ユニオンハウス 2
完成しました!今回もユニオンハウスの話です!
次回更新は、9月19日 0時です!
「作業中に呼んでごめんね」
ソウル達が中庭に到着すると、ティカルが謝罪の言葉を言いながら近づいてきた。
「中庭で作りたい物があるってあったけど何を作るんだ?」
「畑!」
「畑?」
「畑でキャベツとかキュウリとかトマトとか育てて食べたいんだ~」
「お~いいじゃん」
「でしょ?だから作って欲しいんだ」
「わかった。畑…畑…っと…これか!」
ソウルは、右端にあるウィンドウを開き、ファーミング関連の項目を開いて、様々な畑を一覧表示した。
「畑って言っても囲いが木製やレンガとかでみんな一緒だな」
「初めてやるし無料の物とか無い?」
「どうだろ?」
「マスター?この家のプリセットに小規模の畑が2つに中規模の畑が1つが含まれてあります。そちらを使用してみてはどうでしょうか?家具一覧の中にあります。」
「そっちでいいか?」
「もちろんです。プロですから…」
「(何のプロだろうか?…)」
ソウルは、ティカルの言葉に疑問符を浮かべながら、ウィンドウに映っている家具のアイコンを押して、表示された家具の中から畑を探して選択すると、まだ何もない中庭に半透明の畑が現れた。
「これって中規模?」
「いや小規模の畑だ」
「え?これで小規模?8坪位あるよ?」
「中規模はどの位だろうか?」
ソウルは、試しに中規模の畑を選択してみると、中庭の半分を占める畑が現れた。
「これは…」
「流石にこれは一人で管理しきれないよ…」
「小規模だけでいいか?」
「うん」
ティカルの頷きを見た後、ソウルは中規模の畑をキャンセルした後、小規模の畑を設置した。
「よ~し!頑張って宇宙一の野菜と言われるようなおいしい野菜を作るよ!」
「宇宙一?お前はあれか?あの宇宙最強のファーマーでも目指しているのか?」
「憧れは無いとは言い切れない」
「左様か」
ティカルは、ソウルにそう答えた後、畑に植える種をアイテム欄から取り出そうとしたが、作物を作る上で重要な物が現状どうなっているのかが気になり、ソウルに視線を向けて尋ねた。
「そう言えば水って何処から?」
「水?水は~」
ソウルがそう言いながらマギアに視線を向けると、マギアが代わりに答えた。
「インフラはまだ整備されていません。電気は発電機械を設置しなければいけませんし、水は井戸を掘るか川から引いてこないといけません」
「プリセット一覧の中に風力発電の機械があったから電気はいいとして~水はどうするべきか…近くに川とかあったか?」
「ありません」
「だとすると井戸を掘るしかないか…」
「そうだね」
「アップルとマナリアも呼んで地下水探しするか」
「チャットで呼び出すよ」
「頼む」
ソウルの言葉にティカルは頷き、チャットでアップルとマナリアを呼び出した後、全員で手分けして地下水探しを始めた。
-ネーバーク王国・ユニオンハウス「Rebellions」・周辺-
「お!?反応した!」
ユニオンハウスの周辺で、ダウジングロッドを両手に持ちながら探していると、今いる地点に反応があり、ソウルは驚きの声を上げた後、マップを開いて現在いる位置に印を付けた。
「さて、次の場所に…ん?」
ソウルが、他の所を探そうとした時、アップルから通話がきた。
(そっちはどう?)
「1つ見つけた」
(こっちも一つ見つけたわ。…でもこれって面倒ね)
「まぁ、近くに川とかの水場が無いから仕方ないだろう?」
(私、こういうチマチマした作業苦手なのよね…適当な場所にスキルとか使って大穴開ければ出てこないかしら?)
「適当な場所を掘っても出てこないと思うぞ?だから俺達はこうしてダウジングしながら反応が出た場所に印付けてるんじゃないか。後でマギアが印を付けた地点を調べて確実に出る場所を見つけたら、掘削してユニオンハウスまで配管するっていってたし」
(始まる前にそう言っていたけども…おっと!エンカウントしたわ!)
「…こっちもだ」
アップルと会話しながら、ダウジングしていたソウルの前に、オーク2体とゴブリン3体の魔物の群れに遭遇すると、ダウジングロッドを腰のベルトに刺し入れ、ホルスターから赤色と緑色の銃を抜いて両手に装備した。
(オラァ!)
通話で聞こえて来た、アップルが殴りつける時に出す声と同じタイミングで、ソウルは両手に持っている銃を発砲し、石斧を振り上げながら向かって来たゴブリンの頭を撃ち抜いた。
(セイヤ!)
石斧のゴブリンがやられ、残りの魔物達は威嚇する様に唸り声を上げた後、1体のゴブリンは粗雑な作りの弓に矢をつがえ、もう1体のゴブリンとオークの2体は、骨と木で作られた棍棒を振り上げながら向かって来たが、ソウルは最初に弓持ちのゴブリンに向けて発砲した後、続け様に向かって来ている3体の魔物に発砲して絶命させた。
「戦闘終了…」
(フゥー…こっちも終わったわ!)
「じゃあ、ダウジング再開だな!」
(むぅ…仕方ないわね)
アップルの諦めの声を聞いた後、ダウジングを再開して反応があった場所を、マップに印を付けて行った。
-ネーバーク王国・ユニオンハウス「Rebellions」・玄関-
「皆様お疲れさまでした。マップにマークして貰った所は後日調査して当たりを見つけ次第ユニオンハウスに繋ぎたいと思います」
「必要な機材とかいらないのか?」
「必要になりますが私の方で用意できますし手間はかかりませんから問題ありません」
「じゃあ頼んだ」
「お任せください」
「じゃあ私達は部屋に戻るわね?」
「また何かあったら呼び出してください」
「僕も部屋に戻って家具設置するよ」
「わかった(俺は電気関係をするか…)」
仲間達は自分の部屋に戻って行き、ソウルは風車を設置する為に屋上へ向かって行った。
-屋上-
「(ここに風車を立てたらバッテリーと繋いで~…いやその前にルートコン…うん?)」
ユニオンマスターの部屋から屋上に出たソウルは、ウィンドウに表示された説明書を読みながら首を傾げた。
「(そもそも配線はどうやるんだ?ケーブルツールを使いって書いてあるけど…ケーブルツール?)
アイテム欄を開いて下にスクロールしてみると、見覚えのない工具箱が追加されていた事に気が付き、取り出してみた。
「(え~っと?これか?)」
工具箱の中に巻かれた銅線と電工ペンチがあり、その二つを取り出して両手に持ってみると、【配線モード】という文字が視界上部に現れた。
「(これを?…こうか!)」
設置した風車のコネクト部分に向けて、電工ペンチをカチャカチャと閉じたり開いたりすると、左手に持っていたケーブルが自動で繋がった。
「(なるほど、こうやってユニオンハウスに繋いでいけばいいんだな)」
電気関係の仕様が分かったソウルは、バッテリーを設置し、配線を黙々とこなして行き、30分かけて発電機器からバッテリーそしてユニオンハウスへと配線を完了させた。
「これで電気が使える様になったはず!」
ソウルは、ユニオンマスターの部屋に戻り、入り口にあるスイッチを押してみると、上に設置したシャンデリアに明かりが灯った。
「文明開化したぜ!」
「≪どうしたわん!?≫」
「な!何が起きたのよう!?」
「あ、すまん」
ソウルの大声に、寝ていた銀牙が飛び起き、ティーが驚いて自室から飛び出てきた。
「電気が使える様に出来たから声を出して喜んでしまった」
「そう言えば明るいのよう!凄いじゃないのよう!」
「≪えっと~おめでとうだわん?≫」
「ありがとうありがとう」
「でも、お外はお昼だから無駄に電気を消費しちゃいけないと思うわよう?」
「…そうだな」
2匹に褒められたソウルは、ドヤ顔をしながら胸を張ったが、ティーのいう事も最もな為、しょんぼりとしながらスイッチをOFFにした。
「ソウルお客が来たよ」
「ん?誰だ?」
「いつもの~」
「ああ、ユニオンハウス建てたって言ったのか?」
「うん。話したらすぐに来たよ」
「行動早いな…」
ソウルは、スイッチをOFFにした後、部屋に家具を飾ろうとしたが、ユニオンマスターの扉からノックオンが聞こえ、ティカルが部屋の中に入ってきた。そして、ティカルが要件を伝えると、ソウルは玄関に向かって行った。
-ネーバーク王国・ユニオンハウス「Rebellions」・エントランスホール-
「よう!ソウル!ユニオンハウスおめでとさん!」
「おめでと~」
「「ありがとう」」
ソウルとティカルが玄関に向かうと、ホワイトローズとユメミルクが、ユニオンハウスを建てた事を祝う言葉を言い、ソウル達もその言葉に感謝の言葉を返した。
「すごい家を建てたね~」
「要塞だなこれは!」
「プリセットにあった一つだ」
「あ~【堅牢な砦シリーズ】だね~。あれってこういう風なんだ~」
「え!?まじか!あのマニアックな物を選ぶ奴がいるなんて驚いたぞ!ガハハ!」
「え?マニアック?」
「マニアックってどういうことだ?」
「いや、何処からどう見てもマニアックだろ?普通は貴族の家みたいのや日本屋敷みたいなのを選ぶぞ?」
「誰も陰鬱してそうな見た目の物なんて選ばないよ~」
「まぁソウルやティカルっぽくていいんじゃないか?」
「俺っぽいってどういう事だってばさ…」
ソウルとティカルは、二人が言ったマニアックや陰鬱と言う言葉を聞いて、ガックリと地面に項垂れた。
「畜生!バカにするならカエレ!」
「そうだ!カエレカエレ!」
「まぁまぁそう言わず~!見学させてよ~!新築祝いも持ってきたしさ~」
「俺の所も持ってきたぞ!」
「の?」
「あ、他の隊の人達も来てるよ?今、外にいる~」
「おい!それを早く言えっての!自由に入ってくれていいからさ!」
「ごめんごめん~!揶揄うのが面白くって言うのが遅れたよ~…おーい!中に入っていいって~!」
ホワイトローズが、玄関の扉を開けて外にいる人達に声を掛けると、次々とプレイヤー達が中に入ってきた。
「Rebellionsの皆様、ご新居の完成おめでとうございます。こちらつまらない物ですがどうぞお受け取りください」
「これはご丁寧にありがとうございます。KUNIMOさん」
「ありがとうございます」
一番最初に入ってきたKUNIMOが、ソウルに祝いの品を渡しながら、お祝いの言葉を言い、ソウルもお礼を言いながら受け取った。
「まだ何も無い所ですがご自由にお過ごしください」
「いえ、こちらはその方が良いんですよ」
「ん?」
「いえ、こちらの話なのでお気になさらず」
「はぁ…」
KUNIMOは笑いながらそう言った後、軽い会釈をしてユニオンハウスの見学に向かって行った。
「なんの話だったんだ?」
「あ~大丈夫~大丈夫~こちらの話だから~あ、ソウル!実は総団長も来ているんだよ!」
「え!?まじかよ!すぐ挨拶しないとな。ティカルここは頼む!」
「あいよ~」
ユニオンハウスに入って来るプレイヤー達の対応をティカルに任せ、ソウルはホワイトローズの案内で薔薇乙女騎士団の総団長ローズルージュの所に向かって行ったが、あの時KUNIMOやホワイトローズの言葉をよく考えておけばよかったと後悔する羽目になるとは、この時のソウル達は思いもしなかった。
()は通信「()」は頭の中で考えてる言葉。作者もたまに忘れるからメモ代わりに書いておく。
インフラを整えるのも一苦労です。あ、ガスとかは使わないです。薪で火をおこしたり魔法の道具がありますので。
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