とびだしてきた2人の女性
お楽しみください!
次回更新は、8月15日 0時更新です!
「おめでとうございます。この依頼をもちましてユニオン「Rebellions」の皆様はIRON4と認定します」
「長く、苦しい、戦いだった…」
「今までの努力がTASゲーだったみたいになるからやめーや」
「TASって何よ?」
「マギア!説明ッ!」
「アップルさんに説明します。TASとは…」
ソウル達は、数日間ギルド依頼をこなし、本日受けた依頼の達成報告をすると、土地購入の際に相談をした受付の女性からユニオンランクがIRON4になった事を告げられ、ソウル達は冗談を交えながら喜んだ。
「エマさんも色々と対応してくれてありがとうございました」
「ふふふ、それがお仕事なので問題ありませんよ」
ソウルの感謝の言葉に、受付の女性エマ・プルダールは口元を手で隠しながら上品に笑った。
「では、早速ご購入なさいますか?」
「はい、お願いします」
「では、こちらの紹介状をお持ちください」
エマは、冒険者ギルドのシンボルマークで封蝋印された封筒を、ソウルに渡した。
「これは何ですか?」
「そちらの紹介状をネーバーク国の王城にある事務科にご提出いただければ土地の購入が可能となります」
「分かりました」
「早速行ってみましょう!」
「そうだな。では失礼します」
「いってらっしゃいませ。 ご活躍をお祈りしています。」
期待の目をしたマナリアに、ソウルは頷いた後、エマに軽い会釈をして冒険者ギルドから出て行った。
ーゴォ・ノーキ連邦国・ネーバーク王国・国境検問所-
「入国審査するのでギルドカードの提示をお願いします」
ソウル達はマウントに乗って、アークライトから南に向かって飛んで行き、いくつかの森や山を越えた後、アークライトとゴォ・ノーキ連邦国の国境にある検問所を通って、ゴォ・ノーキ連邦に入国した。そして、その検問所から南西に向かってしばらく進んで行くと、ゴォ・ノーキ連邦とネーバーク王国の国境に到着して検問所に向かうと、衛兵から入国審察する為にギルドカードの提示を求められ、ソウルはギルドカードを貴重品欄から取り出して見せた。
「…入国目的は?」
「ユニオンハウスを建てに来ました」
「ユニオンハウスですか?…ああ!ネーバーク王国を通過してダン・ケノーゴ公国かキッリーカブ軍国に行くんですね?」
「いえ、ネーバーク王国にユニオンハウスを建てます」
「え?」
「え?」
衛兵は、ソウルの言葉を聞いて信じられないと言いたそうな表情をしたが、ハッとして気を取り直した後、コホンッと誤魔化すような咳払いをしてから表情を戻した。
「カードに問題はないようですね。ようこそ、ネーバーク王国へ!…次の方どうぞ!」
「…どうも」
衛兵の驚きに、ソウルは内心で「そんなにおかしい事なのかな?」と疑問に思いながらネーバーク王国側に進み、周りの風景を見回していると、入国審査を終えたアップルが話しかけて来た。
「いちいち検問所を通って行かないといけないなんて面倒ね」
「上級エリアだし今まで通りにはいかないさ。ちゃんと正規の手順を踏んで入国しておかないと後々面倒な事になるしな」
「それは分かるけど…やっぱり面倒だわ」
「ユニオンランクをPLATINUM10にすればこういった面倒な手続き等をしなくて済みますよ?」
ジャバワークの中にいるマギアが、手続きを飛ばせる方法を言うと、アップルは眉を寄せて渋い顔をした。
「前に興味本位でPLATINUM10の依頼を見てみたけど…殆ど100人以上必要な大規模の依頼だったわ…今の私達じゃ逆立ちしても無理ね」
「100人以上か…なら新たにユニオンメンバーでも募集してみるか?」
「…来てくれるかしら?」
アップルの問いに、ソウルは頭の中でこれまでの事を思い出しながら計算してみると、一つの答えが導き出された。
「微妙だな」
「…そうね。まぁ、いい人がいたら勧誘して行けばいいんじゃないかしら?」
「そうだな」
ソウルは、アップルの言葉に頷き、マナリアとティカルが検問所を通過してくるのを待った後、ネーバーク王国の王都に向かって飛び立った。
-ネーバーク王国・ポポクロの森-
「じゃあ、ちゃちゃとトイレ済ませてきます」
「いってら~」
「僕も済ませておくよ」
「あいよ」
ネーバーク王国の王都に向かっていたソウル達だったが、マナリアのFDVR機器に警告が表示されたので、眼下に広がる森の中に着陸した後、マナリアとティカルがログアウトして行った。
「(待っている間暇だし銀牙とティー出して遊ぶか…)」
ソウルはウィンドウを開いた後、従僕・ペット欄から銀牙とティーをタップして、銀牙とティーを召喚した。
「呼ばれて飛び出て来たのよう!」
「《凍てつく氷原を駆けるおおきゃみ!…噛んだワン》」
「(念話で噛むなんて器用だな…)」
召喚したティーは、ソウルの頭上を回る様に飛び回り、召喚口上を噛んだ銀牙は、しょんぼりと落ち込んだ。
「大丈夫!次があるわよ!」
アップルは、落ち込んだ銀牙に励ましの言葉をかけながら、体をわしゃわしゃと撫でると、銀牙は気持ちよさそうにお腹を見せた。
「クッキー食うか?」
「食べるわよう」
「《食べたいワン》」
2匹が頷いた後、ソウルはいつ買ったか忘れたクッキーをアイテム欄から取り出して2匹に与えると、ティーはソウルの前に座りリスの様に食べ始め、銀牙はお座りしながら食べ始めた。
「(いつ買ったか忘れたけどアイテム欄に入れとけば時間経過はしないし…問題ないだろ)」
「おいしいのよう」
「《サクサクだわん》」
喜んでいる2匹を見ながら、トイレに行ったマナリア達を待っていると、突然銀牙が森の奥を見ながら唸り声を上げた。
「《何かが来てるわん!》」
「マギア!」
「レーダーに感あり!10時方向からこちらに向かって来ています。接触までおよそ30です」
「数は?」
「2体です」
「魔物か?」
「不明です」
マギアの報告を聞いたソウルは、ジャバワークから銃を引き抜いた後、銃口を何かが来る方向に向けて警戒した。
「とりあえず先制攻撃はしない方がいいかしら?」
「ああ、ただの住人の可能性もあるしな」
「でも悪人ぽかったらやってもいいわね?」
「なるべく殺さない様に頼む。生きたままの方が多く貰えるからな」
「了解したわ」
ソウル達は、その場でじっと待ち構えていると、森の茂みから体の至る所に切り傷を付けた女騎士と、ボロボロになった高そうな服を着た女性が飛び出して来た。
「な!?先回りされていたのか!?…もはやこれまでか…くっ!殺せ!」
「そんな!」
森の茂みから飛び出して来た2人の女性は、ソウル達の姿を見て絶望し、女騎士は力が抜けたように四つん這いになり、高そうな服を着た女性は、腰が抜けた様にその場に座り込んで、目から大粒の涙を流し始めた。
「あ!やせいの くっころ女騎士と ボロ服のプリンセスが とびだしてきた!」
「そんな言ってる場合か!救助するぞ!」
マギアにツッコミを入れた後、ソウルとアップルはマウントを降りて、2人の女性に近づいて行った。
「近づくな!」
女騎士が、最後に抵抗してやると覚悟を決めた表情をしながら、左手に持っていた折れた剣を構えると、ソウルは落ち着かせる為に、両手を上げながら優しく語りかけた。
「安心してください。俺達は王都に向かっているただ冒険者です。危害を加えるつもりはありません」
「そんな見え透いた嘘を吐くな!」
「今から証拠を見せます。ゆっくりと動くから安心してください」
ソウルは、刺激しない様にゆっくりとした動作でウィンドウを開き、貴重品の欄から冒険者ギルドカードを取り出した後、女騎士に向けて提示した。
「ほ…ほんとうだったのか…助かった…」
ソウルのギルドカードを見た女騎士は、そのまま意識を失って地面に倒れると、ソウル達は急いで救助を開始した。
「GCS3、スキャン開始…腕部、腹部、脚部に切り傷による出血、後頭部に内出血あり…心拍数低下を確認…至急処置が必要と判断。上級ポーションを注入します」
マギアが、機械的に女騎士を診断して治療行為を行うと、徐々に容体が安定して行った。
「心拍数安定並びに出血箇所の止血を確認…危険水準を脱したと判断します」
「よくやったマギア」
「ロルドルの時の事を反省して治療アプリを作っておいたのですが…ちゃんと機能して良かったです」
「マジか…」
初起動だった事にソウルは驚愕していると、ボロ服の女性がソウルに話しかけて来た。
「アンリは助かったのですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「良かった…いや!よくないです!助けてください!」
「え?!」
ボロ服の女性がまさかの言葉に、ソウルは目を大きくさせて驚いた。
「この先で私の家臣達が突然現れた盗賊達と戦っているのです!どうか!どうかご助力をお願いします!」
ボロ服の女性の懇願を聞いて、ソウルはアップルに視線を向けると、アップルは頷いた。
「分かりました。行きましょう」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
ソウルの頷きに、ボロ服の女性は何度も感謝の言葉を述べていると、その場所にティカルが戻って来た。
「うぃーっす!もどったよ~って…うわぁ…またなんか巻き込まれてる」
「お!丁度良かった。ティカルはこの二人の事を頼む。マナリアにも事情を説明しておいてくれ」
「え?事情ってなに?」
「頼んだぞ!アップル行こう」
「分かったわ!」
困惑するティカルを置いて、ソウルとマギア、アップル、ティー、銀牙は森の中に向かって走り出して行った。
-ポポクロの森・襲撃地点-
「この先から戦闘音を確認」
「敵がどの位いるかわかるか?」
「およそ50人いると思われます」
「結構いるな」
森の中をしばらく走っていると、少し遠くの方から戦闘音が聞こえ、ソウル達はその場にしゃがんだ。
「作戦はどうする?」
「アップルは変身後に銀牙とこのまま突入、俺とティーとマギアは2手に別れて付近に潜んでいる敵から排除した後にアップル達と合流する」
「分かったわ。一緒に頑張ろうね銀牙ちゃん」
「《嚙み千切ってやるワン!》」
「マギアはティーについてってくれ」
「了解しました」
「どーんとあたしにまかせるのよう」
ソウルは、右指を3の形にして3番ショーカットに入れているscarletを取り出し、サプレッサーを先端に取り付けた後、コッキングレバーを引いて弾を薬室に入れた。
「行動開始!」
ソウルが合図を言うと、アップルと銀牙は飛び出して行き、ソウルとマギアとティーは、2手に別れて敵にバレない様に森の中を動いて行った。
TASさんは金髪幼女。反論は認めず。
マギアが作った治療アプリはテストなど行っていません。ぶっつけ本番で使いました。
Q、GCSとは?
A、ググればわかる!
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