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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
Roaring of The War
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第2の部屋・後編

次回更新は、10月2日 0時更新です!

「あら?」


 カリカリーナの雨の様なスキル攻撃に、ティカルは両腕をクロスさせて防御して耐えた。だがその結果、左腕は多くの切り傷があり、その切り傷から血が流れているものの問題なく動かす事は出来たが、右腕は薄皮1枚だけで繋がっている状態でいまにも千切れ落ちそうだった。また両足も無数の穴が開いており、その穴から大量の血が流れだしていて、1本だけになった蜘蛛足だけで力なくぶら下がっていた。


「頑張ったみたいだけど虫の息みたいね?今楽にしてあげるわ」


 カリカリーナが、勝ち誇った顔をしながら鞭を振り上げた時、ティカルは出血デバフでほぼ尽きかけているHPバーを見ながら、ぼそぼそと何かを呟いた。


「な!?」


 カリカリーナはトドメの一撃を放ったが、ティカルは左手に持っていた槍で巻き絡めて防ぐと、カリカリーナは信じられないと言いたそうな表情をしながら驚きの声を上げた。


「まだ勝利を確信するのは早いよ?」


 その言葉と共にティカルの体に開いた穴や切り傷、千切れそうな右腕などの全ての負傷が急速に再生して行った。


「なによそれ!?」


「僕のとっておきだから教えないよ」


「生意気ね!」


 カリカリーナは、鞭を引っ張ってティカルの体勢を崩そうとしたが、ティカルも体に力を入れて引っ張り合った。


「いい加減離してくれないかしら!?この足場小さくてあんまり踏ん張りがきかないのよ!」


「そのまま落ちて!どうぞ!」


「いやよ!」


 カリカリーナとティカルはしばらくの間、引っ張り合いを続けていたが、ティカルの再生が完了して蜘蛛足2本で天井にぶら下がるようにすると、ティカルの引っ張っる力が強くなった為、力負けしたカリカリーナは鞭から手を離し、前の足場に跳躍してバランスを取った。


「よっと!」


 引っ張り合いに勝利したティカルは、槍を回転させて鞭を巻き取っていった。


「返しなさい!」


「え~やだ~」


「いい子だからそれを返しなさい!もう酷い事しないから!」


「どうせ口だけでしょ?」


「そんな事無いわよ?お姉さん約束は必ず守ると誓うわ」


「そんな事言って~返したら後ろからブッスリでしょ?騙して悪いがなんでしょ?騙されんぞ!」


「いいから!鞭を返しなさい!このクソガキ!」


「わ!酷いなぁ…そんな酷い事言われたらこうするしかないよね?」


 ティカルは、槍で巻き取った鞭を外した後、叩きつける様にして棘の中に落とした。


「あ!あーー!やりやがったわね!?」


「ねぇねぇ?今どんな気持ち?ねぇねぇ?今どんな気持ち?」


 ティカルは同じ言葉を繰り返して挑発すると、カリカリーナはアイテム欄を開き、レイピアとバックラーを手早く取り出して装備した。


「ぶっ殺してやる!」


「わ!怒った!更年期障害かな!?」


「私はまだ20代よ!」


 カリカリーナは、いくつもの足場をジグザグに経由してティカルに迫ったが、ティカルは背中の蜘蛛足を器用に動かして、就かず離れずの距離を保った。


「こら!逃げるな!」


「いいや、逃げるね!」


 一向にティカルとの距離が縮まらない事に、カリカリーナは苛立って舌打ちした後、レイピアの切っ先をティカルに向けた。


「我求めるは焼き尽くす矢!【フレアアロー】」


「魔法!?」


 レイピアの周囲に炎で形作られた矢が3本出現し、ティカルに向かって射出されると、ティカルは驚きながらも2本の蜘蛛足を大きく動かして、3本の炎の矢を回避した。


「まさか魔法を使って来るとは…マジ?」


「大マジよ!凍てつく氷は敵を穿つ【アイスランス】」


 カリカリーナは、頭上に巨大な氷柱(つらら)を生成した後、ティカルに目掛けて勢いよく射出した。


「っく!【スピアスロウ】」


 氷柱が大きすぎて回避できないと察したティカルは、氷柱に向かって全力で槍を投げると、その2つは大きな衝突音を轟かせて消えて行った。


「雷神の怒りが輪が敵を打ち砕く!【ライトニングボルト】」


「【鉄棒生成】」


 カリカリーナが、氷柱を放った後すぐに雷の魔法を詠唱して一条の雷を放ち、ティカルはカリカリーナの詠唱を聞いて雷魔法がくると分かると、魔法が放たられる前に、自身の身長を超える長さの鉄の棒を生成して天井に突き刺した。


「避雷針なんて小癪ね!」


 雷魔法がティカルが突き刺した鉄の棒に当たり、天井に雷が流れて行くのを見たカリカリーナは、苛立ちを含ませた言い方で言った。


「僕こういう小細工は得意だからどんどんやるよ」


「ならこれならどう!?闇よ!集いし力を放て!【ダークボール】」


 レイピアの切っ先に黒い粒子を急速に収束させて、ゴルフボール程の大きさの黒い球を生成し、そこから風船を膨らませたように大きく膨張させて、スイカ程の大きさになった後に放つと、放たれた黒い球は、ゆっくりとした速さでティカルに向かって行った。


「(あれ絶対に触れたら絶対やばい奴だ!)」


 ティカルは、放たれた黒い球を見てヤバい物だと直感し、回避しようと蜘蛛足を大きく動かして移動したが、黒い球はティカルを追尾して来た。


「それは動きは遅いけど何処までも追って行くわよ!小細工できるものならやってみなさい!」


「うわ!くっそ面倒!」


 カリカリーナの言葉に、ティカルは嫌な顔をしながら言った後、黒い球から逃げ続けた。


「もう1個追加よ!闇よ!集いし力を放て!【ダークボール】」


 カリカリーナは、同じ魔法を詠唱して黒い球を放ち、2つの球がティカルを追って行った。


「(追って来る軌道がバラバラだと逃げきれなくなるから纏めておこう)」


 ティカルは移動スピード調整して、別々の方向から追って来ている2つの球を自身の後ろを追って来るようにした。だが、自身の後ろから追って来るようにした時、黒い球同士が接触すると、2つの球は1つに結合して倍の大きさになり、追尾の速度も速くなった。


「な!?」


「言い忘れてたけど、私の同属性の魔法は合わさって強くなっていくわ!ほら!もう1個追加よ!」


「何それ!?そんなの始めてきい…あ~…アーティファクトでしょ?」


「よく分かったわね?でも詳しくは教えてあげないわ!」


「う~ん…多分だけど~そのレイピア、と見せかけてその小盾がアーティファクトでしょ?」


 ティカルは、更に大きくなった黒い球から逃げながら言うと、視界内にいるカリカリーナが眉間に皺を寄せた表情をしているのが見えた。


「…」


「あれ?当たった?半分当てずっぽうで言ったんだけど…」


「…勘のいいクソガキは嫌いよ」


 カリカリーナは忌々しく言った後、ダークボールの魔法を詠唱して放ち、ティカルを追っている黒い球を大きくさせた。


「(流石にこれ以上大きくなったら逃げきれなくなる…。う~ん、どうし…あ!そう言えば、この前キーメラの情報交換スレで、どうにかして魔法を捕食しよう頑張ってた人が居たっけ…えっと確か~…)」


 ティカルは、黒い球から逃げながらどうしようかと考えた時、いつもキーメラの情報交換をしている掲示板で、とある人物が書き込んだ文章が頭に浮かんできた。


「(魔法は魔力で構成された事象だから捕食できない。何故なら、魔法は人工的に起こした霞の様な物で、そんな霞を食っても腹は膨れないからだ。と言われているけど、俺は本当にできないのかと疑問に思ったよ。それで、友人を強せ…協力のもと色々実験してみたら~なんと!出来たんだ!)」


 ティカルは思い出しながら、背中の蜘蛛足で雲梯(うんてい)をする様に大きく伸ばして移動し、黒い球との距離を離した。


「(魔法を捕食するのに必要な物があって、1つ目は異形の口の中に何でもいいから薄い膜を張れる物かスキル。2つ目は異形の歯に捕食する魔法の属性と同じ属性を付与できる物かスキル。この2つがあれば捕食できるんだ。)」


 魔法を捕食する方法を思い出し、実際に試してみる事にしたティカルは右手を異形の頭に変えた後、以前に石鹸水を取り込んで得たスキル【シャボン玉・生成】を使って、異形の口の中に薄い膜を作った後、闇属性が付与されている武器を取り込んだ時に得た【闇刃】というスキルを使うと、異形の歯が黒くなっていった。


「情報が嘘だったら見つけ出して齧ってやる!南無三!」


 ティカルは後ろに振り向き、一か八かの覚悟で黒い球に向かって異形の頭を突き出すと、異形の頭は何倍もの大きさとなって黒い球を一息で飲み込んだ。


「はぁ!?」


「あ、出来た」


 カリカリーナは魔法が捕食された事に、目を大きくさせながら驚愕の声を上げた。


「なによそれ!?」


「え?いや、やってみたら出来ただけだよ?」


「ふざけないで!言いなさい!何をしたの!?」


「負けたらログアウトして、ネット検索すれば分かるよ」


「はぁ!?負け…!?な…何を言っているの!?」


「さっき食べた物がようやく消化できたみたいだ」


「だから何を言っているの!?真面に答えなさい!」


「【生体機人化】」


 スキルを使うと、ティカルの体に機械的な装甲が生成され、半分生体半分機械で作られた人型兵器の様な姿に変わりながら徐々に巨大化していった。


「えぇ!?ちょ…まっ!!」


「【暴走臨界(オーバーロード)】」


 巨大化した半生半機のティカルは、床下の棘を壊しながら立った後、スキル名を言いながら胸の位置で合掌すると胸の機械的な装甲が急速に赤熱化し、装甲の隙間から白い光が漏れ出たその数拍後、無音の爆発が起き、部屋の全てを白い光が包んで行った。


「…ふぅ」


 白い光が消えた後、ティカルは半生半機の姿から元の姿に戻って地面に降り立つと、地面に仰向けで倒れている瀕死のカリカリーナを見つけた。


「生き残ったんだ」


「何よさっきの…?」


「君たちが僕達にけしかけたロボットを取り込んで得たスキルだよ」


「白い光も?」


「うん。あの姿になった時だけ使える自爆スキルだね」


「自爆って…あんた何ともなってないじゃない」


「爆発耐性があるからね」


「キーメラっていうのはホント理不尽ね…はぁ~…もういいわ。殺して」


「分かった」


 カリカリーナは深い溜息をしたあと目を閉じると、ティカルは右手を異形の頭に変え、勢いよく突き出してカリカリーナを捕食した。


「…さてと、他の皆は上手くやれてるかな?」


 ティカルはウィンドウを開き、ソウルの連絡を取った。

ティカルが呟いたのは【等価再生】というスキルで、効果は自身に受けた損傷率に対して、ランダムに選択された捕食したスキルを代償に自身を回復するスキルです。

代償になったスキルは、レベルに応じて回復の値も大きくなりますが、選ばれたスキルは消失して再び捕食しなければいけず、スキルレベルも1からになります。


魔法ついて詳しく説明してたか分からないので説明します。

魔法はスキルとは別の物で、詠唱を唱えて発動に必要なMPを支払えば、属性攻撃または支援などを行うことが出来ます。また、ほとんどの魔法にはスキルの様なクールタイムは無く、詠唱すればMPがある限り撃ち続けられます。(クールタイムがある魔法もありますが、それらは魔法カテゴリーから外れた魔法(特殊魔法)と言われています)

スキルの中にもMPを使用する物はありますが、それは魔法ではなくスキルです。(例・ソウルの濃霧)


【無詠唱】や【詠唱省略】などのスキルを取っていれば、魔法名を言うだけで発動する事が出来ます

(作中で詠唱してる人いたか?と思った人は、それらのスキルを獲得していたので魔法名だけで発動したとお考え下さい)


魔法<魔術<魔導 のランクで強くなっていき、魔法は短い詠唱でお手軽に発動できるけど威力は弱~中程度、魔術は発動するための条件はあるものの高威力で、最後の魔導は魔法と魔術のいいとこどりした様なお手軽さと威力があります(ソウルが使っているルーン文字は魔導のカテゴリーです)が、ランクが上がるににつれて習得の難易度は跳ね上がって行くので、魔導ランクの物を習得している人はごく少数です。(例えるなら「あんな難しいもんよく覚えられたな?…変態か?」と揶揄されるくらいのレベル)


キーメラが大きい物を捕食した時、そのスキルが使えるまで時間が掛かる場合があります。


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誤字脱字報告 アザマス!

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