第5の部屋 2
次回は少し時間を巻き戻して、第2の部屋・後編のお話になります。
次回更新は、9月25日 0時更新です!
「展開する!仕留めるぞ!」
「ラジャラジャ」
「《分かったワン!》」
「やってやるのよう!」
「殺れるもんなら殺ってみやがれ!」
ソウルの指示に01、ティー、銀牙の1機と2匹が同意して攻撃態勢を取ると、ジェーンは怒号を放つ様に言いながら武器を構えた。
「あん?」
ジェーンが武器を構えたその数泊後、部屋の天井が螺旋を描く形で折りたたまれて行き、四方の壁も蛇腹折りで畳まれて行き、最後には床が部屋の中間の位置にせり上がって行った。
「おいおい!?こんなむき出しにしてどうするんだ?」
「こうする」
ソウルがそう答えた1拍後、ジェーンが持つ戦槌に尋常じゃないほどの衝撃が走ると、その衝撃に耐えかねたジェーンは、大きく仰け反りながら戦槌から手を放した。
「ぐあ!?」
「どうだ?光速に近い速さで飛ぶ弾の威力は?旨いだろ?たーんと味わってくれ」
「クソ!」
「武器を取らせるな!」
弾き飛ばされた戦槌を取ろうとしたジェーンだったが、ソウルが1機と2匹に指示を出すと、01がファントムを連射し、ティーと銀牙もジェーンに攻撃して妨害した。
「っく!【ミラージュダミー】」
ジェーンは、あと1~2歩で落とした戦槌に手が届きそうだったが、01達の攻撃が直撃したらHPが全損すると直感して武器を取るのを諦め、スキルを使って現れた分身に攻撃を身代わらせて回避した。
「チェックだ!ジェーン・ブロッグス!」
「武器が無くなっただけで勝ち誇ってんじゃねぇよ!」
ジェーンは、腰のポーチから音叉のような形をした金属を取り出した後、2股に別れている方を太腿に打ち付けると、ハ長調ラ音を鳴らしながら大きくなっていき2股の大剣になった。
「今更そんな面白剣出されても面白くないのよう!」
「待て!ティー!」
ティーは、ソウルの制止も聞かずに風の塊をジェーンに放つと、ジェーンは不敵な笑みを浮かべながら上段の構えを取った。
「鳴り響け!【鳴響詩吹】」
ジェーンは、スキル名を言いながら風の塊に向かって、ハ長調ラ音を大きく響かせた大剣を振り下ろすと、切っ先が触れた瞬間、風の塊が倍の大きさに膨れ上がらせて跳ね返した。
「きゃーーー!!」
「ティー!」
跳ね返された風の塊は、ティーに直撃して吹き飛ばした。そして、吹き飛ばされたティーは床を数m転がったあと目を回し、頭の上に小さなひよこと星を回転させるエフェクトを出すと、ポンっと音と共に送還された。
「まずは1匹!」
ジェーンは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべながら、大剣の切っ先を01に向けた。
「次はお前か?それともそこの犬か?」
ジェーンがそう挑発した時、大剣に何か硬い物が当たって、それを追うように銃声が聞こえて来たが、大剣は弾き飛ばされること無く、硬い物を逆再生したかの様な軌道で跳ね返した。
「うお!」
01の口からソウルが驚いた声が聞こえると、ジェーンはしたり顔をした。
「あん?また弾き飛ばそうとしたのか?無駄だ!」
「…ああ、そうみたいだな。なら別の方法を試そう。01!銀牙!近接攻撃!」
「ラジャラジャ」
「《分かったワン!》」
「叩っ斬ってやらぁ!」
01はファントムとヘビィカノンを背中に仕舞い、ボクシングの基本的な構えをした後、機械尾をサソリの威嚇のように剣尾を立て、銀牙は牙をむき出して唸り声を上げた後、ジェーンに向かって駆け出した。
「オラァ!」
ジェーンは、向かって来た銀牙に向かって勢いよく大剣を振り下ろすと、銀牙はサイドステップで回避したあとすぐに喉元に噛みつこうと跳躍した。だが、ジェーンは右手で跳躍して来た銀河を押しのけて噛みつきを防いだ後、近づいてきた01と一定の距離を保ちながら後ろに下がり、拳撃や蹴り等の攻撃を体を逸らしながら回避した。
「01!テイルスイープ!」
「ちぃ!」
1撃毎に回転が速くなっていく連打に、ジェーンは必死に避けながらも大剣を振るう隙を探していたが、突然ソウルが指示を出すと、01は左ストレートを出そうとしていた動きをピタッと止めた後、回し蹴りをして尾の先のβブレードを剥ぎ払うように振った。この時ジェーンは、01の左ストレートを避けようと体を動かしていた為、咄嗟の事に対応できず、回し蹴りを頭にもろに食らいながらも、片手で大剣を盾にする様に横に持ち替え、蹴りの後に続いてきたβブレードの薙ぎ払いを剣の腹で防いだ。
「…やはり跳ね返せるのは遠距離系の攻撃だけで、剣などの近接は跳ね返せないみたいだな?」
01の口から発するソウルの声に、ジェーンは蹴られた頭を軽く振って問題がないか確かめたあと、01を睨みつけた。
「別に知られた所で何も変わんねぇよ!…つうかいい加減てめぇは出てこい!」
「嫌だね」
「ざけんな!」
「いたって本気だが?遠距離攻撃しかない俺がいま出て行っても簡単に殺されるだけだしな」
「だったらそのままぶっ殺されろよ!」
「嫌だね。どうしてもって言うなら俺を探し出してみな」
「上等だゴラァ!必ず見つけ出してぶっ殺してやるよ!」
「いや、無理だ」
「あ゛あ゛ん?」
「さっき言ったぞ?チェックだと」
ソウルのその言葉の後、ジェーンの視界左端にある簡易表示されたPTメンバーの名前が、1人また1人と暗くなっていった。
「カリカリーナ!ガスライター!…くそ!」
「最後の1人も時間の問題だと思うが~…それでも俺を探しに来るか?」
「クソ!クソクソクソォォ!」
ジェーンは、腰のポーチからゴルフボール程の大きさの球を3つ取り出し、勢いよく地面に叩きつけると、球から白い煙が勢いよく出てジェーンの姿を隠した。
「《追うワン!》」
「いや、追わなくていい」
「《?》」
銀牙はその意味が分からず、頭にクエスションマークを出しながら首を傾げた。
-ネヴァロン・エクスヴェラーダの塔・展望フロアー
「ふぅ…あいつらが「全員で戦う」を選んでいたら俺達は全滅していたが、1対1を選んでくれて助かったな」
「そうですね。デバフを受けてもアイテム等で簡単に消せますし、なにより数の暴力には耐えられなかったでしょう」
「まぁ、それでもアップルなら多対1でもどうにかしそうだけど…それじゃあ意味ないしな」
「そうですね」
エクスヴェラーダの塔の展望フロアにいるソウルとマギアは、勝利が確定した事に安堵し、逃げていくジェーンの姿をスコープで捉えながら、今回の戦いに付いて話し合っていた。
「ん?アップルと戦ってた女侍も逃げたな」
「プレイヤーネーム「ボンテン・ヒトツ」ですね。アーティファクト「獅子英雄の呪心臓の所持者です」
「12回まで生き返られるけど1回死ぬごとに女体化して行くんだろ?恐ろしいアーティファクトだな…」
「ソウデスネ。オソロシイアーティファクトデス…」
「ん?言い方おかしくなかったか?」
「気のせいでは?」
「…そうか」
マギアは、恐ろしいのは12回の試練をクリアしないと全ステータスが永久に-70%になってしまうの方では?と思ったが、ソウルが女体化してしまう事の方を危険視していたのであえて訂正せず、片言で肯定した。
「ドリルシップがある方向に逃げているな…よし、移動するぞ」
「了解しました。ジャバワークを出します」
ソウルはScarlett・N・Customをアイテム欄に仕舞い、マギアが展開したジャバワークに跨った後、勢いよく窓から飛び出て、ドリルシップに向かって飛んで行った。
Q ハ長調ラ音ってどんな音?
A あれです。.hack//GUのス〇ィスを召喚する時のポーンです。
Q .hack知らないんだけど?
A プレイ動画を見て興味が出たらsteamで購入してプレイしよう!
呼び出したペット等がやられた場合、死ぬわけではなく送還されます。そして、再召喚可能になる時間はペットによって異なります。ティーや銀牙の場合なら、ティーはリアル時間で24時間掛かり、銀牙はリアル時間20時間かかります。あ、もちろんこの時間はアイテム等で最大半分まで軽減できます。
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