ネーバス文明遺跡へ
今回の話は、場面が多く変わりますが、お楽しみください!
次回更新は、1月23日 0時更新です。
前回言った別の物語を書きましたので、そちらもお読みいただけたら幸いです。
https://ncode.syosetu.com/n7602jy/
「マスター?何を作っているんですか?」
「ん?」
ハルマートを作ってアップルに渡し、アイシャ、リリアナ、クリスの三人をボコボコにした時から3日が経ち、ソウルとマギアは、アークライトの職人通りと呼ばれる区画にある「レンタル製作室」と言う名の場所に来ていた。このレンタル製作室とは、その名の通りオカーネンを払えば、最大4時間まで借りれる製作室であり、更には各生産職が使う道具類や機械等も、中級クラスの物ではあるが綺麗に置かれているので、何不自由なく製作に打ち込む事が出来た。
「人数分のエネルギーシールドは出来たから、今は俺の火力を上げる為に特殊なスラッグ弾を作ってるんだ」
「特殊なスラッグ弾ですか?」
「ああ、ネーバス文明の機械がどんな物なのか分からないし、知ってる情報はヤバい攻撃をしてくるっていう事だけから、貫通力と破壊力がある弾があれば何とか出来るんじゃないかと思ってな」
「Dice of Fateでは難しいとお考えで?」
「一応マグナム弾だけど…それ以上にするなら色々部品交換しないといけなくなるしな…」
「なるほど」
「特殊って言ってもブリネッキの弾頭にAP弾をそのまま貼り付けた様な形なんだけどな」
「そう聞くとドリルみたいですね」
「ドリル?…ドリルか」
マギアの言葉に、ソウルは何か考えた後、アイテム欄から木の端材を取り出し、製作室にある道具を使って端材を削って行った。
-30分後-
「フッ!…こんな物か」
ソウルは、形にした物に付いた木くずを息で吹き飛ばした後、机の上に置いた。
「円柱に何か天元突破しそうな棘が付いた形ですね?」
「風切溝があるから回転するし、その回転を利用して穴を開けるというイメージだ」
「マスター?その~…言いずらいんですが…それだと大した効果はないです…」
「うぇい!?」
「ドリルで穴を開けると言うのは、回転力と圧力が必要になってきます。いくら回転するからと言っても、風切溝程度の回転力では足りませんし、接触時の衝撃を圧力にしてと言っても、それは一瞬の事なので意味がありません…」
「う~ん…いけると思ったんだけどなぁ…」
「変に工夫した物を作るよりも既存の物を作った方が良いと思いますよ?」
「…」
マギアの言葉を聞いたソウルは、眉を寄せながら目を瞑り、黙って何かを考えていた。
「ならもういっそ大口径の銃を作った方が良いか?」
「そうですね」
「そうか…」
ソウルじは、そう呟いた後、再び黙って考え始めた。
-5分後-
「そうか、これなら持つ必要はないな」
「何か閃きましたか?」
「機工士のスキルを使えば装備できない銃でも使えるんじゃないか?」
「【クイックブースター】のようにですか?」
「ああ」
「可能です」
「よし!じゃあ、早速つく~…あ…でも装填はどうしたらいいんだ?」
「アイテム欄の中ですればいいと思います」
「…ん?それって前のアップデートで出来なくなったはずじゃ?」
「いえ、可能です。先日のアップデートで「弾を弾倉に転送する」が禁止になり「弾倉交換は必須になる」様に変更されましたが、別にアイテム欄の中で行っても、それは弾倉交換なので、何の問題も無いんです」
「そうだったのか…あ~でもそうなると一々仕舞わないといけなくなるな…」
「問題ないかと。機工士のスキル【部分召喚】は、出現させると言っても経ったの5秒間だけなので、何らかの力を限界まで溜めて一気に放つチャージ式の物か、一度に複数の弾を出せるバースト射撃が出来る物がいいですね」
「そうだな」
ソウルは、マギアに頷いた後、製図台で図面を書き始めた。
-1日後・アークライト・近郊の森-
「そろそろ行こうと思う」
「え?」
アイシャ達がアップルと戦っている所を見ながら、ソウルが言うと、横で見ていたティカルが聞き返した。
「大丈夫?アイシャさんは別として二人はまだ未熟だよ?」
「そうだけど、これ以上時間が無いようだ」
「どういう事?」
「昨日ホワイトローズが連絡してきてな…どこぞの盗掘団が動いているらしいんだ」
「え!?盗掘団!?なにそれ?初耳なんだけど!?」
「俺も寝耳に水だった…」
「…その盗掘団って住人…だよね?」
「プレイヤーだ」
「マジ?」
ティカルの聞き返しに、ソウルは頷いて答えた。
「いったい何処から嗅ぎ付けてき…あ!…もしかして公式サイトでかな?」
「たぶんそうだと思う」
「それってどうにかならないの?」
「マギアと相談したけど無理っぽいな…規約にもそうあったし…」
「困ったね…」
「ずっと見られてた訳じゃないと思うが、俺が遺跡の事を話していた時にちょうど映すとか…運営から悪意を感じるな」
ソウルとティカルは、どうしようもない事に表情を曇らせていると、マナリアがログインしてきた。
「こんにちは!」
「はい、こんにちはっと」
「おいすー」
「あれ?どうしたんですか?」
マナリアが、二人の表情を見て首を傾げると、ソウルは先程ティカルに言った事を説明した。
「盗掘団!?大変じゃないですか!」
「ああ、だから今から行こうと思う」
「準備はできてるんですか?」
「ああ、準備は一応出来てはいるが~…」
ソウルは、そこまで言いかけ、アップルから逃げ惑うリリアナとクリスに目を向けた。
「もう少し時間を掛けて訓練を積ませてやりたかったな…」
ソウルの言葉に、ティカルとマナリアも双子に目を向けた。
-ネーバーク王国・「Rebellions」ユニオンハウス-
「ここどこ?」
「俺達の家だ」
「へぇ~」
「つ…次の訓練はここでやるんですか?」
「いや、訓練は終わりだ。これからするのは遺跡探索だ
「え?あ~そう言えば前に遺跡に行くって言っていましたね?」
「ここに来る道中にも説明したが、とこぞの盗掘団が動いてる…らしい。だから急がなくてはいけなくなった」
アークライトの近郊の森から、真っ直ぐネーバーク王国にあるユニオンハウスに来たソウル達は、双子にユニオンハウスを紹介し、改めて急ぐ理由を話した。
「ねぇソウル?急ぐなら遺跡に直行した方が良かったんじゃないの?」
「いや、プレイヤー達と十中八九戦う事になると思うし、もし倒されてしまっても、復活場所がここならすぐに駆け付けられるからな」
「復活場所をここにする為にきたのね?」
ソウルは、アップルに頷いて答えた。
「俺だけではなく皆もここに設定しておいてくれ」
「分かりました」
「あいよ~」
「分かったわ」
ソウルの言葉に同意した仲間達は、復活場所をユニオンハウスに変更する為にウィンドウを操作し始めると、双子が話し始めた。
「復活できるって羨ましいね?クーちゃん?」
「そうだね。お姉ちゃん」
ソウル達は、復活場所をユニオンハウスに前に設定し終えると、マウントに乗って、ネーバス文明の遺跡に向かって行った。
-ネーバーク王国・採石場予定地-
「ここが遺跡が出た採石場予定か…」
「盗掘団ってのはまだ来てないみたいだね?」
「まだ来てないのか…それとも機会を伺っているのか…」
「それって私達が帰ってきた所を狙ってくるって事?」
「ああ、遺跡探索で疲弊してるし、用意したアイテムや装備品など損耗してるから、狙うならそこだろ?それによく使われる手段でもあるしな」
「じゃあどうする?」
「他の人に頼んでみるか」
「他の人って?」
「着陸します」
ソウルは、ティカルの言葉に答えずに地上に降り立つと、ネーバーク王国の兵士らしき人物が近づいてきた。
「何ですかあなた達は?ここは立ち入りが禁止されてる場所ですよ?」
「国王様から遺跡探索を請け負ったRebellionsです」
「貴方達がそうなのですか?わかりました。話は伺っておりますので、こちらにどうぞ」
「その前に話しておかないといけない事がありまして…少しいいでしょうか?」
「はい?何でしょう?」
「実は…」
ソウルが、盗賊団の事を話すと兵士はひどく驚いた。
「ええ!?盗掘団!?それも来訪者の!?た…大変だ!応援を呼ばないと!?」
話を聞いた兵士は、慌てて自分達が寝泊まりしているテントに走って行った。
「盗掘団が兵士に成り代わっている可能性があったが…それはなさそうだな」
「そうだね、あの慌てぶりは本物だと思う」
「そうね」
「問題はないと判断します」
「よし、なら行くか」
仲間達はソウルに頷き、遺跡へ向かって行った。
機工士スキル【部分召喚】リキャストタイム10秒 「召喚枠に設定した「機工兵装」や「パワードスーツ」等の一部を最大5秒まで出現させて扱う事ができる。また、出現させた時間が4秒以下だった場合、リキャストタイムが3秒短縮される」
盗掘団のプレイヤーは、全て赤い名前の犯罪プレイヤーですが、殺人行為などで赤くなったのでは無く、国が管理している場所に無断で入り、そこにあった物を根こそぎ奪ったが為に、レッドネームになった人達です。
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