裏カジノ
お楽しみくださいな。
次回更新は、10月24日 0時更新です。
「ようこそ!裏カジノへ!」
タンジールの案内で、スタッフオンリーと書かれた扉を通り、その先にあるエレベーターに乗って地下に来ると、タンジールはエレベーターの扉が開くと同時に、この場に訪れた事を歓迎する言葉をハイテンションになりながら言った。
「ここでは!上とは比較にならない程のレートでギャンブルが出来る特別な場所だ。勝てば享楽天国、負ければ永久地獄…明日の貴方はどっちだ!?」
「俺の明日は現世で生きてるよ」
「…は?」
ソウルの言った言葉が理解できず、タンジールは首を傾げたが、ただの戯言かと思って気を取り直し、裏カジノの紹介を続けた。
「更には、お客様同士でもギャンブルが可能だ!互いの性奴…ゴホン!私用人を賭けたり、妻や子はもちろん己自身ですら掛け金に出来る!ああ、本人達が同意してない場合は出来ないから安心してくれ」
「…無法ではないんだな」
「そうだ!ここは無法ではない!ちゃんとしたルールがある!そしてそのルールの中には「イカサマしたらぶっ殺して地獄に堕とす」という物がある!このルールは、この場にいる全員に例外なく適用される!」
「それはあんたもか?」
「もちろん!この場にいるならカジノのオーナーでもだ!」
タンジールは、不敵な笑みを浮かべながら問いに答えた後、ソウルに背を向けて歩き出した。
「では最初にブラックジャックのギャンブラーと戦ってもらう」
タンジールが、ブラックジャックのテーブルが置いてある場所に向かいながら言うと、ソウルが何かを思い出して声を上げた。
「最初と聞いて思い出してたけど何回勝負だ?流石に徹夜は困るのだが…」
「ん?おかしな事を言うな?ソウルは来訪者なんだろ?」
「いくら不死身の来訪者だってこの世界の住人たちと同じ様に寝るぞ?」
「へぇ…そうだったのか。じゃあ4回勝負と行こうか」
「4回勝負だな?いいだろう。後々になってもう一回とかこの勝負は無効だとか言わないでくれよ?」
「もちろんです。プロですから」
先程と同じ様に、タンジールは不敵な笑みを浮かべながら言った後、ブラックジャックのテーブルに到着すると、大声で一人の男を名を呼んだ。
「ダブルダウンのTetsu!出番だ!」
「そのくっそダサい名で呼ばないでくださいよ!それに大声でなくても聞こえますから!」
タンジールに呼ばれて出てきた男は、ソウル達と同じ来訪者だった。
「今回お前と戦うソウルだ!全力を持ってイカサマを見破れよ!」
「聞いちゃいねぇし…えっとソウルさん?初めまして。プレイヤーの鉄錆です」
「初めまして。ソウルです。対戦よろしくお願いします」
鉄錆が、礼儀正しく頭を下げながら挨拶してくると、ソウルも礼儀正しく頭を下げて挨拶を返した。
「じゃあ~…早速やりますか」
「はい」
「いったれ!やったれ!T・E・T・S・U!見事~看破~してみろYO!」
ハイテンションで応援するタンジールを無視して、二人は対面する様に席に着いた後、ソウルは左腕の袖を肘の位置まで捲って素肌を晒した後、ディーラーに視線を向けると、ディーラーはルールの説明を始めた。
「始める前にルールを説明します。このブラックジャックは基本の物と同じですが、特別ルールで一度だけカード交換が可能になっております。交換条件は、ヒットを選択して手札が3枚以上ある場合にのみ交換可能です。そして、交換する場合はガードが2枚以上必要になり最大3枚まで交換出来ます。他に質問はございますか?」
「ないです」
「ねぇです」
「それでは始めます。プレイスユアベット!」
ディーラーが、ゲーム開始の合図を出すと、鉄錆は500カジノコインを2枚ベッティングエリアに置き、ソウルも同額のカジノコインをベッティングエリアに置くと、ディーラーがノーモアベットと言って締め切り、プレイヤーとディーラーの順で1枚ずつカードを配って行った。
「おっと!ナチュラルブラックジャックですね!おめでとうございます」
「は?」
ディーラーの言葉を聞いて、驚いた声を上げた鉄錆はテーブルに勢いよく乗り出し、ソウルのカードを確認してみると、スペードのエースとクイーンのカードがあるのが見え「バ…馬鹿な!…いや!…ハハハ…た…たまたま…そうたまたま…」と空笑いしながら言った。
「そうですね。たまたまです」
ソウルは笑顔でそう答えと、鉄錆はムッとした顔をした。
「そんな皮肉は効きませんよ!それに勝負はまだついてないですし!」
「皮肉ではなく本当にたまたまなんだけどな…」
ソウルは呟く様に言ったが、その言葉は鉄錆の耳には届いておらず、HITを選択してカードを貰い、3枚になった手札を全て交換に出した。
「この俺がワンターンキルみたいな負け方してたまるか!ディーラー!今配ろうとしているカードは1枚ずつ裏向きで出してくれ」
「それはルール違反になるのですが…よろしいでしょうか?」
ディーラーが困った顔をしながら、ソウルに許可を求めてくると、ソウルは頷いて許可を出した。
「では1枚目です」
ディーラーは人差し指と中指だけ使って、カードシューから1枚カードを引き、そのままテーブルの上をスライドさせて鉄錆の前に置いた。
「2枚目です」
先程と同じ様にカードを取ったディーラーは、一枚目のカードの左にカードを置き、3枚目のカードも2枚目の左に置いた。
「俺はこのカードを信じるぜ!」
鉄錆は、何処となく決闘者の様な雰囲気を出しながら、最初のカードに手を伸ばした。
「トランプカードオープン!」
鉄錆がカードを捲ると、トランプの絵柄はダイヤのキングだった。
「チェーンカードオープン!」
「(チェーンってなんだ?)」
「(チェーンとはしょう?)」
「(チェーンって何の事だ?鎖の事か?なぜ今鎖の事を?)」
ソウル、ディーラー、タンジールの三人は、心の中でツッコミを入れながら、鉄錆が何を引くのか見守った。
「クラブの3で合計が13!あとは俺が8を引けばイーブンに持ち越せる!行ける!行けるぞ!」
鉄錆は、よし!と小さくガッツポーズした後、震える手で3枚目のカードを捲った。
「ハートのクイーンですね。合計が23になりましたのでバストです」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「デーラーの私は、スペードの8とダイアの4で合計が12、17以下なのでHITを選択します」
鉄錆は、やられ声を上げながら椅子から転げ落ち、ディーラーは裏側で置かれていた1枚のカードを捲ってダイヤの4を出した後、カードシューから1枚取ってハートの7を場に出した。
「合計が19になりましたので、お客様の勝利です」
ソウルは、ディーラーから10000と書かれた小さなプレートを受け取った後、タンジールに視線を向けた。
「それで?次の勝負もブラックジャックでいいのか?」
「…く!ダブルダウンのTetsuを倒したくらいでいい気になるなよ?奴はカジノ四天王の中でも中くらいの強さだからな!」
「いや、そういうのいらないから次の勝負を教えてくれ」
「次はポーカーで勝負だ!ついてこい!」
タンジールは、ポーカーテーブルが置いてある場所に向かって行くと、ソウルとマギアもその後ろに付いて行った。そして、ポーカーテーブルに向かっている道中、フロアの中心にある金網に囲まれたリングの近くを通ると、リングの中心でタキシード着た男が、左手に持っていたマイクを口元に近づけて言葉を発した。
「次のマッチを始めます!」
ソウルは、その声に反応して視線を向けてみると、金網に囲まれたリングにはタキシードを着た男以外に2人いる事に気が付いた。
「西~ここまでパーフェクトKOの魔装使い「ポニーテールの迷子」東~短刀使いの狂戦士「ライトニングゴロウ」」
「あれ?」
「どうしました?」
「あれってアップルじゃないか?」
「え?…あ、本当ですね。アップルさんです」
「何して…いや、大体予想は付くな…」
「そうですね」
西側にいる人をよく見てみると、顔にウサギのお面は付けているが、背格好や服装がそのままだったので、あそこにいるのはアップルだと二人は理解できた。
「おい!どうした!?早くこ…なんだ?知り合いか?」
二人が後ろに居ない事に気が付いたタンジールは、早く付いて来いと催促したが、2人は西側にいる女性を注目している事に気が付き、知り合いかと尋ねると、ソウルは頷いて答えた。
「いや、まさか金網デスマッチに参加しているとは思ってもいなかった…」
「彼女は上のルーレットで連続でスリーセブンを出してたからここに呼んだんだ」
「ならあれを見て疑いは晴れたよな?」
「ああ、彼女はすごく目がいいって事が分かったから、謝罪して解放しようとしたんだけど、このまま出場し続けると言ったんだ。それで今20連勝中だ」
「ボス!今は25連勝です!ボス達がブラックジャックやっている間に5試合終わってます!」
「マジかよ!そいつはすげぇな!オッズはどの位になってる?」
「ポニーテールの迷子が7.3でライトニングゴロウは9.8ですね」
「お!やっぱりライトニングは人気があるね~」
部下からオッズを聞いて、ライトニングゴロウの人気に納得して頷くと、リングの北側にいた男性が開始のゴングを鳴らした。
「さてソウル?そろそろ俺達も次の勝負を使用か?」
「分かった」
言われた言葉に頷いたソウルとマギアは、タンジールを先頭に、ポーカーテーブルに向かって行った。
ベッティングエリアを濁点(゛)最初ぺ(半濁点)にしてしまって、なんか卑猥だなと思っていたのですが、少し調べたら濁点の方だったので、機械文字の濁点や半濁点は認識しずらいなと思いました。
鉄錆がカジノで働いている理由は、過去にイカサマして捕まったのですが、その時のイカサマが余りにも巧妙だったので、オーナーはその巧妙さに感心し、見破り要因としてスカウトされて現在に至ります。
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誤字脱字報告 アザマースなら助かっていた。




