盗掘団
完成しました!お読みいただけたら幸いでごわす!
次回更新は3月27日 0時更新です。
「あいつらが来るまでもう少し時間がありそうだけど…どうするソウル?」
「どうするも何もオーダーは1つ!見敵必殺だ!視界に入った敵は全て倒せ!相手が白旗を上げても容赦するな!」
「お?過激だね~」
「来るのはあの1機だけじゃないと思うし、後から次々と来るはずだ。そんな中で捕虜を捕えるなんて事をしてしまえば~…その結果どうなるかは言わなくてもわかるな?」
「そうね」
「寝首を掻かれて全滅する未来しか見えませんね」
「そうだね~」
「特にリリアナとクリスは注意しろよ?これから俺達が相手するのは「人を狡猾に騙して殺そうとしてくるモンスター」だと思っておけ」
「「わ…分かりました!」」
スフィアータがいた場所から昇降機を使って地上に出た後、ソウル達は盗掘団が来る地点近くについた後、アップルがどうするかとソウルに尋ねた。アップルに尋ねられたソウルは、腰のホルスターから赤と緑のDice of Fateを抜いて両手に持った後、様々な角度に傾けて、異常がないか確認しながら答えた。
「皆様?聞こえますでしょうか?」
ソウルが、双子に相手はとても恐ろしい存在だと注意した後、スフィアータが全員に向けて通信してきた。
「ん!?その声はスフィアータか?」
「はい、スフィアータです。少々強引な方法で通話できるようにしました。お許しください」
「いや、それは別にいいが…どうした?…まさか!敵がもうスフィアータの所に侵入してきたのか!?」
「いえ、そう言った事で通信をしたのではなく、皆様をサポートする為です」
「…サポート?」
「はい、敵盗掘団が降下してくる地点への誘導、手動迎撃装置の場所、軍用カヴァーズ部隊の配備などサポートをいたします」
「おお!それは助かる」
「更に街にいる全てのカヴァーズに、皆様の命令に従うように設定したプログラムデータを一斉送信いたしましたので、その命令を正しく受信できた機体は皆様に従属しますので、ご自由にお使いください。またこの時、正しく受信できなかった機体がいた場合、お近くのカヴァーズに「破壊せよ」とご指示いただければ、速やかに対処いたします」
「…いいのか?」
「はい、そのような状態のカヴァーズは公害でしかないので、破壊するしかないのです」
「…そうか」
スフィアータの言葉に、ソウルは呟く様に答えがら上を見上げると、上の岩石層に開けられた穴から、全体が円錐に円柱を合わせた形をしていて、スチームパンクの様な外観の掘削機が、今にも街に落ちて来そうなほど姿を現していた。
「とりあえずここに軍用カヴァーズを1個分隊頼む」
「すでに1個小隊を出動させました。到着は3分24秒です」
「了解した」
「落ちて来るわよ!」
「全員警戒!」
アップルが仲間達に注意を促すと、スチームパンクの様な外観の削岩機が落ちて来て、その下にあった建築物を押し潰す様に破壊し、ソウル達の姿が見えなくなるほどの土煙が大きく立ち昇った。
~ネーバーク王国・ネーバス文明遺跡・ネヴァロン~
「ドリルシップが落ちた時に感じる~フワッとした感覚?は何回経験してもなれないな」
「あれ?先輩はジェットコースターとか苦手な人っすか?」
「ムリムリ!そんなん乗ったら俺死ぬよ!」
「マジっすか!」
土煙が立ち昇る中、スチームパンクの様な外観の掘削機の胴体部分にあったハッチが開き、男性2人の会話がソウルの耳に聞こえて来た。
「それで?ここがそうか?」
「トラッカーシグナルはここを示しているのでここで間違いないっす。団長たちは流石っすよね~」
「そうだな。あの間抜けに気づかれずにトラッカーを仕掛けて遺跡の場所を割り出すなんて…イッグヅナさんの追跡者のスキル様様だな!それに普段ケチな団長が、団の資金を全部つぎ込んでこのドリルシップを大量に用意したという事は、ここにはそれ以上に見返りがあると踏んだんだろ?俺だったらそんな度胸も判断も下せないぞ」
「そうっすよね~俺もそんな事できないっす」
「…お前はもうちょっと団長を見習って頑張った方が良いんじゃないのか?そうすれば、好きだった女の子に告白しようか迷っている内に、友人に先を越されて取られる事もないし、その友人と女の子がイチャラブしている所を毎日目の前で見なくても済むんだぞ?」
「先輩…それは言わないでくださいっす…そのせいでNTR属性っていう変な性癖に目覚めてしまったんっすから…」
「…度し難いな」
先輩と呼ばれた男性プレイヤーが後輩に呆れた後、ドリルシップから降りて周りを見回した。
「土煙が凄くてなんも見えないな」
「風魔法で吹き飛ばすっすか?」
「やってくれ」
「了解っす。【ウィンドブロー】」
後輩が、風魔法を使って土煙を吹き飛ばして行くと、土煙の中から武器をこちらに向けているソウル達の姿が現れた事に、先輩と後輩は目玉が飛び出しそうなほど驚いた。
「うわぁ!」
「な!何で!?」
「…ようこそネヴァロンへ。お前たちが間抜けと呼ぶ俺とその仲間達が盛大に歓迎しよう。まずは鉛弾で作る赤い花を受け取ってくれ」
ソウルが、右手の赤いリボルバーの銃口を後輩の頭に向けて引き金を引き、銃口から放たれた弾丸が後輩の頭に当たって、後頭部から赤い花弁が舞い散った様なエフェクトを発生させると、後輩は突然力が抜けたように膝から崩れ落ちて仰向けに倒れた後、体から淡い光を出しながら消滅していった。
「テュルテュ!!クソ!」
後輩のテュルテュが殺られたのを見た先輩は、慌ててドリルシップの中に戻り、急いでハッチを閉めて籠城する事を決めた。
「おい!逃げんな!出てこい!お前の他にもいるんだろ?そいつらも歓迎してやるから頭出せ!」
「〇H〇でーす!命の集金に来ましたー!」
「槍で貫通できないでしょうか?」
「扉の接合部分を壊したら開かないかしら?」
ソウルは、ドリルシップの重要な部品がありそうな所を狙って撃ち、ティカルは、生成した短剣を左手に持ち、右手を異形な頭に変えた状態でハッチを叩きながら言った。そして、マナリアは装備した槍の穂先でドリルシップを叩きながら薄い場所を探し始め、アップルはハルマートを使って扉の接合部品を壊し始めた。
「「(うわぁ…)」」
ドリルシップをこじ開けようとしているソウル達の姿が、どこかの蛮族の様に見えた双子は、顔に青筋を立てながら心の中で引いた声を出した。
「あ!ここ音が違います!見つけました!見つけましたよ!」
「でかした!マナリア!」
槍の穂先でドリルシップの胴体を叩いていたマナリアが、音が違う所を見つけて報告すると、ソウル達はマナリアが探し当てた箇所を攻撃して、亀裂のような孔を開ける事に成功した。
「あとは任せろー」
ソウルがそう言った後、手首からブルーローズを出してL字型のフックを2本作った後、そのフックを亀裂に差し込んで左右に動かすと、金切り聲を響かせながら孔が広がっていった。
「オープンセサミ」
ソウルが、そう言いながらドリルシップの中に入って行くと、そこには先輩と呼ばれたプレイヤーの他に3人のプレイヤーがいて、その3人は怯えた表情をしながら騒ぎ始めた。
「うわぁぁぁ!!」
「く…くるなぁぁ!」
「戦闘員はこいつだけで俺達は非戦闘員だ!だから見逃してくれ!見逃す代わりに何でもくれてやるから!欲しいのは金か!?ならいくらでも持っていけ!」
「ちょ!?お前!」
突然裏切った仲間達に先輩が動揺していると、ソウルが冷徹な声で4人に問い掛けた。
「…俺が好きなアニメの一つにこの状態に似ているシーンがあってな…その作品名を答えられる奴はいるか?」
「え!?…え~っと「〇の名は」かな?」
「馬鹿!あのアニメにこんな状態のシーンなんかないだろ!「ハイ〇クDD」だろ!」
「そのアニメでもない!答えは「撃鉄槍プリティ♡ルージュXL」の11話だ!」
「やべぇ…アニメとか全然見てないから分かんねぇ…えっとう~んと…あ!〇カイダーじゃね?」
「…全員不正解だ。今からそのシーンを再現するからそれを答えとしよう」
ソウルは、両手に持っている銃の銃口を4人に向けた。
「団員諸君、任務ご苦労。さようなら」
ソウルは、そのセリフを言ったキャラクターの声に似せながら、4人が消滅するまで銃の引き金を引き続けた。
-ネーバーク王国・ネーバス文明遺跡・ネヴァロン・ドリルシップ付近~
「ふぅ…」
「おわったの?」
「ああ、終わった」
「お疲れ~」
「お疲れ様です」
「「お…お疲れ様です…」」
ドリルシップから出てきたソウルに、仲間達が声を掛けてきたが、双子だけが顔に青筋を立てていた。
「ソウルさん?スフィアータに頼んだ軍用カヴァーズが来ていますよ」
「どれどれ?」
マナリアが指さしながらカヴァーズの事を報告すると、ソウルはその指先が示す方向に視線を向けた。
「…なんか厳ついな?」
「軍用だからじゃないかしら?」
「あ~なるほど」
ソウルが見た軍用カヴァーズは、全身に角ばった装甲版を身に着けており、まるで人の形をした戦車のようだった。その重厚な外見と無骨なデザインは、戦場で敵に威圧感を与えさせる為に、厳つい見た目をしているのだと一見しただけで理解できた。
「さてと…君に名前はあるのか?」
「ありません」
「なら君が01で左にいるのが02と番号を続けて呼称するが~…問題はあるか?」
「ありません。ラジャ」
「よしよし」
ソウルは、カヴァーズが問題なく命令に従う事に頷いていると、スフィアータから通信が入ってきた。
「ソウル様?新たな振動を検知しました」
「何処だ?」
「北北西に430m、東南東に310m、南に260m、西北西に250mにです」
「4つの地点か…」
「手分けして対処するしかないね」
「じゃあ私は東南東にいくわ」
「私は南にいきます」
「なら僕は西北西だね」
「分かった、俺は北北西だな。リリアナとクリスは俺に付いて来い」
「「分かりました!」」
「他の皆はカヴァーズを数機連れて行ってくれ。01!それぞれ均等になる様に分けてくれ」
「ラジャラジャ」
ソウルに仲間達は頷き、命令された01がピープ音とハンドシグナルで、軍用カヴァーズに指示を出し始めた。
「…あれ?ソウル?そう言えばマギアは?」
軍用カヴァーズが、均等に割り振られて行くのを見ていたティカルが、ふとソウルに小首を傾げながら尋ねた。
「…スフィアータの所に転がしたままだ」
「大丈夫なの?」
「何とかなるだろ?」
「あ、いやそう意味じゃな…「ソウル私行くわね!」」
「おう!気を付けてな」
「そっちもね」
ティカルの言葉を遮って、アップルが出発する事を伝えると、ソウルはアップルの言葉に頷いて見送った後、ティカルに視線を戻した。
「えっと~ティカル?さっきなんか言いかけてなかったか?」
「あ~…いや多分大丈夫だと思うから何でもないよ」
「そうなのか?」
「うん(カヴァーズの事で荒ぶってたけど…ほっといたら勝手に暴走した何で事は起きないよね?…大丈夫だよね?…あーでも、あれほど荒ぶってたし…いや、でも…)」
聞き返された言葉にティカルは頷いて答えたが、内心でマギアが暴走しないか心配になり「やらかす」と「大丈夫」が頭の中でグルグル回り始めた。
「ティカル様!準備出来ました」
「え?あ、うん。分かった。ソウル!僕も行くよ!」
「ああ、気を付けてな」
「お互いにね(まぁ…したらしたでその責任はソウルが撮る事になるから、まぁ…いいかな)」
軍用カヴァーズの1機がティカルに報告してくると、ティカルは出発する事をソウルに伝えた後、考えていた事を放棄して、目的地に向かって行った。
軍隊編成の単位は 班が1~6人 分隊が8~12人 小隊が30~60人で2つ以上の分隊 中隊が60~250人で2つ以上の分隊 大隊が約500人で4つの中隊らしいそうです。この規模は国や時代によって変わるらしいそうですよ?
撃鉄槍プリティ♡ルージュXLは、撃鉄槍プリティ♡ルージュとスプラッシュの間の話で、テレビ放送ではなくOVAです。ちなみに、EP10で総一郎の妹・有栖が見ていたのがスプラッシュです。
ソウルが、アニメのシーンを再現した時に言ったセリフは、本来「兵士」ですが、相手が盗掘団と名乗っている為に団員と変えました。
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