あぶない双子 4
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次回更新は、12月5日 0時更新です!
「こんにちわ」
「あ、ソウルさん!いらっしゃい」
仲間達に素材採集を頼んだ翌日、ソウルとマギアは錬金術ギルドに来ると、元気よくアイシャに挨拶された。
「二人はもう来ていますか?」
「まだ来てませんがもうすぐ来ると思います」
「そうですか…あ、来るまで錬金釜を使わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「どうぞー」
「ありがとうございます」
アイシャに快く許可を貰った後、ソウルは錬金釜の前に立つと、競売所で買って来た同一の鉱石をドボドボと釜の中に入れ、目的の素材になるまでランクアップさせていった。
「マスター?目的の素材になるまで今の工程を後120回×人数分やらなければいけませんので、気合い入れて頑張ってください」
「回数多すぎて禿げそう…」
「大丈夫ですよ!マスター!マスターの毛根が全て死滅しても、ウィッグを被れば問題ありませんから!」
「いや…それはそれで問題なんだが…」
ソウルがマギアにツッコミを入れながら、ただ只管に釜の中をかき混ぜ続けていると、錬金術ギルドの入り口から元気な声が聞こえて来た。
「ばっちゃん!きたよー!」
「ちょっとクーちゃん声が大きいって」
元気な声とは別の声が嗜める発言をした後、アイシャの声が聞こえて来た。
「いらっしゃい。リリちゃんとクーちゃん」
「よぉーっす!アイちゃん」
「こんにちはアイちゃん」
「ねぇねぇ?アイちゃん?あたしらって何で呼ばれたの?なんか悪い事した?」
「あれ?お祖母ちゃんから要件聞かされてない?」
「うん。ただ来いとだけ…」
「えぇ…お祖母ちゃん…」
「要件を伝えなかったのは、最初に詳しく言ったらあんたら面倒くさがって逃げるからさね」
少女達が会話している中、アンジェラの確信を突く言葉で、元気な声ともう一人の少女は誤魔化すように空笑いをした。
「「あはは…よくご存じで…」」
「知らいでかさね」
「それで~私達が呼ばれた理由は?」
「要件は2つさね。まず1つ目はあんたらに師匠を付ける。2つ目はその師匠が行こうとしているすごく危険な場所に一緒について行くさね」
「「え!?」」
要件を聞いた2人は、同じ声を上げて驚いた。
「ばっちゃん!師匠ってどういう事!?」
「文字通りさね」
「あの…私達には必要ないと思…」
「ああ゛ぁん゛!?生ってんじゃないよ小娘ども!自分達はもう錬金術の頂に立ったとでも言うつもりさね!?」
「いえ、決してそんなつもりで言ったわけじゃ…あの…その…」
アンジェラの叱責に、2人は体を縮こませた。
「はぁ…あんたら、錬金術をもっと知りたいもっと上手になりたいと言って、ここの門を叩いたんじゃないさね?なら貪欲に学びな!遠慮する必要はないさね!」
「だって迷惑がか…」
「うんなもんかけて上等さね!!無数の失敗から1つの正解を導き出のが錬金術師という生きもんさね!」
「…まぁ、お祖母ちゃんは周りに迷惑かけまくった結果、世界中で恐れられてるもんね」
「うるさいよアイシャ!あんたもいずれそうなるのに何を他人事みたいに言っているさね!」
「えぇ!?」
まさかの発言に、アイシャは目を大きく開いて驚いた。
「これ以上ガタガタ言うなら物理的に黙らせるよ!文句ある奴はいるさね!?」
「「「何もありません!」」」
濃厚な圧を掛けて言い放つアンジェラに対し、三人は身を正しながら答えた。
「よろしい。それで~あんたらの師匠なんだけど…ソウル!こっち来て挨拶するさね」
「はい」
アンジェラに呼ばれたソウルが、少女達に近づいて行くと、元気な声の持ち主が声を上げて驚いた。
「あ!苺プリン大福くれためっちゃ美人なおにーさん!」
「あの時の欠しょ…ゴホン!少女が君でしたか。改めましてソウルと言います。横で浮いているのが相棒のマギア。二人共よろしくお願いしますね」
「お二人様、今後ともよろしくお願いします」
「よろし~く!クリスだよ!」
「リリアナです。…えっと、あの苺プリン大福ってソウルさんが買ってくれた物だったんですね。2日位何も食べてなかったのですごく助かりました」
「何も?…それは、錬金術に没頭していたからとかですか?」
「…いえ…お家が貧乏なので…その…」
リリアナが、恥ずかしそうにモジモジとしながら理由を話すと、ソウルは視線をアンジェラに向けた。
「失礼な質問をしますが、もしかしてこの娘達の親御さんは…?」
「ああ…二人とも流行り病でさね」
「そうでしたか…よし!」
アンジェラの言葉を聞いたソウルは、双子の姿を視界の中に入れた後、ボンッ!と手を打った。
「色々やらなきゃいけない事があるけど、その前にご飯食べよう。アンジェラさんとアイシャさんもご一緒にどうですか?」
「あ~そう言えばお昼時だったさね?いいさね、付き合うよ」
「外食ですか?いいですね!いい所を知っていますよ!」
「やったー!ご飯だー!」
「あ…でもオカーネンが…」
「ここは俺が全部持つから大丈夫ですよ」
「え!いいんですか!?」
「ええ、勿論です」
「ありがとうございます!ありがとうございます!ほら!クリスちゃんもお礼を言って!」
「おにーさん!ありがとう!まじありがとう!」
リリアナとクリスは、何度を頭を下げて感謝の言葉を述べると、ソウルは内心で「この娘達も苦労してるんだな…」と思いながら、笑顔で双子の頭を撫でた。
「えっとソウルさん?ガッツリ食べれるお店とゆったり食べれるお店があるのですが、どっちに行きましょう?」
「今日はガッツリ行きたい気分さね」
「では、そちらにしましょう。アイシャさん案内をお願いします」
「はい、任せてください」
ソウル達は錬金術ギルドを出た後、アイシャの案内でメインストリートにある店に向かって行った。
-アークライト・メインストリート・グルグルグルメー
「お時間は3時間です。また、多く残されてしまいますと追加料金が掛かりますのでご注意ください」
「分かりました」
アイシャの案内で訪れた店は、ビュフェ形式の店で、様々な料理が一か所に綺麗に並んで置かれており、美味しそうな匂いが店の出入り口まで届いていた。店員にテーブル席に案内された後、時間や注意事項を聞いてその言葉に同意した後、テーブル席の壁側に設置されたタイマーが動き出すと、アイシャやリリアナとクリスの三人の娘達は、周りの客に迷惑が掛からない位の迅速動きで料理を取りに向かった。
「はぁ…まったくしょうがない小娘達ださねぇ…男を無視して欲望を取りに行ってしまうんだから…これは教育を仕直さないといけないさね…」
「あはは、皆さん楽しそうですし大丈夫ですよ」
「すまないさねぇ…こういう事はちゃんと躾けたんだけど…これでは婚期逃しちまうさねぇ…」
食事を最優先した娘達に対して、アンジェラは呆れた表情で素早く動く三人を見ながらソウルに謝罪すると、ソウルは笑顔で問題ないと答えた。
「え~…っとアンジェラさん何か食べたい物はありますか?取ってきますよ?」
「いや、あたしも一緒に取りに行くさね」
「分かりました」
アンジェラとソウルは、近くに積まれて置いてある皿を一枚手に取った後、料理を取りに向かった。そしてその数分後、ソウルが食べたい料理を皿に乗せて自分達の席に戻ると、先に取りに行った3人が戻って来ており、それぞれの皿には様々な料理が山盛りで乗せられていて、一心不乱と言っていい程に夢中で食べていた。
「ウマウマ!」
「オイヒィ!」
「ナニコレオイシイィ!」
「あんたらぁ……」
「(わぁ…色々な意味ですげぇな…)」
三人は「品なんて捨ててきたぜ!」と言わんばかりにムシャムシャと食べていて、そんな3人食べ方を見たアンジェラは、手で目を覆いながら落胆した。
「あぁ…これはもう手遅れかもしれんさね…」
「え~っと…ああいった姿を晒しても受け入れてくれる人がいますよきっと?…多分」
「そうさね。そういった人が現れてくれればいいんだけど…そんな聖人いるさね?」
「…未来を予言出来るスキルは持っていませんので、どうでしょうか?と言っておきます。」
「もし現れなかったらソウルにさっきの発言の責任を取ってもらうさね」
「え!?」
「現れるかも?と期待させる様な事を言ったんだからその責任を取るのは当然さね」
「えぇぇぇ!?(くそ!余計な事言わずに愛想笑いするが正解だったか!選択を間違えた!)」
「アイシャさんは友人のランクから嫁候補に昇格したと…メモメモ」
「おい?マギア?今なんて言った?何をメモした?」
「いえ、大した事では無いのでお気になさらず…」
「オィィ!ちょそれシャレにならんて!もう1回行ってみろ!」
「いえ、大した事では無いのでお気になさらず…」
アンジェラの言葉で困惑したソウルは、マギアに再度問うたが、同じ答えが返って来るだけで終わった。その後ソウル達は、時間一杯まで賑やかな食事した後、錬金術ギルドに戻って行った。
-アークライト・錬金術ギルドー
「ただいま戻りました~」
「満腹~もう入らないよ」
「お腹破裂しそうなくらいです…」
「あんなに欲張って食べるからさね!まったく…後で胃薬用意してやるから飲んでおきな」
「ありがと~ばっちゃん」
「マスター?人の頬ってあんなに膨らむんですね。人間の可能性とはすごい物ですね!」
「その可能性に殺されるかもしれないけどな…」
錬金術ギルドに戻って来ると、アンジェラ達はテーブルに座って食後の休憩をして、しばらく経った後「そろそろ話しをするか」と思ったソウルが、双子に視線を向けた。
「さて、リリアナさんとクリスさん?今日から君達の師匠となりましたが、もし本気で嫌だと言うなら断ってくれても結構ですよ?途中で抜けるような事は出来ませんのでよく考えてください」
「あたしはべつにいーよ!」
「私も問題ないです」
ソウルの問いに、双子は迷いなく答た。
「結構。では、危険な場所の事についてお話しますね。俺達が行こうとしている危険な場所というのは、古代ネーバス文明の遺跡です。古代ネーバス文明は分かりますか?」
「えっと~…分かんない!」
「えっと確か一番古い文明…の事ですよね?」
「そうですリリアナさん。その一番古い遺跡がネーバーク王国で見つかり、その国の王様から遺跡調査の依頼を俺達に頼んできました。それで今、俺達は調査する為の準備をしている所です」
「準備って何が必要なの?ロープとか灯りとか?」
「そう言った物は既にあるので改めて準備する必要はないですね。俺達が準備しなきゃいけなのは、遺跡の防衛システム…え~つまり遺跡を守る機械とかの敵からの攻撃を防ぐエネルギーシールドとそれらを速やかに排除する為の火力を強化する事です」
「ねぇねぇ?リリちゃん?その~エネルギーシード?って何?」
「えっと…ごめん分かんない…」
「シードではなくシールドです。エネルギーシールドとは、視認できない攻撃から全身を守る丸い盾の事だと覚えてください」
「あ~なるほど!盾ね!盾」
クリスは、頭の中で騎士が持つ盾を想像しながら頷くと、リリアナが恐る恐る手を上げて質問してきた。
「あの質問いいですか?」
「どうぞ」
「先ほど火力を強化すると仰いましたが具体的にはどんな?」
「いろいろですね。モンスターを倒して戦闘系スキルを手に入れるとか、武器や防具を新しく作ったり強化したりなど様々な方法で自分を強くしていってください」
ソウルがそう答えると、リリアナの表情が曇った。
「う~ん…どうしよう…強化するって言っても素材もオカーネンないし…アイテムを作るにしても…やっぱりオカーネンが必要になっちゃうよね?…う~ん」
「オカーネンや素材が必要なら俺に言ってください。どうにかして用意しますから」
「え!?いいんですか!?」
「勿論です。プ…ゴホン!本当に危険な遺跡に行くのですから当然ですよ」
「えーっとじゃああれとあれも必要だよね?それからえーっと…」
「あ~…欲しい物は紙にまとめておいてください」
「分かりました!」
素材やオカーネンが全部ソウル持つと聞いて、リリアナはやる気に満ち溢れると、カバンから紙を取り出し、その紙に欲しい物の名を書いて行った。
「えっと~私はどう強くなったらいいの?」
「クリスさんは俺と同じ銃を使うのですよね?」
「え?そうなの?確かに銃は使っているけど…」
クリスはそう言った後、カバンの中から1丁の銃を取り出してソウルに見せた。
「これがあたしが使ってる銃だよ!その名も「ブラックフェンリル」!どう?かっこいいでしょ?」
「ちょっと見させて貰ってもいいですか?」
「どうぞー」
クリスがソウルに銃を渡すと、ソウルはウィンドウを開いて銃の詳細を見てみた。
【アイテム名 [改造フリントロックピストル] カテゴリー『改造武器』 等級 『レア』 武器レベル 『30』 攻撃力300 HP+10% MND+5】
「(…アイテム名が「改造フリントロックピストル」ってあるけど…ブラックフェンリルはどのあたりを言うんだろうか?)あー…えっと…ありがとうございました」
ソウルは、クリスに銃を返した後、彼女らの強化は徹底的にやらないといけないなと思い至った。
「クリスさんの銃を見て分かりました。今の貴女達では足手纏いですね」
「「突然酷い事言われた!?」」
「いえ、事実ですのではっきり言います。よくそんな装備で生きてこられたなと驚きを隠せませんよ」
「うぅ…確かに…でもそれはオカーネンが無いからであって…」
「いえ、これはオカーネンの以前の問題ですよ。そもそもちゃんと戦えるのですか?この街の周囲にいるモンスターを倒していれば飢える事は無いくらいのオカーネンは手に入るはずなのに、リリアナさん達はご飯が食べれない程貧困している…何故でしょうか?」
「それは…その…」
「えっと…その…」
「戦っても上手く行かないから逃げ帰る事になり、戦闘で受けた傷を治すのに回復薬を購入して金欠になる。そして金欠をどうにかしようとまた町の外で戦っても上手く行かなくて逃げ帰る…これらのループを繰り返して行った結果、満足に物も食べれないほどの貧困状態になってしまったのでは?」
「「う゛ぅ…」」
ソウルいった事が的確に当たっていたのか、双子は苦しい表情をしながら頭だけをテーブル突っ伏して撃沈した。
「「うぅ…だって攻撃が当たらないし動くんだもん…」」
「そりゃ当り前さね…」
双子の呟くような声に、アンジェラが呆れながら言った。
「なので二人には、これから(超)強化訓練をしてもらいます」
ソウルが超という言葉を、誰にも聞こえない位に小さくして言うと、双子は頭を上げて怪訝な表情をしながらソウルを見つめた。
「「強化訓練?」」
「この訓練を受ければあら不思議!入隊して1日目の新兵でも歴戦の戦士の様に戦えちゃう不思議な訓練です」
「歴戦の戦士みたいに!?あ~…でもすごく辛い訓練だよね?どうする?」
「どうしようか?やる?やらない?」
双子は相談を始めたが、ソウルが一瞬だけ口元をニヤッとさせた後、口を開いた。
「何を相談しているのですか?あなた達に拒否権はありませんよ?」
「「…え?」」
「時間も無いのですぐ出発します」
「「え?え?」」
双子は、困惑する声を上げるが、ソウルはその声を無視して双子を荷物の様に両肩に担いだ。
「それでは皆さん失礼しますね。また来ます」
「失礼いたします」
「ああ、徹底的に鍛えてやんな。…ん?どうしたんだいアイシャ?あ~!なるほどさね。あんたも一緒に行きたいんさね?なら最初からはっきり言えばいいのに、何を遠慮しているんさね?」
双子を心配してみていたアイシャに、アンジェラが大袈裟にするような言い方で言うと、アイシャは必死に顔を横に振って拒否を示した。
「ソウル?もう一人追加いいかい?」
「問題ないですよ」
「じゃあアイシャも頼むよ」
「分かりました」
「えぇぇぇ!!おばぁちゃん!?そんなぁ!」
「うるさいさね!さっさとお行き!」
「マギア、アイシャさんを頼む」
「了解しました」
ソウルに指示されたマギアは、ウィンドウを出して操作すると、突然オレンジ色に光る紐の様な物がアイシャの両手首に巻かれた後、アイシャの左手首から伸びているオレンジ色に光る紐を手に持った。
「ちょっと!マギアさん!?これじゃ悪い事して捕まっちゃった人みたいですよ!?逃げないので外してください!」
「その発言に嘘がある含まれている可能性が89%あるのを検出しました。よって拘束を解く事は不可能になりました」
「よし!イクゾー!デッデデ…」
ソウルは、有名なゲームに出てくる1シーンをを口で再現しながら、錬金術ギルドの出入り口に向かって歩き出すと、両肩に担がれた双子が騒ぎ出した。
「え!?待って!私たち何されるの!?」
「ちょ!こんな荷物みたいに運ばないで!ちゃんと歩けるから!出ちゃう!入れたものが出ちゃうって!」
両肩に担がれた双子は、騒ぎ声を上げながら足をバタつかせたり体を動かして逃げようとしたが、双子を掴んでいるソウルの手が緩む事は決してなくかった。
アンジェラさん達とご飯に行きましたが、マルフォイさんはお留守番です。そして、マルフォイさんは「あれ?俺…は数に入ってない?そうですか。…そうですよね」と目尻に涙を浮かべたとかいないとか…。
アンジェラがソウルに言った責任云々の話は、ソウルを揶揄う為に言いました。なので本気の発言ではないです。何故揶揄ったのかと言うと、あまりにもアイシャ達が品の無い食べ方をしていたので、落胆した気持ちをソウルで遊んで気を紛らわそうと思ったからです。だけど半分位は本気で言っていた(かも)しれません。
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