネーバーク王国に預けますので、その中に欲しいと思った物があれば、買い取ってください。そして、スフィアータは俺とネーバーク王国で所有権を2分化して、他国に売ってしまいましょう」
「いや、待ってくれ!最初に言ったのはいいが、他国に売るだと!?そんな事をしたら、それこそ「もしも」が起きてしまうではないか!」
「大丈夫です」
「何を根拠に言っている!?」
「その「もしも」が起きても、俺達には手出しできないようにマギアに設定させます」
「そんな事が可能なのか!?」
「可能です。マギア?出来るな?」
「はい、可能です」
「凄いな…君たちのような来訪者はそんな事までできるのか…」
「俺達より、マギアが特別ってことです」
「…なるほど」
ソウルの言葉に、ティアミイルは深く頷いた。
「相分かった、その提案に乗ろう。契約書を用意するから少し待ってくれるか?」
「分かりました。あ、でしたらその間にネヴァロンで得た物を出しておこうと思うのですが、何処に置いたらいいでしょうか?」
「すぐに案内させる。ヘンウッド!」
ティアミイルは近くに居た側近の名を呼ぶと、ふくよかな体形で口ひげを生やした男性がソウル達に近づいてきた。
「ヘンウッドと申します。ご案内いたします」
「よろしくお願いします」
ソウル達は互いに軽い挨拶を交わした後、貴賓室を出てヘンウッドの後に続いて行った。
-ネーバーク王国・王城・1階・大部屋-
「この部屋は現在使われておらず倉庫として使っているので、ご自由にお置きください」
「分かりました」
ヘンウッドの言葉に頷き、ソウル達はアイテム欄からネヴァロンで得た物を部屋に置いて行った。
「よいしょっと…ふぅ」
アップルがアイテム欄の中にあった物を全て出し終え、一息ついた後に他の仲間に視線を向けてみると、マナリアとクリスは綺麗に飾る様にして置いていたが、ティカルやクリスはゴミの山を積む様に乱雑に置いていた。
「(こういうのって性格が出るのかしら?)」
そう思いながら次にソウルに視線を向けてみると、ソウルはこの部屋の端で一纏めにされていた椅子に腰掛け、腕を組みながら舟をこいでいた。そして、その近くにはカテゴリー別で仕分けされた拾得物が置いてあった。
「(やっぱり性格ね~)」
「おわったよ~」
「こっちも終わりました」
アップルは内心でそれぞれの置き方に納得していると、マナリアとクリスが全て置き終えたと報告して来た。
「ん?あ~戻るか~」
「「は(あ)ーい」」
「あとは王様と契約して終了だよね?」
「そうだ」
「じゃあ、それ終わったら打ち上げしにいこうよ」
「あ~そうだな。いこうか」
「眠そうですけど…ソウルさん大丈夫ですか?」
「無理だったらそのまま寝落ちする」
「普通に落ちて寝なさい」
「はーい、ママン!」
「…こんどママ呼びしたらぶん殴るわよ?」
「すんませんでした!」
アップルの後ろに般若が見えたソウルは、誠心誠意に謝罪した。
「まったくも~ほら!そんな馬鹿な事言ってないで行くわよ!」
アップルはソウルの襟首を掴んで引っ張っていくと、ティカル達も2人を視界に入れながら笑い、大部屋を出て行った。
だがこの時、ソウルは重大なやらかしをしていたのだが、その事に気づいた者は誰も居なかった。
セリフの「」と音声データを分ける為にアナウンスやスキルで使っている【】を使いました。
ソウルのスイッチは、祖母の教育(強制的に)で身に付いた物です。
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