またのご来訪をお待ちしております
すみません!前回地上の話になると言いましたが、今回もスフィアータの所です!次回こそ地上での話になります。
次回更新は、11月6日 0時更新です!
「おっす~」
「あ、ティカルさん!こんばんは!」
「マナリアだけ?他の2人は?」
「まだ来てないです」
「あれ?もう来てると思って急いでログインしたんだけど…まだ来てなかったか…」
2人はまだ来てないと知ったティカルは、内心で焦らなくても良かったなと思いながら、ウィンドウを開いて操作しはじめた。
「あ、ティカルさん?修理キット持っていますか?」
「あるよ?」
「よかったら2つほど譲ってもらえないでしょうか?」
「あいよ~」
ティカルは、アイテム欄の中にある修理キットを2つ取り出して渡すと、マナリアは感謝の言葉を言いながら受け取り、砕かれた盾を床に広げて修理キット近づけた。すると、砕かれた盾が金属を叩く音とインパクトドライバーのガガガという音を鳴らしながら、時間が巻き戻る様に結合していき、砕かれた盾から大きな罅が入った盾になった。
「その盾ロストしなかったんだ。2つで足りる?」
「はい、この盾はKUNIMO師匠から貰った盾なのですが、壊れてもロストしない特殊なエンチャントが付与されているんです!あと、この2つの修理キットで20%回復しましたが、今日は戦闘は無いと思いますので大丈夫ですよ!」
「…本当にそう思う?ソウルだよ?」
笑顔で言うマナリアに、ティカルは真剣な表情をして再度尋ねると、マナリアの表情が徐々に曇って行った。
「…えっと、すみません。上限の60%まで回復させたいです…」
「そうした方が良いね」
ティカルは追加で修理キットをいくつか纏めて渡し、マナリアは申し訳なさそうに受け取った後に盾に使うと罅が徐々に塞がって行った。
「ソウルさんと一緒だとパル〇ンテofハードコアですからね」
「ハードコア?マニアックの間違いじゃ?」
「ふふっ!流石にそこまで行きませんよ!」
「いや、実際マニアックだよ。それに、偶にだけどヘルかナイトメアになる時もあるからね…」
「えぇ!?」
「みんなおはよう。…どうしたの?」
ティカルの言葉でマナリアが驚いていると、アップルがログインして挨拶をするが、2人の表情を見て首を傾げた。
「ソウルが巻き込まれるクエストの難易度について話していたんだんだけど、僕が偶にその難易度がヘルかナイトメアの高難易度になるって言ったんだ」
「あ~…そうね。私もいつかそんな難易度の事象に遭遇すると思ってるわ」
「アップルちゃんも!?流石にソウルさんでも、そんな高難易度のには巻き込まれませんよ」
そんな事は起こらないと否定するマナリアに、ティカルとアップルの2人は首を横に振った。
「マナリア?それは甘いわ」
「うん、まだまだだね」
「えぇ…」
2人の言葉でマナリアは愕然としていると、ソウルがログインして来た。
「おっすー…」
「おっすおっす!」
「そ、ソウルさん!こんばんは!」
「ごきげんよう。ソウル」
ソウルの挨拶に、3人は誤魔化す様に挨拶を返した。
「俺が最後だったか…じゃあ、さっそく行くか~…」
「そうですね!イキマショウ!」
「ガンバロー!」
「ソウネ!」
アップル達は少し不自然な言い方で同意したが、ソウルはそれに気づかず、スフィアータに視線を向けた。
「スフィアータ、俺達は昨日言った事をやりに行く…」
「承知いたしました。では、現在の街の状況が分かる詳細なデータをご用意いたしましたので、ご活用ください」
「助かる。マギア、データを受け取っておいて…あれ?」
ソウルは、マギアにデータを受け取る様に言おうとしたが、そのマギアが居ない事に首を傾げた。
「…あれ?あいつどこ行った?」
「そういえば、私が来た時にもいませんでした」
「どこ行ったんだろう?」
「呼び出してみたら?」
「あー…そうだな」
ソウルはアップルの助言に頷き、ウィンドウを開いて従僕・ペット欄からマギアのアイコンを押して呼び出してみたが、「この従僕またはペットは呼び出せる状況にいません」と赤文字で書かれた小さなウィンドウが表示された。
「…あれ?」
「呼び出せないの?」
「うん」
「何かあったのかな?」
「え!?もしかして残党がいたとかですか!?」
「いや、それだとあそこで何かむしゃむしゃしている双子が怯えている筈だから、それは無いと思うけど…」
「じゃあ何が…」
「スフィアータ?何か知っているか?」
「はい」
ダメ元で聞いたソウルだったが、スフィアータが「はい」と言った事にソウル達は驚き、スフィアータに視線を向けた。
「現在マギア様は~…あ、ちょうど調整が終了したようですので、皆様でご確認なされた方がご理解が早いと存じます」
「…調整?」
ソウルの聞き返しにスフィアータは答えず、代わりと言うように右後ろから何かの動作音が聞こえてくると、ソウル達はその音がした方向に視線を向けた。
「…あそこにいるのか?」
「はい」
視線を向けた先には不自然に四角く開いた場所があったが、灯りが無い為にその先が通路なのか部屋なのか分からなかった。そして、そんな所にマギアがいるから確認して来いとスフィアータに言われたソウル達は、無言で互いの顔を見合わせた後、その場所に向かっていった。
-???-
「おーい!マギアー?」
四角く開いた場所に近づくと、そこは通路ではなく一つの部屋だと分かり、ソウルがマギアに呼びかけるが、返事が帰ってくる事はなかった。
「部屋の真ん中に何かあるね?」
ティカルの声に反応して、ソウル達も部屋の中心に視線を向けてみると、SF作品のアニメや映画などで出て来る大型のカプセルが横たわっていた。
「もしかしてあの中にいるのかしら?」
「確認してみよう」
目を輝かせたティカルは、何の警戒もせずにカプセルに近づいて行くと、アップルとマナリアもその後に続き、ソウルは不用意に近づくのを制止しようとして、半ばまで上げていた手を下ろした後、カプセルに近づいた。
「中に女の子がいますね?」
「謎の液体漬けになっている女の子?…これは叡智系同人のプロセスが始まる!?」
「SFホラーかもしれないわよ?」
「勘弁してくれ…」
カプセルの中にいる女の子を見ながら、アップルの言葉でソウルは顔を顰めた。だがその時、中にいる女の子の目がカッと見開くと、カプセルの中を満たしていた謎の液体が急速に何処かへ排出されて行った。
「…これは出て来るって事だよね?」
「叡同プ(叡智系同人プロセスの略)かSFホラーか…どっちだ!?」
「その前に裸なんだから何か着せないといけないわ!」
「とりあえずこれを」
マナリアはアイテム欄から、自身の身長より大きいタオルを取り出した。
「開くぞ」
謎の液体がすべて排出された後にカプセルハッチが上に開くと、その中にいた女の子が突然片腕を振り上げ、何かを掴んだ様に拳を握った。
「よっしゃぁぁぁぁ!」
「「「「………」」」」
女の子がガッツポーズをしながら喜びの雄たけびを上げた事に、ソウル達は意味が分からず唖然とした。
「…おや?皆さんどうしました?」
「…お前マギアか?」
「はい!貴方の相棒のマギアですよ!」
「…その体はどうしたのよ?」
「スフィアータが協力してくれたおかげでこの体を手に入れました!凄いですよこの体!妹のスペックを遥かに凌ぐ性能がありますし、カヴァーズ達の蓄積データでポテンシャルが底上げされていますから!」
「えっと~強くなったって事ですか?」
「いいえ!強くではなく、ものすごく強くなったって事です!これなら妹がどんな上位パーツに換装しても私を超える事はないでしょう!」
「さっきから妹さんと比較しているけど…何かあったの?」
ティカルがそう尋ねてくると、ソウルは何とも言えない顔で頷いた。
「ああ、なんかスペックでマウントを取られたのがすごく悔しかったらしい…」
「あ~…なるほど」
ソウルの答えを聞いて、ティカルは何かを察して頷いたあと視線を戻すと、マギアはカプセルから出て、アップルとマナリアの手を借りながら、体に付着している謎の液体をタオルでふき取っていた。
「マスター!マスター!」
「ん?」
「この体のポテンシャルは凄いのですが、内部パーツも凄いのですよ!お試しになりますか?」
マギアは、へその下に右手を置いてピースサインを作った後、人差し指と中指で何かを開く様に動かしながら言った。
「止めなさい!」
「だ!駄目ですよマギアさん!女の子がそんな破廉恥な事を言っちゃ!」
「?」
アップルとマナリアが慌てて止めたが、マギアは何故と問うように首を傾げた。
「あ~っと~…そんな凄い体を手に入れる事が出来てよかったな」
「はい!それでご使用になりますか?未使用品なので膜を破って貰う事にな「「止めなさい!!」」…」
アップルとマナリアは、マギアの口を手で塞いで発言を止めた。
「それは遠慮しとくよ…」
「ふぉうふぇふか…」
ソウルの言葉を聞いて、マギアはがっくりと肩を落として落胆したが、すぐに立ち直ってソウルの目を見つめた。
「…マスター?先ほどから元気が無い様に見えますが…どうなさったのです?」
「…え?あ~…たぶん徹夜して疲れてるせいだな」
「え?徹夜したのですか!?」
「昨日寝ようとした時にどうしても断れない用事を頼まれてな…」
「大丈夫なの?」
「眠気は無いし、ただ疲れているだけだから大丈夫だ」
「本当に?」
「…多分」
ソウルの言葉に、仲間達は一抹の不安を感じた。
「無理そうならログアウトしてもいいよ?後は僕たちがやっておくし」
「そうよ。そんな無理しちゃいけないわ」
「大事になさってください。ソウルさん…」
「ありがとう。とりあえず行けるとこまで行くよ…」
「マスター!ご安心ください!この超ウルトラスーパーデラックスハイスペックのボディを得た私が全力でサポートいたしますので!」
「うん、頼むよ…」
マギアは明るい声でボケた事を言ったが、ソウルは短い返事をした事に、仲間達は内心で(駄目そう…)と考えた。
-ネーバス文明遺跡・ネヴァロン・エクスヴェラーダの塔・サンクチュアリ-
「じゃあ、俺達は地上に戻るけど、何かあったら連絡してくれ」
「畏まりました。またのご来訪をお待ちしております」
ソウル達は、カプセルの付近に何故か新品のメイド服が置かれてあるのを見つけ、その服をマギアに着せた後にスフィアータの所に戻り、双子と01を連れて街の写真や収集物を集めに向かった。そしてその2時間後、特に何の問題も無く集め終わった後、スフィアータの所に戻って地上に戻る事を伝えると、スフィアータは心地よくソウル達を見送った。
「彼らとの交流はすごく刺激的なものでした。願わくば長き時の後に出会うのではなく、近き時の再会であってほしいですね」
ソウル達の姿が完全に見えなくなった後、スフィアータは小声でそう呟き、部屋の明かりが壁側から一つ一つ消えて行った。
「スタンバイモードに移行…」
スフィアータのその言葉の後、この部屋はソウル達が来る前の状態に戻っていった。
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